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アニマルレスキュー  作者: コトリコトリ
45/229

045 山の中の温泉(前)



『カナ、カナ、おきて、パンちょーだい』 

「……あれ? リトくん、もしかしてまた朝帰りでパンを食べに来たのね」

『カナ、カナ、パンちょーだい、おはよー』

「はいはい、あげるからちょっと待って」

 

 かなはベットから出ると、ゆっくり居間まで歩いて行く。

 リトくんにあげるパンは……麻の実とハニーベリーの雑穀パン。

『おいしー、おいしーパン、パン、パン』

 フッフッ、リトくん羽を広げて踊ってる。


 かなえは食事と支度を終えると、リリララ姉妹の所へランチを届けに行く。

「おはよー、ハイ、これ。ランチよ」

「おはよーございます」とララちゃんが出て来る。

 

 ランチを渡すと部屋に戻りジャンプしようとしていたら、リトくんとピーちゃんが窓から入って来る。


「ピーちゃんおはよー、今日は公園に行かないの?」

『あたし、やまいくのー』

「やま? そういえば昨日造った山の中はどうだった?」


『ぼく、やまおもしろいよー』

『あたし、やまのなかすきー』

 と、2羽とも気に入ってくれたようだ。


「それじゃー、今日も行くよー!」

 かなえは牧場へ、リトくんとピーちゃんを連れてジャンプする。


「ジジさん、おはようございます」

『ああ、今日はみんな一緒だな』

「はい、山を気に入ってくれたみたいです。ジジさんはどうでした?」

『そうだな、わしにも途中までは登れるからな。頂上は眺めもいいし。山の内部はもう少し変化があった方が良いと思うが……」

「変化ですか? ……わかりました。何か考えてみます」

 

 かなえはジジさんに健康塩飴をあげると、皆でアニマルドームの砂浜へジャンプする。


 ジジさんはいつもの橋を渡った所へ、リトくん達は山の方へそれぞれお気に入りの場所を目指して向かって行った。


「シロン、皆の様子はどうかな?」

「キングスとルークスは橋を渡った所にいます。マリーは穴掘りの場所の側でプロの実を食べていますし、子猫達は眠っています」

そう……なら先に牧場の牛舎の掃除を済ませて来よう。


 かなえはジャンプで牛舎に向かう。

 ……いつもの様に順番に綺麗にウオッシュをかけて行く。餌とお水もきれいにして補充しておく。

「シロン、牛達の様子はどうかな?」

「問題のある牛は、見当たりません」

 そう、良かった。

 

 掃除が終わったのでジャンプして子猫達の所へ向かう。

 子猫達はまだ眠っているようだ。

 かなえは小屋の中へ入って行くと、ウオッシュを小屋の中と、子猫達にもかけておく。ミルクを交換し離乳食もセットする。

 庭もウオシュをかければお終いだ。


 次は並びにあるルークスたちの小屋へ移動する。

 まだ2頭とも戻って来ていない。

 かなえは小屋全体にウオッシュをかけておく。

 ルークスの哺乳瓶はもう空っぽになっている。一回り大きい哺乳瓶に替える。

 もう大きくてジャンプで移動させないとかなえには持ち上げるのも大変な大きさだ。


 小屋から出てジャンプしようとしたら、マリーが戻って来たのが見える。

「マリー、おはよう。子猫達の餌を補充しておいたからお願いね」

『あら、かなえ。そう。助かるわ』

「マリー、昨日聞けなかったから、教えて欲しいんだけど……山の中を見てどうだった? 何処か改善して欲しいところはあるかな?」


『そうね……道がもう少し変化があった方が良いかも。グルグル山を登って行くだけじゃなくて。真ん中が空いてるじゃない?』

 なるほど……確かに山の内側をグルッと上まで登って行く道だけだと、飽きるかな。


「わかった。考えてみるね。また、何か希望があったら教えて」

『ええ、いいわよ』


 かなえはマリーとの話が済むと、ルークス達の所へジャンプする。

「キングス、ルークスおはよう。調子はどう?」

『ああ、かなえか。ルークスは元気が良すぎだが、わしはまあまあだな』

「ハハッ! ルークスは元気がよすぎるんだー」


『ぼく、元気良すぎる?』とルークスが首を傾げている。あまり自覚は無い様だ。

『そうだろう? 今朝だってもう、山にも行って、水路でも泳いだじゃないか』

『うーん』とルークス。

「へー、凄いねルークス。もう山も川も行って来たんだ」

 

