055 モモちゃんと夜の散歩
「はい、着いたよー」
かなえはモモちゃんを連れて、部屋へ戻って来る。
「モモちゃん、何か欲しい物ある?」
『ううん、無いよ』
「そう、それならそこのクッションに坐っているか、奥の自分の部屋に居てもいいよ」
『うん』
モモちゃんはかなえの目の前のクッションに坐る。
「私は夕食にするね」
何にしようかな……かなえはイタ飯屋のチーズラビオリのトマト味と、グリーンサラダ、ミックスビーンズのバジル和え、それにアニマルドームのフルーツを出して、食べ始める。
「ああー、おいしー!」
今日もお腹が空いていたので、どの料理もおいしい。
ふと、モモちゃんを見ると、かなえが食べているのを興味深そうに見ている。
「モモちゃんも何か食べる?」
かなえはモモちゃんを、自分の目の前の椅子にジャンプで座らせる。椅子の背もたれに隙間があるので、モモちゃんの尻尾がそこから出せて丁度いい。
でもちょっと椅子が低いな……。
かなえはもう一度モモちゃんを移動させ、厚めのクッションを出すと椅子の上に置き、モモちゃんを座らせる。
うん、イスの高さは良さそう。
「モモちゃん、どれが食べたい?」
かなえは自分が食べていた物を目の前に置く。
すると、モモちゃんは、
『パン、食べたい』と希望を言う。
そういえばリトくんのご褒美パンを食べていたっけ。
「パン? ちょっと待ってね」
かなえはモモちゃんが好きそうな甘みのあるパンを探すと、ポーチから取り出す。
「はい、これは好きかな?」
かなえが選んだのは、りんごがたっぷり入ったアップルレーズンパンだ。シナモンの香りが効いている。
かなえはお皿の上にパンを置くと、モモちゃんは上手に前足で掴んで口に運ぶ。
かなえの食べ方を見ていたようだ。
でもモモちゃんは口が大きいので、パクッと一口で食べてしまう。
『おいしー、あまーい!』
モモちゃんは甘いのが好きなのかな。
かなえがまた食べ始めると、もの欲しそうにモモちゃんが見ている。
「モモちゃん、まだ何か食べたいものはある?」
かなえが聞くと、
『うん、バナナ食べたい』とモモちゃん。
かなえはアニマルドームのフルーツを幾つか取り出すと、テーブルに乗せる。
「はい、いろいろフルーツを出してみたから、モモちゃんが好きそうなのを選んでね」
『うん』
モモちゃんはフルーツを取ると1つ食べ、2つ食べとパクパク食べて、かなえが置いた全部のフルーツを平らげてしまう。
「モモちゃん! そんなに食べて大丈夫? お腹痛くならない?」
『うん、おいしかった。もうお腹いっぱい』
はー、驚いた。モモちゃん、まだ小さいのに食欲が凄い。この勢いで食べたらすぐに何十メートルにもなっちゃうかも……。
かなえも食事を済ますと寝る準備をする。
「モモちゃん、そろそろ寝ようか。また明日アニマルドームに行こうね」
『……』
モモちゃんは、まだ眠たくないのかな……?
かなえはモモちゃんを寝かせようと、奥の寝床まで連れて行く。
すると、
『モモちゃん、眠くないの』とモモちゃんは言う。
うーん。困ったな。もう寝る時間だし、私は眠いんだけどなー。
「モモちゃん、眠くないって、何かしたいことがあるの?」
『うん、モモちゃん、お外見たい』
うーん、外かー……。しょうがないな。
「わかった。それなら屋上から外を見ようか。もう眠いからちょっとだけだよ」
かなえはモモちゃんを連れて屋上へ上がって行く。
『ウァー、建物いっぱい!』
屋上からの景色を見て驚いている。
モモちゃんはドームシティーでは、外には出て居なかったな……。
するとフワッとモモちゃんが浮き上がり、公園の方へ飛んで行ってしまった。
「モモちゃん待って!」
かなえは慌ててスクーターを出してモモちゃんを追う。
「かなえ、モモちゃんも一緒にインビジブルにしてください」とシロン。
そうだ、モモちゃんの姿を誰かに見られたら大変!
