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アニマルレスキュー  作者: コトリコトリ
11/229

011 オクタゴン

 

 

 次はオクタゴンね。まずは……インビジブルで姿を消して。

 スクーターに乗り……。

「ジャンプ」


 北通りと一番通りの角の貯水池の前に出た。

 初めてオクタゴンに来たときに、ピーちゃんを取り逃がした場所だ。

 入口の守衛さんにIDを見せて行き先を告げると、すぐ横のカウンターに行くように言われる。


「すみません。ギルド科に行きたいんですけれど……」

 カウンターの受付のお姉さんは濃紺の制服を着ていて、まるでフライトアテンダントのようだ。行き方を教わると通路に入ってく。

 

 八角形のオクタゴンの建物は八つの棟に分かれていて、入口も八つある。かなえは第1エントランスから入り農業棟を抜けていく。

 

 ……随分広いんだなー。

 

 隣の棟に行くのにかなりの距離がある。

 幅の広い農業棟のメイン通路を多くの人が歩いている。女性は紺色のワンピースの制服、男性は白い袖がゆったりしたシャツを着ている人が多い。私服の人はかなえのようにビジターなのだろう。

 

 通路の両側は農業関連の事務所になっているようで、野菜、フルーツの栽培、穀物、花、土、種、肥料等と表示されている。


 第2エントランスに着くと商業棟に入り、メイン通路を歩いて行く。

 結構歩いたな……。


 始めはキョロキョロと周りを見ていたがだんだん飽きて来る。

 

 やっと、ギルド科の扉をみつけ中に入って行くと、長いカウンターに3人窓口の人がいて、それぞれ3,4人の列が出来ている。かなえは手前の列に並んだ。


 ギルドってどれぐらいの種類があるのだろう。かなえが担当する予定の動物関係の仕事は、今までハローギルドが請け負っていたみたいだが。


 中は広く図書館のような落ち着いた雰囲気で、ほのかに古本のようなにおいがする。奥の窓からはセンターパークの木の周りを、小鳥が飛んでいるのが見える。

 

 かなえの順番が来た。

「あのーギルドの新設の申請をしたいんですけれど……」

「はい。では、こちらに記入し提出してください」

 受け付けたのは30代半ばの女性。やはり紺色の制服を着ている。

 記入した書類と、不動産ギルドの仮契約書を提出し順番を待つ。


「カナエ、リュウゼンさん」

 やっと、呼ばれてカウンターの前に行くと……。


「それでは、こちらが許可書です。この後、3階のギルド室に行ってください」

「あの、これで『動物ギルド』は営業出来るんですか?」

「はい、手続きは完了しましたので、今すぐにでも始められます」

「そうですか、わかりました」


 かなえは手続きを終えるとギルド室へ向かった。

 

 ……階段は、商業棟に入ってすぐのとこにあったはずだ。 

 階段を見つけると3階まで上がって行く。

 天井が高いから階段も多いなぁー。

 

 3階に着き、しばらく歩いて行くと、ギルド室の扉を見つけ中に入って行く。

 教室ぐらいの広さの部屋で、事務仕事をしている制服を着た人が3人。

 一番扉に近い女性に……、


「すみません、ギルド科から来ました。ここへ来るように言われたんですけど……」

「はい、カナエ、リュウゼンさんね。こちらへどうぞ」

 付いて行くと奥の扉をノックして……、

「室長、カナエ、リュウゼンさんがいらっしゃいました」

「どうぞ」

 男の人の声がする。


 中に入って行くと、前の部屋の倍ぐらい空間に、男性が机の前に坐り書類に何か記入をしている、白髪の60代ぐらいの年配の人。白いシャツにジャケットを羽織っている。

 

 ……結構、偉い人みたい。


「やぁ、いらっしゃい。よく来たね。どうぞ坐って」

「はぁ……こんにちは」

 随分と、親しげだけど、どこかでお会いしたかな……?


