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アニマルレスキュー  作者: コトリコトリ
74/229

074 初めての温泉 


 かなえは食事を済ませ、ドームシティーの西門の温泉に戻って来る。

 辺りはもう日が落ちて、空が紫色に染まっている。

 

 動物用の温泉の入口に移動すると、順番に問題無いか確認して行く。

 暗くなったので、トンネルに灯りが点き、幻想的な雰囲気が広がっている。

 でももう少し明るくした方がいいな。何処に設置しよう……。 


 そうだ! 浴槽だ。

 浴槽自体に灯りの効果を付けると、浴槽のお湯が光ってとてもきれいだ。

 

 まるで御洒落なバーみたいだな……。

 昼は真っ白い温泉と浴槽で清潔感があり、夜は間接照明が効いて、湯気が光を反射し大人の雰囲気になった。


 灯りの調節をしていたが、キリが無いからこの辺で馬達に来てもらって、試してもらおう。

 かなえは放牧地に通じる出入り口にジャンプすると、トンネルの所をビジブルにする。

 

 

 そして馬達が居そうな小屋まで移動すると、外に2頭の馬を見つけた。

 かなえは近寄ると、

「こんばんは。ちょっとお話してもいいですか?」


『ああー、ぼく君の事知ってるよー。ほんとうに話せるんだねー』と、まだ若そうな茶色い雄馬だ。

『あたしも聞いたわー』と、隣にいた若い雌馬。

 

 かなえは簡単に温泉の事を説明し、この放牧地に居る馬達に試して欲しいと伝えると、

『いいよ、僕がみんなを呼んで来るよー』と雄馬が奥の方へ走っていく。

『あたしも、呼んで来てあげる』と、雌馬も違う方向へ早足で去って行った。


 暫らくすると『ガヤガヤ』と声が聞こえて来て、馬達が近づいて来た。

『何だ何だ?』『どうしたんだ?』『キングスが……』『クイーンの……』とか、色々聞こえて来る。

 気が付くと10頭位集まったので、かなえは説明し始める。


「皆さん。こんな時間にお呼びしてしまいごめんなさい。ちょっと、皆さんに試してもらいたい物を造りました……」

 かなえが順番に、温泉の事を話し始めると、一部のキングス達に話を聞いていた馬達が『おお!』『ヤッター』と声を発している。 


 温泉の入浴の仕方。トンネルシャワー、トイレの使い方、温泉の効能、注意点などを説明して行くと、

『もうわかったから早く―』『そうだ―』と、急かす馬の声も聞こえて来る。


「大体説明は終わりましたので、私に付いて来てください」

 かなえはスクーターを取り出すと、馬達を放牧地につなげたトンネルシャワーの横のトイレの前に来る。


「温泉はきれいに使用して欲しいので、トイレは先に済ませて下さい。もし途中で行きたくなったら、ここまで来てトイレをしてくださいね。間違っても温泉の中でしたらダメですよー」

 かなえはそう、説明すると馬達は順番にトイレの中に入って行く。終わると、高圧シャワーできれいに掃除される。

 

 出て来た馬達は皆、驚いたような顔をして出て来る。

『凄いなー』『ええー、面白いわー』『ハハハ!』と、なかなか反応は良さそうだ。


 一通り済んだようなので、

 次はトンネルシャワーの説明をする。

「……と、言うわけです。それでは順番に、ゆっくり中へ入り歩いて行ってください。お湯が色々な方向から出てきますが、体を洗う為です。立ち止まらずに先に進んでくださいね」


『よし、オレから行こう』と、キングスの様に大柄な黒い馬が出て来て、トンネルの中へ入って行く。

 すると、中から『おー! いいぞー、あー』と声がして来る。すると、興味を持ったのか次々と他の馬達がトンネルの中へ入って行く。


 かなえはスクーターに乗ったままジャンプで、温泉の中へ移動すると、最初にトンネルシャワーから出て来た黒い馬に話しかける。

『次は温泉に入ってもらいます。こちらに付いて来てください』

 

