064 みんなで空を飛ぼう
かなえは砂浜のテーブルに、クラフトショップで買った飾りを並べ、アニマルドームのどこに飾るか紙に書いて行く。
他にパティさん関係で人が5人増えるのでその分食器も増やす事等、明日までに準備できる事、当日に準備する事を箇条書きにして行く。
集中して考えていたら、すぐ後ろにキングスが来ていた。
「あら、キングスそんなところでどうしたの?」
なんだかキングスは話があるのか、ジーとしている。
『おお、あー……』
「ふふっ。キングス、何か話があるの? 何でも言ってちょうだい。もしかしてクイーンの事?」
『クイーン? いや、まーそれよりなんだ。ルークスに聞いたんだが、空を飛んだそうじゃないか?』
えっ? あー、その事か。
「ええ、そうよ。ルークス達がアニマルドームの外へ出て行ったのを見つけたから、空から町の様子を見てもらったのよ」
『そうかー。うーん。それは良いな』
「でも、ちゃんと落ちない様にしてたから危なくなかったのよ。心配した?」
『いや、そーじゃなくてな……わしも空を飛んでみたいんだ!』
「えっ!? キングスがー! いいけど……キングス、空を飛びたいの?」
『そりゃー、飛びたいさ。わしだけじゃなく、ジジもババも、クイーンだってそう思っているぞ』
えーっ!? いつの間にか、みんなに伝わっていたんだ。
年配のジジさん、ババさんも空を飛びたいとは好奇心旺盛だなー。
「キングス、いいよ。それじゃーみんなで空からの景色を見に行く?」
『おお、そうしてくれると助かる』
なるほど……。キングスが代表して頼みに来たのかな?
「じゃー、今から行こうか!」
かなえはテーブルのパーティー関連の物を片付けると、キングスと一緒に3合目の温泉にジャンプして行く。
かなえが温泉に入って行くと、皆待ち構えたようにかなえに注目する。
「あのー。キングスから皆さんは、空からの景色を眺めたいと聞きましたが、合っていますか?」
『ああ』『ええ』『そうよ』と、皆温泉に浸かったり休憩しながら答える。
「それじゃー今から出発してもいいですか?」
『いいぞ』『よろしく』『いいわよ』と、とても乗り気のようだ。
『マリーはどうするんだ?』と、キングスがマリーの事を聞いた。
そうだ、マリーにも聞いて来よう。マリーだけ声を掛けないのも良くないだろう。
「それじゃー、ちょっとマリーにも聞いてきますので、皆さんは準備してそこの3合目の広場にいて下さい。2時間ぐらいはかかるので、軽く食べたり、トイレを済ませておいてくださいね」
『おおそうじゃ』『そうね』『わかったわ』『そうしよう』と皆それぞれ動き出す。
シロンに聞くとマリーは3合目にいるそうなので、ジャンプで移動すると、マリーの居る泡風呂の所まで行く。
「マリー、話があるんだけど」
『あら、どうしたの? 子猫達の事?』
「ううん、違うの。今、キングスが私の所に来て……」
かなえはマリーにこれからみんなを連れて空から景色を見に行くと伝えると、
『えー!? そんなことが出来るのー?』
マリーは、昨日ルークス達が空を飛んだ話は聞いていないようだ。
急に言われて迷っているようなので、
「途中まで試して、気が進まなかったらすぐ戻って来れるよ」とかなえが言うと、
『そうね。それなら行って見ようかしら』とマリーも行く事にした様だ。マリーにも出かける準備をしてもらうと、一緒に3合目の広場にジャンプして行く。
みんな勢ぞろいして待っている。
まるで遠足の前の子供達のようにワクワクしている感じが伝わって来る。
「シロン、これだけの動物達を乗せるにはどの乗り物がいいの?」
「そうですね。幾つかありますが昨日のカーぺットの大きいサイズにしては如何でしょう?」
そうか。それなら少し慣れたし操縦しやすいかも。
「シロン、じゃーカーペットにしてくれる?」
「はい、それではカーペット『大』を出します」
パッと現れたのは、昨日のカーぺットよりずっと大きくてかなえの部屋のリビング位あるだろうか。
これなら皆、ゆったり乗れそうだな……。
「皆さん、それではこの水色のカーぺットの上に乗って下さい。時間が掛かるのでうつ伏せになったり寝転んでいいですよー」
すると皆、移動して来て自分の場所を見つけると、楽な姿勢を取る。
「それでは出発します」
かなえはインビジブル、シールドを掛け、ゆっくりと浮上すると高度を上げて行き、まず山の頂上まで移動する。
「それでは下の景色が見やすい様に、カーペットを透明にしますが、皆さんは安全ですから驚かないでくださいねー」
なんだか旅行の添乗員さんになったような気分だ……。
ゆっくり、カーペットを透過させて行くと、
『おおー!』『まぁー』『凄いぞー』と色々声があがる。
完全にカーペットが消えると、
「皆さん、この状態で飛んで行きますが大丈夫ですか? 無理だったらすぐ戻りますので遠慮なく言ってくださいねー」
『大丈夫だ―』『平気よー』と、みんなの顔色を見るが大丈夫そうなので、出発する事にする。
