048 温泉のシャワー
かなえは自分の部屋に着くと、ケージを出して動物ギルドへ運んで行く。部屋の隅の子猫のクッションの所まで行き、柵を広げトイレを移動し、お水をセットする。
ケージから子猫達を出して、静かにクッションに寝かせて行くと、リリララ姉妹が下から上がって来る。かなえは収穫したばかりのフルーツを、一袋取り出しておく。
「それじゃー今日も宜しくね。これ、おやつにでも食べて」
フルーツのいっぱい入った袋を二人に渡すと、
「わー、ありがとうございます」とリリちゃんが、
「ヤッター! フルーツだー」とララちゃんが嬉しそうにしている。
かなえは子猫達の世話を二人に任せて、2階に上がって来る。
まず、リトくんのご褒美のパンを買いに行こう。
久しぶりに、向かいのテラスカフェの一階に行ってみる。
今日も繁盛しているなー。
お店の前まで来ると外のテラス席と、2階のバルコニーもお客さんでいっぱいだ。
かなえはお店の中に入って行き、1階のテイクアウトのカウンターに並ぶ。
どれがいいかなー。大きいパンか。あれ? あのパンは中に何か入っているのかな? かなえの両手を広げたよりも大きな丸いパンで、小さなパンをくっつけたような形が目を引いた。
かなえの番が来たので店員さんに聞いてみる。
「あの上の棚の右側にある大きなパンは、中に何か入っているんですか?」
「あー、あのパンは子供のパーティー用に注文を受けて作っているんです。ちぎりパンにしてあり、中はいろいろ違ったものが入っているので評判なんですよ」
へー、あれならリトくん喜んでくれるかな……。
かなえはその大きなパンと、自分とリリララ姉妹用に、プロの実とアボカドハンバーガーセットを6個、それにピザブレッドセットを6個とチョコブラウニーを6個注文する。
大きなバックにテイクアウトしたものを詰めて、フォルダーに移動させておく。
かなえは買い物を終えたので、アニマルドームの砂浜へジャンプで移動する。
次は―、ジジさんに言われた温度の違う温泉を造りに行きますか……。
1合目の温泉へジャンプで移動する。
「あら、マリーここにいたのね」
マリーが温泉にゆっくり浸かっていた。
『ええ、ここは良いわねー。疲れが取れて行くわ』
「良かったね……マリーは何か他に希望は無い? ジジさんにはお湯の温度の違う温泉も造って欲しいって言われたけど』
『そうね、あたしはあの、打たせ湯が気に入ったから、お湯に入らないで、打たせ湯だけがあったら、嬉しいわ』
なるほど……それなら滝を何ヶ所か設置すればいいかな。
「わかったわ。マリー、考えてみるね」
かなえはまず、山の地図の立体を表示させ、内側をクリックすると、今ある温泉の隣、2合目へ登って行く道沿いに、温泉を設置する。休憩場も造り1番目の温泉の休憩場から繋げて、出入りがしやすいようにしておく。
同じようにその先にも、3番目の温泉も造り、それぞれに打たせ湯、水飲み場も設置しておく。
そして2番目の温泉に熱めのお湯、3番目には水にして注いでいく。
汚れたまま入らないように、入口にトンネルを造り、通ると全方向からお湯が噴き出し、体を洗える場所も設置した。
「マリー出来たから、試してみてくれる?」
マリーは隣に次々と出来て行く温泉を見ながら驚いたようだ。
『ちょっと、かなえ! いきなりまた何かやり始めて、驚かせないで!』
「ごめんなさい。マリーの好きそうな物を造ったから試してみてくれない?」
かなえは入口に造った、シャワーのトンネルを指して言うと、
『もー、しょうがないわね』
と言いながら、マリーは尻尾を振りながら嬉しそうに近づいて行く。
「マリー、そのトンネルはお湯が上下左右から出て来て体を洗えるのよ。後で感想を教えてね」
マリーが恐る恐る、トンネルに入って行くと……、
「ジャー、シュワ―、ザー」と、あらゆる方角からお湯が飛び出して、マリーの体にぶつかって行く。
『キャー、アー、いたいけど……、気持ちいいー!』
フフッ、マリー気に入ってくれたみたい。
「マリー! お湯の温度と強さはそのままで大丈夫?」
『アー! いいわー! このままがイイ!』
マリーはそれから15分くらいシャワーに入り続けている。
「マリー、初めてなんだしそろそろ休憩したほうがいいんじゃない?」
『ええー。もう少ししたら出るわ!』
このトンネルシャワーは急にかなえが閃いて作った物で、本当は2番目と3番目の温泉を試して欲しいんだけど……。
他の皆も呼んで来ればいいか。
「マリー、私は皆を連れて来るね。そろそろ出た方が良いよ」
『……わかってる』
かなえはまず牧草地にいるジジさんの所へジャンプする。
「ジジさん、温度の違う温泉が出来ましたから試してもらえませんか?」
『おお? もう出来たのか。よし、見に行くぞ』
ジジさんと一緒にキングスの居る小屋に移動する。ルークスは今眠ったようだ。
「キングス、また温度の違う温泉を造ったから、試して感想を聞かせて欲しいの」
『そうか、いいぞ。わしもこれから温泉に行こうと思っていたんだ』
かなえは1合目の温泉の入口に、ジジさんとキングスを連れてジャンプして行く。
えー! マリーまだシャワーを浴びてたの!