 かなえはまず一番端の初心者向き、疲労回復効果のある湯に案内する。

 この馬は、光っている温泉が並んでいる不思議な光景に驚いている様だ。

 やっと近くまで来た黒い馬に、


「どうぞ、ここから入って行ってください。自分が気持ち良いと思う深さで停まって、暫らく温まって下さいね」

『おお、わかったぞ』とゆっくり入って行き、首の付け根の深さのところで停まる。


 かなえは次々と入って来る馬達に、この一番端の温泉を勧める。

「最初はこの温泉から入って見て下さい。慣れたら好きな所へ移動していいですよ」 

 どの馬も、幻想的な灯りの温泉に、ちょっと尻込みしているようだ。


「どうぞ、こちらですよ。体の疲れが取れて来ますから試して見て下さい」

 黒い馬が入っているのを見つけて安心したのか、少しづつ浴槽の中へ入って行く馬達。


『わーっ、お湯だー』と、先程の若い雄馬が声を上げる。

『フフっ、面白いわ』と、雌馬は楽しそうにしている。

 

「慣れて来たら、他の温泉にも入って見て下さいね」

 すると、最初の方に入った馬達が移動して行く。


 かなえは皆に聞こえるように、一つづつ温泉の効果を説明して行く。

「一番奥は泡風呂です。まずは左の弱い泡風呂から入って見て下さい。右に行くにつれ泡が強くなって来ますので気を付けて下さいね」


「水飲み場はここと、あそこにありますから水をこまめに飲んでくださいね。疲れたらそこの休憩場で休んでください。自分の小屋に戻る時は、あのトンネルを通って行って下さい。温風が出て来て体が乾きますよー」


 だんだん慣れて来たようで、馬達は自分の好きな場所へ移動して行く。 

 感想を聞いて見ると、

『気持ちいいぞー』『いいわー』『ああ、良い気分だ』など、なかなか評判がいい様だ。


 かなえは馬達の質問に答えたり、説明をし終わると、

「それでは皆さんごゆっくりどうぞ。私は戻りますがまた明日にでも、気が付いた点があれば教えて下さい」


 そう言うと、かなえは人間用の温泉に移動して来る。


 入口から入って行くと、靴を脱ぎ下駄箱に入れる。

 ここに靴を脱いで入れるように、書いておいた方がいいな。

 靴を脱ぐ習慣が無いから、土足で上がって行く人もいそうだ。


 ロッカーはIDカードを入れて、鍵が外せるようにした。

 ロッカーの中を覗いて、使いやすいかどうか実際服を掛けてみる。

 ここに、お年寄りも着替え易いように椅子があった方がいいな……。

  

 かなえは気づいた点を、変更して行く。

 

 よーし、次は温泉に入って見よう!

 実際、試して見ないとわからないからなー。

 

 かなえは服を脱ぎ、IDカードを差し込み、鍵を手首にはめると、トンネルシャワーに入って行く。


「ワァー、気持ちがいい!」

 光のトンネルから噴き出すお湯が、体に吹き付ける。

 トンネルから出て来ると全身ビショビショになり、髪からもお湯が滴り落ちている。

 

 これはちょっと違うなー……。

 お風呂に入って来てすぐに髪がビショビショになるのはちょっと不便だ。

 特にかなえの様に髪が長い女性にとっては。

 

 なので、人間用のお風呂の入口はトンネルシャワーは止めて、殺菌効果だけ付けておく。

 そして、トンネルシャワーは別に、一つづつ壁面に設置しておく。

 馬と違って人間は自分で洗えるから、入口には必要無さそうだ。



 かなえは、一番端の浴槽まで来ると、お湯の中に入って行く。

「あー、気持ちがいい!」

 温めの疲労回復効果のある湯が体の疲れを溶かして行くようだ。

 

 浴槽が明るいので、湯船に入っていると体が光に包まれているような気分になる。

 でも、他の人とも入るならもう少し暗い方がいいな。


 かなえはその場で地図を出すと、浴槽の灯りを弱めて行く。すると辺りが暗くなったので、その代わりに白い床を弱く光らせる。


 足元が明るくなったので、歩き易くなった。

 ……こんな感じでいいかも。

 

