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記憶3 異変

 結局、辻おじさんには会えず、俺は姫乃を辻家に帰さなければならない時間になった。空が夕日に染まっている。鍵の件は謝るしかないな。それにしても、おじさんはなぜ俺に剣なんかを・・・これからのためってなんだ。おじさんはいったい何してるんだ。

 昔から良いことを言ってくれるおじさんだ。女の子を大事にしろとか勝たなくてもいいからしっかりやりきれとか・・・いろいろ世話してくれた。そういえば確か、唯一の記憶にある、俺が大男から逃げているとき、助けられた気がするんだ。でも、もう思い出せない。それに、姫乃の父親だしな。姫乃自身どう思ってるんだろう。


「ねえ、おにーさんっ」


「――――――いやなんでもないっ」


 急に話しかけられたのでびっくりした。


「えっ、なんでもないって?」


「ああわるい、なんだ姫乃?」


「うん・・・あのね、ん~とね・・・また、あそびたいな」


 また来てくれということだろう。今回、会ったのは偶然だったけどな。


「ああいいけど・・・また今度な」


「ほんとに~?やくそくだよ~」


 ここにきて一気に親近感がでてきたというか、姫乃とこんなに仲良かったっけ?自分でも不思議なのだが、まあいいことか。




 無事に辻家に着いたのだが、人のいる気配がしない。もう夕方だというのに誰もいないのはおかしい。辻おばあちゃんか姫乃の母がいてもいい時間帯なのだが、家の電気すらついてない。明らかにおかしい。


「いない・・・まだ二人とも仕事してるのかな?」


「おばあちゃんはいるはずだよ」


 と言われても・・・いる様子がまったくといっていいほどない。そこで、しばらく待ってみたのだが、あたりは夜の虫の雑然とした鳴き声だけだった。帰ってくるまで家に入らせてもらったのだが、あまりにも遅すぎる。なにかあったんだろうか。


「おにーさんっ、おばあちゃんは?おかあさんは?」


「帰ってくるさ・・・それに俺、ここにしばらくいるし」


 姫乃もさすがに不安になってきたようだ。

 ドンっ・・・何か外から音がした。しかし、音自体は玄関からのほうではなく、その反対の廊下のほうから聞こえた。二人とも黙っていたが、俺が様子を見てくることにした。廊下の通路にはでかい窓ガラスがあり、もちろん開閉できる。そして、俺の見たもの――――――――

 それは、怪我を負った姫乃のおばあちゃんだった。出血も見られる。必死に窓ガラスのほうまで来たんだろう。俺はでかい窓ガラスを開け、おばあちゃんのほうまで行き、どうしたのかたずねる。


「・・・姫ちゃんは・・・無事ですか・・・無事なら・・はやく・・はやく・・・遠くに」


 俺はおばあちゃんのほうが気がかりで何を言ってるのかよくわからなかった。その時、姫乃の悲鳴がきこえた。俺としたことが・・・


「すんませんっおばあちゃん、すぐ来るからまっててくれっ」


 俺は廊下を駆け抜け、姫乃の場所へと・・・。



 


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