「マリー、却って体調を崩すわよ!」
『……ハーイ』
マリーがヨロヨロとトンネルを出た後、かなえはジジさんとキングスにトンネルシャワーの説明をする。
『じゃーわしから入るぞ』
ジジさんがトンネルの中へ入って行くと、
「ジャー、ザーッ」と勢いよくお湯が、ジジさんの体に打ち付ける。
『ウォー、こりゃースゴイ! ウーン。全身に打たせ湯をされている様だぞ』
隣で興味深くジジさんの様子を見ているキングス。
ジジさんも気に入ったようで,出て来る気配が無い。
『おい、そろそろわしにも変わってくれ』
しびれを切らしたキングスがジジさんに催促する。
『……ウーン、分かった』
残念そうにトンネルから出て来るジジさん。
すると嬉しそうにトンネルの中へ入って行くキングス。
お湯がキングスを打ち付ける。
『何だこれは! オーッ、体中にお湯が飛び込んでくるぞ!』
キングスにも大分刺激があったようだ。
かなえもこんな全方向からのシャワーは浴びたことが無い。
ジジさんは暫らくキングスの様子を見ていたが、温泉に入ることにしたようだ。
「ジジさん、2番目の温泉が熱いお湯、その奥はお水です。試して見て下さいね」
ジジさんはシャワーの刺激が強かったのゆっくりと2番目の温泉に向かっていく。
「キングス、そろそろ出て温泉も試してみて」
『おおー、そうだな……』
キングスもまだトンネルシャワーから出たくないようだ。
マリーは……長時間のシャワーで消耗したのか休憩場で眠っている。
やっと出ることにしたのかキングスがシャワーから出て来たのでお湯の説明をする。
『そうか、わしも熱いお湯に挑戦するぞ』
キングスはジジさんの居る2番目の湯へ向かう。
かなえは熱いお湯に入っているジジさんに話しかける。
「ジジさん、お湯の温度は熱すぎませんか?」
『ああ、熱いが、我慢できぬほどではない』
「無理しないで出て来てくださいね。休憩したり隣の水風呂も試して下さいね」
『おお、そうだな』
ジジさんはゆっくりと上がると隣の水の方へ向かっていく。
キングスも熱いお湯に入って行く。
『おお、これは熱いな。ウーン』
それでも少しづつ進んで行き、背中が隠れるまで奥へ行くと止まる。
「キングスも熱かったら隣に水風呂があるからね」
『おお、わかった』
キングスはじっとお湯の中で動かない。
かなえはジジさんの様子を見に行く。
水風呂の中へ足を入れるがなかなか、先に進めないジジさん。
「ジジさん、冷た過ぎたら無理して入らないで休憩して下さいね」
『ああ、そうだな。やけに水が冷たく感じる……』
「熱いお湯で温まったから普通の水がいつもより冷たく感じるんですよ」
ジジさんは足まで水に浸かって、休憩場まで移動する。
『今日は、無理じゃったが、明日また来てみるよ』と、ジジさん。
もう眠いのかうつ伏せになると、ウトウトし始める。
かなえはキングスの様子を見に行く。
するともう限界が来たのか、お湯から上がって来る。
『もう無理だ―! 熱すぎる!』
そんな、我慢してまで入っていなくていいのに……。
キングスは、素早く隣の水風呂に入って行く。体が水の冷たさを感じる前に深くまで入って行ったので、少し経ってから、
『冷たーい! 何だこの水の冷たさは?』と、驚いて水風呂からか駆け出て来る。
「キングス、体が熱くなってる時に水に入ったから、凄く冷たく感じるけど、水は普通の温度なのよ」
『えー。そうかい。物凄く冷たく感じたが……』
「キングス、いきなりいろいろ試して疲れたでしょ? 他のみんなみたいに少し休んだら?」
『ああ、そうだな。何だか眠くなってきた……』
キングスも休憩場でうつ伏せになって眠り始めた。
「シロン、ルークスはどうしてる?」
「そろそろ起き出しそうです」
かなえはジャンプしてルークスの小屋へ向かう。
小屋に入るとルークスはかなえの気配に気付いたのか、目を開ける。
「ルークス、おはよー。おでこはもう痛くない?」
『うん、おでこいたくないよ』
「そう良かった」
『パパは?』
「キングスは温泉で寝てるから、そっとしておいてあげてね」
「ルークス、温泉に新しいものが増えたけどルークスに注意してもらいたいものがあるの」
かなえは新しく出来た、シャワーのトンネルには入らない事、熱い温泉も止めて、水風呂は入っていい事。打たせ湯もやらないようにと、話しておく。
『うんわかった、トンネル入らない、熱いお湯もはいらない。お湯をおでこにぶつけるのもだめでしょ?』
「そうよ! ルークスよくわかったね」
かなえは。よしよしと、ルークスの頭を撫でてあげる。
褒められたのが嬉しいのか、
『ぼく、およいでくる!』と、ルークスは元気よく小屋を出て行った。
「シロン、今何時?」
「もうすぐ16時になります」
