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アニマルレスキュー  作者: コトリコトリ
49/229

049 ピーちゃんとリアちゃん


『カナ、カナ、ごほうびだよー。パンだよー』

「……ご褒美? はっ? あーご褒美のパンね」

 

『カナ、カナ、大きいパンだよー』

「わかった。リトくんおはよー。大きいパンあげるよ」


 かなえはベットから起き上がり、居間へ向かう。

 今か今かと待ち受けているリトくん。


 昨日テラスカフェで購入した大きなパンを取り出すと、テーブルの上におく。

「はい、リトくんこれがご褒美のパンよ」

『ワーッ、大きいパン!』

 リトくんは自分の体の10倍以上あるパンが出て来て驚いている。


 このパンはちぎりパンで、それぞれ中に入っている物が違う様だ。

「リトくん、このまま食べても食べきれないから、どこがいいか言ったらちぎってあげるよ。どれがいい?」


『えーと……ぼくまんなかがイイ!』

 えー真ん中!? 普通は端から食べて行くのに……ご褒美だからいいか。


 かなえはちぎりパンの真ん中を周りを傷つけないようにくり抜いて行く。取れたのはピンポン玉ぐらいの大きさで丁度いいだろう。


「はいどーぞ」

 かなえはくり抜いたパンをリトくんに渡すと、上手に足と口ばしを使って食べ始める。


『おいしーな! ごほうびパン!』

 普通のパンのはずだが、嬉しそうに羽をフルフルと震わせている。


「リトくん、残りのパンは悪くなるから私がしまっておくね。食べたい時はいつでも出してあげるから。いい?」

『うん、ぼくピーちゃんにもあげるのー』

「そうね、あとでね」


 かなえは朝食を食べ、ランチセットを持って、地下に降りて行く。

「おはよー。はい、ランチよ」

 出て来たララちゃんに、ランチを渡すと、部屋に戻って来る。


 椅子の背もたれにもう、ピーちゃんが来ていた。

「ピーちゃん、おはよう。今日はお昼にリアちゃんと公園で遊ぼうね。まだ早いから、アニマルドームに行く?」

『うん、やまに行きたい』とピーちゃん。

『うん、やまいこー!』とリトくん。


 かなえは支度を終えると、リトくんとピーちゃんを連れて、牧場へ移動する。

「ジジさん、おはようございます」

『おはよう。今日もみんな揃っているな』

 かなえはジジさに塩飴をあげると、皆でアニマルドームの砂浜へジャンプする。


 リトくんとピーちゃんは、勢いよく山の方角へ飛んで行く。

『さて、今日も温泉へ向かうとするか』とジジさん。

 ここからゆっくり温泉まで行くのは、いい運動になるし、汗を流すのに丁度いいだろう。ジジさんが温泉を楽しみにしてくれているようでかなえは嬉しくなった。


「シロン、他のみんなはどうしてる?」

「キングスは、牧草地にいて、ルークスは小屋で寝ています。マリーは眠っている子猫に添い寝をしているようです」


 そう、それなら先に牧場へ行こう。

 かなえは牧場の牛舎にジャンプする。


 中に入って行くと、ミルクタンクがほとんど空になっている、カイが来てミルクを運んで行ったようだ。かなえはミルクタンクとその周辺を念入りにウオッシュしておく。


 そのまま、牛舎の奥までウオッシュを掛けて行く。

 かなえが壁に設置した大きな鏡は、初めの頃よりも汚れていない。もう顔をくっつけたり、舐めたりする牛は減ったのだろう。


 牛達の健康をチェックして、池や川にもウオッシュし終わると、アニマルドームの砂浜へ戻って来る。


 かなえはルークスの小屋へジャンプして、ウオッシュをかけミルクを交換しておく。

「シロン、ルークスはどうしてる?」

「今、山の中を上へ登っています」

 ルークス、朝から元気だなー。


 次はすぐ並びの子猫とマリーの小屋へ行く。

 子猫達は丁度起きて庭で歩くというより、早歩きぐらいの速度になっている。

 側で子猫達を見守っているマリーに、


「おはよう。マリー。子猫達随分早く歩けるようになったのね」

『ええ、そうでしょ。ついこの間までは、ヨチヨチ歩いてたのにね』

