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アニマルレスキュー  作者: コトリコトリ
37/229

037 バレーボール(前)

「かなえ、子猫が起きましたよ。起きてください」

「うーん、あっ、もう朝かー」

 マリーと、マリーの頭の上に乗ったリトくんが、子猫達を眺めている。

 かなえは大きな欠伸をしてから起き上がり、子猫達を運んで居間まで行く。


「みんなおはよう。リトくんパン食べる?」

『うん、パンちょーだい』

 今朝はミックスナッツレーズンパンだ。

『おいしい、おいしい、おいしいなー』

 えっ? 美味しいって3回も言ってる! このパン好きなんだ。覚えておこう。


 子猫達の世話を終えるとマリーに子猫の相手は任せ、朝ご飯にする。

 かなえは昨夜、簡単な夕食だったので朝はプロの実サンドに、コーンチャウダーと、グリーンサラダにオレンジマンゴジュースを飲む。


 朝から食べ過ぎたー。なんとか朝の準備を済ませ、二人分のランチを用意すると、子猫達の入った保育器を持って、地下に降りて行く。


「それじゃー宜しくね」

 リリララ姉妹に子猫の世話を任すと2階に戻って来る。

「シロン、ピーちゃんは今どうしてる?」

「かごから出ていますので、少しお待ちください」

 もしかして、ピーちゃん今日もこっちに来るのかな……。

 暫らく待っていると、シロンが、


「今、ピーちゃんが家から飛び立ちました」

 そうか、じゃーもうすぐね。と思っていると、

「パサッ、パサッ」と音がしてピーちゃんが窓の隙間から、部屋に入って来る。


『ピーちゃん!』リトくんは嬉しくてまた部屋の中を飛び回り始める。

「ピーちゃん、今日も出て来れたの? 良かったね。今日もいっぱい遊んでね」

『うん、あたしリトとあそびたい』とピーちゃん。

「よーし、出発しますよー。リトくんは今日はお留守番かな?」

『ぼく、いくよー』と、リトくんは急いで戻って来るとかなえの肩にとまる。

 それを合図に、一気に農場の丘の上にジャンプする。


「ジジさん、おはようございます。今日の調子はどうですか?」

『ああ、みんなおはよう。良く寝たから気分は良いよ』

「そう、良かった。はい、これどうぞ」

 かなえは塩飴をジジさんにあげる。

「このままアニマルドームに行きまーす」

 皆待ち構えていたみたいで嬉しそう……。


 ジャンプで島の砂浜に移動すると、辺りにキングスとルークスの気配は無い。

「みんな、行ってらっしゃーい!」

 パーッと好きな所に移動していく動物達に向かって声をかける。

 キングス達が気になったので様子をシロンに聞いてみると、

「ルークスは小屋で寝ていますし、キングスは橋を渡った先で草を食んでいます」

 そう。なら問題無さそうね。


 かなえはジャンプで牧場の牛舎に行くと、ウオッシュをかけて行く。

 これでよしっと。次は……、

「シロン、牛達のは皆元気かしら」

「……いいえ、一頭少し具合の悪い牝牛が居ます」

「えっ? 場所を教えて!」

 