そうか、もう時間ね。かなえはジャンプで砂浜へ移動すると、リトくんとピーちゃんが待ちかねたように、近くの木の枝から飛んで来てかなえの肩にとまる。
ジジさんはまだ寝ているだろうから先に行こう。
かなえはジャンプでリアちゃんの家の前に移動する。
「ピーちゃん、リアちゃんにピーちゃんと一緒に公園で遊んでくれるか聞いてみるね」
そして、扉を「カンカン」と鳴らすと、
「ハーイ」とお婆さんの声がして扉が開く。
「あら、かなえさんどうぞ入ってください。ピーちゃん、リトくんお帰り」
フフッ、リトくんにもお帰りって言ってる……。
居間に案内されるとソファーに座り、ピーちゃんとリアちゃんに公園で遊んでもらうのはどうでしょうと、あくまでもかなえの意見として聞いてみる。
「えっ? そんな事が出来るかしら? でも楽しそうね」とお婆さん。リアちゃんは、
「ピーちゃんと一緒にお外で遊びたい」と嬉しそうに言う。
ピーちゃんもリアちゃんの様子で遊びたがっているのをわかったのか、嬉しそうにしている。
お婆さんの許可も下りたので、明日の11時にリアちゃんの家に迎えに行く事にした。センターパークの広い公園は少し離れているので、また次回という事になった。
かごの上にとまって、どうなったか知りたそうにしているピーちゃんとリトくんに、
「明日のお昼前からリアちゃんと公園で遊ぼうね」と伝えると。嬉しいのか、ピーちゃんはリアちゃんの肩まで飛んで行き、足踏みし始める。
遅くなるのでかなえは家を出ると、ジャンプして家に戻り食事を持って動物ギルドに移動する。
「遅くなってごめんね」
かなえは今日の夜と、明日の朝の食事をリリララ姉妹に渡すと、子猫達をケージに入れて2階に戻ってくる。
そしてアニマルドームの子猫達の小屋にジャンプする。
あら? マリーが居ないけど、まだ寝てるのかな。子猫達の子育てで、夜も何度も起きてるから寝不足だろうな。
かなえは小屋にウオッシュをかけ、ミルクと離乳食を補充して、子猫達をベットに寝かせる。
「シロン、皆の様子をおしえて?」
「はい、マリーは今起きて、こちらに向かっています。ジジとキングスはまだ眠っていますし、ルークスは川を泳いでいます」
「ジジさんはどうしようかな……」
暫らくするとマリーがやって来る。
『ごめんなさい、あたし長いこと寝て居たみたい』
「いいよ、マリー。寝不足だったんでしょ? それにあんなにトンネルシャワー浴びてたら疲れるよ」
『そうね。あのシャワー凄いわ! クセになりそう』
マリーは相当気に入ったのね……。
「マリー、じゃー私はジジさんを迎えに行くね」
かなえはジャンプで温泉に移動する。
ジジさんもキングスも大きないびきを掻いて眠っている。
しょうがない。このまま移動させよう。
かなえはまず眠っているジジさんを牧場の丘に移動させ、戻って来るとキングスを小屋に移動させる。
もういいかな……。
「あ! シロン、ルークスはどうしてる?」
「もうすぐ砂浜に泳いで辿り着きます」
ルークス、あれからずっと泳いでいたのね。かなえはルークスの小屋に行くと、すぐにビショビショに濡れたルークスが帰って来る。かなえはウオッシュを掛けルークスの体を乾かす。
「ルークスお帰り、ミルクを飲んでゆっくり休んでね。キングスはまだ寝てるから起こさないであげて」
『うん、ぼくお腹ペコペコ』
ルークスはミルクをゴクゴクと飲み始めた。
ルークスが眠るのを見届けると、ジャンプで家に戻って来る。
はー終わったー。
夕食を済ませ、ゆっくり湯船に浸かり、寝る支度してベットに入る。
今日も色々な事があったなー。
明日も何か起こるだろう。
おやすみなさい。
かなえはゆっくりと目を閉じた。
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<かなえのIDカード>
変更のあった場合表示
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ポイント
プラス 1000 ジジの健康塩飴
2万 温泉の設置2か所
1000 ルークス痛み止めスプレー
マイナス 16600 テラスカフェ、ハンバーガーセット6個、ピザブレッドセットを6個、チョコブラウニー6個、リトくん用大きいパン1個
残り 204万7100
パワー 498
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パーティーの準備 合計 24万
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立て替え 8万(地下の家具、リリララ姉妹を雇えばギルド科からの補助金で賄われるので保留)




