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記憶6 これから

 異一型剣か・・・黒服帽子の男の言っていた武器、辻おじさんからとって来いといわれた剣。俺は家に着き、しばらく剣を眺めていた。そして前にも思ったことを口にする。


 「使えんのかこれ・・・」


 まったくもってこの頃おかしい。記憶の男は夢にまで出てきて、現実では蹴りを入れられて・・・。これ以上大変な目に合うのはごめんだ。名前がないだけでいい。俺の名前はちゃんとあったのだろう。記憶も中途半端なのでやはりよく覚えていない。記憶喪失なのかもしれないが何かおかしい。でかい大男に追われていた記憶のその前の記憶が真っ黒に塗りつぶされているみたいに見えない。だから、もう考えるだけ無駄だと判断した。手がかりも見つけようがない。そして今に至る。

 玄関のドアが開く音がした。


「ぼくや、いるか?」


 辻おじさんだった。そうか、結局昨日は帰ってこれなかったんだっけ。おじさんは俺の家に一度来たのだろうか。何かをすでに察していたようだった。俺が剣を持っているところを見ると、


「・・・これからのために、ちょっと仕事を見てもらおう、そうだな・・その剣ももってこい」


「仕事?おじさんの仕事をか?これからのためにってなんだよ・・・」


 唐突かつ、いきなり話が進んでいる気がする。そして、なぜ剣まで持っていく必要があるのだろう。まさか特訓じゃないだろうな。こんな重いもん振り回したら今度こそ肩はずれるんじゃないの?その前にまともに持てないだろうと思うのだが。

 頭の中はいろいろ言いたいことだらけだったが、とりあえず剣を持ち、家を出て、おじさんの軽自動車に乗った。車に乗って四十分くらいは景色を見ていただろうか。最初は、にぎやかな景色ではあったが、いつの間にか景色は林の中に変わっていた。俺の知らない場所である。さらに十五分くらいしただろう。今まで二人とも無口だったが、おじさんがやっと口を開いた。


「もうすぐ着く、気を引き締めとけ」


「そのまえにどこ行くつもりなんだよ」


「・・・・・・・・・・・着いたぞ」


 車を止め、おじさんと俺は車から降りた。林の中とはいえ、どこから来たのかわからないほどの場所だった。車を止めた先をみてみると、そこはでかい屋敷だった。風流感がただよっていて、人の気配はしない。ただあるのは、まわりの林のザザッという音ぐらいだ。

 家の中に入り、おじさんは畳の部屋に腰かけた。俺は依然として立ったままでいた。勿論、重い剣を持ちながら・・・


「ぼくや、座って待っていたほうがいい」


「え・・・おじさん誰を待っているんだよ」


「まだ時間はありそうだな・・・これからのことについて話がある。」


 前から気になっていたことだ・・・これからについては知る必要がある。今までの俺の平和は終わろうとしている。名前がないこと、かすかな記憶。その原因を探るのだろうか。


「ぼくや、よく聞け、まずお前の記憶はどこまでだ」


「・・・おじさんに助けられた?・・逃げていた、恐怖、少女がいた、どうなったのかわからない、俺は結末を知らない」


 逃げていた、でかい大男から・・・少女とともに・・・おじさんに助けられたことは覚えている。どう助けられたかは、はっきりしていない。なんでだ。あと少女だって・・・


「そうか・・・今はそれでいい。何かからは逃げていたことは覚えてるんだな?」


「まあ・・・そうだけど」


「ぼくや、そいつらの正体がわかった・・・」


「えっ・・・・・・」


 そいつ ならまだしも、そいつ ら?なぜに複数形・・・。

       

「お前はそいつらを知らなければならない。そして、お前次第だが・・・そいつらはお前の敵になる」


「なんだよ、それ・・・」


「正体については彼らに聞くといい。」


 おじさんが後ろを指さしたので振り向くと、いつの間にか、俺よりでかい男と俺より小さい女がいた。誰だこいつら・・・。そもそもおじさんはいったい何してるんだ。

 俺はまだ状況を理解できなかった。

 




 

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