 かなえは、地図で牝牛の場所を確認すると、ジャンプですぐ側まで移動する。

「こんにちは、牝牛さん。わたしはかなえよ。具合が悪そうね、どこか痛いところはある?」

 かなえは目の前で横たわっているグレーの牝牛に話しかける。


『ああ……あなたしゃべれるのね。誰かがあなたの事言ってたよ。ちょっと今朝からお腹が具合が悪くってね、怠いのよ」 


「シロン、お願い」

「はい、どうぞ」

 かなえはポーチを開けると、大きな黄色い飴が一つ入っている。注意書きには「牝牛の食べ過ぎ、胃のもたれに効く塩飴、1日1個」と表示されている。

 かなえは横たわっている牝牛に近寄ると、口の中に飴を入れる。

「この飴、舐めてみてくれる? 楽になると思うから」


『うーん、わかったわ』

 牝牛は口に入った飴を舐め始める。

『あらー、おいしい。塩味が効いているわね。なんだかお腹が楽になって来たわ』

 良かった、飴が効いて来たみたいね。

 暫らくすると牝牛は起き上がれるようになった。


『ありがとう、助かったわ。他の牛が言ってたけどあなたの飴って凄いのね』

「牝牛さん、あなたが具合が悪くなったのは、食べ過ぎだと思うんだけど心当たりある?」

『……そうよね。あたし昨日おいしい草を見付けて、誰かに食べられる前にと思って、全部食べちゃったのよね。そのまま寝たんだけど、朝起きたら苦しくって』

 まったく、どれくらい食べたんだか。


「どんなに美味しくても、食べ過ぎは良くないわ、もう調子が悪くなるまで食べたらだめよ」

『わかったわ』


「シロン、この牧場の草は牛達にとって栄養は十分なの?」

「見たところ、イネ科の草はありますがマメ科の草が、少ない様です」

 そうなんだ。

「じゃー足りない草を植える事は出来るのかな」

「はい、マメ科の草を植える事は可能です」

「植え方を教えてくれる?」

「はい、木を植えるのと同じです」


 目の前に地図が現れ牧場全体が現れる。フォルダの牛の餌から牧草のマメ科の草を選択し、牧草全体にうっすらと配置する。

「かなえ、それではマメ科だけが多すぎですので、イネ科の牧草も植えてください」

 かなえは同じように、フォルダからイネ科の草を選択すると、少しづつ牧場全体に設置した。


『わー、こんなに沢山あたしの好きな草があるわー』

 さっきまで具合の悪かった牝牛が、今にも食べ始めようとしている。

「ちょっと、待って牝牛さん。あなた沢山食べたらまた具合が悪くなるわよ! 暫らく食べないで休んだ方がいいよ」

『えー! でも―』

「草は牧場いっぱいに植えたから、無くならないよ」


『わかったわ……』

 食いしん坊の牝牛さんに、おいしい牧草を出したのは失敗だったかな。

「夕方まで休んだら食べてもいいよ。でも食べ過ぎはだめよ」

『ハーイ』


 かなえはスクーターを出して辺りを見回る事にした。池にまたウオッシュをかけ、小川もきれいにする。他にも気になった所にウオッシュをかけて行く。嬉しそうに牧草を食んでいる牛達に挨拶しながら、一通り見回ると、自分の部屋に戻って来る。


「シロン、今のうちにやっておくことはある?」

「そろそろ、パーティーの招待状が出来上がった頃ではないでしょうか?」

 そうね、今から行ってみよう。

 かなえは印刷職人の店の前にジャンプでやって来ると、扉を開けて中に入って行く。 


「あら、いらっしゃいませ。出来ているわよ」

 印刷職人さんは、棚から包みを出して来ると、開いて出来上がった招待状を見せてくれる。

「どうかしら?」

「素敵! とても気に入りました」

 見本はかなえが作ったが考えていたものに少しづつ手が加えられ、より洗練された招待状が出来上がっていた。


「それからこれも使ってくれる?」

 と、出されたのは薄い透けている紙で作られた封筒。後ろに印刷職人の店の名前と住所が小さく刷られている。

「素敵な封筒ですね。お店の名前を入れたんですね」

「そうよ、あなたの手提げ袋からアイディアをもらったの。この封筒は使ってくれる? もちろんお金はいらないわ。代わりに店の宣伝になるんですもの」


「喜んで、使わせてもらいます。でも本当にタダでいいんですか?」

「ええ、その代わり宣伝宜しくね」

「はい、わかりました」


 かなえは刷り上がった招待状と、封筒を受け取ると、店から出て行く。

 封筒の事は忘れていたから、かえって助かっちゃったな。


 かなえはアニマルドームの砂浜にジャンプすると、パーティーの招待状を出して来てもらう人の名前を記入していく。日付は……来週だと急なので再来週の土曜日18時から。次の日が休みなので多少遅くなっても問題無い。全て記入し終わってあとは出すだけだ。


 招待状を出す人を数えたら15人になった。皆来てくれたらいいけど。それに家族や友人も来てもらったら、多くて30人かな。それぐらいの予定で飲み物と食べ物を準備しよう。それだけの人数だとかなえ一人では大変なので、手伝いの人を雇って来てもらおう。

 

