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アニマルレスキュー  作者: コトリコトリ
104/229

104 新しい家 

 

 みんなで家の正面まで歩いて来ると、

「さぁ、着きました。中に入ってみましょう」と言い、庭を通って玄関の前まで来る。


 かなえは不思議そうにしているジミーさん以外の人達に、

「この家は、ジョンさんとメラニーさんに、どうかと思うんですがいかがでしょうか?」と聞く。


「いいよー。ララのお家の隣がメラニーさんの家だよー!」と、ララちゃんが嬉しそうに話す。


「え? かなえ、何を言っているの? こんな立派な家が私たちの家だと言われても……」と、メラニーさんが困った顔をしている。


 かなえは先に家の中を見てもらおうと、扉を開けて中に入って行く。

 

「ここは居間です。そこからテラスになっていて、庭へ出られるようになっています。それでこちらは……」と、かなえは二人に気に入ってもらえるようにと、家の中を案内して行く。


 メラニーさん達は話したそうにしているが、家の様子に目を惹かれたようで、かなえの後に付いて来る。


「奥には寝室が3つにバストイレが2つあります、家具付きですからすぐにでも生活出来ます」

 

 家の中は年配の二人にも合うように、落ち着いた雰囲気になっている。

 リリララ姉妹も新しい家を見るのが面白いようで、次々と扉を開けては中を見学している。

 


「次は、離れにご案内しますね」

 かなえ達は家の中を一通り見学すると、玄関から出て左側の建物にやって来る。


「ここは、ジョンさんの趣味の部屋にどうかと思いました」と、かなえはジョンさんを見ながら話す。


 中に入って行くと、窓が広く明るい部屋が広がっている。壁一面が棚になっているので必要な工具などが収納できる。

 

 大きな机が窓際と、部屋の中心に置いてあり作業がしやすそうだ。


「いい部屋だなー」と、ジョンさんがぽつりと呟く。



「次は、もう一つの部屋に行きましょう」と、かなえは皆を連れて、反対側の部屋に向かう。


「こちらがメラニーさん用にと考えた、お菓子を作るためのキッチンです」

 

 天井が高く窓が大きいので、部屋の中が明るい。

 

 中心に広い作業台と水回りが設置されていて、奥の壁には棚と大きな業務用のオーブンが並んでいる。

 それに食材を保存できるコンテナ「大」が、2つ設置されている。


 大きなダイニングテーブルが置いてあり、食事も出来るようになっている。

 雰囲気はモダンなオープンキッチンが付いたレストランの様だ。


「まぁー! 素敵なキッチンね」と、メラニーさんは興味深そうに、中の様子を見て回ている。

 リリちゃんも大きなキッチンに興味があるようで、メラニーさんの後を追うようにじっくりと観察している。


「かなえさん、これもコンテナなんですね」と、リリちゃんは大きな縦型のコンテナを開けて中を覗いている。


「うん、そうよ。これがあると無いとでは全く違って来るでしょ?」

「はい、そう思います」と、コンテナの前で話していると、メラニーさんが近づいて来る。



「かなえ、この大きな入れ物は何なの?」と、メラニーさんが聞くので、


「これは、コンテナと言います。この中に入れておくと、食べ物がその時の状態で保存できます。

 熱いものは熱いまま、冷たいものも冷たいまま保たれるんですよ」と、かなえが説明する。


「えっ? そんな事が可能なの?!」と、メラニーさん。

「そうなんです。このコンテナはとっても便利なんです」と、リリちゃんもメラニーさんに話す。


 ジミーさんも「うんうん」と、頷いている。



「あのー、メラニーさんから頂いたパイがありますから、ここでお茶にしませんか?」と、かなえがみんなに問いかける。


 そろそろメラニーさん達には休憩が必要だろう……。


 かなえはテーブルに案内するとみんなに座ってもらう。

 その間にハーブティーをポットに作り、パイを切り分けてお皿に盛り付ける。


 リリちゃんに手伝ってもらい、みんなの所へ運んで行く。

「やったー! メラニーさんのパイだー」と、ララちゃんは大喜びだ。


 

