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アニマルレスキュー  作者: コトリコトリ
35/229

035 ボール遊び  



「かなえ、かなえ、起きてください。子猫が起きましたよ」

「はーい、起きまーす」

 マリーの頭の上にリトくんがとまって、一緒に子猫達を眺めている。

「みんな、おはよー」

 揃って居間に行くと子猫にミルクを飲ませ始める。かなえの後に付いて来たマリーとリトくんもミルクを飲んでいる子猫を眺めている。


「あら? もしかして……」

 よく見るとタイガの歯茎から小さな歯が生えている。まだちょっと外に出て来た位だから、良く見ないと気が付かない程度だ。


『カナ、カナ、なに?』

 リトくんがどうしたのか知りたそうにしている。

「あのね、タイガの口の中を見てみて。小さい歯が生えて来たでしょ?」

『あら、ほんとね。見えたわ』とマリー。

『すごいねー』と感心しているリトくん。


 そろそろ離乳食も食べさせる時期ね。

「シロン、子猫の離乳食はあるの?」

「はい、あります。子猫用の離乳食の缶詰があります」

 他の2匹の様子を見て、そろそろ始めよう。トイレの訓練も始めないとな。


 かなえは子猫の世話を済ませウオッシュをかけると、リトくんにパンをあげる。

「パン、パン、パン、しらないぱん」

 今日はバナナチップスが入ったパンにした。このパンもリトくん、好きそうね。


 朝食を食べて朝の準備を済ますと、リリララ姉妹のランチを持って、子猫達を届けに行く。タイガに歯が生えてきた事を伝えると、二人は喜んで、

「起きたら見てみますー」と、リリちゃんがいい、「見まーす」とララちゃんも嬉しそうにしている。

 リリララ姉妹にあんなに可愛がってもらって……子猫達にも伝わっているんだろうな。


 部屋に戻って来て、出掛ける支度が終わり……、

「シロン、ピーちゃんは今何してるかな?」

「はい。今、外に出てこちらの方向に飛んで来ます」

 そう、ピーちゃん今日も出られたんだ。

 すると、パサッと音がして窓からピーちゃんが入って来る。


『ピーちゃん、きたー』

 リトくん、興奮して部屋の中を飛び回っている。

「ピーちゃん、おはよう。今日も外に出られて良かったね」

『うん、あたしリトとボールであそびたいの』

「そう、わかった。後で用意してあげるね」


「リトくんもう行くから、飛んでないで、戻って来てー!」

 リトくんは、方向転換をして降りて来ると、ピーちゃんの隣の椅子のところにとまった。

「じゃー出発しまーす」

 かなえは皆を連れて牧場の丘にジャンプする。


「ジジさんおはようございます、調子はそうですか?」

『昨日は久しぶりに動いたから、体のあちこちが居たくて困ったよ』

「えっ! それは大変! シロンお願い」

 ポーチを開けると、いつものジジさん用の飴だけど、注意書きには「筋肉疲労に効く、滋養強壮塩飴 雄牛用」と表示されている。


「ジジさん、はいどうぞ。これを舐めたら少しは楽になると思います」

『そうか、助かるよ』

 ジジさんの口の中に飴を入れてあげると、モグモグと口を動かして舐め始める。すると、

『おお? おおー、こいつは凄いな! 体の痛みが消えて行く様だ』

 良かった。普段運動していないのにいきなり動くのは身体に負担がかかるものね。


「他の皆は身体の調子は大丈夫?」

『あたしは大丈夫よ。最近よく走っているから調子いいわ』とマリー。

『ぼく、げんきー』とリトくん。

『あたしだいじょーぶ』とピーちゃん。

「そう、良かった。それじゃーこのままアニマルドームに出発します」

 

