039 子猫達と過ごす休日(前)
「かなえ、起きてください、子猫が起きましたよ」
「はーい、起きまーす」
「みんな、おはよう」
反応が無いので起き上がると……そうだった。リトくんもマリーも居ないんだ。ベットから出ると、子猫達の入った保育器を持って居間まで行く。なんだか、部屋の中が「シーン」として静かで落ち着かない。
かなえは子猫達にミルクをやりながら、
「いいよねー。今日は私と一緒に過ごしましょうね」とかなえは子猫達に話しかけると、子猫達は『おなかすいた、ミャー』と元気に鳴いている。
かなえは適当に朝食を済ませ、出掛ける準備をし、
「シロン、リトくん、ピーちゃんはどうしてる?」
「今はピーちゃんと一緒に餌をもらって食べています」
そうか。もう少し待ってみた方が良いかな。
かなえは暫らく、パーティーの買い物リストを見ながら時間を潰す。
「シロン、リトくん達は?」
「公園の方へ飛んで行きます」
そうなんだ。それなら、とりあえず先に行って、後でどうするか聞いてみよう。
かなえは子猫の保育器をケージに入れてポーチにしまうと、ジャンプで牧場に移動する。
「おはようございます。ジジさん」
『おや? 今朝はかなえだけかい?』
「そうです。マリーはアニマルドームに泊まって、リトくん達は公園に行きました」
『そうか』
「じゃー出発しまーす」
かなえはジジさんと一緒にジャンプでアニマルドームに移動する。
誰も居ないようだ。
ジジさんは塩飴を上げると、舐めながら牧草を求めて橋を渡って行った。
「シロン、マリーはどこ?」
「いつもの穴を掘る場所に居ます」
「そう、わかった」
かなえはマリーの所へジャンプしてやって来ると、
「マリーおはよー。一晩過ごしてみてどうだった?」
『あら、かなえ。良かったわよ。でも誰か仲間がいた方が楽しいわね』
「そうね、その内ここも動物が増えて来ると思うから、待っていてね」
『わかったわ』
「何か、欲しいものは無い?」
『今は大丈夫よ』
マリーは穴を掘って砂だらけの顔をしている。
かなえはマリーにウオッシュをかけると、
「じゃー、私は行くわ。後で砂浜に戻って来るから何かあったら言ってね」
『わかった』
かなえはジャンプで牧場の牛舎に来ると、順番にウオッシュをかけて行く。牛達に評判がいいのか鏡がベッタリと汚れている。
かなえは念入りに鏡にもウオッシュをかける。一通り終わると、昨日食べ過ぎで動けなくなっていた、牝牛の所へジャンプする。
「おはよう、牝牛さん。具合はどうですか?」
『あら、昨日はありがとう。助かったわ』
「体の調子は良さそうですね」
『そうよ。あれから夕方まで我慢したから治ったわよ。食べ過ぎないように注意してるし、あのおいしい草がどこでも生えているんですもの、慌てて食べなくてもいいわね』
「ハハッ、そうね。いつも美味しい草は絶やさないように気を付けるから。何か他に困ったことは無い?」
『そうね……今は思いつかないわ』
「そう。もし何かあったら牛舎に来てね。私、この時間ならいるから」
『ええ、わかったわ』
かなえはジャンプで、アニマルドームの砂浜に着く。
やったー! 今日は休みだー、ゴロゴロして過ごそー。
「かなえ、そろそろ子猫が起きそうです」
「あっ、はい……」
かなえはケージを出すと、中から保育器を取り出し、世話を始めようとして、鳴きだした猫の口に哺乳瓶を入れようとしたら、
「あー、見つけた!」
歯茎に小さな歯が出てきている。
この子は……目つきが鋭いからレオンだったわね。
「レオン、あなた歯が生えて来たのね」
レオンは気にせず『ミルク飲みたいよー』と、鳴いている。
「かなえ、今日から子猫達に離乳食を始めたらどうでしょう」
「えっ、あ、そうね。今日は時間もあるし丁度いいわね。シロン、お願い」
すると「猫缶 離乳食用」が一つ出て来る。
「それでは、ミルクを飲ませる前に、レオンに餌をあげてみてください」
かなえは砂浜のテーブルの上に保育器を置くと、一枚とタオルを広げてかなえの手と一緒にウオッシュをかける。
お皿に離乳食を入れて、レオンを出し離乳食の皿の前に移動させる。
「初めはわからないので、スプーンや指で口の所へ持って行ってあげてください」
「はい、わかった」
かなえは言われた通り、餌を口の側に持って行くがわからないらしく、
「ミルクちょーだい」と鳴くばかり。
かなえは仕方が無く、レオンに顔を近づけると、
「レオン、これはおいしい食べ物よ。大きくなりたかったら食べてみて」と、言い聞かす。すると、
『おいしい?』と聞かれたので、
