謎の解明
「で、いったいいつになったら来るんだ?」
「さあ、時間までは指定してこなかったから……」
各図書のチェックを始めてから既に二時間近くが過ぎ、外も暗くなっている。
一応司書教諭が来るまでは作業を続けるつもりだったのだが、さすがにもう帰らなければまずいだろう。
そんなことを考えていると、図書室の扉の開く気配がした。
あの貼り紙はそのままなので、入ってくるとしたら教師のはずだ。
「まだ残っていたのか」
だが、やってきたのは別の教師だった。
どうやらまだ下校していない生徒がいないか確認にきたらしい。
「いえ、新しい司書の先生が来るのを待っていたのですが……」
桐嶋の言葉を聞くと教師は怪訝な表情を浮かべ、その後、不思議なことを口走った。
「なんだお前ら、一緒に作業していたんじゃなかったのか?」
「えっ!?」
その言葉に、ある可能性にたどり着く。
「一つ、確認していいですか?」
おそるおそる、俺は言葉を絞り出す。
「その先生の名前、もしかして、長内教子というのでは?」
「長内? いや、違うが。おっ、ちょうどいいものがあるな。ほら、こいつだ……って、なんだこりゃ!」
教師は置いてあった『七年前の私物図書』である卒業アルバムを開き、そんな素っ頓狂な声を上げた。
当然、生徒の欄にも様々な寸評が書かれているのだ。驚きを隠せまい。
「ああ、こいつだ」
それでも冷静さを振り絞り、彼はあるページを開いて一人の女子生徒を指し示す。
その、童顔とツインテールが印象的な女子生徒の寸評にはこう書かれていた。
『質の悪い冗談を好む、最悪の騙し屋にして嘘吐き』
そしてそれを見計らったかのように教師の元に電話がかかってくる。
教師は電話に出ると、すぐさま俺に受話器を渡してきた。
案の定、受話器の向こうからは数時間前までここにいた長内教子と名乗っていた女子の声がした。
『作業ご苦労様。そんなわけで明日からは真面目に出勤するんで、よろしく頼むよ、図書委員君』