「あなたの事は、妻と孫に聞いていてね、お会いしたいと思っていたのだよ、丁度下に来ていると聞いて、来てもらったんだ」

「えっ? 私、奥様とお孫さんにお会いしましたか……?」


「あー、わからないか……リアのピーちゃんを探してくれたのはあなただろう?」

「えっ? あの……もしかしてリアちゃんのおじい様ですか?」

「ああ、そうだよ。世話になったね……もう見つからないと、あきらめかけていたんだが、あなたが見つけてくれて助かったよ」

「はあ……どういたしまして」

 

 ……本当はブレスレットの力を使って見つけただけなので恐縮してしまう。

それに、リアちゃんのおじいさんがギルド室長だなんて……。


「あなたは今日、動物ギルドの申請に来たそうだね。何か私に出来ることはあるかい?」

えっ!? 急に言われても……。


「あの、まだ何も始めていないので、何か準備するために必要な事を教えていただけますか?」

 かなえは室長からわかり易く説明してもらうと、もう一つ気になっていたことを質問した。


「あのー、実はミルクドームの農場で働かないかと言われていまして、動物ギルドとの掛け持ちは可能なのかどうか教えてもらえますか?」

 

 この質問にもアドバイスをもらう。結論から言うと、掛け持ちは可能とのこと。まずは出来る所まで自分でやり、人手が足りなければ申請すれば派遣されると言われ……、概ね他の人が言っていたのと同じだった。

 

 最後にマーブルトークを受け取り、室長にいつでも連絡していい許可と、リアちゃん訪問のお誘いをされ退出する。


 全ての用事が終わりオクタゴンから出る。

 次は、不動産ギルドね……。

 書類が揃ったのでもう一度不動産ギルドに戻る。

 

 ジャンプして……不動産ギルドの中へ入って行く。

 受付の赤いドレスの女性の所へ行くと、

「あら、あなた。オクタゴンには行って来た?」

「はい、この許可書を貰って来ました」

「良かったわね。一度で通るなんて凄いわ!」


「えっ?! 許可書って簡単にもらえないモノなんですか?」

「そりゃ、そうよ。すぐ許可書がもらえたらいくらでも増えちゃうじゃない。結構審査は厳しいのよ」

 そうなんだ。そんな簡単じゃなかったんだな……。


「それじゃーこれが、家の鍵よ。あとは家具と、看板が付いたらいつでも始められるわよ」

「家具屋さんや看板屋さんで購入すればいいんですか?」


「ギルドを開設する為の準備金が支給されるから、自分の負担は自宅用の家具や食器ぐらいかしら」

 そうなんだ……それは助かるな。


「あのー、家具や看板、生活雑貨を購入出来るお勧めのお店はありますか?」

「そうね、時間があるなら作ってもらえるところもあるけど……あなたみたいにすぐ揃えたいんなら『リサイクル倉庫』がお勧めよ」


「えっ、リサイクルって中古屋さんですか?」

「そうよ。掘り出し物があって楽しいわよー」

「一応、家具職人がやっているお店も教えてあげるから、リサイクル倉庫にも行ってみなさい……それと看板屋には自分のギルドの名前と好きなマークを決めて造ってもらいなさいね」


「はい、わかりました」

「じゃー、がんばりなさいよ」

「ありがとうございます」

 お礼を言い、お店の住所をもらうと不動産ギルドを後にした。

 

 やったー、私は今日からでもあそこで住めるのね……嬉しいな! 

 住むところと仕事が決まり次に進むことができる。

 あとは―……ハローギルドに行って報告したほうがいいわね。


 ハローギルドに着くと、再び黒髪の人の前に並ぶ。

「あー、かなえさん、どうだった?」

「はい、不動産ギルドでいい物件があったので、決めてきました」


「えっ、動物ギルドは?」

「はい、動物ギルドの許可書も、もらって来ました。家具と看板があればいつでも始められます」

「今日一日でそこまで出来たんだ。おめでとう! 場所はどこなの?」

「15N5番パーク通りです」


「へー、いいところが見つかったね。ここからも歩ける距離だし……」

「それで、ミルクドームの事なんですけど……しばらく動物ギルドの準備があるので、落ち着いてからお返事をしたいと思います」

「そうだね。わかった。ぼくから、牧場に今の状況を連絡しておくよ。かなえさんのことを相当気に入ったみたいだから、しばらくは待ってくれるよ」

 

 それはとっても助かるかも……。

「はい。よろしくお願いします」


 報告を終えハローギルドを出たかなえは……。

「シロン、いま何時?」

「はい、15時40分です」


 うーん、どうしよう。まだ時間があるから……そうだ、あの部屋に寄って行こう。

 正式に手続きが終わった新居をもう一度見たい。


 ジャンプでかなえの新居の前に到着する。

 鍵を開けて階段を上り、2階の住居スペースに入って行く。

 まだ家具のない広い空間が嬉しくなり、両手を広げてクルクル回ってしまった。

 あー、目が回った……。

 