「うん、すごくおいしいよ」とかなえが言うと、レオンは餌に顔を近づけると、ペロッと舐めた。
「どう? おいしい?」
『うん、ミルクのあじ』と言いながらお皿に入った餌を舐め始めた。するとタイガも起きたので、もう一つお皿を出して餌を入れるとタイガにも、勧めてみる。レオンがしきり餌を舐めているのを見て、タイガも舐め始める。
マーブルも起き出したので、もう一つ餌を入れた皿の所に連れて行くと、
『なに?』と聞いてくるので、
「おいしいご飯よ、舐めてみて?」とかなえが言うと、マーブルは他の2匹が舐めているのを見て、安心したのか自分も舐め始める。
あれ? マーブルも歯が生えて来たみたい。
口を開けた瞬間ちらっと歯茎に小さい歯が見えた。
子猫達は舐めながら少しづつ食べる事が出来るようになって来た。
「そう、上手ね」
最初に食べ始めたレオンの餌はもう半分ぐらい減って来ている。
「お腹いっぱいになった猫から、トイレが自分で出来るように練習させて下さい」
そうか、ここでトイレトレーニングも出来るのね。かなえは子猫用のトイレを3つ出すと砂を半分くらい入れてウオッシュをかけておく。
ほとんど食べ終えたレオンが口の周りを舐めているのでかなえはウオッシュをかけると、トイレの中に入れる。
「レオン、ここはトイレだよ。自分で出来るように練習しようね」
レオンは初めての砂の感触が不思議なのか、歩き回っている。
タイガももう食べ終わったようなので、レオンの隣のトイレに入れる。
「タイガ、ここでトイレが出来るように練習しようね」
タイガも落ち着かないのかウロウロしている。
マーブルは少し残しているが、もう食べたくなさそうなので、タイガの隣のトイレに移動させる。やはり砂の感触が慣れないのか、ヨロヨロと歩いている。
「マーブル、ここはトイレだよ。自分で出来るようになろうね」
始めてなので、かなえが手伝いながらトイレを終わらすと、まだ遊びたいようなので、辺り一面ウオッシュをかけて、子猫達を砂浜の上に移動させる。広いのが嬉しいのか、慣れない足取りで歩いて行く。落ちている石ころや小枝にも興味を示し、匂いを嗅いだり前足で突っついたりしている。
かなえが子猫達を引き取って10日を過ぎたが、ここまで良く育ってくれたなと思う。毎日順調に成長しているのが、嬉しい。
かなえは、歩き回る子猫達を眺めていると、砂を踏む足音がしてマリーが近寄って来た。
『あらー、子猫達外に出してるんだ、可愛い―』
マリーが子猫達に近寄って行くので、かなえはマリーにもウオッシュをかけておく。
『タイガがマリーに気が付き興味を示したのか近寄って行く』
『こんにちは、あなたはタイガね。あたしはマリーよ』
タイガは大きなマリーを見て『マリ?』とキョトンとした顔をして見ている。
『そうよ! あたしはマリー』
マリーはタイガの顔を舐めると、タイガは嬉しそうにしている。他の2匹も、マリーに気が付くと、近寄って行きマリーに顔をを舐められ喜んでいる。子猫達は母猫に舐められていた感触を思い出したのか、グルグルと鳴きはじめマリーのお腹に行き乳を飲もうとしている。
『アハハハッ、あたしはミルクは出ないよー』とマリーは言いながらも嬉しそうだ。
子猫達はマリーから離れたくないようでとうとう、マリーにピッタリくっ付きながら眠ってしまった。
「マリー、子猫の世話が上手ね。もしかして子育ての経験があるの?」
『えー、無いわよ。でもなんとなく、子猫がして欲しがっている事はわかるわ』
「そうなの、凄いなー」
マリーは眠っている子猫を愛おしそうに見つめている。
『ねー、かなえ、あたしが子猫達の世話をしてもいい?』
「えっ? でも大変よ。それに餌が……」
「シロン、マリーが子猫達を育てる事は出来る?」
「もう少し保育器に居た方が良いですが、幸い元気に育っていますし、ミルクはルークスのように縦型の哺乳瓶を設置することが可能です。また離乳食は1日2回から始めて、かなえが準備しておけばいいでしょう。ですから問題ありません」
なら大丈夫そうね。でもリリララ姉妹がガッカリするだろうな……。
「マリー、それは子猫達も喜ぶかもしれない。でも急に子猫達に会えなくなると、今まで世話をして来たリリララ姉妹がガッカリすると思うの。だからしばらくはお昼過ぎから夕方まではあの子達に子猫を預けて、それ以外はあなたが世話をしたらと思うんだけどどう?」
『もちろんかまわないわ。うれしいわー。あたしに子供が出来たみたいな気分。キングスの気持ちがちょっとわかったかも』
そうかキングスも子育てしているよね。
「マリー、子猫達を何処で育てたい? この島かいつもマリーが穴を掘っている所が良いかな?」