 みんなでテーブルを囲み、パイを食べ始める。

「あら? このパイまだ温かいわね」と、メラニーさん。


「はい、このパイは頂いた時に、コンテナと同じ機能がある入れ物に保存しておいたので、出来たばかりの状態のままなんです」


「凄いわー! そのコンテナがあればいつでも出来立てなパイが出せるのね」と、メラニーさんが嬉しそうだ。


「はい、もしお店で売る事になればコンテナはとても使えると思います」


 

 しばらくして沈黙していたジョンさんが話し出す。


「かなえさん、この家はとても立派な家なのはわかった。だが、私達には牧場に家があるし、こんな家を借りる余裕はないんだよ」と、ジョンさん。


「あの、この家を利用してもらうのにお金は必要ありません。ジャンプミラーを使えば、いつでも好きな時に行き来できますので、ここへ通ってもらったり、好きな時に泊ったりと、もう一つの家として使ってもらえたら嬉しいです」


「私も、今まで家賃を払った事は無いんだよ」と、ジーミーさんが自分のここに来てからの生活を話し出す。


「ここへ来てからは、毎日かなえさんに世話になっていてね。家も食事も仕事場も用意してもらっているよ。いつか恩返しをしなければと思っているんだが……」と、ジミーさん。


「そんな事、気にしないでください。私はここの管理と、牧場、動物ギルドからちゃんと給料をもらっていますので……」


「私とララも、動物ギルドで働くために来たんですが、今では好きな勉強もさせてもらえて、温泉にも通わせてもらっているんです。それにあんな可愛い家に住まわせてもらってます」と、リリちゃん。


「ララねー、あの赤い屋根のお家、好きだよー」と、ララちゃん。口の周りにパイのクズが付いているのを、リリちゃんが拭いてあげる。


「あのー、私は運よく幾つかの能力を使う事が出来ます。ですからその能力を、動物達や縁のある人達の為になるように利用したいんです」

 

「うーん、でもなぁー」と、ジョンさん。いきなり大きな庭の付いた家に住んでいいと言われても、躊躇するのだろう。


「私達はまだ子供で大人の手助けが必要です。ララちゃんもメラニーさんに懐いていますし、リリちゃんもメラニーさんにお料理を教えてもらえるのを楽しみにしています。ジミーさんは、いつも子供の相手ばかりですが、お二人が来てくれたら嬉しいと思います」


「はい、そうです。私メラニーさんにパイの作り方を教えてもらい、一緒に温泉で売りたいです!」と、リリちゃん。


「幸い、ジャンプミラーで温泉にも行けるようにしていますので、ここでパイを作りすぐ売りに行く事も可能です」



「そんな、夢みたいだわ! でも……」と、メラニーさん。

 

 ドームシティーでパイを売る事はほとんど諦めていたのに、急に実現出来そうになり、どうしていいかわからないようだ。


「急に色々起こって気持ちの切り替えが大変だろう。その話は保留にしてもう少しここのドームを案内してはどうかね?」と、ジミーさん。


 すると、メラニーさんもジョンさんもホッとしたような顔をする。


「そうですね。私の考えを押し付けるような事ばかり行ってしまいごめんなさい。ここの事はゆっくりお二人で話し合って決めて下さい。せっかく来てもらったんですから、ここのドームをもう少し見てもらってもいいですか?」と、かなえが聞くと、


「そうだね。私達はこんなに不思議な事が起こってどうしていいか、今は考えられないよ。暫らく考える時間をもらえると助かるな」と、ジョンさん。


「そうね。でもこんなに楽しい時間を過ごしたのは久しぶりよ。どうなるかわからないけど、たまに一緒にお食事したりはしましょうね」と、メラニーさん。


「はい、お二人が話し合った結果がどうであれ、これからも一緒に過ごす時間は持ちたいです」と、かなえが答え、リリララ姉妹もジミーさんも頷く。


 

 この後どこへ行けばいいか考えたが、とりあえずここから近いかなえの好きな砂浜まで行く事にした。

 

 家を出ると、メラニーさんもジミーさんも名残惜しそうに振り返って眺めている。

 ララちゃんはすっかりメラニーさんに懐き、色々話しかける。


「温泉わねー、泡がブクブク出るんだよー。それでねーお馬さんがねー」と、話が止まらない。

 メラニーさんも楽しそうに相槌をする。


「この先に行くと、動物達の住む小屋があります」と、説明し砂浜まで歩いて来る。

 ジミーさんは今どんな物を作っているか、ジョンさんに説明している。

 

