【詩】雨の鹿
しとしと雨に
濡れながら、
まるで
希望の色のような
しばふの上に、
鹿たちがいる。
一心に俯いて食む
わかくさは、
サラダ菜の味?
それとも
野趣あふれる
スプラウト?
わたしも
ドレッシングは
かけない派だから、
鹿になってみても
やっていけそうだ。
鹿たちは
みんな美人顔。
あるいは
きりりと
勇ましい顔。
どちらにしても、
あの濡れた
黒い目で、
《あなたの確かさと、
不確かさのあわいは
何処ですか》
なんて静かに
尋ねられたら、
どぎまぎして
しまうだろうな。