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アニマルレスキュー  作者: コトリコトリ
106/229

106 歓迎会 

 かなえはジミーさんの家の前まで来ると、仕事場へ行き声を掛ける。


「ジミーさん、そろそろお昼にしませんかー?」

「もう、そんな時間かー。今行くよー」と、ジミーさん。


 かなえはテーブルにウオッシュを掛けて、ランチを並べていると、ジミーさんがやって来る。


 今日のランチはバジルと松の実がタップリ入ったパスタに、野菜のコンソメスープにブロッコリーとひよこ豆のキッシュとトマトのスライスとモツァレラチーズ。


 飲み物はジミーさんにはアイスカプチーノ、かなえはオレンジマンゴジュースにした。


「ジミーさん、何があったと思います?」

 かなえは、食べながらジミーさんに問いかけると、


「そうだなー、もしかしたらスミス夫妻がこの島に住むって言ったかな?」

「えー?! 何でわかったんですかー?」と、かなえが聞くと、


「そりゃー、ここに来た時から話したくて仕方が無いのを我慢している感じだったからな」

 えーっ、そんなに態度に出ていたとは……。


「そうですか。バレていたんですね。そうなんです。メラニーさん達があの家に住むことにしたって言ってくれて、私もう嬉しくって! ジミーさんはどう思います?」


「私も嬉しいよ。ジョンとはいい友達になれそうだ」


「それで、今日の夕方から新しい家で歓迎会をして一緒に夕食を食べる事にしたんですけど、いいですか?」


「ハハッ、そうかい。私は問題無いよ。リリちゃん達も喜ぶんじゃないか?」


「そうですか。私、勝手に話を決めちゃってすみません」

「いいや。問題無いさ。かなえさんが関わると、物事が早く決まって行くなぁー」


「そうですか?」

 だとしたら、移動時間を節約できるジャンプ機能が使えるからだろう……。


 

 食事を終えてかなえは、メラニーさん達の庭へ移動する。

 

 庭の中心に昨日使用した、大きな丸いダイニングテーブルに、6脚の椅子を設置する。その隣にサイドテーブルを置いて、準備する物を置いて行く。


 テーブルクロス、ナフキン、フォークとナイフに、食器類にグラス。


 色合いは昨日はピンク系だったので、今日はペパーミントグリーンで、お花は昨日の花に黄色と白い花を採って来て加える。


 よし、これでいいだろう。かなえは準備を終えたので、ジャンプミラーのある小屋へ移動する。


 小屋の出る所の壁に「スミス夫妻の歓迎会は、スミス夫妻の家の庭で行います」と、メモを貼り付けておく。


 これでリリララ姉妹もわかるだろう。


 かなえは砂浜に戻り次に出来る事を考えていると、

「トゥルン、トゥルン、トゥルン」と、どこかで聞いたような音がして来る。


「あら? シロン、この音は何だっけ?」

「不動産ギルドからマーブルトークです、受信しますか?」と、シロン。


 そうか、マーブルトークってこんな音だったな……。


「シロン、お願い」と、かなえが言うと、

 画面が立ち上がり、不動産ギルドからのマーブルトークと表示され、声が聞こえて来た。


「もしもーし、かなえ聞こえる―?」

 あら、この声はもしかしてパティさんね。


「はい、こちらはかなえです。パティさんですか?」

「そうよ。ちょっとあなたに手伝って欲しいことがあるんだけど、これから出て来れる?」


「はい、大丈夫ですけれど、何かあったんですか?」


「私が管理している家の人と連絡が取れなくて、動物が置き去りになったみたいだから、かなえにも来てもらった方が良いと思ったのよ」


「そうですか。わかりました。何時にどこへ行けばいいですか?」と、かなえはパティさんに聞き、詳しいことを教えてもらうと、マーブルトークを切った。


 動物達って何頭位いるんだろう……。

 

パティさんとの待ち合わせは今から1時間後だが、かなえはすぐ様子を見に行きたくなる。

「シロン、この住所の家の状態を見られる?」


「はい……わかりました。家の中には猫が10匹ほどいます。大分弱っているようなので急いだほうが良いでしょう」


「えっ? 大変!」

 

