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アニマルレスキュー  作者: コトリコトリ
56/229

056 モモちゃんとルークス  


『カナ、カナ、パンだよー、おはよー』

『カナ、カナ、おきてー!』


「……」

「かなえ、起きてください」


「……あーねむい。わかった、起きるよー」

 今日は起きるのが辛いな……。

 ……昨夜遅くまでモモちゃんの面倒を見ていたからだ。


「シロン、モモちゃんはどうしてる?」

「アニマルドームの自分の小屋で眠っています」

 そうか、あれから泳いだり山に行ったりしてたら、まだ眠いだろう。


『カナ、カナ、はやくー』

 リトくんがしびれを切らしたのか、かなえを急かす。

「わかったよー」

 かなえはベットから出ると、ノロノロと居間へ向かいリトくんにパンを出すと、


「はい、リトくん。どれが良い?」

『ぼくねー、そのみどりのがイイ』

 リトくんが選んだのは緑色のオリーブが細かく生地に練り込まれたオリーブパンだ。

 かなえは隣を崩さない様に丁寧に取ると、リトくんにパンをあげる。


『おいしーな、みどりのパン』

 今日もご機嫌なリトくん。


 それに引き換えかなえは……頭がスッキリしない。

「シロン、何かこの眠気を取るものある?」

「はい、どうぞ」

 

かなえがポーチから取り出したのは、半透明な小さな飴。注意書きには「動物の世話で寝不足の緩和飴」と、表示されている。


「はっ? うーん……まぁいいか」

 かなえはちょっと注意書きが気になったが、それよりもこの眠気を取るのが先だ。口の中に飴を入れるとミントの香りが広がり、頭の中の靄が晴れて行くように、スッキリして来る。それと同時に体の怠さも取れて行く。

「あー、おいしー!」


 あっという間に元気いっぱいに回復したかなえは、朝ご飯もガッツリ平らげ支度をして、リリララ姉妹にランチを届けに行く。


「おはよー! はい、これ、今日のランチね」

「おはようございます」ララちゃんがランチを受け取る。

 ララちゃんも元気そうなので昨日楽しかったのかな。

 

 かなえは自分の部屋へ戻ると……リトくんはもう、ピーちゃんのところへ戻って行ったようだ。

「シロン、リトくんはピーちゃんのところに居るの?」

「はい、かごの上に並んでとまっています」

 そうか、それならいいかな。


 かなえはジジさんの待つ牧場へジャンプして行く。

「おはようございます。ジジさん」

『今日はおまえさんだけかね?』


「そうなんです。リトくん達はまだピーちゃんの家に居ますし、モモちゃんは昨夜アニマルドームに行ったので……」

 ジジさんはまだ話を聞きたそうだったが、かなえは取りあえず飴を渡して、アニマルドームの砂浜へ移動する。


 かなえは砂浜でジジさんに、昨夜のモモちゃんとの出来事を話していると、キングスが小屋の方からやって来た。


「キングス、おはよう。調子はどう?」

『ああ、わしは良いんだが、ルークスがずーっと寝ているんだ』

 キングスが心配そうにしているので、かなえはキングスにも昨夜の事を話す。

 

