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アニマルレスキュー  作者: コトリコトリ
16/229

016 動物ギルドの準備 


『カナ、カナあさだよー。パンちょうだい』

 うぁー……良く寝たー。

「おはよー、リトくん」

 

 初めての、自分のベットでの目覚めは最高だ。


 窓から爽やかな朝の光が降り注いでいる。住宅街なのでとても静かだ。少し開けておいた扉の隙間から、リトくんが入って来てベッドのヘッドボードにとまっている。


  昨日の乗馬やパーティの疲れは全く感じない。


 若いっていいなぁー……。

 

 かなえはベッドから降りると、リビングに向かった。

 ポーチから昨日のパンを出すとリトくんにあげる。


『パンパン、パンパンおなじパン』

 えーっ! 同じパンだめなのー? それでもおいしそうに食べてるから、まぁいいか。


 かなえは朝食をどうするか悩んだが、一旦オアシスインの自分の部屋に戻り、オアシスカフェに行くことにした。

 

 リトくんは、ここで寝るそうなので窓は少し開けたままにして、ジャンプして行く。

 

 オアシスカフェで朝食を済ませ、自分の部屋に戻って来ると、今日は何をしようかと考える。

 

 オアシスインに確認すると、今夜を合わせてあと3泊出来るそうだ。最初に1泊分払って、そのあと1週間延長して1泊おまけしてくれたので全部で9泊することになる。


 今日のうちに準備しておくことは……。

 

 ここを出たら自炊をすることが増えるから、食材や調味料、飲み物も用意しておこう。

 それなら、まかない亭の並びの店で揃いそうだ。

 あとは……ジョーさんの手の具合と、家具の進行度合いも見て来よう。

 

 シャワーを浴び服を選ぶ。

 今日は、ストライプのワンピース。ウエストはグレーのリボンで結んである。袖がふんわりしていて、女の子らしい感じだ。

 

 

 かなえは、9番通りの細い路地の商店街へジャンプして、インビジブルを解除した。

 

 この、まかない亭もある路地は狭くて馬車は通らないので、ゆっくり道の真ん中を歩きながら左右の店を行き来できる。

 

 大き目のリュックを用意して、買ったものはその中に入れ、少しづつポーチの買い物フォルダに移動させていく。


 今のところ買ったのは、何種類かのお茶の葉、パンケーキミックス、メープルシロップ、雑穀グラノラ、ドライフルーツ、ナッツ、ヨーグルト、豆乳、コーヒー豆、コーヒーメーカ―、フルーツ数種類、サラダ用野菜ミックス、シナモンやカレー粉などのスパイス類、それからお米も。


 そうだ、何かお菓子を作って新居の両隣の人に挨拶に行こう。


 動物ギルドをを始めて人の出入りが多くなると、何かと迷惑をかけてしまう可能性もある。

 なのでクッキーの材料とラッピング用の包装紙も購入した。

 

 それから……コーヒーカップやコップ、お皿にフォーク等のカトラリーセットも5セットづつ買っておこう。

 

 そして、パン屋さんでいろんな種類のパンを5個づつ買っておいた。買い物フォルダにしまっておけば、劣化しないので心配ない。これでリトくんもしばらく楽しめるだろう。


 こんな感じかな……。


 サンドウィッチの詰め合わせとアイスコーヒーを買って、ジョーさんのところへ向かった。

 

 9番通りを歩いて行くと職人街のはずれにあるジョーさんのお店に到着した。扉を開けるとお店の中は片付いている。床に落ちていた木くずも掃除されていた。


 良かった。ジョーさん、掃除する意欲が沸いて来たんだ……。

 奥の方で「シュッ、シュッ」と何かを削る音がする。


「すみませーん」かなえが声をあげると……中の音が止み、

「ハーィ」と低い声がして足音が近づいてくる。


「あーあんたか」

 ジョーさんが声を和らげる。顔色は前より大分良くなっている……。


「こんにちは、ちょっと様子を見に来ました。どうですか? 手の調子は?」


「ああ、手は調子がいいよ。あれから一度も痛みを感じないし、指も以前のように曲がるようになった」


「そうですか、でも無理は禁物ですよ。あの、これサンドウィッチの差し入れです。たまに休憩もしてくださいね」

「それゃーありがと。集中していると、食べるのを忘れてしまうんでね、助かるよ」


「家具の方はどんな感じですか?」

「もう今日中には出来上がるよ、ちょと見てみるか?」


 そう言いながら、ジョーさんは奥に歩いて行くので、かなえも後に続いた。


 そこにあったのは、動物ギルドのカウンターのはずだが……。 

 

