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アニマルレスキュー  作者: コトリコトリ
53/229

053 恥ずかしがりやなモモちゃん


「かなえ、起きてください。朝ですよー」

「えっ? はい。 あれ? シロン?」

 シロンに起こされるのは久しぶりだ。リトくんは帰って来なかったのかな。


「あっ、モモちゃん!」

 かなえはモモちゃんの事を思い出し、ベットから降りると、隣の部屋へ様子を見に行く。

 

 すると……、

『ぼくねー、リトだよー。パン好きだよー』とリトくんがモモちゃんに話しかけている。

 モモちゃんはピンクのぬいぐるみを抱えて、クッションの上に坐っている。

「リトくん、ここにいたのね。おはよう。モモちゃん、良く寝られたかな?」

『うん、この子と一緒でさみしくなかった』とぬいぐるみを見せるモモちゃん。


「そう、良かった。リトくん、モモちゃんとは自己紹介が終わったのかな? 昨日からここに住むことになった、モモちゃんよ。仲良くしてあげてね」

『うん、ぼく仲良くするよ』と、リトくん。


「モモちゃん、ご飯は食べたのかな? お腹空いてる?」

『うん、おなかすいた』

 モモちゃんはトコトコっと餌入れに近づいて行くと、餌がセンサーでニューッと出て来て、ムシャムシャと食べ始める。

 

「リトくんもお腹が空いたかな? パン食べる?」

『うん、ぼく、ごほうびパンちょーだい』

「はいはい」

 かなえは居間へ行くとパンを出してリトくんに好きなパンを選んでもらう。今日も真ん中に近いところを選び、中心の穴が広がり、大きなドーナツの様な形になった。


 ふと視線を感じて振り返ると、モモちゃんが自分の部屋から顔を出して、かなえ達の様子を伺っている。立ち上がっても2歳児ぐらいで小さくて可愛い。


「モモちゃん、食べ終わったの? こっちにいらっしゃい。一緒にお話ししよう」

 かなえが問いかけると、モモちゃんがぬいぐるみを持ってヨタヨタと歩いてくる。

『モモちゃん、ごほうびパン食べる? おいしいよ』

『ごほうび?』と不思議そうな顔をするモモちゃん。


 かなえがリトくんのパンを見せながら、

「このパンよ。この中から一つ、好きなのを選ぶ?」

『うーんと、これ』

 モモちゃんが指をさしたのは、真ん中に近い少し茶色い粒粒が入ったパンだ。

 かなえはちぎってモモちゃんに渡すと、恐々口の中に入れるモモちゃん。


『モモちゃん、パンおいしー?』とリトくん。

『うん、フワフワしてつぶつぶが入ってておいしーよー』とモモちゃん。


 ドラゴンってパンも食べるんだな……。


 かなえは自分の食事を出して食べ始めると、興味深そうに見ているモモちゃん。

 かなえはバナナを出してモモちゃんにあげてみると、

『おいしー。あまーい』と、フルーツも食べられる様だ。

 これならアニマルドームのフルーツも色々食べてくれるかな。


『ぼく、ピーちゃんむかえに行くからねー』

 リトくんは窓の隙間から飛んで行く。

 