『そうか、ルークスには夜遊び仲間が出来たから、朝寝坊なんだな』

 キングスはルークスが眠っている理由が分かりホッとしている様だ。

「ルークスは毎日夜中も泳いだり山に行っているの?」


『わしは寝ているから詳しくはわからないが、夜中も起きて出かけているようだ』

 そうか、動物も色々だから、夜中も元気に動き回っても不思議じゃないわね。子猫達だって大きくなって来たら、夜も自由に活動するだろうし。


『そろそろ、行って来るよ』と、ジジさんと、キングスは仲良く橋を渡って行く。


 マリー達も寝ているようなので、かなえは先に牧場の牛舎へ向かう。

 牛舎の中へ入ると、順番にウオッシュをかけて行く。

 牛舎が終わると、牧場の池と川にもウオッシュをかける。


「シロン、牛達は何か変わったことは無いかな?」

「いえ、今のところ何も問題はありません」

「じゃー、メラニーさんとジョンさんはどう?」

「メラニーさんは料理をし、ジョンさんは家具を作っています。体調に問題は無いですね」

 そう、良かった。


 かなえはアニマルドームの砂浜にジャンプで戻ると、モモちゃんの小屋へ向かう。

「あら? モモちゃんは居ないのね」

「シロン、モモちゃんはどうしてる?」

「山の麓でフルーツを食べています」


「ルークスは?」

「ルークスもモモちゃんの側に居ます」

 ルークスは、モモちゃんに付き合ってくれているのかな。


 かなえは先に、モモちゃんとルークス達の小屋をウオッシュして、餌やミルクを補充しておく。


 次は並びにある、子猫達とマリーの小屋。

「マリーおはよう。何か変わったことは無い?」

『ええ、みんな元気よ』

「そう、なら良かった」

 子猫達は元気に庭を小走りで、走っている。動きが日に日に、機敏になって来ている。


『この新しい丘、子猫達は喜んでいるわ』

「うん、そうみたいね」

 かなえは思いついたので、丘の中にトンネルを設置してみた。

 すると急に現れた丘の中を通る穴に、子猫達は興味を示し、しきりに穴の中を覗いている。


『なにこれ?』『あなだよ』『むこうがみえるー』

 子猫達は穴の中を通りたいがまだ怖いのか、足を1歩踏み入れては戻って来る。


 そこで、かなえが側にあった子猫達のボールをコロコロっとトンネルの中に転がすと、タイガが釣られて、スタスタっとトンネルの中に入って行き、ボールを咥えて反対側の穴から出て来た。

 タイガがトンネルの中を通れたので他の2匹も安心したのか、


『ぼくもー』『待ってー』と後に続いてトンネルの中に入って行く。

 それからはもう怖くないようで、3匹はトンネルの中で遊び始めた。


 そんな様子を温かい目で見守るマリー。

 かなえはマリーにも昨夜のモモちゃんの様子と、ルークスと夜中も遊んでいたことを話す。

『そう。でもルークスに仲間が出来て良かったじゃない』

「うん、私もそう思う。ルークスはパワーがあり過ると思ったけど、モモちゃんも凄いから丁度いいみたい」


 またこの先女神様が、凄いパワーのある生き物を送ってきたらどうしようと、一瞬思ったけど、怖いので考えないことにする。


 あまり他の動物達と違い過ぎると、一緒に暮らしていくのに支障が出て来るかもしれない……と再び不安がよぎるけど、

 あー! 今は考えない。取り越し苦労ほど、無駄なものはないものー。


 かなえは気分を変えようと、モモちゃん達の所へ移動する。

「モモちゃん、ルークス。仲良くしてるかな?」


『あー、カナカナ。うん、ぼく仲良くしてるよ!』とルークス。

 モモちゃんはフルーツをムシャムシャと食べている。

 ……ちょっとお腹が膨れているよ。顔も手もフルーツでまみれだ。


「モモちゃん、そんなに一度に食べたら良くないよ。少しづつユックリ食べなよ!」

 かなえはモモちゃんにウオッシュをかける。


『うん、モモちゃん、フルーツ好きー』

 モモちゃんは、かなえの言った事など気にしていないようだ。


「そうだ。モモちゃん、ルークスに山の頂上に連れて行ってもらえば? 景色が良いよ」

『いいよー、モモちゃん、山の上まで行こ―』

 ルークスはもう山の外側の道の方へ走っていく。


 モモちゃんは重たくなったお腹をつきだして、スーっと浮き上がると、ルークスの後をゆらゆらと追って行く。


 もしかしたら、モモちゃんがフルーツばかり食べていたのは栄養が足りなかったからかな……。

かなえは地図を見ながら、アニマルドーム中にモモちゃん用のプロの実を植えて行く。

 これでいいな……。

 

 山の外側の道をすごい勢いで駆け上がって行くルークスと、その後をモモちゃんがピッタリ後を付いて行くのが見える。


 モモちゃんは、飛べるから、一気に頂上まで飛んで行けるのに、走っていくルークスと一緒にグルグルと山道を登って行く。

 

 フフッ、モモちゃん、ルークスの側を離れたく無いのね……。

 モモちゃんとルークスは昨夜、一緒に走ったり泳いだりして過ごし、より一層仲良くなったように見える。

 暫らく放っておいても大丈夫だろう……。


 かなえはジャンプで1合目の温泉に移動する。

「あっ、ジジさんここに居ましたか」


『ああ、このお湯は身体の疲れが一番取れる気がするなー』

「そうですか。このお湯は疲労回復と神経痛に効果があるみたいです。ゆっくり入っていると効果がより出るみたいですよ」


『そうだったな。わしにピッタリだ』

 ジジさんは気持ち良さそうに、お湯に浸かって目を細めている。


 かなえは1合目の温泉全体に、ウオッシュをかけてきれいにする。

 ジジさん、そろそろ3合目の温泉に行きますけどどうしますか?

