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アニマルレスキュー  作者: コトリコトリ
10/229

010 不動産見学



『おはよー、あさだよー』


「はっ? 何!? かなえは耳元で声がしてビックリして飛び起きた」

『カナ、カナ、パンちょーだい』

リトくんが枕元にとまっていた。

「なんだ、リトくんかー。驚かせないでよ」


「リトくん、心臓に悪いから、起こすときは小さい声で、離れたところからにしてね」

『うん、わかった、カナ、カナおどろくだめ』

「そうよ」


 起き上がりポーチから昨日の残りのパンを出し、リトくんにあげた。

 

 かなえはシャワーを浴び、朝ご飯を済ませ部屋に戻って来た。

 リトくんは毛繕いをしているようだ。


 今日は何をしようかなー……そういえば、早く部屋を見つけないといけないんだっけ。

 牧場の事はまだ決められないが、このドームシティの部屋もどんなものがあるか見てみたい。


「シロン、ここではどうやって部屋をみつけるの?」

「この世界では、みな自分の部屋が与えられます。もしかなえが牧場に住むなら、そこがかなえの居場所になりますし、そうでなければドームシティーで部屋を見つけることができます」

 うん、まぁーそうなんだろうけど……。


「なら、どこへ行けば部屋を見れるの?」

「不動産ギルドに行けば一通りの物件を紹介してくれます」

 なんだ、こっちにも不動産屋さんがあるのね……。


「じゃー不動産ギルドの場所を教えてくれる?」

 すると、地図に不動産ギルドの場所が表示される。


「えっ、ここだとハローギルドに近いわね」

 先にハローギルドに行ってちょっと相談してみよう。


 ジャンプでリトくんを公園まで送った後、ハローギルドまでやって来た。

 受付の黒髪のお兄さんに、昨日のミルクドームでの事を話し悩んでいること。また、住むところを探していることを伝えた。すると……、


「そうなんだ。事情はわかったよ。要するに、牧場には興味はあるけどドームシティーにも住んでみたいってとこかな?」


「えっ!……まぁ、はい、そうです。」

 そうか、わたしドームシティーに住んでみたかったんだ……言われてみて気が付いた。


「昨日あれからスミスさんに連絡をもらってね、かなえさんの事をとても褒めていたよ。何でも牛を助けたんだって?」

 助けたって、そこまで大げさじゃないような……。

 

「いい考えがあるんだけど……ドームシティーで動物ギルドをやってみない? 動物専門の依頼をこなせる人を探していたんだ。牧場の世話をしながら、時間があるときに動物ギルドに来ればいいんだよ。人が足りなければ派遣してもらえるし。そうすればドームシティーにも家を持てるよ。どう?」


 ……うーん、どうしよー。移動はジャンプがあるから問題無いとしても、忙しくなりそうだな……私に出来るかな?

 

「あのーマーブルトークは使えるんでしょうか?」

 やっぱり連絡手段が無いと不便だもの……。


「もちろん。動物ギルドを始めれば支給されるよ」

「興味があるなら、動物ギルド用の物件があるか聞いてみたらどうかな」

 そうか、見るだけでもいいんだし、行ってみようかな……。


「はい、じゃーこれから不動産ギルドに行ってみます」

「そう、良かった。場所はわかる?」

「はい、ここから近いので大丈夫です。お世話になりました」 

 かなえはハローギルドを出ると不動産ギルド向かった。


 ここかな?

 ハローギルドから5分ぐらい歩くと……、

 鉄と真鍮でできた看板の中心に、家のマークが付いていて「不動産ギルド」と表示されている。

 どうやらここみたいだな……。

 

 建物の中に入って行くと、内装はハローギルドにそっくりな感じだ。

 正面にカウンターがあり、左に背もたれの無い椅子、右側には掲示板に張り紙がしてある。

 列に並んでいる人、坐っている人や掲示板を見ている人など、10人以上の人がいる……。

 