 かなえは、一気にその家の前へジャンプして来る。

 この辺りはレンガの建物が並ぶ閑静な住宅街で、猫が十匹も放置されているような様子は無い。

 

 うーん、音は何も聞こえないなー。

 玄関で耳をすましてみるが、外からはわからない。


「シロン、この家には猫しかいないのね?」

「はい、猫が合計10匹居ます」


 まだパティさんとの待ち合わせには1時間近くあるが、中に弱っている猫たちがいると思うと居たたまれなくなって来る。


「よーし! もう先に入っちゃえー!」と、かなえはジャンプで玄関の内側に入ると……。


「わぁー! 酷い臭い!」

 かなえは慌てて鼻をつまみながらウオッシュを何度も掛ける。


 家の中に酷い臭いが立ち込め、床も汚れ壁にも引っかき傷が付いている。

 かなえはウオッシュできれいにしながら1歩づつ前に進んで行く。


 かなえは以前、日本に住んで居た時も似たような経験があった。

 動物保護施設で働いていた時に、飼い主に置き去りにされた動物達を保護した事があったのだ。


 リビングまでたどり着くと……ソファーの上で猫たちが眠っていた。

 かなえが入って行っても『チラッ』っと、見るぐらいでもう体を起こすのも辛そうだ。


「うわぁー、大変!」

 かなえはウオッシュを掛け続け、窓を開けて換気をする。


 奥にはちぎられた餌の袋が散らばっている。

 猫用のトイレはもう目も当てられない状態だった。

 

 猫達も心配だが、汚れた部屋をもう少しましな状態にしないと……。

 かなえは弱っている猫達を確認しながら、奥の寝室のベットまで行くと、IDカードが落ちていた。


 そうか……飼い主がここで光に帰ったんだな。

 ベットの上で横たわっている猫達にもウオッシュをかけ、

「もう大丈夫だから安心して」と、声を掛ける。


 臭いも治まり、床も歩けるようになったので、

「シロンお願い」と、出してもらった小さな白いグミを、猫たちの口の中へ入れて行く。

 そのグミの注意書きには「衰弱した猫用グミ、栄養失調で弱った猫用」と、表示されている。


 一通りグミを与えたので、すぐにでもこの場から猫達を保護して連れて行きたいが……どうしよう。


「シロン、パティさん達が来る前に猫達を連れて行ったらまずいかな?」


「そうですね。では、一番症状の軽いその黒い猫以外は全てケージに入れてポーチにしまい、パティさんが来てから黒い猫を連れて帰れば良いのでは?」


 そうか……弱った猫達は少しでも早く保護したいとなると、猫は1匹だけだった事にした方が移動がし易いな。


「シロン、私もう少し掃除をするから、パティさんが近づいて来たら教えてくれる?」

「はい、わかりました」


 かなえは大きなケージを三つ出して子猫達を入れ、ポーチにしまって行く。

「もう、大丈夫だからねー。もう少しこの中で寝ててね」と、猫達に言いながら。


 ソファーに横になりながら様子を伺っていた黒猫に、


「私はかなえよ。飼い主が光に帰ったみたいで、大変だったね。でももう大丈夫だから安心して。今欲しいものはある?」と、聞くと、


『……それなら水をおくれ』と、体を起こす黒猫。


「ちょっと待っててね」と、かなえは新鮮なお水をポーチから出して黒猫の前に置くと『ピチャ、ピチャ』と、勢いよく飲み始める。


 かなえはこれからどうするかを黒猫に説明する。


「それで、もうすぐ他の人が来るから、私が黒猫さんをケージに入れて連れて行くわ」


『そうかい、もう何でもいいよ……もうすぐ光に帰ると思っていたからねー』と、黒猫さんは少し投げやりだ。


「かなえ、パティさんが近づいて来ます」


「わかったわ……じゃー、そうゆう事でよろしくね」と、かなえは玄関の外にジャンプで移動すると、黒猫用のケージを1つ出しておく。


「あらー! かなえ、早かったわねー。来てくれてありがとう!」と、パティさん。

 白いフリルのスカーフに真っ赤なスーツでとても目立っている。

「ケージも持って来るなんて用意が良いじゃない?」


 パティさんは話しながら、玄関の扉を開けると……、

「あらっ? 動物がいたにしてはそこまで汚れて無いわね」と、言いながら中に入って行く。


 さっきまで凄い状態だったが、かなえがウオッシュを掛け続けて、かなりマシになっている。


「窓が開いてるのねー」と、独り言のように部屋の中を見て回るパティさん。

 しまった! さっき開けたまま窓を閉めるのを忘れてた。

 