「モモちゃん、もうすぐ出かけるからちょっと待っててね」

 かなえは居間にもモモちゃん用の小さなクッションを置くと、モモちゃんに坐って待っていてもらう。


 パサパサッ、と音がしてリトくんがピーちゃんを連れて、窓から部屋の中に入って来る。

「ピーちゃん。おはよう。ピーちゃん、この子が昨日から家で暮らしているモモちゃんよ」

『ほんとだ。知らない子がいる』

 ピーちゃんはリトくんからモモちゃんの事を聞いて、来たようだ。


「そうよ。仲良くしてあげてね」

『うん、よろしくね』とピーちゃん。

『うん、よろしく……』とモモちゃんは、ぬいぐるみを抱きしめながら恥ずかしそうにしている。


「それじゃーそろそろ、出発しますよー」

 かなえは一斉にジャンプで牧場に移動する。


「ジジさんおはようございます」

『おお、今日は大勢だな。その子が昨日来た子か』

「そうです、ドラゴンのモモちゃんです。宜しくお願いします」

 かなえはジジさんにいつもの飴をあげる。

 モモちゃんは急に目の前に、大きな牛が現れて驚いたようだ。


「モモちゃん、牛のジジさんよ。優しいから大丈夫よ」

『そうだよー、ジジやさしいよー』と言いながらリトくんはジジさんの背中にとまる。

 まだモモちゃんはモジモジしているので、

「それじゃーアニマルドームへ出発しまーす」


 かなえは皆を引き連れて砂浜に移動する。


 砂浜に辿り着いたのに、皆移動せずにモモちゃんの様子を伺っている。

「みんな、もう好きな所へ行って来てください。そんなにジーっと見てたらモモちゃんも緊張するでしょ?


『おお、そうだな』と、ジジさんは歩いて橋を渡って行く。

『うん。わかった。ピーちゃんいこ―』と、リトくんはピーちゃんを連れて山の方角へ飛んで行く。


「シロン、他のみんなはどうしてる?」

「マリーは小屋で添い寝をしながら子猫達と寝ています。キングスは牧草地に居ますし、ルークスは小屋で寝ています」


 かなえはマリー達の小屋へモモちゃんと向かい、周辺を案内することにした。

「モモちゃん、ここは子猫と大型犬のマリーが住んでいるの。今は寝ているからまた後で紹介するね」


 すぐ隣の小屋は、さっき会った牛のジジさんの小屋で、普段は牧場に住んでいることも説明しておく。

 その隣のルークス達の小屋。かなえはモモちゃんと一緒に眠っているルークスの姿を覗く。


「そこに寝ているのが、昨日会ったユニコーンのルークスよ。起きたら一緒に遊べばいいわ」

 モモちゃんはルークスを思い出したようで、嬉しそうにしている。

 その隣の小屋へ移動すると、


「ここがモモちゃんの小屋よ。食事もお水も置いてあるでしょ。その他には木にフルーツや実が生っているから、モモちゃんが好きな実も見つかるかも」


「シロン、モモちゃん用のプロの実をこの小屋の周りに植えたいんだけど」

「はい、他の木と同じように、地図を出してフォルダから木を選び設置してください」

「あっ、そうね」

 

 かなえは言われた通りに、小屋の周りにモモちゃん用のプロの実を設置して行く。

 すると、小屋の周りに何本かプロの実の木が現れる。

 その様子を見ていたモモちゃんが『ギョッ』とした顔をしている。

「モモちゃん驚かしちゃったかな? この実はモモちゃんの為に植えてみたの。口に合うか食べてみてくれる?」

『うん』

 