 ここに、一から自分の好きな家具を置いていけるなんてワクワクする。ここの居間だけで、かなえが日本で住んでいた1DKのアパートの部屋が入りそうだ。あまり物を置かないで、スッキリとした居間をめざそう……。

 どこも汚れてはいないけど、住む前に掃除したいな……。


「シロン、まさか掃除道具なんて無いよね?」

「あります。ですがもっと便利なものがあります」

「えっ、もっと便利なものって何?」

「はい、そのブレスレットを触りながら、きれいにしたいものを思い浮かべて『ウォッシュ』と言えば元の状態に戻ります」


「えー!! 何それ。それって私が使っていいの?」

「はい、本来は怪我をした動物の消毒用に使うものですが、家の中や服にも使用できます」

「凄すぎる!」

 

……じゃあ、試してみるわ。

 かなえはブレスレットに触れて、部屋の中を思い浮かべると……。

「ウォッシュ!」

 サァーと風が吹いたかと思うと……。壁、天井、床、窓、それに照明器具までどれもピカピカになった。


「え――――っ!」

 いい具合に古くて味がある部屋だったのに、何コレ? 汚れとか、ホコリを取るレベルじゃないよ! ……まるで今日建てたばっかりみたいじゃない!?


「シロン、ここまでピカピカってやり過ぎじゃない?」

「どれくらいのレベルまでウォッシュするかは、かなえ次第なので、感覚で覚えてください」


 そうなんだー。ちょっと力が入り過ぎちゃったかな。練習が必要かも……。


 その後、台所やバストイレ、他の二部屋もウォッシュし、感覚をつかんでいく。

 クローゼットの中も掃除しようと扉を開けると……、上に行く階段があった。


「あらっ? こんなところに階段があったっけ?」

 そのまま上って行き扉を開けると、屋上になっていた。

「うゎー、やったー! 屋上も付いていたんだ!」

 

 屋上は、仕切りが無い分、より広い空間になっている。周りはどこも2階建てなので、近くの家の屋上が見渡せる。1番通りの方を見ると、どっしりとしたオクタゴンの建物の上部も見える。

 

 ここなら……椅子を置いてのんびりしたり、バーベキューもできそうだ。


 全ての階をウォッシュし終え、家を出るとリトくんのいる公園まで歩いて行く。

 

「リトくん、いる?」

 あれっ、やっぱりいないかー。

 かなえは他の小鳥たちに、パンをあげるとオアシスインにジャンプで戻って行く。


 


 今日はいろいろ出来てよかったー。部屋も仕事も決まって、掃除まで出来るなんて思わなかったな……。


 お風呂にゆっくり入り、出てくると窓際に見覚えのある小鳥がとまっていた。

『カナ、カナ、パンちょーだい』

 かなえは窓を開けて、


「リトくん、今日はどこに行っていたの?』

『ぼくピーちゃんいたとこいったよ』

 たぶんオクタゴンのセンターパークに行っていたのね。

「そう、よかったね。楽しかった?」

『うん、たのしかった、パンちょーだい』

 

 今日もお腹が空いてしょうがないみたいだ。

 市場で買ったパンをちぎってリトくんにあげる。焼きたてでポーチにしまったので、まだ温かい。あっという間に食べ終わると、毛繕いをしながらもう眠たそうにしている。


「リトくん、今日もここに泊まるの?」

『うん、とまるねる』

「そう、おやすみ」

 

 リトくんが椅子の背もたれで眠ったのを見届け、かなえはオアシスカフェまで夕食を食べに向かう。




 ――――――――――――――――――――


<かなえのIDカード>

 表示

 名前  カナエ リュウゼン

 年齢  16才

 職業 動物ギルド長

 特技  動物の世話、歌声  

 ポイント 10000

 お財布 10000

 パワー 5 

 ――――――――

 非表示

 名前  竜禅かなえ

 年齢  16才(32才)

 職業  アニマルレスキュー、女神様の子分

 特技  人間、動物とのコミュニケーション、癒しの声

 持ち物 ブレスレット、ポーチ


ポイント プラス  2000 (ロバの目の処置 女神様からの報酬)

     マイナス 1500(市場ランチ)

     残り   98万1300

     パワー  498




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