「かなえ、奥の部屋にこの部屋を借りていた人のIDカードを見つけたわ。もっと猫がいるって聞いてたんだけど、もうその黒い猫以外は光に帰ったのかしら……」


「そうですか、他にも動物がいた気配がありますからそうかもしれませんね。黒猫は私が保護していいですか?」

「そうね。助かるわ」


 かなえは黒猫を抱えて、ケージの中に入れると、

「それでは帰ります」と、ジャンプでアニマルドームへ移動して行く。

 


 10匹の猫達の小屋はどこがいいかな……。

 もう大人だから好きな所へ行くだろう。

 

 かなえはとりあえず、バニーちゃんの小屋の隣に小屋を設置する事にした。


 10匹なので、バニーちゃんの小屋の倍の大きさにして壁を階段にし、ロフトも付ける。キャットタワーを幾つか置き、台の上にはフカフカなクッションを置く。


 ここまで出来た所で黒猫をケージから出し、他の猫達も小屋の台の上に寝かせる。


「皆さん、今日からここで暮らしてくださいね。ここは広くて新鮮なお水も美味しい食べ物も用意しますから何も心配いりませんよ」と、猫たちに話しかける。


 まだどの猫達も回復していないので、かなえは小屋の中に柔らかいエサと、お水、外に出たところにトイレを設置しておく。



 かなえはそれからも、起き上がれない猫に水を飲ませたり、傷がある猫を手当したりと、世話をする。


「シロン、猫たちの様子はどう?」


「はい、先ほどよりも大分回復して来ています。このまま2、3日安静にしていれば良くなって来るでしょう」

「そう、良かった」


 かなえが世話をしているのを隅で眺めていた黒猫が、

『あんた、みんなを助けてくれてありがとよ』と、お礼を言ってくれる。


「どういたしまして。ここは広くて過ごし易いと思います。何か必要な物があれば言ってくださいね」

 


 かなえは黒猫に、ここのドームの説明を簡単にし、どんな動物が住んで居るか話す。

『そうかい。人間より動物の方が多いんだねー』


 黒猫が眠そうにしているので、

「今はゆっくり休んでください。暫らく寝て居たら良くなりますよ」と、話す。


「そうかい、済まないね……」

 黒猫は小屋の空いている台の上に飛び乗って、匂いを確かめると横になった。


 猫達はひとまずこれでいいだろう。

 今日は歓迎会だから早めに動物達を送って行こう……。


 

 かなえはシャワードームにジャンプしてやって来ると、広場に眠っている動物達を送り届ける。

 リキさんの足に薬を塗っていると、


『いつも、すまないなぁー』と、目を覚ましたリキさんに言われる。


「いいえ、良いんですよ。そういえばリキさん、そろそろ森のドームに帰る日なんですけど、どうします? 私は明日の午後か月曜なら都合が良いんですけど」


『わしは、いつでもいいさ。足もここまで良くなるとは思っていなかったからな。リンジーが驚くだろうな』


「ここにもまた来てくださいね。マリーもその方が嬉しいと思います」

『そうだな、また来させてもらうよ』


「それでは、明日の午後に帰ると決めていいですか?」

『ああ、それなら朝からゆっくり温泉に浸かっておくよ』


「わかりました」


 話が付いたので、シャワードームに戻りウオッシュを掛ける。

 

 

