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♯2

真紀と別れた後、放送で流れてくる駆け込み乗車の注意を無視して駆け込み乗車した。別に次の電車を待てばいいじゃんって思うかもしれないけど、実は私の通ってる大学は都内とは思えないようなところにあるから、その分電車の本数も少なく、朝とかは一本逃すことでも命取り。あとただ単に授業が早く終わったからすいてる電車に乗りたかったっていうのもあるけどね。


「ふぅっ………」


一息ついて席が空いてるか確認したけど空いてなかった。まぁでも悠の家の最寄り駅まで5駅くらいで着くから座らなくてもすぐに着く。


(っていうかなんか真紀の私服いつもと違ってたような……)


私が今まで見てきた真紀はバスケ一筋でどこかに出かける時以外はバスケの服着てたし、出かけるって言っても最低限の無難な格好しかしてなかった。でもさっき見た真紀はなんかちょっとおしゃれに見えたっていうか。

むーーーー、人って変わるんだなぁ。ま、まさか、中身も変わってるなんてことはないよね?


そんなことを考えていたらいつの間にか最寄駅に着き、降りた。この駅周辺は大学よりは都会っぽくて、なんでも揃うような商店街もある。不便なく過ごせそう。なんなら私の実家の方がちょっと田舎だったりもする。



駅から悠の家までは5分ちょっとくらいですぐ着く。


(あ、せっかくだしアイス買ってこーっと)


そんなことを思ってフラッとコンビニに立ち寄った。



ピンポーン。

『はい?』

「ついたよーー?』

『ちょっとまっててー」


扉の奥からドッドッドッと走る音が聞こえてくる。


ガチャッ。


「ヤッホーー、着いたよん」

「連絡し忘れたでしょ」


ギクリッ。


「あ、ご、ごめーん…」

「じょーだんよ、そんな顔しないで」


悠はいたずらっぽい笑みを浮かべながらそういった。ときどき悠の性格は実はドSなんじゃないかと疑ったり。



悠の家に上がるのは2週間ぶりかな?4月に仲良くなってから何回か来てる。

玄関を抜けると左にお手洗い、並んでお風呂があり、反対側には小さいキッチンがある。その奥に8畳くらいの広い部屋が広がっている。

ってか、相変わらずおしゃれー、だし綺麗。

「おおっ」っと感嘆の声を漏らしている私をスルーしながら悠はささっと座椅子に腰をかける。そして背を向けながら


「うち来たはいいけど何する?」

「えーっとね、なんも考えてないんだよね……」

「だろーと思ったよ」


どうやらなにも考えないで悠の家に来たことは見透かされていたようで、


「んじゃあ今からDVDでも借りに行く?あ、あと夕飯の材料も買いに」

「うん!いこいこ!」


ということで悠の家にリュックを置いて、冷凍庫にアイスを置いて財布とスマホを持ち、家を出た。

すぐ近くにレンタルビデオ屋さんもスーパーもある。ちょうど家と駅の中間地点くらいかな?



夕飯の食材(結局カレーにしたから野菜と肉とルー)を調達して、ホラー映画を借りてきた。


「ね、ねぇ、本当に見るの?」

「当たり前じゃん、せっかく借りたんだからね」


うぅ。ホラーは苦手なのに……。しかも悠は確かホラーは得意。やっぱりドSだよ……。


そんなこんなでカレーを一緒に作り(とは言っても9割くらい悠に作ってもらったけど)、テーブルを挟んで一緒に食べてる。


「だからさー、やっぱり高木くんは悠のことが好きだと思うんだよねー」


やっぱり始まるのはガールズドーク。いわゆる恋バナってやつかな。


「いや、ないわ」


と苦笑いしながら悠が答える。今話題にしている高木くんとは、私と悠と同じサークルに入っている同い年の男の子で、一緒にバンド組んでいるとかそういうわけではないけど、悠によくSNSで連絡してるみたいだし。当の本人は全く自覚してないみたいだけど。


「いや絶対そーだってー!私の勘がそう言ってるよ」

「いや、あんたかなり鈍い方だよ」

「それでも反応してるもん!それに悠絶対モテてたでしょ。何回告られた?」

「いや、そんなにないよ」

「ほらごまかした」


お、いつもとは立場が逆だぞ。私が夕に質問攻めしてる。


「と、とにかく、私と高木くんはそんなことないから!」

「へーー、じゃあさ、もしそうだったら高木くんはアリ?ナシ?」

「え、まぁなしかな」

「え、なんでー!かっこいいし優しいのに」

「なんか裏がありそう」

「へーー、私はそうは思えないけどなぁ」

「んじゃあ逆にあんたはどうなのよ」


うげっ!結局いつも通りの関係になってしまった。形勢逆転とはこのことか。


「え、あっ、いや、言われてみないとわからないなぁ……」

「むしろ私は心優に気があると思うよ」

「え、絶対ないよー!」

「心優は今まで何回告られたことある?」

「えっと……」


中高入ってからは男子に告白されることはあった。でも私は気のない男の子と付き合ったら真紀と一緒にいられなくなると思って全部断り続けた。でも実際今になり、真紀ともあんまり一緒にいられなくなって、もし告白されたら断るかどうかはわからない。


「答えられないほどあるんだ」

「うっ、」


痛いところ突かれた。


「まっ、心優は三浦くんしか見えてないから無縁な話かもねー」

「いや、真紀とはそういうのじゃないからー!」


確かに仲はいいけど、真紀に対してそういう感情はない。男の子というよりも友達という認識なのだ。


「そ、まぁいいけど、心優は高木くんに狙われないようにね〜」

「だから大丈夫ーー」


この時なんで悠にそんなこと言われたのかはわからなかったけど、自分には関係ないと思って聞き流した。

まさかそのあとあんなことになるなんて、この時は思いもしてなかった。



ご飯を食べ、片付けを済ませた後はアイスを食べて、悠は座椅子に、私はベッドの上でクッションを抱きながら借りてきたホラー映画を見た。まだ新作でかなり怖いことで有名だった作品なだけあって、私は何回絶叫したことか……。そんな私の姿を見てクスクス笑っている悠はやっぱりドSだった……。

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