 ホントすごいなー。昨日は水路の途中で断念したのに、今日は両方制覇したようだ。


「それで、聞きたかったんだけど、山の中はどうだった? どこか改善して欲しいところはあったかな?」

『ぼく、山好きだよー。グルグル回って中も外も行けるねー』とルークス。


『そうだなー。いいと思うが……、山の中は道だけで大きな空洞だが、他に何か造るのか?』

「うーん、ジジさんにも言われたんだけど、まだいい案が浮かばなくて。何か思い付いたら教えて?」

『ああ、分かった』


『ぼくねー、橋を作ってほしー。まんなかに橋があったらもっとはやいよー』とルークス。


「そうねー。橋か……。それもいいかな。ルークスありがとう。考えてみるね」


 あっ、ルークスのおでこがまた赤い?

「ルークス、おでこ見せて。また赤くなってるね。痒くない?」

『うん、ちょっとかゆいよ』


 かなえは前に使用した残りの、痒み止めの軟膏を出すと丁寧に塗り込んでいく。

 大分盛り上がって来ているので、もうすぐ角の先端が出て来るだろう。 

『ぼく、もうかゆくないよー!』

 この軟膏の効き目は相変わらず早いなー。


 かなえは用事が済むと、山の入口へジャンプで移動する。

 中に入って行き上を見上げると、山の頂上までの空間が広がっている。

 ここに何を作ろう……。

 動物達が喜んでくれるようなモノは?

 

 そうだ! 下の方はジジさんが楽しんでもらえそうな物を考えよう。

 

 一番下は道と川があるので、少し上がった1合目と2合目辺りの真ん中の空間に何かを設置すればいいわね。


「シロン、この山の中で、ジジさんに喜んでもらうには何をすればいいかな?」

「もうお歳ですから、ゆっくりできる温泉はどうでしょう? 底を透明にすれば下へ光も通しますから暗くはなりません」

「えっ? 透明な温泉なんて作れるの?」

「はい、普通に岩や石を使って、後から透過させれば造れます」


「わかった、やってみるわ。教えてくれる?」

 すると目の前に山の立体的な地図が現れ、そしてかなえが作業しやすいように人の大きさぐらいまで広がる。


「まず、フォルダの温泉から浴槽の素材を選んでください」

 岩、石、レンガ、タイルなど色々あるが、動物用なので頑丈そうな石にする。


「次は石の浴槽を設置したい場所へ置き好きな大きさに変えてください」

かなえは、頑丈そうな石の浴槽を出すと、地図上の立体的な山の中の空間に設置してみる。


 形は1合目の山の中の道に沿うように曲線にして、1合目の外の広場からもすぐ出入り出来る場所なので、便利だろう。大きさは後から変えられるので、長さは、50メートルぐらい、幅10メートル。入り口はくるぶしぐらいの深さで、だんだん深くなって行き2メートルぐらいまでにした。


 浴槽から落ちたら危険なので、浴槽の横に平らでくつろげる休憩場所を造り端を高くしておく。


「シロン、この浴槽、宙に浮かせてるけど大丈夫なの?」

「はい、重力は制御されるので問題ありません」

 うーん。そうなんだ。馬車に付けられている装置と同じ様なものかな……。


「シロン、こんな感じでいい?」

「はい、そうしたらこの石の浴槽と休憩場所を透過させてください」

 かなえは透過のレベルを少しづつ上げて行き、曇りガラスぐらいにし、光が通るようにする。


 これだと景観も損なわれないし、光も通すから問題無さそうだ。


「シロン、お湯には何か体にいい成分を入れられるの?」

「はい。ジジにお勧めのお湯は緩やかな、疲労回復、神経痛に効果のあるお湯です」

 かなえは温泉フォルダのお湯の種類から、ジジさん用のお湯を選び、浴槽に入れる。

 温度は38度に設定しておき、後でジジさんの希望を聞いて変更することにした。

 

 かなえは実際の温泉を見る為にジャンプで移動してくる。

 目の前には、立派な露天風呂の様な温泉。お湯の色は薄い水色に光っている。


「シロン、お湯は掃除する時に入れ替えるの?」

「いえ、この浴槽にお湯の浄化システムが組み込まれていますので必要ありません」

 へぇー、そんな設備聞いたこと無いよ……。


 かなえは暫らく、浴槽の形や休憩場所の微調整をする。

「シロン、これで完成でいいかな?」

「そうですね、付け加えるとしたら上からお湯を流して打たせ湯のようにしたら、マッサージ効果も期待出来ます」

 それはいいかも!


