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アニマルレスキュー  作者: コトリコトリ
71/229

071 放牧地 


『カナ、カナ、パンですよー、おきて―』

「うーん……」


『カナ、カナ、パンちょーだい、おはよー』

「フフッ……リトくんは、いつも元気ねー」

 かなえは布団の中から声を掛ける。


『うん、ぼくげんきだよー』

「そうね、私も、そろそろ起きるかー」

 かなえはゆっくり起き上がると、居間まで歩いて来る。

 リトくんは飛んで来て、イスの背にとまる。


 かなえはリトくんのご褒美パンを取り出すと、

「はい、リトくん好きなの選んで?」

『うん、ぼく、きいろいツブツブパンがイイ』


「ハイハイ、これね」

 リトくんが選んだのは、コーンが生地に練り込まれている黄色いパンだ。

 それにしても、リトくんって色の識別がちゃんと出来るんだな。どの色も正確に判断出来ているみたい。もしかしたら人よりも色々見えていたりして……。


 かなえはリリララ姉妹の朝食を準備すると、ジャンプし扉のノブに掛けると、また自分の部屋に戻って来る。



「さあー、私も食べよーっと」


「かなえ、公園のパーティー会場の事ですが……」と、シロン。

「あっ、そうだ!」


 かなえは昨夜眠くなり、パティさん達をそのままにして、家に戻って来てしまったのだ。

 急いで着替えると、向かいの公園へジャンプする。




「あれっ……?」

 昨日のパーティーの行われた場所へ来てみると、パティさん達はもちろん、イスやテーブル、食べ物や飲み物カウンターなど、全く形跡の無い、普段通りの公園の姿だった。

「木の配置も、元に戻ってる……」


「シロン、どういう事?」

「はい、昨夜はかなえが眠ってからしばらくして、皆さんもお帰りになりました。そしてその後、女神さまが元の状態に戻したようです」

 そうなんだ……。


「昨日のパーティーで使われた家具や、料理はかなえのポーチに入っています」

「料理も?」

「はい、料理と飲み物はまた元の状態になり収納してありますので、次の機会に利用出来ます」

「うーん、女神さま、気前がいいというかなんというか」

 ……でもいつか必要になるかもしれないから、とっておこう。


 


 それじゃー、動物ギルドはどうなったんだろう?

 かなえはジャンプで移動すると、

「ここもかー……あっ! あれも飾ってある」

 動物ギルドも昨日、パーティー用に家具を移動していたのが元の位置に戻り、昨日パーティーで飾った装飾植木も壁に飾られている。


 女神様、全部後片付けをしてくれたんだな。今度会ったらお礼を言わないと。

 かなえはお腹が空いて来たので部屋に戻る。


 