 丸みがある、大きな切り株が置いてあった。彫刻されている鳥やリスは、まるで生きているみたいだ。


「素敵! 可愛い! これ私のカウンターなんですか!?」

 切り株の断面の部分が台として使えるようになっている。


「こんな素敵な家具、見たことないです!」

「ははっ、そうか。あんたが好みそうなのを想像して作ってみたんだが、当たっていたようだな。後は、この部分を削って全体に軽くツヤを出せば出来上がりだ。明日にでも運べるよ」


「うれしいです。ありがとうございます!」

 かなえはもう一度お礼をいい、明日の届けてもらう時間を確認して、ジョーさんのお店を後にした。


 あー良かった。良い家具を作ってもらえたな。


「シロン、今何時?」

「11時半です」

 ちょっと早いけどランチにしよう。


「シロン、この辺りでお勧めのレストランはどこ?」

「まかない亭以外でしたら、鉄板カフェです」

「えーなんだろ……おもしろそう! 住所は?」

「5S9番通りです」

 

 ここからすぐなんだー。

 かなえはそのまま歩き店の前に着いた。お店はお昼前だからか、まだ空いている席がありそうだ。


 中に入って行くと、お店の人に案内される。

「いらっしゃいませ、お1人でしたらこちらの席にどうぞ」

 かなえはカウンター席に座る。

 

 壁側には、カットされた野菜や麺類にご飯。お肉のような練り製品、数種類の豆が並び、その横に様々な調味料やソースが並んでいる。お客さんが順番に並んで、大きな皿に自分の好きな物を乗せて、重さを量りお金を払っているようだ。


 バイキング形式の様だがちょっと違うような……。もう少し見ていると、会計した後の食材を従業員の人が、大きな丸い鉄板に入れて炒めている。

 

 ふーんそうか。自分で選んだ材料と調味料で炒めてもらったものを食べるんだ。

 

 おもしろそー。かなえも列に並びトレイの上にお皿を乗せると食材を選び始めた。まずキャベツに、ニンジンの千切り、玉ねぎに……薄切りのお肉みたいなもの、それから焼きそばのような黄色い麺を乗せる。


 調味料は、ソースっぽいこれを入れて……。

 少しだけ赤い唐辛子のような粉と、鰹節のようなものも乗せる。

 

 かなえの前の人は細身の男性で、これでもかって感じで大盛りに食材を乗せ、調味料もタップリかけている。ちょっとそれは乗せすぎなんじゃ……。


 その男性の順番が来て炒めてもらい始めた……お皿がはみ出そうにいっぱいになっていたが想像よりおいしそうに見えた。

 

 かなえは自分の出来上がった料理を受け取り、席に戻って食べ始める。

 

 よかった! 焼きそばの味に似ていて、ちょと薄味だけど野菜の甘みも出ていておいしく出来た。量も丁度良さそうだ。


 周りを見回してみても、結構おいしそうなものが出来上がっている。このお店は面白いし繁盛しているみたいだ。


 知らない調味料や食材に挑戦で来ていいかも。また来よう。

 かなえはお腹がいっぱいになりお店を出た。


 自分でも料理をしたくなって来たので、一旦新居に行き隣の人にあげるクッキーを作ることにした。


 ジャンプで戻り、クッキーの材料を調理台に並べる。大きなボールは無かったので、中くらいの鍋に材料を順番に入れ軽く混ぜる。オーブンを温めておいて、生地を伸ばして……型はコップを使い、丸く型を抜いて行く。


 鉄板にオイルを塗って丸く抜いた生地を並べて……温度設定が分からなかったので、弱めにして、鉄板をオーブンに入れた。


 しばらくすると良い匂いがしてきて、中を覗くときつね色で出来上がったようだ。クッキーを取り出し調理台に乗せ、味見をすると……、


 おいしい! サクサクして、ドライフルーツの酸味が効いている。

 大きめの雑穀とドライフルーツ入りのクッキーが出来上がった。

 

 冷めると6枚づつラッピングしてリボンを結ぶ。5袋出来たので劣化しないようにポーチのフォルダの中にしまっておく。

  

 これでよしっと……かなえは後片付けを終えると、お湯を沸かし、ハーブティーと型崩れのクッキーでお茶にした。

 

 ゆっくりソファに座りながらお茶の時間を楽しんでいると、昨夜のパーティーでの出来事を思い出した。

 

 確か女神さまが何か言っていたな……。


「シロン、昨夜、女神様が何かくれるって言ってたと思うんだけど……」

「はい、女神様は、かなえのブレスレットに機能を追加するとい言われました」

「あー、そうだった。どんな機能が追加されたか教えてくれる?」


「はい、まずジャンプ機能に追加がありました。今までは、乗り物を出して、ジャンプする必要がありましたが、これからは乗り物を出す必要はありません。かなえが直接ブレスレットに触りながら、行き先を言えばそこに移動できます。ジャンプした場所に着いた時は自動的にインビジブルになる設定になっています。尚、この設定はいつでも変えられます。」