「シロン、打たせ湯の設置の仕方を教えて?」

「はい、山の立体の地図を開けて、温泉のフォルダの打たせ湯を選択し、設置してからお湯の量を選択して下さい。


 ふーん、なるほど。

 かなえは言われた通り、打たせ湯を設置して、お湯の量(中)を選択してみる。

 すると温泉の上の方から「ジャー」とお湯がバケツをこぼした様な勢いで流れ始める。


 ちょっとお湯の勢いが強いかな……? でも動物には丁度いい可能性もある。

 かなえは少し離れた場所に打たせ湯をもう一つ、お湯の量を小にして設置しておく。

 すると「シャー」とかなえが好きな強めのシャワーの様な勢いの打たせ湯が設置出来た。


 辺りは湯気が漂い洞窟の中の、光の差し込む露天風呂のような雰囲気になった。

 早くみんなに見せたいなぁー。

 ジジさんが喜んでくれるところを想像するとワクワクしてくる。


「かなえ、今のうちにハッピーキッズに行っておいた方が良いでしょう」

「あっそうだった。ありがとう、シロン」


 かなえは温泉が出来上がったので、ハッピーキッズ―までジャンプで移動する。


「こんにちはー」

「おや、あんたかい。かなえさんだったね」

「はい、そうです。調子はどうですか?」

「それがね、あんたのくれた飴が効いたみたいで、体の痛みが無くなったんだよ。おかげで新しい服を作れるよ」

「そうですか、良かったです!」

「今日は、どうしたんだい?」


「あのー、うちのリリちゃん、ララちゃん姉妹のドレスありがとうございます。二人もとっても喜んでくれてます。それで、料金ですが、お渡しした金額では足りないかと思い、今日は来ました」


「あのドレスかい? あの値段でいいよ。あんたに貰った薬の効果を考えたら

こっちが払わなきゃいけないぐらいさ」

「それは必要ありませんが、それならドレスそのままの金額にさせてもらいます」


「そう言えば、昨日オアシスインのルルちゃんもここでドレスを買って行ったよ。あんたのパーティーに参加するみたいだよ」

「えっ、そうですか! 良かった。ルルちゃん、お手伝いがあるから来れるか心配だったんです」


「丁度あの子の母親が身ごもったみたいでね、手伝いの人を暫らく雇うそうで、その日も来てもらうみたいだよ」

「そうですか。でしたらお婆さんも是非参加して下さいね」

「そうだね、体調も良いし、この調子じゃ行けそうだよ」

 カーラさん、妊娠が分かったのね。今度また会いに行ってみよう……。


 かなえは話が終わるとお暇する。

 その後、部屋にジャンプして動物ギルドへ行くと、子猫達の柵を広げてトイレやクッションに念入りにウオッシュを掛けておく。

 これでいいな。


 かなえは準備が終わると、砂浜にジャンプする。

「シロン、今何時?」

「11時45分です」

 ちょっと早いけどもうお腹が空いたし、お昼にしよう。


 今日のお昼の気分は、こってりした中華かな。

 テーブルに並んだのは、ラウンドカフェの五目あんかけ硬焼きそば。それにアイスジャスミンティーとデザートに杏仁豆腐にした。


 美味しそー! アツアツで、湯気が立っている。

「いただきまーす」

 このヤシの木の下の砂浜で青い湖を見ながら、中華を食べるのもなかなか良い。

 

 わーお腹いっぱい。満腹だが1人前にデザートもきれいに食べ終えた。

 最初の頃は半分しか食べられなかったのに……。

 これ絶対胃が大きくなってるよ。


 かなえは砂浜に大の字になって寝転がる。

「シロン12時30分に起こして?」

「はい、それでしたら15分後になります」

「うん、わかった」


 

「かなえ、時間ですよ」

「えっ? あっ、ちょっとは寝られたんだな」

 15分でも寝ると頭がスッキリする。


 かなえは起き上がると子猫達を迎えに行く。

「マリー、お待たせ。みんなを迎えに来たよ」

「かなえ、よろしく。子猫達、丁度眠ったところよ」

 子猫達は、庭の丘の側でくっ付いて寝ている。

 マリーはしっかりお母さんをしているようだ。


 かなえはケージを出すと、子猫達を静かに移動させる。

「それじゃー行って来ます」

 かなえはケージをポーチへ入れると、ジャンプで部屋へ移動して行く。



 




 

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