表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アニマルレスキュー  作者: コトリコトリ
102/229

102 スミス夫妻を迎えに

『カナ、カナ、アサですよー、パンですよー』

 リトくんは今朝も変わらずパンの催促だ。


 かなえはもう目が覚めていたが、ちょっと寝たふりをする。

『カナ、カナ、アサですよ。パンちょーだい。おはよー』

 

 かなえが起きないので、リトくんはかなえの肩に飛び移ると、

『カナ、カナ、パンですよー、起きて―!』

 

 わぁー、耳元でうるさい!

 これ以上はもう無理……。


「ウフフフッ」かなえは思わず笑ってしまう。

『あー! カナ、カナ、おきたー』と、リトくん。


「リトくん、耳の所でそんな大きな声を出したらダメでしょー」

『カナ、カナ、だって、起きないのダメでしょー!』と、リトくんが真似をして言う。


 最近、リトくんは言葉が最初の頃よりも話せるようになって来てる気がする……。

 

 催促するので、かなえは居間に行きご褒美パンをリトくんに食べさせる。

『おいしいな。おいしいな』と、リトくんはテーブルの上でクルクルと回る。

 

 飛んで行くリトくんを見送ると、かなえも仕度をして牧場へ向かう。



 牧場に付くと、ジジさんとババさんが仲の良い夫婦の様に寄り添っていた。


「おはようございます。お待たせしましたー」

『ああ、おはよう』

『おはよう。今日もよろしくね』


砂浜に着くと、「あのー、シャワードームも良い運動になりますが、温泉も体に良いので、毎日少しでも入って下さいね」と、伝える。


『ああそうだな』


『そうよね。私達あのシャワードームの浮遊感が楽しくて……自由に行ったり来たり出来るのがもうクセになってしまって』と、ババさん。


 まぁー、もう少ししたら飽きるかな。

 かなえは2頭を見送ると、ジミーさんの庭へ歩いて行く。


 誰も居ないようなので隣の庭まで行くと、バニーちゃんや子猫達にリリララ姉妹の声まで聞こえて来る。

 

 目に入って来たのは素早く駆け回る子猫達と、ドタドタと追いかけるバニーちゃん。


「バニーちゃん、がんばれー」と、リリララ姉妹はバニーちゃんを応援している。

『こらー、待てー』と、バニーちゃんは、大分身軽に動けるようになって来ている。


「おはよう、なんだか盛り上がってるわね」と、かなえがリリララ姉妹に声を掛けると、

「かなえさん、おはようございます」と、リリちゃん。


「ララねー、バニーちゃん応援してるんだよー」と、嬉しそうに話すララちゃん。


「そろそろ、朝食にしよう」と、かなえは言うと先に戻り、テーブルにウオッシュを掛ける。


 今朝は何にしようかな……。

 かなえが選んだのは、

 

 野菜がゴロゴロ入ったプロの実ボール入りのポトフ、雑穀入りアップルリングブレッド。

 トマトサラダにグラノラヨーグルト。


 飲み物はココナッツパイナップルジュースと、マンゴティー。ジミーさんにはジュースとコーヒーにした。


「いただきまーす」

 いつもの様にララちゃんが話した後に、もう一度メラニーさん達とお昼を食べる予定だと伝える。


「ララねー、メラニーさん好きー」と、ララちゃんも楽しみな様だ。

 ジミーさんもいつも子供達の相手では無く、同世代の大人と交流が持てるのは嬉しいだろう。

 

 リリちゃんもメラニーさんにお菓子の作り方を、教えてもらえるのが楽しみなようだ。


 かなえもあの包容力のある優しさを持つメラニーさんとジョンさんと一緒に過ごせるのは嬉しい。


 

 食事が終わると、


「あなた達が帰って来るまで待っているから、慌てないでゆっくり帰って来てね」と、リリララ姉妹に伝える。


「いってきまーす」と、元気良く出掛けて行くリリララ姉妹を見送ると、ジミーさんに挨拶してバニーちゃん達の様子を見に行く。


 

 静かだと思ったら、ドームの間のキャットタワーで子猫達と一緒に眠っている。


 バニーちゃんが息をする度に、お腹の所にもたれかかって寝ている子猫達が動くのが面白い。


 フフッ。

 さっきまで走り回っていたのに、もうグッスリと眠っている。


 かなえはバニーちゃん、子猫達にドーム周辺にウオッシュを掛ける。

 

 それに子猫達とバニーちゃんの小屋にウオッシュを掛けると、先にアニマルドームの掃除を済ませる事にする。


 クイーンの小屋からリキさんの所までウオッシュを掛けると、動物達が食べている、放牧地とプロの実が生えている所もきれいにする。



 山の温泉も1合目と3合目もきれいにすると、頂上に向かう。


 頂上も一通りウオッシュを掛けて、雲の上の温泉に移動するとジジさん達が温泉に浸かっていた。


 シャワードームへ行く前に、温泉に来たのかな……。


『あら、かなえさん。私達、シャワードームにいると疲れて温泉まで来れないから、先にこっちに来たのよ』と、ババさん。


「そうですか」


『温泉は久しぶりだが、体が楽になるな』と、ジジさん。

『そうね、この気持ち良さを忘れていたわ』と、ババさん。

 