「ここは眺めが良いので私のお気に入りの場所です。メラニーさんの所へお届けしたヤシの実は、あそこから採ったんですよ」と、かなえは近くの背の高いヤシの木を見上げる。


「そうだったのー。かなえのくれるフルーツは珍しい物ばかりで不思議だったのよー」と、メラニーさん。


 そうか、やっぱりフルーツの事も不思議がられていたんだ……。


「あの山の上からララのお家が見えるんだよー」と、山を指して言うララちゃん。

「まぁ! ララちゃんあんな高い山に登ったの?」と、メラニーさん。


「うーん、ララ登ったの?」と、リリちゃんに聞くララちゃん。

 ララちゃんが山の上からの景色を見たのは、ジャンプで移動してみんなで食事をした時だろう。

 

 リリちゃんはジャンプの事を話していいかわからなくて、困っている。

 ちゃんと話した方が良いだろうな。



「あのー、私はジャンプミラーと同じ機能の物を持っていて、あの山の頂上へもそのジャンプ機能で皆で行ったんです」


「ララまた、山に行きたいなー」と、ララちゃん。


「えっ? あの山の上にも一瞬で行けるの?」と、メラニーさんは驚くというより「またか……」と、ちょっとあきれたような顔をしている。


「はい。では、せっかくですから行ってみましょう」と、かなえは他に良い考えが見つからないので、山の頂上へみんなを連れて行く事にした。


「それでは、山の頂上に向かいます」と、一気にみんな揃って移動して行く。

 すると、目の前に広がる景色に、


「おお!」と、声を上げるジョンさん。

「まぁー、良い眺めねー!」と、メラニーさんも頂上からの眺めに心を動かされたようだ。


「ほらー、見てーララのお家だよー!」と、ララちゃんが見ている方には、湖の畔に家が3軒並んでいる。

「ほんとねー。ララちゃんのお家が良く見えるわー」と、メラニーさん。


「メラニーさんのお家はララの隣だよー」と、ララちゃん。

 メラニーさんは何て言っていいか困っている。


「そうね、そうなるといいね」と、かなえが代わりにこたえる。


「この山は、中が空洞になっていて、1合目と3合目に動物達用の温泉があります。この頂上は上まで昇って来た動物達の休憩場にと造りました。」


「ほう。山の中に温泉があるのかね?」と、ジョンさん。


「はい、初めの頃は動物達に人気の場所でしたが、最近はあまり利用されていません」

「まぁー、それはもったいないわぁー」と、メラニーさん。


 

 少しづつ空が夕日でオレンジやピンクに変化して来る。

「きれいな空ねー。それに、このドームは広いのねー」と、メラニーさん。


「はい、ここのドームは出来たばかりでまだ何もありませんが、少しづつ動物や縁のある人に住んでもらうつもりです。ですからジョンさんとメラニーさんにも、ここで暮らすことを考えてもらえると嬉しいです。


「ありがとう、かなえ。良くジョンと話してみるわ。ねぇ?」

「ああ、そうだな。ここが良い所なのはわかったよ。前向きに考えてみよう」


 わぁ、やったー! 

 かなえはジミーさんの方を見ると「ニコッ」と、笑ってくれる。

 きっとジミーさんも上手く行きそうだと思ったのだろう。


 