 パーティーの計画をいろいろ立てていると、

『かなえー』と名前を呼びながらマリーが駆け足で近づいてくる。

「どうしたの? マリー、何かあったの?」

『ちがうわー、何もないわよ。何か遊ぶ物が無いかなと思って聞きに来たの』

 あー、驚いた。マリーが急に近寄って来たから何かあったかと思った……。


「シロン、何かマリー達が楽しめる物はある?」

「いろいろありますが、これはどうでしょう?」

 と出て来たのは直径50センチぐらいのビーチボール。それもガスでも入っているのか、飛ばして落ちてくるまでの時間がゆっくりだ、


「ふーん、これならみんなでバレーボールみたいな事が出来るかも」

 かなえはボールを持つと、

「マリー、このボールで遊びましょう。私が投げるから、頭か足を使ってこのボールを私の方へ飛ばしてくれる?」

『うん、わかったわ』

 かなえは早速、ボールをマリーの頭の辺りに行くように投げると、ゆっくりとボールは飛んで行き、マリーの所へたどり着いた。


「マリー、頭にボールをぶつけてみて」

 するとマリーは『それー』と上手にボールを返して来る。

「マリーその調子」

 

 かなえの所にボールが真っ直ぐ飛んで来たので、かなえがバレーのトスをして、マリーに返すと、マリーはボールの落ちる方向に素早く動いて、再び頭にぶつけてかなえの所に返して来る。そのまま続けて行くとマリーも要領が分かったのか、足で蹴ってみたり、体に当てて飛ばしたりと上手にかなえの所へボールが来る。


「すごい! マリー上手ね」

『このボール面白いわ。柔らかくて、ゆっくり動くから楽しい―』

 そのまま続けていたら、もかなえの限界が来て、


「マリー、ごめん。私もう疲れたー」

『えー、もおー?』

「誰か他を見つけて」

 かなえは仰向けになって砂浜に倒れ込む。

「私、ちょっと休憩……」

  


『キャ、キャッ!』

『オー』


「なんだろ……?」

 かなえは辺りで声が聞こえたので目を覚ます。

 あー、寝ちゃったんだ。砂浜で寝ていたかなえは起き上がり、声のする方向を見と……、


「ふふっ、やってる、やってる!」

 少し離れたところで動物達がボールで遊んでいる。

 まるで円陣を組んでバレーの練習をしているみたい。やっぱりマリーは上手だなー。でもジジさんもうまく体に当てて跳ね返している。


 キングスは足の蹴りが強すぎてボールが高く上がりその度に、ルークスが『キャッ、キャッ』と喜んでいる。

 みんな、動くのが好きねー。かなえは日本で暮らしていた頃からそんなに運動が得意では無かった。それはこの世界に来ても変わらないようだ。皆の様子を見ていて閃いたのは……、


「シロン、バレーボールで使うネットはあるの?」

「はい、あります。動物達用でしたら、小型のがあります」

 

 パッと出て来たのは、バトミントンで使いそうな大きさのネットだ。ポールが柔らかい素材で出来ているので、当たっても動物達に危なくないだろう。かなえは大体の感じでネットを中心に砂浜にラインを書いて行く。


「はい、みんな―そのボールを使ってゲームをします。こっちに集まってください」

 するとボールを打つのを止めて、かなえの方へ皆移動してくる。

「見てください。これはネットです。ネットの向こうとこっちに分かれてボールを打ち合います。キングスとルークスは向こう側。ジジさんとマリーはこっちに居てください」


 最初は良く分からないようだったが、かなえの説明で二手に分かれるとボールを打ち始める。手で持ち上げられないので初めにボールを浮かせるのが大変そうだったが、慣れたら足で蹴って上手にネットの上まで飛ばすようになってくる。


『キャー、とんだー』

『行くわよー』

『えい!』

『これでどうだ―』と、みんな夢中だ。お爺さん2頭は大丈夫かなー。


「疲れたら適当なところで休憩してくださいね」

『まだまだ行くぞー』キングスがやる気になっている。それに対抗して、

『わしもまだ大丈夫だ―』とジジさんも続けるみたい。

 

 かなえは一旦、ルークスの小屋に行き、ミルクを替えウオッシュできれいにする。ルークス、もうミルクを残さないようになって来たな。

「シロン、ルークスのミルクは増やしてもいいの?」

「はいこれから少しづつ量を増やして行きます。次回から哺乳瓶を一回り大きいサイズにしましょう」


 もうすぐお昼なのでかなえはジャンプで砂浜に戻り、椅子に坐りるとバレーを見ながらランチにする。

 この砂浜でスポーツ観戦しながらランチを食べる日が来るとは思わなかったよ。

 いつの間にかリトくんとピーちゃんも木の枝にとまって楽しそうに様子見ている。


 あっ、もう13時に近い。

「みんなー私は行くけど、休憩するのを忘れないでね。ルークスもミルクをちゃんと飲んでよ」

 かなえはそう言うと、ジャンプで部屋に戻って行く。







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