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セイカイ 第5話

「え――? ちょ、ちょっと何、この霧!? ね、ねぇ!? シオン? ギセル? どこ行ったの!?」


 私の問いかけに、返答がない。


「ちょっと、本当にどこ行っちゃたの!? ねぇってば!!! シオン!!! ギセル!!!」


 静寂と視界の不明瞭さに不安が広がり、すがるような声で彼らの名前を叫んでしまう。

 白い霧へと手を伸ばしながら、しばしの間歩いていると、ようやく霧が薄らと晴れ、辺りの景色が見えてきた。


「わあ、綺麗…………」


 目の前に広がる大きな川に、その向こうへと広がる色とりどりの花々――


「さっきの毒々しいキノコとは大違い――って、ああ、あっちの方に橋がある!」


 私は早速花畑を目指し、石橋を渡り始めた。


(よく考えたら、夢の中だからあっちこっち情景や人が変わるのはしょうがないし、どうせなら楽しむべきだよね!)


 さっきの心細さはどこへやら、私は足取り軽く、橋を渡りき――――れなかった。


「あ、あれ?」


 急に両脇からがっちりと拘束され、ずるずると後ろに引きずられて行く。


「まったく、あなたは何をしているのですか」


「たく、これからが面白いところなのに勝手にいくんじゃねーよ!」


 右からシオン、左からギセルの声が聞こえ、驚く。


「え? あ、ああ、ごめん……って、二人がいきなりいなくなったんでしょ!?」


「はあ、今日はあなたが来たせいで歪みがひどいんです。飛ばされた先では、案内が来るまでフラフラしないで下さい。いちいち動かれては面倒です」


 橋から遠ざかり、ようやく二人の手が離れる。


「ええと……はい」


 私の返答に、シオンが軽くため息をつく。


「本当に気を付けて下さいね。では、ギセル」


「はいはい、準備オッケー」


「え? 何この大きな穴」


「落ちるんです」


「え?」


「だから、落ちるんだよ」


「え?」


「まったく……さっさと――落ちなさい!!!」


「え! わわわ、お、落ち――ひゃあああああぁぁぁ!!!」


 シオンに蹴りをいれられ、私は大きな穴の中に落ちていった。


「――あああああぁぁぁぁ!!! って――あ、あれ???」


 独特の浮遊感が一瞬で終わり、直ぐに地面に降り立てた私は、へなへなとその場に座り込み、ポカンと辺りを見渡した。


「おっきい木…………それと、湖?」


 そこには、空まで届きそうな大きな大木と、その根元を囲むように広がった湖があった。


「おい、いつまで呆けてる気だ? さっさと次の暗号解きに行かねぇと、時間切れになっちまうぞ」


「あ、うん」


 ギセルに促され、湖のほとりまで歩いて行く。


「暗号は湖の中に浮かびます。湖に落ちないで下さいね。たとえ落ちたとしても、私は助けないので」


 シオンの忠告を受け、気を付けながら水面を見る。


(あれが次の暗号かな?)


  ★ ★ ★ ★


Level4

 ウサギ 040,033,000,011,013

 トケイ 034,024,020,004,013

  この暗号と同じ法則で表される次の言葉は、何という意味を示しているでしょうか?

  033,004,020,000,013,100,044,040


  ★ ★ ★ ★


(どうしよう……今回、マジでわからない)


 私は頭を抱えたくなるような気持ちのまま、ちらりとギセルの方を見る。


「なんだ、降参か?」


「いや、絶対負けない!」


(とりあえず、暗号の法則性を整理してみよう……)


 私は近くにあった木の枝を使い、地面に文字を書いていった。


  ☆ ★ ☆


Level4 ヒント1

 040→ウ 033,000→サ 011,013→ギ

 034,024→ト 020,004→ケ 013→イ


「この法則だと……」


 000→ア行 013→イ行 040→ウ行 004→エ行

 024→オ行

 033→サ行 011→ガ行 034→タ行 020→カ行


「ってことが分かるから……」


033,004,020,000,013,100,044,040

 ・033,004→サ行でエ行→セ

 ・020,000→カ行でア行→カ

 ・013→イ

 ・100,044,040→?