 後の方が良ければ、時間を置いてまた呼びに来ますけど。


『そうだな……3合目に連れて行ってくれ。あの泡風呂にも入りたいからな』

「そうですか。わかりました」

 かなえは湯船から出て来たジジさんを連れて、3合目の温泉にジャンプする。

  

 マリーはまだ来ていないようで、キングスだけが泡風呂でくつろいでいた。

 ジジさんは空いているトンネルシャワーへ入って行く。


「キングス、泡風呂はどんな感じ?」

『ああ、この風呂はいいなー。心も体もトンドン軽くなって行く』


「そう。良かった。みんなここへ来たばかりの頃より、毛並みがツヤツヤで、念入りに手入れをしているように見えるよ」

『ハハッ、そうか。年を取るに連れて毛並みが良くなるとはな』とキングス。


『そういえばわしも、牧場の牛達が最近見ないがどうしただの、体が良い匂いがするだの、いろいろうるさいんだ』とジジさん。

 

 そうか、栄養も足りてるし心身共に健康で、おまけにいい匂いをさせて居たら怪しまれるだろう……。

「そういえばジジさんとキングスには奥さんとかガールフレンドは居なかったの?」


『わしは……うーん、まー居ないわけでは無いがな』とジジさん。

「えーっ!? ジジさん。誰かいい人が居るんですか?」


『まぁー、そうだな。たまに会うぐらいだが』

 そうなんだ。知らなかった。

「お相手が居るのに、毎日アニマルドームに来ていていいんですか?」


『何を言っているんだ。この温泉に入れないくらいなら、会えなくてもいいんじゃ。もうお互いいい歳だしの』

 えーっ、そんなの良くないよー……。

 ジジさんはトンネルシャワーを出て泡風呂に入って行く。


「じゃーキングスは?」

『わしは、あの子が気になっておったが、もう会う機会は無いだろう』

「えっ? あの子ってだれ?」


『かなえも知っている、クイーンだ。わしよりも若いが、優しい子でな』

「えーっ! クイーンの事が気になっていたんだ。キングスが会いたかったら連れて行ってあげれるよ?」

『うーん、そうだな、それも良いが……ここへ連れて来てもらう方がいいな』

 

 キングスは、前に暮らしていたドームシティーの放牧地では、嫌な思い出があるから近寄りたくないのかな……。

「そうね。クイーンをここへ連れて来ることも出来るかも」


 乗馬教室のアンディー達が仕事を終わった後なら、クイーンを1度連れて来ることは可能ね。

 もしクイーンがキングスと一緒に暮らしたいと言ってから、正式にアンディー頼みに行けばいいし。今度クイーンに聞きに行ってみよう。


 キングスは泡風呂を出て、休憩場で寝転がる。


「クイーンには聞いて見るね。ジジさんもここへ一緒に連れて来たいですか?」

『うーん、そうだな。聞いててみようかのう』

 ジジさん、なんだか嬉しそうだな……。

 みんなにお相手が出来て、もっと幸せになれるならその方がいいね。


 すると、マリーが3合目の温泉に入って来る。

『あら、みんなお揃いで』

 マリーはトンネルシャワーに入り、気持ち良さそうに目を細めている。

「マリー、ご苦労様。子猫達は眠ったの?」


『ええ、かなえが作ったトンネルが気に入ったみたいで、ずっとあそこにいたわよ』

「そうなんだ……マリー、もう少ししたら子猫達を動物ギルドへ連れて行くから、もうここでのんびりしててね」

『ええ、助かるわ』


 かなえは3合目の温泉、全体にウオッシュを掛けきれいにすると、砂浜にジャンプして行く。


 ハンバーガーのセットで簡単にランチをを済ますと、子猫達の所へ向かう。

 子猫達は小屋の中でグッスリ眠っている。


「シロン、モモちゃんと、ルークスはどうしてる?」

「山の頂上で、昼寝をしています」

「えー!?」

 

 そうなんだ。モモちゃんはあんなにフルーツを食べてたからなー。

 眠くなっても不思議ではない。

 まだ少し時間があるので、山の頂上にジャンプで様子を見に行く。


 あー、ホントだ!

 モモちゃんとルークスは仲良く並んで、頂上の広場で眠っている。

 モモちゃんは、また口の周りに何か食べ物を付けている。

 かなえは、モモちゃんと、ルークスにもウオッシュを掛けておく。


 この頂上にもお風呂を造ろかな。眺めが良くてみんな喜ぶだろう。


 かなえはジャンプで小屋へ戻り、子猫達を連れ自分の部屋へ移動して行く。


 




 




 




 



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