 結構人がいるなぁー。

 かなえは掲示板の張り紙の所に歩いて行き物色し始めた。


 一部屋から五部屋ぐらいが多く、バストイレも一つから三つ付いている物件もある。


 一階が店舗で二階が住居もあるんだ……。

 動物ギルドにはどれがお勧めなんだろう。

 かなえは、張り紙を順番に眺めていると、


「ちょっと、そこのあなた!」とかなえに声をかけてくる人がいた。


「あなたハローギルドから来たんでしょ? ちょっとこっちに来てくれる?」


 その人はカウンターの受付のいる、鮮やかな赤いドレスの30前後の女性だ。


 受付に並んでいる人は途切れたようで、かなえはカウンターのその女性の前に歩いて行く。


「あなた動物ギルドの物件を探しているんですって?」

 ……ハローギルドの人、連絡してくれたのかな?

「は、はい。そうです」

「あなた、運がいいわね。ちょうどいいのがあるのよ」

「えっ、そうですか!?」

 ……どんな部屋なんだろう。


「この物件はね、人気のグリーンパークの前よ。一階を動物ギルドにして二階に住めばいいわ。見に行くなら鍵を貸すわよ」

「でも、あのー家賃はおいくらになるんですか?」

 そんな、店舗付きの住居なんて、普通より高いだろうし……。


「あら、あなた知らないの? ここ、ドームの物件は家賃が掛からないのよ。どうする? 早く決めないと他の人に勧めちゃうけど」


「それじゃー、見学に行きたいです」

 家賃が掛からないってどういう事だろう……?


 かなえは鍵を預かると、物件を見に行く。

「15N5番パーク通り」かー。

 地図を見ると、結構近いので歩いて行く。


 まず、北通りまで出てグリーンパークの先の5番パーク通りまで行けばいいのね……。

 5番パーク通りで左に曲がってしばらくいくと、建物の前に「15」のマーク。


「ここだわ!」

 見た目は他の周りの建物と同じで、レンガ造りの二階建て。看板は中が空洞でフレームだけが掛けてある。

 かなえは、鉄の蝶番の付いた扉の鍵を開けると中に入って行った。


 中は木のフローリングで、壁は白の漆喰の様な物で塗られている。北向だが窓が大きいので十分明かりは入って来る。それに、窓からの公園の緑が目にやさしい。

 

 ハローギルドや不動産ギルドより狭いが、かなえには丁度良い大きさだろう。奥に入って行くと、二部屋とバストイレ。それに簡易キッチンカウンターがあり、お茶を沸かすぐらいなら出来そうだ。

 もう一つの扉を開けると階段があり、二階と地下に行けるようになっている。


 二階に上がって行くと、広い居間があり大きな窓からはグリーンパークの緑が一面に広がっていて……まるで広い専用の庭があるように見える。


 贅沢な空間だなー。

 キッチンの天井には天窓が付いていてとても明るい。

 奥は二部屋とバストイレがある。


 地下に降りて行くと、ほとんど二階と同じ造りになっていて、もう一家族住めそうな広さだ。部屋の上部の窓からは外の光も入ってくる。住居用の玄関が別にあるので、一階のギルド内を通る必要が無く、出入りがしやすい。


 ここに、住みたいな……。


 この建物に住んで、働く自分を想像するとワクワクしてくる。

 ここなら他のギルドも近いし、リトくんのいる公園からは、グリーンパークを通って徒歩15分くらいだ。飛んだらあっという間だろう。

 

 ……よし、ここに決めよう。

 かなえは、住むことに決めると不動産ギルドに向かった。


 不動産ギルドに着き、赤いドレスの受付の人が、

「あら、あなた戻って来たのね。どうだった?」

「はい、気に入りました。住みたいです!」

「そう、良かった!」

 