「いつも、シャワードームに行く前に、温泉にも寄れば両方楽しめますね」

『そうだな』


 かなえはジジさんババさんに、掃除が終わったら牧場に行き、メラニーさん達を迎えに行く話をすると、


『そうか……あの二人の許可が出たら、いつか牧場にも温泉を造ってくれないかね』と、ジジさん。


『私からもお願い。あのシャワードームは無理でも、温泉は他の牛達にも体験させてあげたいのよ』と、ババさん。


 牧場にも温泉を設置したら牧場に居る牛達も喜ぶだろうな。

 メラニーさん達の許可が出ればいつでも可能なんだ……。


「今日はそこまで話せるかわからないけど、いずれ牧場に温泉を設置したいとお願いしてみるわ。それでもいい?」


『ああ、それでいい』と、ジジさん。

『わぁー、ありがとう助かったわ。最近他の牛達が色々うるさくて大変なのよ』と、ババさん。 


 ババさんが言うには、ジジさんとババさんが最近毛並みも良く、体のぜい肉も減り若々しくなっているのを不思議がられているそうだ。


 やっぱり、この2頭の変化には他の牛達も気が付いたか。


『それに、日中はどこに行ってるのだとか、体がいい匂いがするとか質問攻めよ!』と、ババさん。


 それはジジさんだけがここに通っていた頃、ババさんが質問していたのと同じだろう……。


「早めに温泉が設置出来るように頼んで見ます。ただ何も知らない人に、いきなり頼むのは負担が掛かると思うので、様子を見させてくださいね」


『わかったよ。あんたに任せるから、頼むよ』と、ジジさん。

『そうね、かなえさん、よろしくね』と、ババさん。



 雲の上の温泉にもウオッシュを掛けると、シャワードームへ向かう。


 みんな、今日も楽しそうに跳んでいるなぁー。

 キングス達、マリ―達に、ルークス達が、飛んだり跳ねたり浮かんだりと、動き回っている。



 かなえは順番にウオッシュを掛けると、牧場へ向かう。

 牛舎の中に入って行くとウオッシュを掛けてキレイにする。

 牛舎が終わると牧場を回ってウオッシュを掛ける。

 

 温泉を設置するとしたらどこら辺が良いんだろう。

 かなえはスクーターの高度を上げ、上空から牧場の様子を眺める。


 奥の方に開けた場所があり牛舎からも離れているので、あの辺が良いかもしれない。

 誰か訪問して来ても見られる可能性が低くなる。



 かなえは掃除を終えると、昨日準備しておいた牛舎の裏の小屋へ移動する。


 ビジブルにして、メラニーさんの家の隣に設置する。


 小屋の色はメラニーさんの家と同じ木で出来ているので、全く違和感が無い。



 まだ少し早いがかなえはメラニーさんの家の扉を鳴らす。


「ハーイ」と、声がしてメラニーさんが扉を開けてくれる。

「すみません、まだ少し早いんですけど……」


「いいのよ。ちょっと中に入っていてくれる?」と、言われかなえは居間の大きなソファ―に坐る。


 キッチンの方からお菓子の焼けた良い匂いがして来る。


「今、お土産に焼いていたパイが出来たから、もう少ししたら出られるわ」と、メラニーさん。


 いつもより声が弾んでいる。かなえの誘いを喜んでくれている様だ。


「やぁ、かなえさん。今日は声を掛けてくれてありがとう。楽しみだよ」と、奥からやって来たジョンさんが話しかける。


「こんにちは。こちらこそお二人に来てもらえるのが嬉しいです。他のみんなも楽しみにしているんですよ」


 かなえはそう言いながら、行く前に少しはアニマルドームについて話した方が良いか、それともジャンプミラーで行ってから話した方が良いか悩んでいた。


 どっちが二人に負担が少なく受け入れてもらえるだろう……。

「かなえ、お待たせ―」と、パイを持ってメラニーさんがやって来た。


 うーん、わからない……。

 二人はもう既に出掛ける準備が終わり、いつでも出られる状態だ。


 あーもーいいや。このまま行っちゃえー!



「では、行きましょう」と、かなえは席を立つとみんなで一緒に外へ出て行く。


「えーと、かなえの馬車はどこにあるの?」と、メラニーさん。

「あのー、実は移動には馬車は使わないんです」


「えっ? それなら何で行くの?」と、メラニーさんが不思議そうにかなえを見る。


「実は……」かなえは、2人を先ほど設置した小屋の前に連れて行く。

「なんだ、この小屋は?」と、見慣れない小屋にジョンさんも不思議そうにしている。


「あの、この小屋は私が設置したんです。この中を見てもらえますか?」と、かなえは小屋の扉を開ける。


「あら、随分と大きな鏡があるのねー」

「この鏡がどうしたんだい?」


 そろそろ、ちゃんと言わないといけないな。


「あの、実は……この鏡はジャンプミラーと言います。『島』と表示されていますが、ここを通ってこれからお連れする、アニマルドームの島へ行きます」


「何を言っているんだい。この鏡を通って行くって言うのかい?」

「かなえったら、変な冗談言わないで」と、2人共信じない。


「驚くのも当然だと思います。でもお願いです。私を信じて下さい! これから私が見本を見せますので、その通りにして鏡の中へ入って来てください。こうして体の一部で鏡に触れると……」



 かなえはまだ疑っている二人を残して、先に鏡の中に入って行った。

 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