 かなえはみんなと、一気にジャンプして、アニマルドームの砂浜に着いた。

 キングスがヘトヘトになって、ルークスのボールの相手をしているのが目に入る。

 わぁーキングスがんばってるなー。


「おはよう、キングス、ルークス、朝からボールで遊んでいるんだー。キングス大丈夫?」

『わしは……ちょっと、マリー変わってくれ』

『いいわよー!』マリーはキングスに変わってルークスのボールの相手をし始めた。

「キングス、ご苦労様。体調はどう? 無理してない?」

『ああー、もう体中が怠くて……もう年には勝てぬな』


「シロンお願い」

 かなえはポーチを探ると、ジジさんのと同じような飴が入っていて「筋肉疲労に効く滋養強壮塩飴 雄馬用」と表示されている。

 かなえはキングスの口の中に入れてあげると、


『おおー、この塩味がたまらん。うん? なんだか身体が軽くなってきたぞ……』

 と、驚いている。

 良かった、キングスも飴の効果があったみたい。

「キングスも、ジジさんもあんまり無理しないでね]

『はは、そうだな』と、キングス。ジジさんもうなづいている。


「シロン、リトくん達が遊べそうな物はある?」

「はい、どうぞ」

 ポーチを探ると細い竹の様なもので出来た小さいボールが出て来た。表示には「良く跳ねるボール小鳥用」と書いてある。軽くて、小鳥でもつかみ易いようにネットになっているので、リトくん達にピッタリかも。


「はい、これがリトくんとピーちゃんのボールね。一緒に遊んでね」

『わー、ボール!』リトくんは大喜びで、ボールに近寄って来て口ばしで咥える。ピーちゃんも『ヤッター』と喜んでいる。


 それにしてもルークスは凄いなー。さっきから少しも休まずに走っているけど疲れたようには見えない。やっぱりユニコーンは身体能力が普通の動物と違うのかな……。

しばらく、ルークスの相手はマリーに頼もう。


 それじゃー、私は行くわねー。

 かなえは牧場の牛舎にジャンプでやってくる。

 何処も問題は無さそうだな。

 かなえは、順番にウオッシュをかけ、牛舎の中をきれいにしていく。

 設置した大きな鏡が曇っていたので、ウオッシュでピカピカにしておく。牛達が来て、顔を近づけて観察していたのかも。

 以前より牛舎に牛が来ているのか、餌と水の減る量が増えた。

 こんな感じかな……。


 かなえは牛舎の掃除を終えると、昨日収穫したフルーツをスミス夫妻に届ける事にした。夫妻の家は牛舎から直ぐなのになかなか会うチャンスが無い。


「カン、カン」

 かなえは玄関のノッカーを鳴らすと、

「ハーイ」と、メラニーさんの声がして、扉が開いた。

「あらー、かなえ。良く来てくれたわねー。どうぞ入って」

 ちょっとフルーツを渡すつもりだったけど……メラニーさんが、とても歓迎してくれる。


「すみません、急に。フルーツをもらったのでお裾分けです」

 かなえは、フルーツを渡すと、居間に入って行きソファーに座る。

「ありがとう。こんなに沢山。嬉しいわ」

 良かった。喜んでくれたみたい。


「あのージョンさんは?」

「ジョンわねー、最近家具作りに凝っているのよ。体調もいいしかなえに牛舎を任せる事が出来たから、趣味を再開出来て毎日何かしら作っているのよ」

「そうですかー。それは良かったですね」


「秋には収穫祭があるでしょ? ジョンは家具を出品しようと今から頑張っているの」

 メラニーさんによると、近くのドームで毎年収穫祭が行われ、ジョンさんのように家具を出品したり、収穫した野菜やフルーツ、キルト等の手芸品、コーヒーカップなどの焼き物、手作りのお菓子なども出品し、皆で自慢の腕を競い合うそうだ。メラニーさんも何かパイを作る予定らしい。


「そうですかー、楽しそうですね。私、そうゆう手作りの掘り出し物を探すのが大好きなんです。行くのが楽しみだなー」

「そう? あなたも何か出品したら、もっと楽しいわよ」

「えっ……そうですね。何か考えてみようかな」

 

 うーん。特に何か得意な事は無いしなー。

 ジョンさんもメラニーさんも、楽しそうで良かった。このミルクドームの牧場でこれからも暮らすと決めたから、気分も良いんだろうな……。


 かなえも最近あった動物ギルドでの事、子猫の面倒を看ている事などを話した。丁度思い出したので、動物ギルドの手提げ袋も渡しておく。

「あらー! ステキな手提げ袋ね。ありがとうかなえ。使わせてもらうわ」

 