  ☆ ★ ☆


「セカイ……」


「途中までは出来たようですね」


「でも、これ以降が……」


(これ以上どうしたら良いのか分かんない……砂はどんどん落ちていってるのに……)


「……観点を」


「え?」


 私が焦りを募らせていると、不意にシオンが呟いた。


  ☆ ★ ☆


Level4 ヒント2

「いえ、ただの独り言ですが、日本語から離れたらどうですか?」


  ☆ ★ ☆


「じゃあ、英語とか?」


「……」


 私の言葉に、口を閉ざしたシオンの姿を見つめてみるが、これ以上の助けは期待できないらしい。


(とりあえずやってみよう)


  ☆ ★ ☆


Level4 ヒント3

「ええと、さっきのを英語……ローマ字に直すと……」


・040→ウ→『u』 033,000→サ→『sa』 

 011,013→ギ→『gi』

・034,024→ト→『to』 020,004→ケ→『ke』 

 013→イ→『i』


「この法則だと……」


・000→『a』 013→『i』 040→『u』 004→『e』 024→『o』

・033→『s』 011→『g』 034→『t』 020→『k』


「あれ? これって……もしかして……」

(アルファベットと数字が関連してる!)


  ☆ ★ ☆


 解けたと思った瞬間、私は次の壁にぶち当たった。


「あ、でも……ただアルファベット順に並べても番号が合わない?」


 000→『a』 …… 004→『e』 …… 011→『g』


(a~eまでは順番通りなのに、なんで『gは011』っていう表記なんだろう……)


 思い悩んでいると、不意に持っていた木の枝を奪われた。


「ちょっと、ギセル――」


「数字、ちゃんと見ろよ」


「?」


 ギセルは私から奪った木の棒で、私が地面に書いた数字を指していた。その顔が真剣みを帯びていたため、じっと木の棒の先の数字を見る。


  ☆ ★ ☆


Level4 ヒント4

「0・1・2・3・4?」


 私の言葉に、ギセルがニヤリと口角を上げた。


「そう、いわゆる五進数だ。それ以外の数字は――」


  ☆ ★ ☆


「ああ! 解けた! これって、【    】でしょ!」


「正解です」


 シオンが頷き、暗号の文字がキラキラと輝く。水面に出てきた球体は、白色だった。


  ☆ ★ ☆


Level4 ヒント5

「まあ、その答えって、地方でいろんな言われ方するよな、セフィロトとか、ユグドラシルとか……」


  ☆ ★ ☆


 ギセルがにやにやしながらシオンと私の間に立つ。


「ていうか、シオンがヒント出すとか珍しいな。どういう心境の変化だ?」


「ヒントなど出していませんよ。ただの独り言です」


 私は無表情に言い放つシオンに笑顔を向ける。


「シオン、ありがとう。それから、ギセルも!」


「俺はついでかよ」


「礼など入りません。ただの独り言ですから。それよりも、さっさとその四つの鍵を使って帰って下さい」


 シオンが指差す方向を見ると、大きな大木の根元に小さな白い扉があった。


「まあ、もう時間もねぇしな。早く解かねぇと……」


「え? 暗号って今のが最後じゃないの」


 ギセルの言葉に、笑顔が引きつる。


「まあ、扉を見てみれば嫌でも分かるだろ」


 ギセルに促され、湖に架かった虹色の橋を渡り、私はようやく大木にある扉の前へとやってきた。


「これが、最後の暗号?」


「ええ、正真正銘これが最後です」


 私はシオンの言葉に、気合を入れて扉の暗号に目を向ける。




  ★ ★ ★ ☆ ★ ★ ★


~第4話における暗号の解答~

Level3

① 黒 → black の4、3番目の文字は『c』『a』

  赤 → red の1、3番目の文字は『r』『d』

順に並べると『card』 → 【カード】 →【か】


② 文字の頭が大事なので、それぞれの文章の頭を読んでみましょう!!

 → 【かがみ(鏡)】 → 【み】


③ 手紙見ない毛虫

 → てがみ みない けむし

 → 『て』が『み』になり、『み』はない。『け』むし。……であるため、『て、み、け』を無視して読みましょう。

 → 【さいころ】 → 【さ】


④ これは発想力が大切です。

 上の問題には『雲』、下の問題には『間』を入れると完成です。

 ※雲母うんもに気付けるかどうかが鍵になるかもしれません。

 → 【くもま(雲間)】 → 【ま】


①~④を順に並べると → 【かみさま(神様)】


第4話の暗号はいかがでしたか?

また、第5話の暗号は、難易度が高い問題かと思われますが、ノーヒントで解けた方はいらっしゃるでしょうか?

次は、いよいよ最終問題です。楽しみにしていてください!!


 ★ ★ ★ ☆ ★ ★ ★

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