 朝食に選んだのはリリララ姉妹と同じ、

 パンケーキのアーモンドココナッツソースと、人参のポタージュスープ、トマトがたっぷり乗ったグリーンサラダと、ブルーベリーヨーグルトにライムアイスティーだ。


 昨日はエネルギーを消耗したし、今日は日曜日なのでゆっくり食べることにした。

 それにしても……昨日のパーティーは急に場所が変更になったり、パティさんの友人が5人では無く結局15人位来たり、女神さまが演奏したり、いろいろあったなぁー。

 でも、最終的にはみんな楽しんで帰ってくれたみたいで良かった。


「あーっ、おいしかった! ごちそうさまでした」

 かなえは席を立つと、出掛ける支度をする。

「シロン、リトくん達はどうしてる?」

「今は、リアちゃんと一緒に居ます」

 そうか、それならもう行こう。



 かなえはジャンプで、牧場に移動するとジジさんババさんが待っていた。

「おはようございます。お待たせしました」

『いいのよ。かなえさん。いつもご苦労様ね』と、ババさん。

『今日は、おちびさん達は居ないんだな」と、ジジさん。

「はい、まだピーちゃんの家に居るみたいなので先に来ました。それでは、出発しまーす」


 かなえは、ジジさんババさんを連れて、アニマルドームの砂浜に移動する。

「それでは今日も1日ゆっくりしてくださいね」

『ありがとう』とババさん。

『ああ、そうするよ』とジジさん。

 2頭は、エスカ機能を使って湖の上を軽快に移動して行く。



「シロン、みんなの様子を教えて」

「はい、キングスはクイーンと一緒に山の頂上へ向かっていて、マリーと子猫達は小屋で眠っています。ルークスとモモちゃんは水路を泳いでいます」

 フフッ、ルークス達、泳いでるんだ。最近、階段機能ばかり使っているみたいだったけど……。



 かなえはジャンプで牧場の牛舎へ移動する。

「さーっ、きれいにするぞー!」

「かなえ、あまりやり過ぎないよう程々にしてください」


「あっ! そうだった」

 あまり力を入れてウオッシュを掛けると、新品の様になってしまう。

 かなえは慎重に力を加減しながら、ウオッシュを掛けて行く。


「ここは、こんな感じでいいな」

 牛舎の掃除が終わると、スクーターで最近日課の牧場を周り始める。

 牛達の様子を見ながら、気になる所にウオッシュを掛けて行く。


「終わったー!」

 かなえはジャンプでアニマルドームの砂浜に戻って来る。



「今日はゆっくりしよーっと。シロン、今日中にやった方がいいことはあったかな?」

「そうですね。今日でクイーンが来て6日立ちます。クイーンにこの先どうするかを聞き、明日にはアンディーに報告したほうが良いでしょう」

 そうね。クイーンはどうするかな。最近いつもキングスと一緒にいるみたいだけど……。


「シロン、クイーンは雲の上の温泉に居るの?」

「はい。キングス、ジジ、ババとも一緒に居ます」


 

 そう、なら丁度いいわね。

 かなえはジャンプで雲の温泉に向かう。


「皆さん、温泉の具合はいかがですか?」

『あー、カナカナ。いいわよ。とても気持ちが良いわ』とクイーン。

『そうだな、いい気分だ』と、キングスは特に嬉しそうだ。

 ジジさん、ババさんも満足そうに頷いている。


「クイーン、あなたが此処に来て6日立つんだけどどうする? このままここで暮らす? それとも戻りたい?」

『ここで暮らしたいわ。向こうには仲間もいるけど、ここもみんなが居るし。何よりこの温泉が最高だもの。離れたく無いわ』


「そう、わかった。それじゃーアンディーに伝えて来るね」

『ええ……私も連れて行ってくれる? やっぱり仲間に挨拶しようかと思うの』

「いいよ、クイーンの元気な姿を見ればアンディーも安心すると思うし、これから行く?」


『ええ、お願いしようかしら』と、クイーン。

『あー、そうだな。わしも挨拶したほうがいいだろうな』と、今まで静かに話を聞いていたキングス。

「えっ? キングスも一緒に行くってこと?」


『ああ、最後はちゃんと話せなかったからな……』

「うん。キングスが良ければ一緒に行こう。アンディーも心配していたから喜ぶと思うよ」

 キングス、放牧地にまた行こうと思えるくらい回復したんだな。でも気を付けておこう……。


 キングスとクイーンが湯船から上がって来たので、ウオッシュを掛け乾かすと、一緒に放牧地へジャンプして行く。



 かなえは放牧地の柵の扉を開けて、

「それじゃーアンディーと話して来るから、みんなの所に行っていいよ」と言うと、

 キングスとクイーンは早足で向かっていく。


「待ってください。今のうちに鞍を着けておかないと、後々面倒ですよ」と、シロン。

「あー、そうだった」

 アンディーに「どうやって連れて来たの?」とか言われてしまいそう。

「キングス、クイーン待ってー!」

 かなえは後を追いかけて行く。

 

 

 もう仲間の馬達に囲まれている、キングスとクイーンの所まで行くと、鞍のセットを2つポーチから取り出す。

「ちょっとみなさん! お話し中すみませーん。キングスとクイーン、これを着けないとまずいの。お願い着けさせて」

『あら、そうだったわね。じゃーわたしから着けて』

 