 後は、温泉にどんな効果があるのかわかるように、それぞれの浴槽に番号を振り説明書きを何ヶ所か貼り付けておく事にした。

 他にも注意事項を書いておいた方がいいな。


 始めて入る人にとっては何が何だかわからないだろう。温泉に入る前の脱衣所の所にも注意事項をまとめて貼り付けておこう。


 

 かなえは順番に違う温泉に入って行き、ウトウトして眠くなったりしたが、最後の泡風呂「中」に入ったら一気に目が覚めた。強めの泡にマッサージが効果あり、とても気持ちがいい。


「強」や「最強」は痛そうなので辞めておく。

 女性や子供は「中」までがお勧めと注意事項に書いておいた方がいいな。


 一通り試したので、かなえはお湯船から出ると、温風のトンネルを通って脱衣所に戻って来る。髪は少し湿っている程度まで乾いている。


 服を着ると、隣の休憩場に移動する。大きな空間の一画を仮眠所にし、倒せる椅子を並べて休める場所を造る。隣は軽く食事をしたり、話したりする場所で、イスやテーブルを並べておく。仮眠所は壁を造り静かに休めるように防音効果も付ける。

 

 これで、周りが賑わっていてもうるさく無いだろう。

 気になった所を幾つか治すと、下駄箱の靴を履き外へ出て来る。

「はー、いいお湯だった―」


 そうだ! 他の3か所の温泉も、アップデートしておかないと。

 西門の温泉の変更した所を、どの温泉も同じように変えて行く。

 それで、このドームシティーには動物と、人間用の温泉が4か所出来上がったことになる。


 まだまだ、足りないところがあるけど、どうしよう。女神さまに任せればいいかな。

 

 もう一度気になったので、馬達の温泉に行ってみると、休憩場や湯船の中でどの馬も眠っていた。

「あーあ。湯船では寝ないように言ったんだけど、眠くなる気持ちは良くわかるのよねー」

 

 かなえは湯船の馬達を、休憩場に移動させる。

 みんな、気持ち良さそうに眠っているなー。

 このままでもいいだろう。

 

 

 もう大丈夫そうなので、かなえは自分の部屋に戻って来る。

 後は……女神さまに任せたい事、相談したい事を紙に書いて行く。


 必要なのは、レストランや、カフェの様な施設。この温泉は誰か管理してくれる人を見つけるのか、それともかなえがやるべきか?

 

 入場料は必要か、無料にするべきか。

 あとは、24時間開けておくのか、閉めるなら何時か等細かいところを書いて行き、女神さま宛てにして、封筒に入れる。

 

 

 すると……、


「かなえ、動物ギルドのポストに手紙が届いたようです」

 は? こんな時間に?

 それは女神さましか居ないと思うが、まだ手紙を書いて封筒に入れただけで、出しても居ない。

 さすがに返事は来ないよね……。


 かなえは動物ギルドに移動し、ポストを開けると、薄く光った女神さまからの封筒が入っていた。

 


 女神さまの光った良い匂いのする手紙には、


「かなえ、温泉は良いものが出来たわね。後は私にいい考えがあるから任せて! 

これはこのドームの人々にとっても良い変化になるわ。ありがとう。ゆっくり休んでね」

 そう女神様の声がすると、また手紙と封筒がサーっと消えてしまった。


「シロン、女神さまは任せてって言っていたから私は何もしなくていいのかな?」

「はい、そのようですね。もう遅いですから寝た方が良いでしょう」

「はっ! そうね」

 もう食事もしたしお風呂も入ったからこのまま寝てしまおう。


 かなえは服を着替えると、ベットに入る。

 

 馬達が喜んでくれて良かった。

 人にも喜んでもらいたいな。

 

 温泉で温まり気持ちの良い眠りに着いた。



 ――――――――――――――――

 ポイント 

 

 プラス  1000 二日酔い緩和飴 アンディ 

      1000 腰痛緩和飴 御者 

      1000 精神的肉体的疲れの緩和飴 西門の守衛

      12万 ドームシティーに温泉設置

 マイナス  

        

 残り    222万8100  

 パワー   497


――――――――――――――――

 立て替え   8万(地下の家具、リリララ姉妹を雇えばギルド科からの補助金で賄われるので保留)





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