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アニマルレスキュー  作者: コトリコトリ
46/229

046 山の中の温泉 (後) 

 かなえは部屋へ戻って来ると、ケージを出して動物ギルドへ移動する。

 眠っている子猫達を、そっとクッションの上に移動させる。

 熟睡しているようで、全く目を覚まさない。

 暫らく子猫達を観察していると、リリララ姉妹が地下からドタドタと駆け上がって来る。


「二人ともそんなに、急がなくても大丈夫よ」

「すみません! 外に行ってたら遅くなって……」とリリちゃん。

 ララちゃんも苦しそうに息をしている。


「そう、どこか面白いところはあった?」

「はい! センターパークのベルハウスへ行ってベルの鳴る所を見て来ました」

「そうなんだ。良かったね」

 

 リリララ姉妹は救済ドームからやって来てすぐここで働き始めたし、子猫の世話で観光する時間も無かったからな……。これからは出掛ける時間も見つけられるだろう。

 かなえは子猫達をお願いすると部屋に戻り、アニマルドームの砂浜へ戻って来る。


 


 さてと、皆を集めて温泉を見てもらおう!

「シロン、ジジさんとマリーは何処?」

「マリーは穴掘り場の近くでプロの実を食べていますし、ジジは橋を渡ってすぐの牧草地で草を食んでいます」


「キングス達は?」

「キングスもジジがいる側で牧草を食んでいます。ルークスは貯水池で泳いでいます」

 ルークスは泳ぐの好きだなー。

 とりあえず大人達に見せればいいかな。


 かなえはマリーの所ヘ行き、温泉の事を話すと、

『へー、動物用のお風呂? かなえが家でいつも入っているみたいな物かしら?』

「もっと広くて楽しいよ。マリー見に来て!」

『いいわよ。連れてって』


 次にジジさんと、キングスの居る牧草地にマリーと移動する。


「キングスとジジさん! これから見せたいものがあります。一緒に来てもらえませんか? 気持ちがいいですよ」

『なんだね? いいよ、見せてくれ』とキングス。

『そうか、もう何かできたんだ。わしにも見せてくれ』と、ジジさんも興味深々だ。


 かなえは皆を連れてジャンプで山の外側の1合目の広場に移動する。

 するともう山の中から「ザーッ」と、水の音がして湯気が出ている。


『おーっ何だ?』

『なにかしら?』

『煙が出ているな』と、皆何か異変を感じ取ったようだ。


「はい、お待たせしました! 今日出来たばかりの温泉です。ゆっくり温まってください」

 かなえが先頭になり皆を誘導する。

「ここからお湯の中へ入れますよ。お湯の温度は変えられますので一度入って見て下さい」


 マリーが先にお湯の中に足を入れる。『ホントにお湯だわー』

『おー、お湯の中に入るのは初めてだ』とキングス。

『まさか、この歳でまだ知らない事があったとはな』とジジさん。


『あたしこのお湯好きだわー。何だか気持ちがいい』とマリー。

『そうだな。お湯に浸かると体が楽になるな』ともう首の深さまで奥に入って行くキングス。

『うーん、確かに疲れが取れて行く様だな』とジジさんも体が半分浸かる所まで移動して行く』


「このお湯は、疲労と神経痛にも効果があります。体が辛い時はここでゆっくりお湯に浸かって見て下さい。それに上から流れて来るお湯は打たせ湯です。体や頭に当てるとマッサージ効果があって気持ちがいいですよ」


『へーそうなの?』

 マリーが側の打たせ湯の小さい方へ近寄って行き、背中に当て始める。

『あー! 面白いわー。そうね、気持ちいい場所に移動すればいいのね』

 マリーは打たせ湯のコツをつかんだようだ。


『どれどれ、わしもやってみよう』

 ジジさんはマリーが気持ち良さそうに打たせ湯をしているので、興味を持ったようだ。マリーの隣の、勢いよく流れている打たせ湯の下に移動し、背中に当ててみる。


『おおー、これは、痛気持ちいいなぁー。うん、そうだな。ハハッ』

 ジジさんは初めての感覚に戸惑いながらも楽しんでいる様だ。


 キングスが興味深そうに見ているので、

「キングスも試したかったら、すぐ取り付けられるわよ」と、かなえが言うと、

『ああ、そうだな。わしにも勢いのあるやつを頼むよ』と頼まれる。


 かなえは地図の立体の山を出すと、ジジさんの隣の少し深いところにもう一つ打たせ湯(中)を設置する。すると勢いよく流れる打たせ湯が現れた。


 そこへ近づいたキングスは、体を打たせ湯の下に移動させる。

『おお――! 何だこれは。イタッ、いや、大丈夫だ……。うーん』

 キングスも、初めての感覚を楽しんでいる様だ。


「最初は短い時間で、様子を見て下さいね。たまに休憩して水分補給も大切ですよ」

 