 モモちゃんはプロの実に近づくと、手に届く下の方に生っている実をブチっと、力強くもぎ取って、口の中に入れる。

『あー、おいしー!』

 良かった。モモちゃんの口に合ったようね。

 この実はマリーが食べている実よりも大きくて色も濃い目だ。


「シロン、この実と、マリーの好きなプロの実とどう違うの?」

「はい、この実は見かけも少し違いますが、一番違うのは栄養です。マリーの実よりも3倍ほど栄養価が高いので、マリーには強すぎて口に合わないでしょう」


 モモちゃんは小さいのに凄い食欲で、大きな実を2つ平らげると眠そうにトロンとしている。

「モモちゃん、眠くなったら寝ていいのよ」

 かなえは10キロはありそうなモモちゃんを抱きかかえると小屋の中のクッションに寝かせる。


「おやすみー」

 今日はまだ二日目だし、少しづつ慣れて行けばいいね。モモちゃんは口の周りに食べたものが付いていたので、ウオッシュを掛けておく。 


 さぁー、次は牧場ね。かなえは牧場の牛舎にジャンプで移動して来る。

 まず最初にミルクタンクのある部屋を掃除しウオシュを掛けると、隣に移動して行く。最近餌の減りが少ないのは、牧草を沢山植えて、牛達が満足しているからかな。


 かなえは以前、食べ過ぎで具合が悪くなったグレーの牝牛の所へジャンプで移動する。

「こんにちは。牝牛さん。その後体の調子はどうかな?」


『あら、あなた。この前はありがとう。今は元気よ。食べ過ぎないように気を付けているから』

「そう良かった。最近、牛舎の餌の減り具合が遅くなったけど、どうしてだかわかる」

『うーん、たぶん、牧草が沢山生えているからじゃない。わざわざあそこまで行く必要もないし』

 やっぱりそうか。


「そう。わかった。ありがとう。他に何か困った事とか無い?」

『無いわねー。そうだ。またあのおいしい飴をちょうだい!』

「シロンお願い」

 かなえはポーチを開けると大きな黄色い飴が入っていて注意書きには「健康な牝牛用塩飴」と表示されている。

「はいどーぞ」

 かなえは牝牛の口に飴を入れてあげる。


『うわぁーおいしいわ! 塩味がたまらないわ』

 健康で何よりです。


 かなえは一通り牧場にもウオッシュをかけ、モモちゃんの小屋の前に戻って来る。

「あら、ルークス。起きたの?」

『うん、ボク起きるのまってるの』

 ルークスはモモちゃんの小屋に入り、うつ伏せになって、モモちゃんを見ている。

 そんな目の前で待っていなくても……。


「ルークス、モモちゃんが起きたら知らせてあげるから、先に行ってていいよ」

『ホント? 教えてくれる?』

「本当よ。後で一緒に遊んでね」

『うん、わかったー』


 ルークスは立ち上がると、軽快に走って行った。


 かなえはマリー達の様子を見に行く。

 子猫達は眠っている様だ。マリーも居ないから温泉に行っているか、食事をしに行ったかな。小屋に入ると、ウオッシュを掛け、離乳食とミルクを補充しておく。

 子猫達も少し大きくなって活動的になったので、丘を高くしたり、木を渡して登れるようにしておく。


 こんな感じね。

 

 次は、温泉ね。

 かなえは1合目の温泉にジャンプする。

 あら? 誰も居ないのね。ジジさんも自力で行ったのかな。

 かなえは温泉と休憩場所全体にウオッシュをかける。

 次は……3合目の温泉へ移動する。


「マリー、またトンネルシャワーなの?」

『だって―あの泡私にはやっぱり強すぎるわー。だからそこの白いお湯に浸かっては、このシャワーを浴びてるのよー』

「そうなんだ。じゃー次に造る時は泡の弱い温泉も造るね」

『ええ、そうしてちょーだい』


 かなえは3合目の温泉全体にもウオッシュを掛ける。

 奥の泡のお風呂には……キングスが気持ち良さそうに入っている。

「あら? ジジさんは居ないのね」

『ええ、さっき下の温泉に居たからこっちに向かっているんじゃない?』

 

「シロン、ジジさんはどこ?」

「今は2合目の広場にいます」

 そうか、それなら迎えに行こう。

 かなえはジャンプで移動して行く。


「ジジさん、大丈夫ですか? 上の温泉に一緒にジャンプします?」

『ああ、助かるよ。頼む』

 休憩していたジジさんを連れて3合目の温泉へ移動する。


 マリーがもうトンネルシャワーから出ていたので、ジジさんが入って行く。

『あー、気持ちがイイー』


 キングスもマリーも休憩場所に移動してウトウトしている。


『あの新しい子はどうしているんだね?』

 ジジさんにモモちゃんの事を聞かれたので、モモちゃんは初めの頃は緊張していたが、ルークスやリトくんが相手をしてくれて、体調も良くなったと話す。

『そうか、それは良かった』

 ジジさんも、モモちゃんを心配してくれているんだな。


 かなえは一通り掃除が終わると、砂浜に戻って来る。

 今のうちにランチにしよう。


 かなえは、太めのマカロニに野菜がたっぷり入ったパスタサラダと、ほうれん草のポタージュスープに、チョコブラウニーを取り出すと食べ始める。

 あーおいしー! やはりこの南国の雰囲気が漂う、砂浜でのランチはいいな。

 全て平らげると、砂浜に横になる。



 ちょっとだけ休もう……。


 かなえは目を瞑った。

 



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