 美味しい手作りのピーチパイとジンジャーティーを頂き、お土産にもパイをもらってお暇する。

 お邪魔して良かった。メラニーさん達の様子もわかったし、収穫祭の事も聞けた。たまには顔を出そう。


「かなえ、そろそろラウンドカフェのパーティー料理を取りに行く時間です」

「は? そうだった! シロン、今何時?」

「10時50分です」

 良かった。まだ間に合うわね。

「シロン、ありがとう」

 

 かなえは、牧場からラウンドカフェの前にジャンプする。

 お店の中に入って行くと、昨日対応してくれたお姉さんが、

「お料理出来てますよ」

 と、言いながら大きなお皿で3つ、ご馳走が綺麗に並んでいるのを見せてくれる。


「わー、美味しそうですねー」

 お店のお姉さんが、つぶれない様にお皿を重ねて、大きな布で包んでくれた。 

 ずっしりと重く、かなえが一人で持てるギリギリだ。


「気を付けて運んでくださいね」とお姉さんに言われ、かなえはゆっくりと運びながらお店を出ると、誰も見ていないのを確認してジャンプで自分の部屋に戻って来る。

 はぁ―重かったー。おいしそうな匂いがするが冷めないうちにポーチのフォルダにしまう。


 次は……アニマルドームの動物達の様子が気になったので、砂浜にジャンプする。

 辺りは、皆が走り回ったような足跡がたくさんあるけど、誰も居ない。


「シロン、皆はどうしてる?」

「ルークスは自分の小屋で休んでいます。キングスは橋を渡って少し行ったところで草を食んでいますし、マリーは穴を掘っています。ジジは休んでいますし、リトとピーちゃんは島の高い木の上に居るようです」

 皆、それぞれの時間を過ごしているようで良かった。


「シロン、ユニコーンって他の動物と比べて、身体能力が高いの?」

「はい、おそらく今のルークスで、普通の馬の1.5倍、大人になれば4、5倍のパワーは出せるようになるでしょう」

「そうなんだ、凄いんだね」

 このままではルークスの相手でみんなへばってしまうだろう。


「シロン、ルークスを運動させるにはどーしたらいいかな?」

「それでしたら泳ぎを教えたらどうでしょう? 水の中は体力も余計消耗しますし、ルークスにはピッタリだと思います」

「そうねー。それは良いかも」

 後で、キングスにも聞いてみよう。


 かなえはルークスの小屋にジャンプする。横にはボール遊びで疲れたのか、グッスリと眠るルークス。ミルクが空になった哺乳瓶を新しいのと交換し、小屋全体とルークスにウオッシュをかける。

 

 本当にユニコーンて、きれいだな。真っ白な毛並みに長いまつ毛。今は閉じている青い透き通った瞳。たて髪はライトグレーだ。

 しばらくルークスを眺めていたが、おなかが空いて来たので砂浜の、テーブルにジャンプする。


 ポーチのリストの食事から、ラウンドカフェで買っておいたプロの実入りの焼きそばと、総菜屋のサラダに、アイスレモネードを取り出し食べ始める。

 毎日美味しいものが食べられて幸せー! こんなヤシの木の植わっている砂浜で美味しいものが食べられるなんて……贅沢だなー。

 暫らくボーっとして湖を眺めていると、キングスが向こう岸から橋を渡ってかなえの所までやって来る。


「キングス、ゆっくり出来たのー?」

『ああ、そろそろルークスが起きるから行ってやらないと』

「キングスちょっと待って。ルークスの事で話があるの」

 通り過ぎようとするキングスをかなえは呼び止めると……、

 ルークスの身体能力の高さと、このままでは周りの動物達に影響が出る可能性を伝え、泳ぎを教えたい事を言うと、


『泳ぎかー……』

「わたしにやらせてくれない?」

『そうだな。頼むよ』

「良かった。それじゃー今日の午後にでもまた来るから、その時にね」

『わかった。ルークスにも伝えておく』

 そう言うと、キングスは足早にルークスの居る小屋の方へ去って行った。

 

 かなえは食事を終えると自分にウオッシュかけ、動物ギルドの2階の自分の部屋に戻って来る。

 

 





 

 

 

 











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