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アニマルレスキュー  作者: コトリコトリ
107/229

107 10匹の猫 


『カナ、カナ、パンですよー、おきて―』

「……」


『カナ、カナ、パンちょーだい、おはよー』

「うーん、もう朝か……わかった、リトくん、もう起きるよー」と、言いながらかなえはまだ布団の中に居ると、


『カナ、カナ、あさだよー、おきて―!』と、待ちきれなくなったリトくんがかなえの耳元で鳴く。


『あー、わかった! もーリトくんはー』と、かなえは渋々起き上がると居間まで歩いて行く。


 かなえは、いつもの様にリトくんにパンをやり、おいしいパンのダンスを見せてもらうと、リトくんに森のドームへ行く事を話す。


「どうする? 森のドームに行くけど。行くならお昼過ぎに出発よ」

『うん、ぼくもりドームいきたい! ピーちゃん呼んで来るねー』と、また急いで飛んで行ってしまう。

 

 まだ出発まで時間があるんだけどな……。


 かなえが出かける支度をしていると、リトくんとピーちゃんが窓から入って来る。


「ピーちゃん、おはよう。元気だった?」

『うん、あたし、げんきよ。もりドームに行くの?』


「そうよ。でも出掛けるのは午後からだからまだ時間があるよ。どうする? 山で待ってる?」


『うん、やまで待ってる』と、ピーちゃん。

『いいよー、やまいこ―』と、リトくん。


 

 かなえは支度が出来たので、リトくん達を肩にとまらせ牧場に向かう。


「おはようございます!」


『ほう、今朝はみんな一緒だな』と、ジジさん。

『あなた達、久しぶりねー』と、ババさん。


 リトくんとピーちゃんは、広いジジさんの背中へ飛び移る。

「それじゃー、ジャンプしまーす」と、みんなを連れて移動して行く。


 かなえはもう行こうとするみんなに向かって、

「昨日から猫が10匹、この島に住むことになりましたので、よろしくお願いします」と話すと、


『ねこ10ぴきっていっぱいでしょ?』と、リトくん。

 かなえは両手を広げて「この私の指と同じ数よ」と、言うと、


『わぁー、いっぱい猫だー!』と、リトくんは驚いて羽をバタつかせる。

「そうよ。2、3日したら元気になるから、見に来ればいいよ」と、言っておく。


 リトくん達は話が終わったのでサーッと山の方角へ飛んで行き、

『わしらも行くとするか』と、ジジさんとババさんも、エスカで上空を昇って行く。


 

 かなえは先に猫達の様子を見に小屋まで来ると、昨日の黒猫が小屋の前に丸くなっていた。


「おはよう、黒猫さん。具合はどう?」

『ああ、あんたか。あたしは昨日より大分体に力が入る用になったよ。他のみんなもマシになってるよ』


「そう良かった」と、かなえは中へ入るとウオッシュをかけ、餌とお水を交換する。


 遅くなるので「食事をしてから、また来るね」と、かなえは黒猫に言うとジミーさんの庭へ移動して行く。



「おはようございまーす」と、庭の椅子に坐っている3人に声を掛ける。

「おはようございます」と、リリちゃん。


「おはようございもす」と、ララちゃんはあと一歩。

「おはよう」と、ジミーさんはいつもと同じで穏やかな笑顔だ。


 かなえはテーブルにウオッシュを掛け、朝食を並べる。


 今日の朝食は、ブルーベリーパンケーキにプロの実ソーセージ。

 コーンがたっぷり乗ったサラダとブロッコリのコンソメスープ。

 そしてバナナヨーグルトだ。

 

 飲み物はココナッツパイナップルジュースに、かなえ達はホットアップルサイダー。ジミーさんはコーヒーだ。


「いただきまーす」と、一緒に土曜日の朝食の時間を楽しむ。


「ララね、夢でねー」と、今朝はララちゃんの見た夢の話から始まり、

 リリちゃんは明後日ルルちゃんと会う約束をした話。

 ジミーさんは、今日焼き上がる予定の器の話をする。


「それじゃぁー、今日はみんなどうするの?」と、かなえが聞くと、

「私は、窯の様子が気になるから、ずっとここに居るつもりだよ」と、ジミーさん。


「ララねぇー空を飛んで森のドームに行きたい」と、ララちゃん。

「私は今日は、家で用事をしたりしたいです」と、リリちゃん。


「そう、わかった。それじゃーララちゃんは、お昼を食べたらメラニーさんの家の庭に集合ね」

「はーい!」と、ララちゃん。


 かなえは食べ終わると、みんなと別れて子猫達とバニーちゃんの様子を見に行く。

 

 今はお休みの時間の様で、ドームの間のキャットタワーでバニーちゃんにピッタリくっ付いて子猫達も一緒に眠っている。


 隣のバニーちゃんの庭まではつながっているが、昨日設置した猫達の周りは柵で囲ったままだ。

 

 まだ猫達の具合が良くなるまでは、子猫達が行かない様にしておこう。

 

 大人の猫には軽く超えられる高さの柵なので、元気になったら好きな所で過ごしてもらえるだろう。


 