 マリーは愛おしそうに子猫達を見ている。


 かなえを見つけたタイガが近寄って来て、かなえの足をよじ登ろうとする。かなえはタイガを抱き上げると、

「おはよう。タイガ。今日も元気ね」と話しかける。

 抱っこされるのが嫌のなのか、

『カナ、カナ、だっこ―やー』と、体をねじって、下に降りてしまう。マーブルと、レオンはボール遊びに夢中だ。


 かなえは小屋の中へ入って行き、ウオッシュをかけ。ミルクや離乳食を入れ替えておく。庭と子猫達にもウオッシュを掛けると、ジャンプで山の頂上へ移動する。


「シロン、今何時?」

「もうすぐ10時になります」

 待ち合わせまであと1時間か……。


「シロン、ピーちゃんとリアちゃんが一緒に遊べるものは何かある?」

「幾つかありますが、大切なのはピーちゃんが公園で自由に飛び回る姿をリアちゃんに見せる事だと思います」

 そうね。あまりいろいろ計画しないで、成り行きに任せよう。


 かなえは温泉の様子を見にジャンプで移動すると、

 キングスがトンネルシャワーに入り、『ウォ―、ヒー、オー』と声をあげて楽しんでいる。奥の方には、一通り楽しんだのかうつ伏せになり眠っているジジさん。


「キングス、おはよう。昨日あれだけトンネルシャワーを浴びたのに、今日も浴びているの?」


『ああ、これはクセになる。体の中まで掃除しているような気分だな』

「楽しんでくれているのは嬉しいけど、あまり長時間はダメよ」

『ああ、分かったよ』 


 そろそろ待ち合わせの時間なので、リトくんと、ピーちゃんを迎えに行く。

 2羽は山の8合目の広場で、木の実を食べていた。 

「リトくん、ピーちゃん、そろそろリアちゃんの家へ行くよー」

『いいよー』とリトくん。

『うん、行くよー』とピーちゃん。

 かなえは公園で必要な物を取り出せるように、カバンを膨らませて出しておく。


 ジャンプで移動すると扉を鳴らす。

「カンカン」

「ハーイ」

 軽い足音がして来て開けてくれたのはリアちゃん。嬉しそうに、かなえの肩にとまっているピーちゃんを見つめる。

 するとパーッとピーちゃんはリアちゃんの肩へ移動する。


「リアちゃん、お待たせ。お出掛けする準備はできたかな?」

「いいよー。」

 リアちゃんは、白い大きな襟にピンクのリボンの付いた、紺色ワンピースで可愛らしい。


 お婆さんがゆっくり歩いて来て、

「かなえさん、私、朝からちょっと腰が痛いのよ。だからリアだけ連れて行ってくれる?」

「はい、良いですけど。大丈夫ですか?」

 お婆さんは、

「ええ、暫らく横になれば良くなると思うの」

 と、腰を手で押さえながら痛そうにしている。


「シロン、お願い」

 ポーチから出て来たのは袋に沢山入った、小さな黄色い飴。注意書きには「神経痛、腰の痛みを和らげる飴、1日3回」と、表示されている。

 かなえはおばあさんに説明して、一つ舐めてもらう。


「あら、おいしいわ。パイナップルの味ね……変ね、腰の痛みが無くなって来たわ」

 お婆さんは腰を、曲げたり伸ばしたりするがもう痛まないようだ。

「凄いわ! 腰の痛みだけじゃなく、長いこと違和感があった背中もなんともないわ!」


 でも急に動くのは良くないので、やはり出掛けるのは止めて家でゆっくりしてもらう事になった。


「行って来まーす」

 リアちゃんは肩にピーちゃんを、かなえはリトくんを乗せて、向かいの公園へ出掛けて行く。



 かなえはリアちゃんと手を繋ぎ、公園へ入って行くと、

「リアちゃん、ここに坐ろうか」

 かなえは木の横にあるベンチにリアちゃんと一緒に坐る。


 ピーちゃんとリトくんはすぐ側の木の枝に移動する。

「リアちゃん、ピーちゃんと何かしたい事はあるの?」

「うん、リア、ピーちゃんが飛んでいる所が見たいな」


「そう、リアちゃんはピーちゃんの飛んでいる所が見たいんだー」と、かなえはピーちゃんの方へ話しかけるように言うと、


 サーっと、飛び立ったピーちゃんは空を気持ちよさそうに飛び始めた。

「あー、ピーちゃん凄ーい!」

 リアちゃんはピーちゃんが空を飛んでいるのを初めて見たようだ。