 そろそろ戻った方が良いな。


「それでは、今日はここまでにしましょう。ジャンプで移動しますね」と、かなえは、みんなを連れて牧場へ通じるジャンプミラーのある島の小屋まで移動して来る。


「今日は、招待してくれてどうもありがとう、とても忘れられない1日になったわ」と、メラニーさん。

「ありがとう、とても刺激的な1日だったよ」と、ジョンさん。


 二人は小屋の牧場行きの鏡の前に立つと「スーっ」と、消えて行った。

「あーあー、メラニーさん、帰っちゃったー」と、ララちゃん。


「ここに住んでくれるかはわからないけど、またメラニーさんのお家に遊びに行こうね」と、かなえが言うと、


「うん!」と、大きくうなづくララちゃん。


 ララちゃんにとってメラニーさんは、孫とお婆ちゃんぐらい年が離れているが、親を知らないララちゃんには母親の様に甘えられる存在なんだろう。


「みなさん、今日は1日付き合ってくれてありがとうございます、私はちょっと動物達の所へ行って来るので、夕食は30分後にジミーさんの家の庭でいいですか?」と聞くと、


「ハーイ!」と、リリララ姉妹が答え、ジミーさんも頷いている。



 かなえはみんなと別れてシャワードームへ移動して行く。


「あらあら、みんなグッスリねー」

 ルークス達はどこかへ行ったようだが、それ以外の6頭の動物達は休憩場で眠っている。


 かなえは順番にみんなを送り届け、リキさんの足に薬を塗る。

 今度の週末には一度、リキさんを連れて行かないといけないな。


 日曜は職人さん達とのミーティングが入っているから、行くとしたら土曜か月曜だな。

 

 シャワードームに戻り、ウオッシュを念入りに掛けて今日の仕事は終わりだ。

 

 かなえはジミーさんの庭に戻ると、中央にあるみんなで食事をしたテーブルや食器にウオッシュを掛けて、ポーチにしまう。


 

 食事をするテーブルや周りにウオッシュを掛けていると、リリララ姉妹とジミーさんが隣の猫の庭の方から歩いて来る。


「あら、隣にいたんだー」と、かなえが言うと、

「バニーちゃんと猫ちゃん達が寝てたよー」と、ララちゃん。


「あの、重なって仲良く眠っている姿が可愛くって」と、リリちゃん。

「短い間に仲良くなったみたいだな」と、ジミーさん。


 かなえはテーブルに食事を並べる。

 

 何にしようかと思ったが、昼間はボリュームがあり、おやつに大きなパイも食べたので、サッパリしたのが良さそうだ。

 

 選んだのは、トマトとプロの実ハムのパスタサラダ。オニオングラタンスープ。それにパパイヤのアイスクリーム乗せ。

 

 飲み物はアイスアップルティーで、ジミーさんにはカフェラテだ。

 

「はい、おまたせー、食べましょう!」と、みんなで一緒に食べ始める。

「皆さん、今日は本当にありがとう。一緒に居てくれてとても助かりました」


「ララねー、メラニーさんすきー」と、ララちゃんはまたメラニーさんの事を話し出す。

「そうね、あの夫妻はとても優しくて良い人達ね」


 その後も今日の事を振り返り話が弾む。

 

「あの、今度の日曜日なんですけど……」と、かなえはジミーさんに職人さん達とのミーティングにジミーさんも来ないかと誘うと、


「ああ、なかなか面白そうだから、私も顔を出そうかね」と、ジミーさん。体調も良くなり、新しい事をする意欲が出てきたようだ。


 良かった。そうなると、リリララ姉妹は……。

「じゃぁー、あなた達は今度の日曜日はどうする? 何処かお出掛けして来る?」と聞くと、


「ララねー、メラニーさんの家に行きたい!」と、ララちゃん。

 えっ、それはどうかな……。


「リリちゃんはどう?」

「私は……出来たらルルちゃんに会いに行きたいです」と、リリちゃん。

 

 リリちゃんもたまにはララちゃんと別行動してお友達とも遊びたいよね。


「うん、わかった。リリちゃんはお出掛けして来て。メラニーさんにはララちゃんがお邪魔していいか聞いて見るから」


「わぁー! 嬉しいです!」と、リリちゃん。

「ララ、パイ食べに行くのー!」と、さっき大きなパイを食べたばかりのララちゃん。


 まぁー、何とかなるだろう。

 かなえは食べ終わると、みんなと別れバニーちゃん達を確認してから家に戻って来る。


 

 はぁー、終わったー。

 思わずため息が出てしまう。


 ゆっくりお風呂に入り、寝る支度をするとベットに入る。


 メラニーさん達はアニマルドームに来てくれるかな……。

 


 かなえは、今日1日を思い出しながら目を閉じた。



――――――――――――――――

 ポイント 

 

 プラス  

 マイナス    

 残り   206万9400 

 パワー  498


―――――――――――――――― 

 予定  リキさんを連れて森のドームへ行く

     職人達と一緒にミーティング

     動物達を連れてお出掛け

―――――――――――――――― 

 給料30日目  牧場の従業員見習い  15万

        動物ギルド長 20万ー6万(リリララ姉妹の残業代)=14万

        アニマルドーム管理人 30万 






 


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