108 森のドームへ
ジミーさんが仕事場にいるのが見えたので、近寄って行くと、
「ジミーさん、そろそろお昼にしましょー」と、声を掛ける。
「そうかい、今行くよ」と、仕事の手を止めるジミーさん。
リリララ姉妹もちょうど、やって来た。
「お昼はピザでもいいかなー?」と、2人に聞くと、
「ララピザすきー!」と、真っ先に答えるララちゃん。
かなえが料理を並べている所にジミーさんも来たので、アツアツの大きなピザをテーブルの上に乗せる。
「ハーイ、じゃあ食べましょう」と、みんなで切り分けたピザにかぶりつく。
大きなピザで、場所によってトッピングが違うので、好きな場所を食べられるのがいい。
「ララのパイナップルとプロの実のピザおいしいよー」と、ララちゃんはもう既にピザソースが口の周りにベッタリと付いている。
かなえはマッシュ―ルームの沢山乗っている部分を選び、リリちゃんはトマトとモツァレラチーズの所、ジミーさんは色々乗っている、ミックスピザを選んだ。
ピザの他には、野菜スティック、ピンクベリーソーダ、ジミーさんにはライムソーダだ。
お腹いっぱい食べて、しばらく座ってお喋りしながら休憩する。
「ララちゃん、行く前に私は猫の様子を見て来るからここに居るか、お家にいてもいいよ」と、かなえが言うと、
「うん、おねーちゃんは?」と、ララちゃんはリリちゃんにどうするのか尋ねる。
「かなえさん、私も猫達を見に行っても良いですか?」と、リリちゃん。
「うん、いいよ。じゃぁー一緒に見に行こうか。ララちゃんはどうする?」
「ララも、猫ちゃん見に行くー」と、ララちゃん。
結局、リリララ姉妹と一緒に猫の小屋へ行く事になった。
ジミーさんと別れ猫達の小屋まで歩いて行く。
子猫達とバニーちゃんは庭の端の方で遊んでいる様だ。
「あー黒い猫がいる―」と、猫の小屋の前に丸くなっている、クーちゃんを見つけたララちゃん。
小屋の前まで来ると「クーちゃん、向こうの家に住んで居るリリちゃんと、ララちゃんよ。よろしくね」と、かなえが伝えると、
「ふーん、そうかい」と、一瞬顔を上げるが興味無さそうにまた丸くなる、クーちゃん。
「クーちゃんは眠いみたいだからそのままにしておこうね。猫達は緊張しちゃうから、あなた達はそこから見ててね」と、かなえはリリララ姉妹に外から眺めるように言い、かなえだけ中に入って行く。
かなえは再びウオッシュを掛けながら小さな声で「猫さん達、具合はどうですか? 気分が悪かったり、痛いところはありませんか?」と、聞いて見るが眠っていて返事が無い。
「シロン、猫達は大丈夫かしら?」
「はい、今は寝ていますが、問題のある猫はいません」
良かった。それならしばらく出掛けて来ても大丈夫そうね。
かなえはそーっと小屋を出てリリララ姉妹と一緒に小屋から離れる。
「さぁー、猫達は寝ていれば回復するみたいだから、もう行きましょー」
かなえは二人を連れて猫の小屋を離れる。
「かなえさん、猫達は元気が無いように見えましたが、大丈夫なんですか?」
「うん、もう大丈夫よ。今は栄養のあるものを食べてゆっくりと休むのが一番大切なの」
「そうですか。私にできる事があったら言ってくださいね」と、リリちゃん。
「うん、ありがとうリリちゃん」
かなえはリリちゃんの気持ちが嬉しくて、心が温かくなる。
「ララもお手伝いできるよー」と、ララちゃん。
「そう。ありがとう、助かるわ。ララちゃん」
その後、家に戻るリリちゃんと別れて、ララちゃんと二人でメラニーさんの家に向かう。
「あーっ、メラニーさんとジョンさんだよー」と、ララちゃんが庭で待っていた二人を見つけて声を上げる。
「すみません、お待たせしましたか?」
「いいえ、私達は早めに来て家の中を見ていたのよー、気にしないで」と、メラニーさん。
「それから、ジョンが持っているコンテナに、森のドームの人へと、かなえにパイが入ってるわ。良かったら明日お出掛けの時にでも持って行ってね」
「わぁー、それはみんな喜ぶと思います」
「えーっ、ララのパイは?」と、悲しそうなララちゃん。
「ララちゃんは、明日、私と一緒にパイを作りましょ? どう?」
「うん! ララ明日パイ作るよー!」と、急に態度を変えて喜ぶララちゃん。
そろそろ出発しよう……。
かなえはジョンさんの持っているコンテナをポーチにしまい、カーペット「中」を出す。
そして、運転席の横に1つと後ろに2つ、ソファーの様な背の低い座り心地の良い椅子を設置する。
「かかなえ、これは何かしら?」と、不思議そうな顔をするメラニーさん。
「どう見ても馬車には見えないなー」とジョンさん。
「これはねー、空を飛ぶんだよー」と、得意そうなララちゃん。
「え……?」「まさか……?」と、かなえの顔を見る二人。
「はい、そうです。本当はジャンプで移動出来るんですが、ララちゃんのリクエストで、このカーペットで行くことにしました。
「エーッ、こんな簡単な装備で空が飛べるの?」と、メラニーさん。
「はい、そうです。私も初めて見た時は驚きましたから、お二人の気持ちは良くわかります。