「それでは出発しまーす」
かなえはアニマルドームを出ると、高度を下げ速度もゆっくりにして、中央のドームシティーに向かって、カーペットを飛行させる。
皆、次々と移り変わる空からの眺めに目が離せないようだ。
たまに『おおー』『まぁー』等の声が聞こえて来る。
かなえは昨日も通ったし、過去に飛行機にも乗ったことがあるが、ここにいる皆は何もかも初めてだから、驚くのは当然だ。
「もうすぐジジさん達の住むミルクドームです。牧場の上も通りますよ」
かなえがそう言うと、
『ほー、それは面白いな』と、ジジさんは興味深々だ。ババさんも『そうねー。楽しみ』と、嬉しそうにしている。
「次に見えて来たのがミルクドームです。その下の建物でミルクから色々な食品を作っています」
かなえはそのまま走らせて行き、牧場まで来るとさらに速度を落とす。
「この下の丘が、いつもジジさんババさんと待ち合わせている所です」
『へー』『そうなのー』『まぁー』『フフッ』
「ジジさん、ババさん、他にこの辺りで上から見たい場所はありますか?」
『うーん、そうだな、それならあの池の辺りも行って見てくれないか?』
「はい、分かりました」
かなえは前に、子牛を助けた池までカーペットを移動させて行く。
「はい、池ですよー」
ジジさんとババさんは興味深そうに見ている。しばらく近くを飛んでいたが、時間が足りなくなるので、かなえは移動させていく。
「はい、それでは次に中心のドームシティーに向かいまーす」
かなえはスピードを上げて行き、ドームシティーに近づいて行く。
もうすぐ着くので高度を上げて行き、ドームシティー全体が見える所まで上がると、
「ここから見えるのが、ドームシティーです。キングス、クイーン、マリーも住んで居たところで、私も今暮らしています」
次に高度を下げて行き、ゆっくり町の様子を見てもらう。
『まぁー! 人が沢山ねー』とババさんが驚いている。
『建物だらけだなー』とジジさん。
きっと、ジジさんとババさんはずっと牧場で暮らしているから、見たことの無いドームシティーの人混みに驚いているんだろう。
キングスは久しぶりの街並みに、懐かしそうに見入っている。クイーンはまだ来たばかりだし、マリーも行ったり来たりしていたから、そんなに感動は無いだろう。
かなえは一通りドームシティーの様子を説明すると、最後にキングス達が住んで居た、放牧地に移動して来る。
ちょっとキングスの様子が気になったが、問題無い様だ。
クイーンも馬達の様子を興味深そうに見ている。
かなえは、キングス達が暮らしていたところだとジジさんババさん達に説明すると、2頭も興味を持ったようで、ジーっと眺めている。
「キングスとクイーン、馬達と話したかったら下に移動するけどどうする?」
『うーん、わしは話すことは無いな』とキングス。
『私も無いわー』とクイーン。
そうなんだ……。
もうここもじっくり見たので、
「それでは、もう移動しますね。次は高度を上げて行きます。周りのドームが見えて来ますよ。皆さんが住んで居るアニマルドームがどこにあるか探して見て下さい」
かなえは少しづつ高度を上げて行く。
ドーム全体が見える所まで上がって来ると、
「はい、ここからだと周りのドームも見渡せます。離れているのでアニマルドームは見えないと思いますが、方角的には向こうの一番端になります」
皆一斉に、かなえの指した方向を見るが、見えてはいないようだ。モモちゃんのように驚異的な視力が無ければ無理だろう。
「それでは、アニマルドームに向かって行きまーす」
かなえは初めは高度の高いまま走らせ、だんだんアニマルドームに近づくにつれて高度を下げて行くと、
『おー? もしかしてあれか?』『あれは山かしら?』と徐々にアニマルドームが見えて来たようだ。
「そうです。正面に見えているのがアニマルドームの山ですよ。もうすぐ着きますが、皆さん着陸するのは温泉でいいですか?」
『おお、そうしてくれ』『ああ、頼む』『それが良いわ』『ええ、宜しく』『そうして』と、皆の意見が合う。
アニマルドームの中に入ると、山に近づいて行き3合目の広場にゆっくり着地して行く。
「はーい。到着でーす」
かなえはシールドとインビジブルを解いて、
「どうぞ、出て良いですよー」
『ありがとう』『楽しかった』『凄かったわ』『『この歳になってまだ新しい経験が出来るとはのう』と、
みんな、それぞれ感想を言った後、温泉に向かっていく。
「マリー、5合目まで送ろうか?」
『いいわ、ちょっと走りたいから自分で登って行くわ』と、マリーは駆け上がって行く。
これでよしっと。
次はー……。
「シロン、リトくん達はどうしてる?」
「ドームシティーの公園の木の枝にとまっています」
そうか、今日は迎えに行けなかったから様子を見に行こう。
かなえはリトくん達の様子を見にジャンプで移動する。
「リトくーん、ピーちゃーん」かなえは下から、声を掛けるとリトくん達がかなえの所へ舞い降りて来る。