 もうすぐみんなが来る時間だな。

 かなえはメラニーさん達の家にジャンプして、夕食の準備を始める。


 最初にやって来たのはジミーさんだ。

「ここも眺めが良いなぁー」と、湖の方に目をやるジミーさん。


 暗くなる前に、ジミーさんに手伝ってもらって、いくつかアウトドア用のランプをテーブルの上と柵の所や木の枝から吊り下げる。


「わぁー、灯りがキレイねー」と、言いながら庭に入って来るメラニーさんと、ジョンさん。

「今、ジミーさんに手伝ってもらって灯りを取り付けていたんです」と、かなえが話す。


 メラニーさんと一緒にサラダやおつまみなどを先にテーブルに並べ、飲み物のボトルをセットしていると……、


「遅れましたー!」と、リリちゃんがララちゃんを連れて走って来る。

「大丈夫よ。今日急に歓迎会に決まったんだから」


「じゃぁー、メラニーさん達はここに住んでくれるんですか?」と、リリちゃん。

「そうよ。ジョンと私はあなた達の隣に住むの。よろしくね」

「ヤッター! ララいっぱいパイ食べるよー!」と、喜ぶララちゃん。


 

 料理を全てテーブルに並べると「これからスミス夫妻の歓迎会を始めます」と、かなえが声をかけ、みんなで食べ始める。


「ララ、このシチューすきー!」と、ララちゃんは、メラニーさんの作って来てくれたトマトがたっぷり入ったシチューが気に入ったようだ。

「そう? 良かったわ。いっぱい食べてね」と、メラニーさんは嬉しそう。


 いつもの様に、ララちゃんが今日あったことを話した後、リリちゃんが料理教室の事や温泉での出来事を話し、楽しい時間が過ぎて行く。


「でも、私達引っ越しなんて長い間したことが無いから、どこから始めていいかわからなくて、結局今日は何もしていないのよ」と、メラニーさん。


「身の回りの物だけあれば、すぐにでも住めますよ。宜しければ今晩から泊まったらどうでしょう?」


「えっ? 今晩から?」

「いいよー、泊まったら明日朝食も食べられるよー!」と、ララちゃん。


「フフッ。それは楽しそうね」と、メラニーさん。

 おしゃべりな女性達に囲まれ、ジミーさんとジョンさんはもっぱら聞き役に回っている


 かなえは、今日猫10匹を保護した事や、明日の午後からリキさんを森のドームへ送り届ける事、明後日はメラニーさん達がララちゃんの面倒を見てくれることなどを報告する。


「そうですか、猫10匹ですかー」と、驚くリリちゃん。

「ララ、日曜日はパイ食べていいー?」と、パイが大好物のララちゃん。


「え? 森のドームに行くの? それなら私も連れて行ってもらえないかしら?」と、メラニーさん。

 森のドームの管理人に、品評会の賞品の件で話したい事があるそうだ。


「マーブルトークでも済むんだけど、あの時はバタバタしちゃったから、会ってご挨拶したいのよ」


「わかりました。明日は午後に出発しますので、行きたい人はこの庭に集まって下さい」と、伝える。


「それでは、スミス夫妻。この島にようこそ。みんなで楽しく暮らしましょう!」という言葉を最後に歓迎会を終える。


 メラニーさん達は牧場の家へ帰るそうなので、ジャンプミラーのある小屋までみんなで送る。

「それではお休みなさーい」と、声を掛け、リリアララ姉妹も自分の家へ帰って行く。


 かなえはそのままジミーさんと家まで歩き、子猫達と、バニーちゃんの様子を見てから、猫たちの小屋へ見に来る。


 どの猫もぐっすりと眠っている。

「シロン、猫達の具合はどう?」

「問題ありません。だんだん回復しています」

 そうか……良かった。


 今日はここまでね。



 かなえは自分の家へ戻って来る。

 ゆっくりお風呂に入り疲れを取ると、ベットに入る。


 今日もいろいろあったけど、何とかなったな……。

 メラニーさん達が住んでくれることになって良かった。

 

 猫達も良くなっている様だし……。



 かなえは良い気分で眠りに就いた。



――――――――――――――――

 ポイント 

 

 プラス  10万 猫10匹救出(女神様からの報酬) 

      1万 衰弱した猫用グミ10個

 マイナス 4千 歓迎会の用の食事 総菜屋

      1万 飲み物 リッカ―ショップ

        

 残り   216万5400 

 パワー  497


―――――――――――――――― 

 予定  リキさんを連れて森のドームへ行く

     職人達と一緒にミーティング

     動物達を連れてお出掛け

―――――――――――――――― 

 給料30日目  牧場の従業員見習い  15万

        動物ギルド長 20万ー6万(リリララ姉妹の残業代)=14万

        アニマルドーム管理人 30万 




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