 

 ふーんなるほど。それは使えそうね。特に部屋から部屋への移動はしやすいかも……。


「もう一つは、動物の怪我の原因や今の状態を、画面に表示することが出来る機能です。動物と会話が成り立つときは、症状を直接聞くことも出来ますが、重傷で気絶していたり、離れたところにいたら、状態を判断出来ない時もあります」

 

 うーん、凄い機能かも。それじゃー試しにリトくんを見てみよう。

「リトくんの今の体の状態を見せて」

 すると画面が切り替わり、リトくんが飛んでいる映像が出て来た。そして画面の左端に「パワー4、健康度9」と表示された。


「その表示されている数字は本人の一番良い状態を10とした時の数字です。パワーが10のうち4になっている時は、大分減って来ている事になります。健康度が9は問題ない数字でしょう。


 例えば重症な場合、健康度やパワーの数字が低くなります。その時健康度の表示をクリックすると、重傷の詳細や、それに至るまでの原因が映し出されます」


 凄すぎる―!


「それじゃー人にはこの機能は使えるの? 例えばジョーさんの手の状態を知りたい時も画面に映し出されるの? それってプライバシーとかあるじゃない?」


「はい、もし抵抗があるようでしたら、映像は出さずに、今の状態の数字だけ表示してください」

 

 なるほど……それならいいかも。それじゃー試してみよう。


「ジョーさんの今の状態を表示させて。映像抜きで」

 

 すると、画面が切り替わり名前、性別、住所の他に、パワー6、健康度7と出た。なので健康度7をクリックして詳細を表示させると、内臓、睡眠不足、ストレスの度合いが出て、手は大丈夫のようだ。これは間違いなく今迄の不摂生が影響している。

 

 悪くも無いけど、良くもないなー。また何日かして、数字を確認してみよう。

 女神様にもらった機能は凄いな。ちゃんとその力を生かせるように頑張ろう。


「今何時? はい16時になります」

「リトくんはどこにいるかな?」

「はい、オクタゴンのベルハウスの横の木の枝にとまっています」

「そうか、なんだ。パワー4だと、まだお腹空いていないのかな?」


 シロンと話していると下で小さく「カタッ」と音がした。なんだろう?

 下の階に降りて行き、部屋を見渡すが何の変化も無い様だ。


「シロン、どこから音がしたかわかる?」

「おそらく、扉の横に付いているポストに何か郵便物が入ったのでは?」

「えっ? ポストなんてあったかな?」

  

 かなえは扉の辺りを見てみるが……もしかしてこれ? 壁と同じ色で板が張り付いている。板を触って上下に動かすとスライドし、中から郵便物が転がり落ちた。


 板を全部外してみると、外からの光が漏れている。ポストが壁に埋め込まれていて気が付かなかったんだ。

 

 かなえは外した板を元に戻し、郵便物を持ち上げ送り主を見ると……印刷職人の店からだった。

 

 ヤッター、カードが出来たんだ!

 かなえは、その場で包装を開け、中身を取り出した。すると印刷されたカードの束が入っていた。鳥のマークが良く出来ている。大きさはかなえの知っている名刺より一回り大きい。

 

 これで500枚かー。結構あるな。

 文章も注文通りで「動物ギルド」「アニマルレスキュー」「動物のことなら何でもご相談ください」と表示され、かなえの名前と住所が載っている。 

 


 よし、これを今まで会った人たちに配ろう。かなえはポーチにカードを閉まった。




――――――――――――――――――――


<かなえのIDカード>

 表示

 名前  カナエ リュウゼン

 年齢  16才

 職業 動物ギルド長

 特技  動物の世話、歌声  

 ポイント 10000

 お財布 10000

 パワー 5 

 ――――――――

 非表示

 名前  竜禅かなえ

 年齢  16才(32才)

 職業  アニマルレスキュー、女神様の子分

 特技  人間、動物とのコミュニケーション、癒しの声

 持ち物 ブレスレット、ポーチ

 

 ポイント

 プラス  0

 マイナス 1万5千 新居のキッチン用品、食材など

       1千 ジョーさんへの差し入れ

       1千 ランチ、鉄板カフェ


 残り   97万3400

 パワー  498


 ――――――――――――――――

 動物ギルド用 

 

 マイナス 15万(ジョーさんの家具)

       3万(看板)

       5千(ギルドのカード)



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