 クイーンが側に来てくれたので、踏み台を出して着け方を教えてもらいながら鞍を装着する。

「こんな感じでいい?」

『まあまあね。いいわ』と、クイーン。


 かなえは次にキングスの鞍もなんとか着け終わると、

『鞍を着けるのは久しぶりだなー。何だか窮屈だ」とキングス。

 

 毎日美味しい草を食べて温泉に入っていたか少し太ったのかな……。

 でも今は健康そうだから問題無いだろう。

 キングスは楽しそうに仲間と話している。



「それじゃー、行って来るからー」

 かなえは乗馬教室の建物の前まで行くと扉を鳴らす。

「はーい」

 出て来たのは前にも見かけた女の人だ。


「すみません、アンディーさんは居ますか?」

「いいえ。今日は休みなんですよ」

「えーっ!?」

 そうか、休みの時もあるよねー。

 かなえがガッカリしていると、


「アンディーの家は近いですから、行ってみたらどうでしょう?」

 その人が言うには、アンディーの家は歩いて5分ぐらいの所にあるそうだ。

 かなえは家の場所を聞くと、アンディーの家に向かった。


 教えてもらった住所は「10W11番通り」

 家の前まで来ると……あれ? ここってシモンズさんの家?


「カンカン」

 かなえは扉を鳴らすと……何も返事が無い。

「シロン、ここにアンディーは居るの?」

「いいえ、アンディーは隣のシモンズさんの所で寝ているようです」


「はぁー!? どうゆう事?」

「シモンズさんの家はここと似ていますが、隣です」

 そうか、でもまさかお隣さんだったなんて。それも家が隣なのに帰らないで泊ったんだー。


 どうしようかな……かなえは悩んでいると、隣の扉からアレックスが出て来た。

「あーっ! かなえさん、そこで何をしているんですか?」

「アレックスじゃない! 丁度良かった。今、アンディーに用事があって来たんだけど……」


「アンディーさんなら、うちに居ますよ。まだ寝てますけど」

 やっぱり、シロンの言う通りだ。

「そうなんだ。それにしてもアンディーが家に泊る程、仲が良いとは知らなかったよ」


「いいえ、僕は挨拶するぐらいで、シモンズさんとは知り合いみたいでした。だけど……パーティーからの帰り道で、シモンズさんがアンディ―さんを誘って、居間で遅くまで飲んでいたみたいです」

 

 そうか。シモンズさんはルルちゃんが居たから早めに帰ったけど、あれからまた飲んだんだ。

 どうしよう……キングス達を連れて来たから会って欲しいな。


「それなら、アンディーに伝言をお願いできる? 今日、馬を連れて来たから13時に放牧場で待っているって」

「はい、いいですよ」

 いくらなんでもお昼には起きるだろう……。

 アレックスがパンを買いに行くというので、家の前で別れた。



 かなえは放牧地に戻ると、キングス達はまだ他の馬達に囲まれて、話をしている所だった。

「キングス、クイーン。ちょっと来てくれる?」

 すると、2頭の馬はかなえの居る柵の所まで近づいて来る。


『どうしたんだ?』と、キングス。

 かなえはキングスとクイーンに、アンディーと待ち合わせしたことを話すと、

『そうか、それならわしらはここで待っているよ』と、キングス。

『そうね、ちょうどいいわ。久しぶりで色々話があるのよ』と、クイーン。


「じゃー、後でね」

 かなえは話が済んだので、アニマルドームの砂浜に戻って来る。


 

 まずやるべきことは……小屋の掃除ね。

 かなえはクイーンの小屋へ行くとウオッシュを掛け、順番に子猫達の小屋まで掃除をする。

 もうマリーは出掛けた後で、子猫達が新しい丘の中のクッションの上で眠っていた。

 フフッ、可愛いなぁー。子猫達が重なり合うように眠っている姿に癒される。


 

 かなえは砂浜に戻ると早めにランチを済ませる。

 昨日の疲れが残っていたのか眠くて仕方が無い。

「シロン、12時50分に起こして―」

「はい、分かりました」


 

 かなえは砂浜に横になると、眠りに着いた。


 

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