『そうね、穴を掘った所は危ないから、この辺りがいいわね』
「わかった、それじゃー準備して来るわね』
かなえはすぐ側のマリーの小屋に歩いて移動する。
もともと設置してあったマリーの小屋を一度片付けると、一回り大きな小屋を設置して外に柵を作り、子猫達専用の庭を作った。
小屋の中には子猫達が登れる高さの低いマットを敷いてその上に一回り小さなクッションを置く。シングルベット位の大きさがあるので、マリーと子猫達には十分の広さだろう。
それに、哺乳瓶を逆さにしてスタンドに設置し、子猫達が自分で楽に飲めるよう、高さと角度を調節し、トイレを小屋の角に並べて置く。
マリーの噛む為のミルク棒と、子猫達が楽しめそうなボールを出しておく。庭は芝生を敷き詰め、一角はトイレ用に砂場を作り、低い丘を子猫達が登れるように設置する。
後は、マリーの好きなプロの実の木を小屋の周りに植えておく。
……こんな感じかな。
かなえはマリー達の所に戻ると、ウトウトしていたマリーが目を覚ます。子猫達はまだマリーにピッタリくっ付いて眠っている。
「マリー、小屋の準備が出来たからこれからジャンプで移動するわね。マリーはそのままでいいから」
かなえはそう言うとマリーと眠っている子猫達と一気にジャンプして、出来たばかりの小屋に移動する。
マリーは小屋の様子を見渡して、
『いいじゃない。ベットも広いし。ミルクもあるのね』
マリーはそっと子猫達の間から抜け出すと、外の様子も見に行く。
『そうね、まだ柵があった方がいいわね。この高さならあたしは越えられるし』
「他に何か必要な物があったら言ってね」
『あっ、あのおいしい実も沢山あるじゃない。もう十分よ。これ以上欲しいものは思いつかないわ』
「そう、良かった。マリー、子猫を育てるのが大変になったら言ってね」
『ええ、そうするわ』
「じゃーわたしはちょっと、キングス達の様子を見て来るからまた後でね」
かなえはジャンプでキングスの所に移動する。
キングスは橋をわたってすぐの草原で食事中だった。
「キングス、今日の調子はどうかしら?」
『ああ、かなえか。何とかなっているよ。ルークスは今眠った所だ』
「そう。良かった。ルークスは今日も元気に運動したの?」
『ああ、ルークスは朝から湖を2周泳いでいたぞ』
「えっ? 2周もしたんだ……元気ね。でもそれならルークスが自分だけで泳げるからキングスの負担は少なかった?」
『いや、最初はわしも砂浜を走ってルークスの泳ぎに付いて行こうとしたんだが、途中でへばってしまってな……」
そうか、やっぱりルークスはもう湖を泳ぐだけでは物足りなくなりそうね。何かいい方法が無いか考えよう。
「キングス、飴舐める?」
『おお、そうだな頼むよ』
かなえはシロンに出してもらった「疲労回復塩飴」をキングスにあげながら、ルークスが運動出来る方法を考える事と、今日から子猫が3匹このアニマルドームの住人になった事を話すと、その場を離れる。
次は、ルークスの小屋にジャンプして大きな哺乳瓶を設置し、グッスリ眠っているルークスとわらにウオッシュをかける。ルークスは子猫を見たらどんな反応をするんだろう。仲良くしてくれるといいな。
「シロン、リトくん達はどうしてる?」
「今はオクタゴンのセンターパークの木にとまっています」
そうか、ならちょっと行ってみよう。
かなえは一気にリトくんの居る木の下までやって来ると、
「リトくーん、と声をかける」すると、
『カナ、カナ!』とすぐ気が付いてリトくんと、ピーちゃんがかなえの所まで舞い降りて来て肩にとまる。
「リトくん、昨日はピーちゃんのお家に泊まったのね。どうだった?」
『うん、ぼくおいしいエサたべてねたよ』
「そう良かったね。今日はこのまま公園に居る? それともアニマルドームに行く?」
リトくんは『ピーちゃん、どうする?』とピーちゃんに聞き、ピーちゃんは『ドームいきたい』と返事をする。リトくんも『ドームいこう』と今にも飛んで行きたい感じに、羽をパタパタさせる。
「そう、ならドームに行こうか。子猫達もいるよ」
かなえはリトくんと、ピーちゃんを連れてドームシティーの砂浜にジャンプする。
「ハーイ、着いたよ。楽しんできてねー」
リトくんとピーちゃんは仲良く飛び立って行った。
「シロン、今何時?」
「12時15分です」
お昼過ぎてたんだー。どうりでお腹が空いたと思った。
どうしようかなー。そうだ、たまにはオアシスカフェに行こう!
久しぶりにカーラさんとルルちゃんに会いたいし。
かなえはジャンプでオアシスインに移動して行く。