 まさか大型犬に、馬と牛が一緒に温泉に入って打たせ湯に夢中になるとは、思わなかった。


「シロン、みんなの体調は大丈夫?」

「はい、そろそろマリーが水分補給が必要ですね。ジジとキングスはもうしばらく大丈夫でしょう」


 かなえは温泉から上がった所と温泉の休憩場所の奥の方に水飲み場を設置する。


「マリー、体の中の水分が減って来たから、お水を飲んで。ここで飲めるから」

『えっ? そうね。そういえば喉が渇いたわ』

 マリーは湯船から上がって来ると水を勢いよく飲み始める。


『あー、気持ち良かった。お湯って気持ちいいのね。知らなかったわ。かなえが毎日入っている理由が分かったわ』


「そうね、これからはいつでもここへ来て入ってね。疲れた時は特にスッキリするから」

『それは良いわー』


「かなえ、そろそろジジも上がらないとのぼせそうです」

 それは大変。


「ジジさん、もう上がらないとかえって、体調に良くないですよ」

『ああ、そうだな』

 ジジさんは、ヨロヨロと湯船から上がって来て、お水をガブガブ飲み、休憩場所にやって来る。


「体調は大丈夫ですか?」

『ああ、あの打たせ湯はクセになるな。お湯の中は水の中とは違って、体の芯まで届いているみたいだった。まさかこんな経験ができるとは。長生きはするものだな』

 ジジさんはそう言うとうつ伏せになって、ウトウトし始める。


「キングス! キングスもそろそろ上がった方がいいわよ」

 いい歳なんだから気を付けないと。

『ああ、わかったよ』

 キングスはまだ、打たせ湯の下に居たい様だったが、渋々上がって来て、水を飲み休憩場所へ移動して来る。


「キングスはどうだった?」

『気に入ったよ。体調が最近の中で一番良い感じがする。少し若返ったような気がするな』

「そう、良かった。キングスもこれからはいつでも好きな時に来て、ここで体を癒してね」

『ああ、そうだな』


 キングスも体がポカポカしているのか。うつ伏せになるとウトウトし始める。

 マリーも静かだと思っていたら、横になって眠っている。


 みんなが温泉を気に入ってくれて良かった。かなえはグッスリ眠っている動物達を見ながら心が温かくなる。


 そう言えば……、

「シロン、ルークスはどうしてる?」

「今、島の砂浜まで泳ぎ、上がって小屋へ行くところです」

 ルークス、今まで泳いでいたんだ。かなえは心配になったので、ジャンプで様子を見に行く。


「ルークス、大丈夫? 疲れたでしょ?」

『うん、ぼくいっぱいおよいだよ』

 かなえはビショビショのルークスを、ウオッシュで乾かす。

「そう、ならお腹がすいたでしょ? ミルクを飲んでゆっくり寝なさいね」

『うん』

 ルークスは小屋へ入るとミルクをゴクゴクと飲み始める。


 またルークスのおでこが赤くなっている。かなえはミルクを飲み終わって横になったルークスに、使いかけの痒み止めを念入りに塗っておく。


 首の所を撫でてあげながら、昔の子守歌を思い出したので、ウトウトしているルークスに歌い始める。歌詞を忘れているところは「ララララー」でごまかしながらー。


『カナ、カナこえすきー……』とルークスが言い、かなえの歌を聞きながら眠りに着いた。



 かなえはジャンプで山の頂上へ移動し、設置してあるアウトドア用のテーブルセットの椅子に座り、景色を見ながらボーとする。

 

