051 女神様からの贈り物 2
「カナ、カナ、パンちょーだい、ごほうびパン」
……フフッ、ご褒美パンね。
「リトくん、おはよー」
リトくん、朝食だけ実家に食べに帰って来る感じかも……。
かなえはベットから起き上がると、居間に歩いて行く。
何だか、体がスッキリして軽いなー。昨夜のお風呂が良かったのかな?
かなえの後を飛んで来たリトくんに、ご褒美パンを出すと、
「リトくん、どのパンがいい? これ?」
かなえはピーちゃんが昨日選んだパンの隣を指さすと、
『うん、そのパンがイイ!』
リトくんは嬉しそうに飛び跳ねる。
かなえはパンの中心に近いところを丁寧に取ると、リトくんに渡す。
「はい、どーぞ」
リトくんは元気にパンを食べ始める。
『パンパンパン、ごほうびパン、木の実パン』
へー、それには木の実が入っていたんだ。
「リトくん、昨日食べたパンは何が入っていたの?」
『うーん、赤い実パン!』
そう、中身が違うから変化があっていいね。
かなえは朝食と朝の準備を済ますと、リリララ姉妹にランチを届けに行く。
「おはよー。はいどーぞ」
かなえはララちゃんに渡すと、部屋に戻って来る。
リトくんはピーちゃんの所ね。
「シロン、リトくんはまだピーちゃんのところかな?」
「はい、リアちゃんに何か食べさせてもらっています」
あーあ、リトくん食べ過ぎかも。
どうしよー。待ってると遅くなるなー。また後で様子を見に行けばいいかな。
かなえはジャンプでジジさんの居る牧場へ移動する。
「おはようございます。ジジさん」
『おお、今日は小鳥達は居ないんだな』
「そうです。まだピーちゃんのところに居るので、あとでまた連れて来るかもしれません」
かなえはジジさんに健康塩飴をあげると、一緒にアニマルドームの砂浜へジャンプして行く。
砂浜に着くと、丁度キングスが小屋の方から歩いてくる。
「キングスおはよー。ルークスは眠ったの?」
『ああ、ひと泳ぎしてミルクを飲んで、眠ったところだ』
ジジさんと、キングスは並んで橋を渡って行く。
「シロン、マリーと子猫達はどうしてる?」
「マリーは子猫達に添い寝をしながら眠っています」
この時間は子猫達もルークスも寝ている時が多いなー。
かなえはジャンプで牧場に移動する。
牛舎の外壁や屋根にウオッシュを掛け、内側からも、きれいにする。
今日は、外からもきれいにしたので、窓がピカピカに磨かれているのが分かる。ちょとガタガタしていた窓枠も、スムーズに動くようになった。
一通り掃除が終わり、牛達にも問題が無いようなので、アニマルドームに戻って来る。
まず、ルークスの小屋に移動して、きれいにする。
ルークスは居ないので何処かに出掛けたようだ。
ミルクの交換もしておく。
次は子猫達の小屋に移動すると、ルークスが一緒に遊んでいた。
ふーん、今日もルークスが面倒見ているんだ。
「おはようみんな! 元気そうね」
子猫達はルークスの後を追いかけパタパタと早歩きをしている。
こうやって毎日ルークスに相手をしてもらったら、子猫達も足腰が鍛えられるなー。
その内アニマルドーム中を走り回るようになるんだろうな。
「マリー、調子はどう?」
『昨日はここへ運んでくれてありがとー。起きたらもう薄暗くなっていて、この小屋の中で寝ていたんだもの』
「フフッ……みんな熟睡して起きる気配がなかったのよー」
『あの泡のお風呂は凄いわー、後で行くのが楽しみ!』
「マリー、明日は動物ギルドは休みだから、子猫達はここにいてもらうつもりだけど、私が面倒見ようか?」
『お温泉は子猫達が寝ている間に、行くから大丈夫よ』
「私も気を付けておくね。マリーが寝ちゃっても。またここへ移動してあげるから」
『……ありがとう』
『ぼくも、子ねことあそべるよー!』と、ルークス。
「そうね。ルークスが子猫達と仲良くしてくれて助かっているわ。ありがとう」
『うん、ぼくおにいちゃんだからねー』とルークスが声をあげる。
ルークスは子猫達がまとわりついても嫌な顔一つせず面倒見ている。運動神経が優れているからか、子猫達を踏んだりすることもない。
『ルー、ルーまって―』と、
子猫達がチョコチョコとルークスの後を追うのが可愛らしい。
かなえは子猫達の小屋に入ると、ウオッシュできれいにしていく。ミルクと離乳食を準備して、トイレもウオッシュできれいにする。
庭と動物達にもウオッシュを掛けて砂浜に戻って来る。
今日も平和だなー。子猫達はすくすく育っているし、ルークスもいい子だ。他の大人達も健康だし、このアニマルドームを楽しんでくれている様だ。リトくん達も……今は居ないけど。
「シロン、リトくん達はどうしてる?」
「リアちゃんと家の前の公園に居ます」
「今日もリアちゃんと一緒なんだ。ピーちゃん嬉しいだろうな」
そのままで大丈夫だろう。
今日はお休みだし、のんびり過ごせそうだなーと思っていると……、
「かなえ、上から何か近づいてきます!」
「は? 何が?」
かなえは上を見上げるが何も見えない。
「あと5分ほどで目視できるでしょう」
かなえは暫らく空を見上げていると、丸くて白い物が見えて来た。
「あっ、見えた!」
ゆっくり降りて来るのは見覚えがある、卵を平たくしたような形の……、
「ルークスが入っていたのと同じだー!」
だんだん近づいて来てハッキリして来る。
『あれ、なーに?』
白い物体が見えたのかルークスと、その後ろからマリーも砂浜へやって来る。
『あれって、ルークスが入っていたのと同じじゃない?』
マリーもルークスの時を思い出したようだ。
『ぼく、と同じ?』
ルークスは何の事だかわからないようだ。
キングスとジジさんも白い物体を見上げながら橋を渡って来る。
女神様、また何か送って来たのね。やっと最近落ち着いて来たと思ったら……。
のんびり出来そうにないのね。
『今度は何だね?』と、砂浜へ辿り着いたジジさん。
キングスも白い物体を興味深そうに眺めている。
ゆっくり降りて来た白い物体は、静かに地面に着地した。
大きさは2メートル位の卵を潰した様な楕円形で、ルークスの入っていたのと瓜二つだ。
皆で周りを囲んで凝視するが何も反応もない。かなえは皆を少し下がらせて、その物体に触れると、前と同じように横に亀裂がサーっと入った。
かなえは上の部分を静かに持ち上げると、蓋が開いて……中に白い動物が丸くなって眠っている。
大きさは、マリー位かな。ワニかトカゲかな? 白いワニって珍しいかも。
「かなえ、これはドラゴンの子供です。まだ生まれて2週間前後です。大分弱っていますね」
「えー!? 今度はドラゴンって女神様、何考えているのよー!」
『なに? ドラゴン?』
興味深そうにドラゴンを見ているルークス。
『ドラゴン? そんな生き物は知らないな』と、キングス。
『ああ、わしもこんな姿は、見たことが無い』とジジさん。
『色はルークスみたいに白いけど、形は全然違うわね』とマリー。
どうしよー。ルークスは馬みたいだしなんとなくわかったけど、ドラゴンの子の育て方なんて想像も付かないよ……ミルクは飲まないよね?