かなえはモモちゃんと自分に不可視化のインビジブルをかけておく。
『うぁー!』
モモちゃんは知らない景色が面白いのかどんどんスピードを上げて飛んで行く。
えーっ、ちょっとモモちゃん勘弁してよー。
かなえもスクーターのスピードを上げてモモちゃんに付いて行く。
モモちゃんは、今日飛べる様になったばかりなのに、スイスイと進んで追い付くのが大変だ。
かなえは追い掛けるのに疲れたので、高度を上げて行きドームシティー全体が見える所まで上がる、静止して地図を出し、モモちゃんの現在地を表示する。
すると、モモちゃんがドームシティー中を飛び回っているのが、地図に赤いランプで見える。
モモちゃん、あんなに飛んでも疲れないのねー。もしかしたらルークスよりパワーがあるのかも。
「……」
『カナカナ!』
かなえは声がした方を見ると、モモちゃんがいつの間にかかなえの横で浮かんでいる。かなえはスクーターの上で眠ってしまい、モモちゃんに起こされたようだ。
「モモちゃん、良くここに居るのが分かったわね。どうしたの? もう帰ろう」
『ルークはどこ?』
そうか。モモちゃん、ルークスを探していたんだ。
「ルークスはここには居無いのよ。離れたところに居るの」
『……』
モモちゃんは寂しそうな表情になる。
しょうがないなー。
かなえはモモちゃんを膝に乗せると、周りにシールドを掛けて防御する。
「じゃー、どこにいるか見せてあげるから、このままじっとしててね」
かなえはモモちゃんを乗せたまま、スクーターの高度をもっと上げて行く。
だんだんドームシティーが小さくなって行き、周りのドームが見え始める。
その様子をモモちゃんは興味深そうに眺めている。
『うわぁー、キレイ!』
夜で暗いのでドームシティーの灯りは見えるが周辺のドームには所々にしか灯りが付いていない。
そのまま高度を上げて行くと、やっと1番端にアニマルドームがある場所が見えた。
いや、遠いのでほとんど様子はわからない。
「モモちゃん、あそこの一番端にアニマルドームがあるんだよ。ここからだと遠くて見えないから、また今度明るいうちに見せてあげるね」
モモちゃんは、かなえが言ったアニマルドームの方角をじーっと見つめ始める。
『あー、山だー』
「えっ?! 山?」
まさかアニマルドームの山はここからは見えないよ。暗いし遠過ぎる。
『あっ! ルーク!』
モモちゃんはスクーターからパッと飛び出ようとしたがシールドしてあるので出られない。
「モモちゃん、急に動いたら危ないでしょ!」
モモちゃんはシールドにぶつかったようだが、不思議と振動は無いし、スクーターも静止したままだ。
『だって、ルークが泳いでるよー』
えっ?! ルークスがこの時間に泳いでいるって言うの!
それに、ルークが見えるの?
「もーわかった。じゃー確かめに行くよ」
かなえは眠くて面倒くさくなったので、アニマルドームに行った方が早いと思いジャンプで移動する。
とりあえず砂浜にジャンプしてシールドを外すと、モモちゃんがサーっと飛んで行ってしまう。
「シロン、ルークスは本当に泳いでいるの?」
「はい、今、水路を泳いでいる所です」
「えーっ!」
モモちゃん本当にあの距離からルークスが泳いでいるのが分かったんだ……。
かなえはジャンプでルークスの所へ移動すると、丁度モモちゃんも飛んで来たところだ。
『ルーク!』とモモちゃんが泳いでいるルークスに声を掛けると、
『あーっ、モモちゃん! どうしたの? 夜だよー』と驚くルークス。
「ルークスこそ、こんな時間に泳いでるの?」とかなえが問いかけると、
『うん、ボク夜も泳ぐよ。温泉も行くし山も走るし』
そうなんだ。知らなかった。
『モモちゃんも、およぐ―!』
モモちゃんはそういうと、水の中に入りルークスの所まで泳いで行く。
こうなったら仕方が無い。
「モモちゃん、私は眠いから帰るね。モモちゃんは島の小屋で寝なよ。また明日来るからね。わかった?」
かなえはもうルークスと水路を泳ぎ始めたモモちゃんに言うと、
『うん、わかったー』と嬉しそうなモモちゃん。
「ルークス、モモちゃんを宜しくね」
『うん、ぼくモモちゃんと仲良く出来るよー!』とルークスも嬉しそう。
もう……この並外れたパワーのある、ルークスと、モモちゃんには付き合いきれないよ。かなえは自分の部屋にジャンプすると、寝る支度を済ませ、ベットに入る。
それにしても、モモちゃんの視力ってどういうこと?
いろいろ不思議だが、もうかなえは起きて居られない。
……また明日考えよう。
かなえは一瞬で深い眠りに着いた。
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<かなえのIDカード>
変更のあった場合表示
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ポイント
プラス 1000 ジジの健康塩飴
1000 健康な牝牛用塩飴
マイナス
残り 209万5100
パワー 497
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パーティーの準備 合計 24万
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立て替え 8万(地下の家具、リリララ姉妹を雇えばギルド科からの補助金で賄われるので保留)