「ピーちゃーん!」

 リアちゃんは飛んでいるピーちゃんに向かって、名前を呼ぶと、ピーちゃんは急降下して来て、リアちゃんの少し手前で速度を落とし、肩にとまった。


「リアちゃん、あんなに上手に飛べるんだー!」

 リアちゃんはピーちゃんを指に乗せると、一生懸命話しかける。

 でもピーちゃんはリアちゃんが何を言っているかわからない。


 なのでかなえがリアちゃんの言葉を復唱する。すると、リアちゃんが飛んでいるのを見て、喜んでいるのが分かったようで、

『あたしも、リアと公園に来れてうれしい!』と、羽をパタパタさせる。


 かなえはピーちゃんの言葉も、

「ピーちゃん、リアちゃんと公園に来れて喜んでいるみたいね」と伝える。


 すると、側で見ていたリトくんが、

『カナ、カナ、ぼくのごほうびパン、ピーちゃんにあげて』と言い出す。

 えーっ、このタイミングで!?


 ピーちゃんも興味がありそうなので、かなえはリトくんのパンを、ポーチからかばんに移動させて、取り出す。


『これー、ぼくのパンだよー』

かなえは、大きな真ん中だけ穴が開いているパンを取り出すと、ピーちゃんに見せる。


『わー、大きいパン』ピーちゃんも驚いたようで、羽をパタパタしている。

『ピーちゃんどれがいい? えらんでいいよー』

「ぴーちゃん、このパン小さくちぎれるから、食べたいところを教えて。これかな?」

 かなえは真ん中の穴が開いている所の隣を指さすと、ピーちゃんは、

『うん、それちょーだい』と言う。


 かなえはパンをちぎって、ベンチの空いている所に置く。

 パンを食べ始めたピーちゃんに、リトくんは、

『ぼくのごほうびぱん、おいしいよー』と話しかける。


 そんな様子を不思議そうに見ているリアちゃん。

「かなえさん、小鳥とおはなしできるの?」と聞かれる。


 しまった! リアちゃんがいるのに、いつもの調子で話してたよ。

「お話は出来ないけど、なんとなくわかるような気がするの」

 かなえはごまかしておく。


 そんな感じで、特に何をするわけでもなく、ピーちゃん達が飛んでいるのを眺めていると、12時の鐘の音が聞こえて来る。


「リアちゃん、私はそろそろお仕事に行くから、リアちゃんを送るね」

 リアちゃん、まだピーちゃん達と一緒に居たそうだけど。

「また一緒にお出掛けしようね」

「うん」

 よかった、リアちゃん納得してくれたみたい。


「ピーちゃん、リトくん、また飛んでいる所見せてね」とリアちゃんが最後に言い、かなえはピーちゃんをお家まで送って行く。


 小鳥達は、リアちゃんが帰るのをわかったようで、

『またねー。リアちゃん』

『また一緒にあそぼ―ねー』と話しかける。


 かなえはリアちゃんを送って扉を鳴らす。

「あら、お帰りなさい、ピーちゃんどうだった?」

 お婆さんは、飴を舐めてから腰の調子が良いようで、表情が明るい。

「ピーちゃん、凄かったよー。空を飛んでたんだよー」とリアちゃんはお婆さんに話す。


 お昼に誘われたが、仕事があるのでとお断りし、アニマルドームで収穫したミックスフルーツを渡してお暇する。


 これでいいわね。

 まだリトくん達は公園に居るようなのでかなえはジャンプで移動する。


「リトくん、ピーちゃん」

 かなえは木の下から声を掛けると、2羽とも降りて来てかなえの肩にとまる。


「ピーちゃん、リアちゃん、ピーちゃんが飛んでいるのが見れて、喜んでいたよ」

『うん、あたしも嬉しーよー』と、ピーちゃん。

「そう、良かったね。これからどうする? アニマルドームに行く? それともここに居る?」

『あたし、まだここにいたい』

 そうか、ピーちゃんまだここから離れたくないのね。


「そう、分かった。リトくんはどうする?」

『ぼく、ピーちゃんといっしょがいいー』

 リトくんもここに居るようだ。


「わかった、それじゃーまたね」

 かなえはアニマルドームの砂浜へジャンプして行く。





 

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