「かなえ、蓋の裏側に紙が付いています」
「え? あっ!」
こもは、ルークスの時と同じだわ……。
かなえは身体を伸ばして、張り付いている紙をはがすと、
「この子、体が白いから仲間から追い出されたの。可愛がってあげてね。メグより」
はっ? メグ? もー、ユニコーンの次はドラゴンって……。
でも目の前の弱っている生き物を放ってはおけないわね。
仲間から追い出されるってどんなに辛かっただろう……。
「シロン、ドラゴンの子の育て方を教えて」
「はい、弱っていますので、寝床にヒーターを敷いて温めてください。餌は用意できますし、プロの実の栄養が強化された木を植えれば問題ありません」
弱っているし、キングスもマリーも既に子育てしているから、この子の世話は私がやるべきね……。
「わかったわ」
まずは、この子の小屋を造ろう。
「みんな! この子は弱っててまだ起きないから、もう少し元気になったら声をかけてあげてね」
『ああ、そうだな』
『ええ、分かったわ」
『もちろんだ』
『うん、ボク、仲良くできるよ』と、様子を伺っていた動物達も戻って行く。
かなえはドラゴンの入っている入れ物をもう一度閉めると、ジャンプして、ルークス達の小屋の隣に移動する。
小屋の大きさはとりあえず、ルークス達と同じ馬2頭分の大きさにする。
クッションはマリー達と同じぐらいの大きさにして、下にヒーター機能のあるマットを敷き、その上に薄いマットをかぶせておく。
眠っているドラゴンをジャンプでクッションに寝かす。
背中に小さな羽が生えていて可愛らしい。足が大きいなー。
ライオンや、トラの子供のように体に対しての足の大きさが随分と大きい。
大きくなるんだろうな。
「シロン、この子はどれぐらいまで大きくなるの?」
「おそらく40メートルから50メートルの間でしょう」
「えー! そんなに大きくなるの?」
今はマリーやルークスと同じくらいなのに……。
そんなに大きくなったらどこで暮らせばいいのかな。
今は心配しても仕方が無いか。
かなえはお水とエサ入れを設置する。餌は縦型で下に置いた容器が空になると、センサーでソフトクリームのようにニューっと出て来るようだ。
ドラゴンの子の入っていた入れ物をポーチの中にしまっておく
「シロン、この子に何かあげられる薬はあるの?」
「ドラゴンはとても生命力が強い生き物です。このまま眠っていれば回復するでしょう」
そうなんだ。やっぱり普通の動物とは違うんだな。
こんなに可愛いのに、体の色が違うぐらいで追い出すなんて……。どんなに辛かったんだろう。
「かなえ、そろそろお昼の時間です」
「あっ、そうね。わかった」
先に他の用事を済ませて来よう。
「シロン、この子が起きたら知らせてくれる?」
「はい、分かりました」
かなえは砂浜に移動してランチを早めに済ませ、子猫達の所へ移動する。
「子猫達、元気ねー」と子猫達を見守って居るマリーに話しかける。
『そうね、元気に育っているわ。ところであの白い子の様子はどう?』
「まだ、目が覚めないの。でも眠っていれば自然と回復するみたい」
子猫達はもう簡単に丘をよじ登っている。
暫らく遊んでいたが、子猫達は眠くなってきたのかマリーの所へ近寄って来る。
みんな、マリーの事は『マー、マー』と呼んでいる。ママのマなのか、マリーのマなのかわからないけど、どっちでもいいな。
タイガはマリーのうつ伏せの背中へ登ると、こてっと眠ってしまう。マーブルもその後を追って来て、上に登れないままマリーのお腹の前で眠り始める。レオンはマリーの前足を枕にして眠った。
「マリー、何か大変なことは無い?」
マリーは子猫達を愛おしそうに眺めながら、
『いいえ。あたしはこの子達の世話が出来て嬉しいわ。今では本当に自分の子の様な気がしているの』
「そう、良かった」
マリーは本当に嬉しそうだ。
かなえは子猫達をケージに入れるとジャンプで自分の部屋へ移動する。