『カナカナ、なに?』リトくんが、首を傾げながら聞いてくる。
「何か欲しいものは無い?」
『うーん、ぼくないよー』と、リトくん。
『あたしも、ないよー』と、ピーちゃん。
「そう、わかった。それなら私は行くね。またねー」
あの2羽は、問題無く過ごしていたんだな……。
かなえはジャンプで子猫達を迎えに行く。
部屋から動物ギルドに入って行くと、子猫達は元気に走り回っている。
「はーい、みんな、帰るよー」
『あー、カナカナ』『かえろー』『まってー』と、子猫達がかなえの開けたケージに飛び込んで来る。
「みんなー、リリちゃんララちゃんにご挨拶は?」と聞くと、
『またねー』『バイバイ』『ありがとー』と、一斉に鳴き始める。
リリララ姉妹も嬉しそうに「また明日ねーと手を振る」
その笑顔が可愛らしい。
「それじゃー、行くね。もう少し暗くなったら、外のライトを付けて見てね」
かなえ部屋からジャンプでアニマルドームの子猫達の小屋へ移動する。
「はーい、着いたよー」
子猫達はケージから出ると、駆け出して元気に遊び始める。
「マリーはもう少ししたら戻って来るから遊んでいてね」
『いいよー』『わかったー』『ハーイ』
子猫達の走る速度が日に日に早くなって来ている。これではリリララ姉妹が捕まえるのも大変だろう。
かなえは3合目の温泉に移動すると、まだジジさん達もキングス達も起きて話をしているようだ。まだ空から戻って来てそんなに時間が経っていないからだろう……。
「ジジさん、ババさん、そろそろ牧場へ帰りますか? それとももう少し後の方がいいですか?」と、かなえが聞くと、
『かなえさん今日は、ありがとうね。私達、あんな空からの景色を見られたから話が弾んでしまって』と、ババさん。
『そうよ、ここに来てから色々体験して来たけど、今日の空の旅は凄かったわ!』とクイーン。
ジジさんも、キングスも『うんうん』『そうだ、そうだ』とうなずいている。
「それは良かったです。またその内、空の遊覧飛行に出掛けましょうね」
『ええ宜しく』『ああ頼む』と、みんな、嬉しそうにしている。
「じゃージジさん、ババさん、私はもう少ししたらまたお迎えに来ますね」
『ええ、宜しくね』『ああ、頼んだよ』とジジさん達に言われる。
なので、マリーの居る5合目に移動すると、マリーは泡風呂から出て来て休憩場で横になった所だった。
「マリー、もう眠そうね。小屋まで送ろうか。あーでも、今子猫達は走り回っているから、もう少し後で来るよ。ジジさん達もそうしたから」
『ええ、助かるわー。今日は空からの景色、良かったー。また連れて行ってね』
「うん、いいよ。またみんなで出掛けよう」
時間が空いたので、かなえは山の頂上にジャンプし、夕食にする事にした。
選んだのは、お昼の食べかけの天丼中華丼、スープ屋のワンタンスープに、野菜スティックと、ピーチアイスティー。デザートはここで採れたパパイヤにする。
空の色がだんだん夕日でオレンジ色になって行く。
今日もきれいだなー。山の頂上からの夕日はまた格別だ。
夕食をゆっくり食べ夕日も満喫したので、ジジさん達を迎えに行く。
3合目の温泉に再び戻って来ると……、
もうみんな揃って夢の中だ。
かなえはジジさんとババさんを牧場に送り、次にキングス、そしてクイーン、最後に5合目のマリーも小屋に移動させると、自分の部屋に戻って来る。
早速、動物ギルドの外に移動して、扉の両側の植木にライトを点けてみる。
「わーっ! 綺麗」
暗くなって来たので、植木の丸いガラスのライトが幾つも灯り、玄関周りを優しく照らす。
これなら、パーティーに来る人達にも目印になっていいな。
かなえは確認が終わると、ライトを消して部屋に戻って来る。
かなえは寝る支度をすると、ベットに入る。
今日もいろいろな事があったなー。
みんな思った以上に、空の飛行を楽しんでくれたみたいで良かった。
今度は全員を乗せて、どこかピクニックに行くのもいいかも。
かなえは灯りを消して、眠りに着いた。
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<かなえのIDカード>
変更のあった場合表示
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ポイント
プラス 1000 母子共に健康飴、カーラさん
マイナス 2000 まかない亭ランチ
残り 207万4100
パワー 498
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パーティーの準備 合計 26万5000
飾り クラフトショップ 2万
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立て替え 8万(地下の家具、リリララ姉妹を雇えばギルド科からの補助金で賄われるので保留)