 それから幾つかの書類に記入し、仮契約の手続きを済ますと、


「後はオクタゴンのギルド科に行って許可証を貰ってきてくれる?」

 そうなんだ……許可証がいるのね。

 勝手に、誰でもギルドが営業できたら大変よね。やっぱり許可は必要か……。


「わかりましたオクタゴンに行ってきます」


 かなえは外に出て、歩き始めるとお腹が空いて来た。

 ……どこでランチをたべようかな。


「シロン、どこかお勧めのカフェかパン屋さんはある?」

「はい」

 地図が表示されると、いくつかお店があるのがわかる。


「この市場って何?」

「こちらでは野菜や、果物以外に、お総菜や、パン、飲み物の屋台も出ていて、ランチにはお勧めです」

「へー、面白そう……。それにここ、私が住む予定の場所から近いなぁ」

 

 市場はグリーンパークの一角で行われていて、見学に行った家から歩ける距離にある。

 決めた、ここに行こう……。

 こっそりスクーターを出して……ジャンプ。


 市場の側の木陰に着くとスクーターをしまい、市場に入って行った。


 ……うーんどれもおいしそうで迷っちゃうな。

 公園の広場には、コの字型になって屋台が並んでいる。結構な人手でどこも繁盛している。


 まず、焼きたてのパンがおいしそうだったので3個買った。

 リトくんも喜ぶだろう。


 わぁー具がたっぷりのチャーハンみたいなのがある。おいしそう……これにしよう。

 それと飲み物は……あった! ピンクベリージュースを買い、カップに入った豆入りのサラダ。それとバナナマフィン。


 かなえは近くにテーブルを見つけると食べ始めた。

 ……おいしーこのチャーハン。この世界に来て初めてのお米。カレー粉みたいなスパイスが合うなー。


 おいしいランチを食べ終わると、せっかくなのでもう少し市場を見ることにした。

 食べ物だけでなく、小物や服も売ってるようだ。


 手作りのアクセサリーやポーチが並べられている。陶器の花瓶も種類があるので、引っ越したら少しづつ揃えるのも楽しそうだ。

 食器や、小物入れなども使えそうだなー。


 そろそろ行こうかな……。

 リトくん用に買ったパンはポーチの中の買い物フォルダに締まっておく。いくらでも収納できるし、ポーチの中は時間が経過しないので、食べ物も新鮮に保てるようだ。


 ……今度おいしそうなものは多めに買っておこう。


 出口の方に向かうと柵の所につながれている、ロバが目に入った。


「あれ? もしかしてあの時のロバかな?」

 かなえはロバに近づき声をかけた。

「あなた、私の事覚えてる?」

『おぼえてる! ありがとー』

 やっぱり、あのロバだった……。

「足はもう大丈夫?」

『うん、もう痛くないよ』

「そう、良かった」

 ちゃんとほかの蹄も整えてある。


「どこか、他に調子悪いところは無い?」

『うーん……朝から目が痒いよ』

「そうなの? どっちの目?」

『右の眼だよ』

 かなえは、ロバの目を見てみるとちょっと赤くなっている。

「あっ、まつ毛が入ってる……今、取ってあげるね」

 かなえは、まつ毛を取り除くとロバ用の目薬をポーチから取り出し……、


「今、目薬付けてあげるから動かないでね」

 ロバの右目に目薬をさしてあげた。

『目がすっきりする―』

「良かった、おじさんに目薬、渡しておくからね。おじさん、どの辺にいるの?」

『この道を右に行った野菜のテントのところにいるよ』 

「そう、わかった。じゃー行くね。バイバイ」

『ありがとー』


 かなえは野菜売り場ののテントに行くと、すぐおじさんをみつけた。

「こんにちは」

「あー、あなたは……、この前は世話になったね」


「いいえ、気にしないでください。あのー、今ロバくんにも会って来たんですけど、足は治ったみたいですね。でも目が赤くなっていたので、目薬をさしておきました。まつ毛が長いので気を付けてあげてください。この目薬をどうぞ。また、赤くなったらさしてあげてください」


「えっ、また治療してくれたのかい! ありがとよ。感謝するよ、お礼に野菜を好きなだけ持っていってくれ」

「あのー、ありがとうございます。でも、今日はまだこの後、行くところがあるので……今度近くに越してくる予定なのでまた顔を出しますね」

「そうかい、わかったよ。また来ておくれ」


 かなえは笑顔で頭を下げると、その場を後にした。


 

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