 かなえはまた猫達の小屋にやって来ると、トイレにもウオッシュを掛け、他にも気になった所へウオッシュを掛ける。


 黒猫は相変わらず、小屋の外で番犬の様に丸くなっている。


「黒猫さん、あなたには名前はあるの?」

『あたしかい? 飼い主にはクーって呼ばれてたよ。たまに黒ちゃんともね』


「黒のクーちゃんね。わかった。私はかなえよ。動物達はなぜかカナカナって、呼ぶのよ」よろしくね。

『そうかい、カナカナだね。これからも世話になるんだから覚えておくよ』と、自己紹介を終える。


 中に入って行くと、何匹か目を覚ましている猫がいたので、

「みなさん、おはよう。気分はどうですか? 痛い所とかないですか?」と聞くと、


『ホントだー……人がしゃべってる』と、驚いて起き上がる白い猫。

「そうですよー。話が出来ますから何か、困ったことがあれば言ってくださいね」


『もう、おれたちは光に帰ったのか?』と、グレーの大柄な猫。


「いいえ、あなた達はみんな生きていますよ。ここはアニマルドームの島です、他にもいろいろ動物達がいますよ。隣には3匹の子猫が暮らしています」


『まぁー、子猫が暮らしているの? 会いたいわー』と、白黒の猫。

「ここでは好きな所へ行き自由に暮らしてください。新鮮なお水と餌は十分にありますから」


『アーッ、そんなの夢みたい―』と、鳴きだすまだ若そうな茶トラの猫。


「皆さん、飼い主の人が光に帰って大変でしたね。体調が良くなるまでここでゆっくりと休んでくださいね」


 話し終えると、かなえは牧場へ移動して行く。

「さぁー、さっさと終わらそーっと」

 

 かなえはもう、メラニーさん達に少しは話したので、ウオッシュの機能も受け入れてもらえるだろう。もう扉の蝶番が新品になっていても目を瞑ってくれそうだ。


 少し曇っていたミルクタンクがピカピカの新品の様になってしまったのは、やり過ぎだったが……。

 

 奥の部屋まできれいにすると、牧場を回りながらウオッシュを掛けて行く。

 

 温泉を設置する許可をもらわないとなぁー。まずは、アニマルドームの温泉を見てもらった方が良いかな。


 牧場の掃除も終わったので、アニマルドームに戻り島の小屋を順番にキレイにして行く。

  

 リキさんの所まで終えたが、もう今日からリキさんは居ないんだと思うと寂しくなる。

 きっといつも一緒に居たマリーはずっと寂しい思いをするだろう。

 

 森のドームに行ったらリンジーに、リキさんをたまにここへ連れて来る許可をもらおう。


 小屋の掃除が終わると、牧草地やプロの実の生えている所を中心にウオッシュを掛けて、山の温泉へ向かう。


 1合目、3合目の温泉と広場をきれいにし、頂上までウオッシュすると、山の上の温泉へ移動する。



「マリーと、リキさん、ここに居たんだ」

『ああ、わしは帰るまでここでのんびりするよ』と、リキさん。

「マリーも、一緒に森のドームに行くなら乗せて行くけど?」


『うーん、どうしようかしら』

「今日はお祭りじゃないから、混雑はしていないと思うけど」


『マリー、一緒に来たらわしのお気に入りの場所へ案内するぞ』と、リキさん。

『そう? なら行ってみようかしら』と、マリー。


「わかった。じゃあー私達がお昼を食べた後、迎えに来るから準備しておいてね」

『ハーイ』

『よろしくな』


 話が付いたので、かなえはシャワードームへ移動して行く。


 

 マリー達以外のみんなは夢中になってシャワードームの中で楽しそうに動いている。

 

 一番重力の軽いジジさん達の所は、飛ぶとフワ―ッと宙に浮かぶ時間が数秒あるのでその浮遊感がたまらない様だ。

 

 キングス達の所もジジさん達よりは重いが重力を軽めにしているので、短い間跳んでいる気分を味わえるようだ。


「シロン、このままシャワードームに入っているのは効果的なの?」

「はい、このままでも贅肉は落ち体力も付いて来ていますが、このままでは飽きて来るでしょう」

 

 そうよねー。もっと何か変化が必要よねー。


「それなら重力をもっと軽くしたりして、時間によって変化させるのはどうかな?」


「それはお勧めしません。体が重力の変化に対応するのが難しくなって来ます。例えば長時間無重力の状態にいると、骨粗鬆症になったり心臓に悪影響が出たりします」


 そうなんだ、これ以上はやめておいた方がいいな。

 その内また違うものを考えよう……。


 

 かなえはジミーさんの庭に移動して来ると、まだお昼には時間があるので誰も居ないようだ。


 子猫達の鳴き声がするので隣の庭に歩いて行くと、シャワードームで遊んでいる子猫達とバニーちゃんを眺めている黒猫のクーちゃんがいた。


「クーちゃん! もうここまで歩いても平気なの?」と、かなえが驚いて聞くと、


『大丈夫さ。子猫達の騒ぐ声が聞こえて気になって来てみたら……これは何をやっているんだい?』と、クーちゃん。


「これはシャワードームって言うのよ。元気な子猫達の為に遊ぶ場所を造ったのよ」

『こんなビショビショになって大丈夫なのかい?』


「フフッ、大丈夫よ。出る時に温風が出て、濡れた毛は乾くのよ」

『へぇー、色々と不思議な事があるもんだ。こんな大きなウサギも見たことは無いし』と、クーちゃん。


「もしよかったら、中に入って一緒に遊ぶ?」

『いやいや、それは流石にやめとくよ』と、本当に嫌そうなクーちゃん。


 かなえは中で遊んでいる子猫達に向かって、

「みんな、この黒い猫はクーちゃんて言うのよ。よろしくねー」と、声を張り上げると、


『うーん。わかったー』

『クーちゃん、よろしくねー』

『クーちゃん、あそぼ―』と、子猫達。


『あたしゃ、子猫の相手をするほどの体力は無いよ』と、クーちゃん。


 

 そうだ、明日にでも猫の庭に温泉を設置しよう。お湯に体に良い成分を入れれば回復も早まるだろう。


 うん、そうしよう。


 

 かなえは、まだ子猫達の様子を眺めているクーちゃんと別れて、ジミーさんの庭へ向かう。




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