 温泉はジジさん用にと思って造ってみたが、キングスもマリーも気に入ってくれた。次は3合目辺りに何か造ろうと思っているが、なにが良いだろう。


 3合目ならキングス用でいいが、温泉を設置したから休み休みならジジさんも登って来れるかもしれない。それなら温泉を何か所か設置していくことも出来る。

 今日設置した位の大きさなら、細長いので、場所を取らないし。


 温泉は何ヶ所か設置したとしてもまだ全然空間が、空いている……。

 ルークスが言っていた橋もいいかもしれないけど、すぐ飽きられそうね。

 でも子猫達が大きくなったら吊り橋を何ヶ所か設置したら、喜んでくれそう。


 うーん……いい考えが浮かばないから、あとでまだ考えよう。


「シロン、リトくん達はどうしてる?」

「島の一番高い木の上にいます」

「今何時になるの?」

「15時30分です」


 まだ少し時間があるのね。

「シロン、リトくん達用に何か造ってあげる事は出来る?」

「それなら木の実で作った小さなボールがありますので、このドーム中に隠して宝探しをさせるのはどうでしょう?」

「なにそれ! おもしろそう。それなら他の動物達だってやりたいだろう。いつかみんなで宝探しをしてもいいな。その木の実のボールを見せてくれる?」


 ポーチを開けると、リトくん達が好きそうな木の実や雑穀で固めたボールに紐が付いていて、木の枝等に引っ掛けられるようになっている。

「これを、隠して来ればいいのね」


 かなえはリトくん達にばれないよう、島から離れたところに、木の実を隠すことにした。


 まず最初に山の外側の斜面。石と石の間の隙間に木の実ボールを埋め込む。次は南門にジャンプして紐を引っ掛けてぶら下げておく。木の枝にも何ヶ所かぶら下げた。


「かなえ、木の実ボールを見つけたら紐を届けてもらい、全部見つけられたら何かご褒美をあげたら、楽しいのではありませんか?」

「なるほど。そうね。その方が探すのが面白くなるわね。ありがとう、シロン」


 かなえは次々と、木の実ボールを隠して行き、合計で50か所にもなった。

 これくらいでいいわね。

 かなえは今からリトくん達の所へ説明しに行こうと思ったが、もうすぐ帰る時間なので、明日知らせる事にする。


「温泉にいた皆はどうしてる?」

「まだ眠っているようです」

 あそこは1合目だしそのままにしておこう。


 かなえは砂浜にジャンプすると、リトくん達が木の枝から飛んで来てかなえの肩にとまる。

「それじゃー、リトくんとピーちゃんを先に送るね」

 かなえはジャンプで部屋に移動すると、ピーちゃんと一緒にリトくんは窓から飛んで行く。


 次はリリララ姉妹の食事を持って下に降りて行く。

「はい、お待たせ―。何か変わった事は無かったかな?」


「いいえ、子猫達は元気に遊んでミルクを飲んで寝ています」とリリちゃん。

「マーブルって呼んだらわかったよー」と、ララちゃん。

 子猫達は自分の名前を理解し始めたみたいだ。


「そう、良かった。子猫は毎日成長しているね」

 リリララ姉妹は嬉しそうに子猫達を眺めている。

「それじゃーありがとう」


 かなえは食事を渡すと、子猫達をケージに入れ、部屋からアニマルドームの子猫の小屋へ移動する。


「あら、マリーもう戻って来てたんだ」

『ええ、今着いたところよ。グッスリ眠っちゃったわ。あの温泉いいわねー。ここまで走って来ても、体が軽いの』

「そう、良かった。これからも山の中を変えて行くから楽しみにしててね」

『そうなの? いいわね』

「キングスとジジさんはまだ寝てるの?」

『いいえ、一緒に起こして私だけ先に走って来たの。だからもうすぐ戻って来るんじゃないかしら』


 かなえは子猫達を小屋のベットの中に寝かせ、餌やミルクを補充し、全体にウオッシュを掛けておく。


 すると外から音がしてルークスがやって来る。

「ルークスおはよう。今起きたのね? もうすぐキングスも戻って来るから待っていたらいいわ」

『うん、子ねこ、ねてるんだ。ぼくいっしょにあそびたいな』

「もうすぐ起きると思うから、起きたら遊んであげてね」

『うん!』


 かなえは後をマリーに任せ砂浜に歩いてくる。すると橋を渡って来るジジさんとキングスが見える。


「お帰りなさい。良く寝られました?」

『おお、あの温泉は良いな。体が今でも軽い』とキングス。

『わしも、今までに無く体調が良い。食欲もあるしな』とジジさん。

「お湯の温度や深さ、打たせ湯の強さも変えられますから、変更して欲しいところがあれば教えてくださいね」


『そうか、それはいいな。今は思いつかんが』とキングス。

 ジジさんもうなづいている。


「それじゃージジさん帰りましょうか」

 かなえはキングスに、ルークスは起きて子猫の所に居ることを伝えると、ジジさんを牧場まで送って行く。

「じゃー、ジジさんまた明日」


 その後ジャンプで自分の部屋へ戻って来る。

 リトくんはお泊りかな……。


 かなえは食事を取り、寝る支度を済ますと、ベットに入る。


 今日もいろいろあったなぁー。温泉はうまく出来た。明日も続きをしよう。

 リトくん達も木の実のボール探し、喜んでくれるかな……。


 かなえは静かに目を閉じた。



――――――――――――――――――――


<かなえのIDカード>

 変更のあった場合表示


 ――――――――――――――――

 ポイント 

 

 プラス   1000 ジジの健康塩飴

        1万 温泉の設置 

 マイナス     

        

 残り    204万1700  

 パワー   498


――――――――――――


パーティーの準備 合計 24万      


――――――――――――――――


 立て替え  8万(地下の家具、リリララ姉妹を雇えばギルド科からの補助金で賄われるので保留)




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