でもどうか、私を信じてこの椅子に坐ってってもらえませんか?」と、かなえが言うと、
「うん、ララ、かなえさんの隣に座るねー」と、さっさと助手席に座るララちゃん。
それを見た二人も、不安そうな顔をしながらも席に座る。
そうだ。今のうちに二人にも空中階段機能を付けておこう。
「シロン、2人にもリリララ姉妹に付けたのと同じ空中階段機能を付けてくれる?」
「はい、完了しました」
「途中で動物達を乗せて行きます。それでは出発しまーす」と、かなえは声を掛けると、少しづつカーペットの高度を上げて行く。
「わぁー、全然揺れないし音もしないのに、地上から離れて行くわー!」
「おお! どうなっているんだ!」と、2人は辺りを見回してる。
「ほらー、ララのお家とメラニーさんのお家が見えるよー」と、もう飛行に慣れて余裕のあるララちゃん。
後ろの二人は、興奮してしゃべりっぱなしだ。
「シロン、リトくん達はどの辺に居るの?」
「頂上の木の枝に止まっています」
そうか……それならちょうどいいな。
かなえはまず1合目の広場までカーペットを飛ばして行き、空中で停まると、
「ここが、初めに作った山の1合目にある温泉の入口です」と、説明する。
すると少し落ち着いて来た二人が、
「まぁー、こんなところに温泉があるのねー」
「へー、ここは良さそうな所だなぁー」と、興味深そうに観察する。
かなえはその後に3合目を見せ、頂上に向かう。
「リトくーん、ピーちゃーん」と、声を掛けるとすぐ側の木の枝から飛んで来て、かなえの肩にとまる小鳥達。
『カナ、カナ、今行くのー?』と、リトくん。
『もりドームはやくいこー』と、ピーちゃん。
「うん、今から行くからね」
小鳥たちの様子を、不思議そうに眺めるスミス夫妻。
「あとは、もう1か所寄ってから出発します」と、みんなに言うと、雲の上の温泉へ移動して行く。
「まぁー! こんな高いところに温泉があるの?」と、メラニーさん。
「なんだ! ここは。凄いところだな」と、ジョンさん。
かなえは休憩場で休んでいる2頭の犬に声を掛ける。
「リキさん、マリー、お待たせー。出発するから乗ってちょうだい」
すると、起き上がったリキさんが、
『え? これに乗って行くのか?』と、スミス夫妻に負けない位驚いている。
『そうよ、大丈夫だから乗りましょう』と、もう乗った事のあるマリーが先に乗り込むと、
『うーん、そうか。大丈夫かー?』と、呟きながら不安そうに乗り込んで来る。
「シロン、リキさんにも空中階段を付けておいてくれる?」
「はい、わかりました」
「皆さん、お待たせしました。今度こそ森のドームへ向かいます」と、かなえは声を掛け、
シールド、インビジブル、そして最後にカーペットを透過させて。浮上して行く。
「ワァー! カーペットが消えたわー!」
「下が丸見えだー」
『何だこれはー』と、初めてカーペットに乗る二人と1匹は大騒ぎだ。
「皆さん、落ち着いて下さーい。カーペットは透過させただけで、安全ですよー」と、言ってみんなを落ち着かせる。
「もうすぐアニマルドームを出ますので、スピードを上げて行きますね」と、少しづつカーペットの高度と速度を上げて行く。
「もうララのお家が小さくて見えなくなっちゃったー」と、ジーッと観察しているララちゃん。
後ろの二人は慣れて来たのか、静かになって来た。
リトくんとピーちゃんもスピード感を楽しんでいる様だ。
マリーはまだ眠いようでウトウトしている。
そのまましばらくカーペットを飛ばして行くと、鬱蒼と茂った森が見えて来た。
「あーっ、かなえさん、あそこでしょー」と、声を上げるララちゃん。
「うん、そうよ。皆さん、もうすぐ着きますよー」と、かなえは後ろを向いて伝える。
「ジャンプミラーで移動するのも凄いが、このカーペットは何もかもが凄い!」
「そうよ。何がなんだかわからないわ!」と、やっと話し出す二人。
「驚かせてごめんなさい。でも、慣れると楽しいですからね」
「そうだよー、カーペットでどこでも行けるよー」と、ララちゃん。
もう森のドームの上空に来たので、
「どの辺で停めればいいですか?」と、2人に聞くと、
「そうだな、あそこに見える家に行きたいから、なるべく近くて目立たないところにしてもらおうか」と、ジョンさん。
「はい、わかりました」と、かなえは少しづつ高度を下げて行き、ひと気の無い木陰にカーペットを着地させる。
まずシールドと、インビジブルを解除してから……。
「リトくん、ピーちゃん、もう飛んで行っていいよ。帰る時にまた、迎えに行くから」と言うと、
『うん、ピーちゃんいこ―』と、森の中へ『スーッ』と、入って行く。
まだカーペットは透過させたままだか、目立たないのでその方が良いだろう。
「このまま降りましょう。つまづかない様に気を付けてくださいね」と、注意する。
「わぁー、何だかまだ浮いているみたいな感じがするわー」
「そうだな、生きた心地がしなかったよ」と、スミス夫妻には思いがけない空の旅で刺激が強すぎたようだ。
カーペットから降りた、スミス夫妻、ララちゃん、かなえに、リキさんとマリー、みんな揃って森のドームの家に向って歩いて行く。




