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追悼33 亡き残像

 腹部を貫くような激しい足蹴り。


「ぐっ!!!――――――――――だっ!!!」


 後ろに飛ばされながらも、剣を必死に振り払い、相手の肉をかすめ取る。

 飛ばされた勢いは、そのまま瓦礫に直撃し、粉塵ふんじんが舞う。


「さっきまでの小賢しいやり方はどこいった、ああ!?」


 ラウスは容赦なく二つの銃から赤黒い炎を連続して放ち、体勢を立て直した俺の逃げ道をなくす。

 両側の逃げ道を失い、真正面からラウスは迫ってくる。


 俺は突きの姿勢を取り、ラウスへと駆ける。

 奴の両腕が銃で塞がっている今、剣先による突きを受け止めるすべはないはず・・・。

 先ほど、ラウスの頬に一発喰らわせたあのやり方でもう一度攻める。


 ――――――――――だが、受け止められた。


「おいおい、誰が同じ手を使えなんて言ったんだ?」


 銃を捨て、ラウスは正面からの剣の突きを白刃取りをするように受け止めてしまっていた。


「言ったはずだ、こいつを握った時点でお前は負けだと」


 俺は剣から手を離し、今度は左拳に力を込める。相手の鼻目掛けて――――――――――

 でも、見えてしまった。奴の凍りつくような笑みを・・・。


「いつからこれはてめえのおもちゃになった?」


「――――――――――!!!」


 視線からラウスが消え、右肩と左脇に激痛が走った。

 自分の目で何が起きたのか確かめる。

 まず、ラウスは先ほどと変わらない場所にいて、俺は車のボディに軽く叩き埋まっていた。

 右肩の痛みはこれか・・・なんつー破壊力。

 そして左脇には剣の刃が刺さったまま斬りこまれていた。


「くふっ・・・!」


 受け止めた状態から剣ごと薙ぎ払ったらしい。


「殺気はてめえ以上にプロだ、重くはねえ」


 ラウスは自分の武器を拾い、狙いを定める。


 俺は刺さった剣を抜き、持ち直した。

 再び・・・いや、三度目の突きの姿勢を取る。


「ああ? 同じことしかできんのかてめえは」


「・・・える必要はないのさ」


 速攻して、一気にラウスに近づく。


「もう受け止めんぞ――――――――――――消えろ!!!」


 同時に両手の銃を俺に向ける。激昂した声とともに激しい雷撃のような二つの閃光が迫る。


「――――――――――――――っな!!!」


 自分でも予想外だった。奴は剣を受け止めると踏んでいた。その瞬間に防具に変えて攻撃するつもりだった。

 速攻をやめたが、避けきれそうにないことを悟った。


「―――――――――――――――くっ・・・そ!!!」






 巨大な閃光に飲み込まれそうになったとき、横から何かが俺の体を押し倒した。

 思わず、声を出してしまうが、ラウスの攻撃ではないようだった。

 俺の体の上に乗る小さな人影。


長刀なぎなた!?」


「まだ死んでなかったかケダモノ男、伊達に弱くなかったことは証明できるようだな」


「お前・・・やっぱ小さいな」


「―――――――――き、貴様!!」


「ともあれ、助かった。ありがとな」


「そんなくだらんことはいい!」


 長刀が急に声を張り出し、俺の胸倉を掴んだと思った瞬間、いきなり投げ飛ばされた。

 長刀も後方へ下がり、目の前を赤黒い閃光が恐ろしい音を立て通過していく。

 俺は立ち上がり、ラウスの次の攻撃をうかがいながら長刀に近づく。


「なあ!真由香はどうしたんだ!」


「あの女は遠くに逃げるように促した!」


「お前だって女だろ!?ましてやまだ子供じゃねえか」


「うるさい!お前たちとは経験が違うってんだ」


 ラウスは狙いを定めながらこちらへと近づいてくる。俺たちを一気に消し飛ばす気でいるらしい。

 そして、長刀の手には腕の武器<爪長ウンギア・ルンガ>がつけられていた。


「わかった、死ぬんじゃねえぞ」


「当然だ、貴様より生きる」


 長刀がラウスに向かって突っ込む。それも俺の速攻と比べ物にならない速さでラウスのまわりを高速移動する。これも武器の特性なんだろうか。

 そして、ラウスの背後に長刀の姿が見えた。手を大きく振り上げて―――――――――


「無駄なあがきだ、消えろ」


 ラウスは素早い動きで銃を後ろに向ける。





ドゴォォオオオオオ――――――――――――――――――!!!!!


 長刀に向かって放たれた閃光が直撃した音だった。


「・・・長刀!!!」


「あっけねえ、次はてめえだ」


「この―――――――――野郎っ!!!」


 俺も速攻を駆けようとした時、ラウスは既に俺の視界から消え―――――――――




 ―――――――――背後に回っていた。


「消えろ」


「お前も同じことしてんじゃねえか――――――――!!」


 そうは言ってもそうとしか言えなかった。防御に力を集中させる隙もなかった。喰らうのを覚悟して息をのんだ。






「――――――――ぐっあ!!」


 ラウスが声を上げ、俺から離れた。


「はぁ、はぁ、俺を、ガキ扱い・・・するからだ、・・・はぁ、はぁ」


 後ろにはいつの間にか長刀が立っていた。息も激しく乱れている。

 スーツは派手に破け、所々に出血が見られる。


「お前・・・!何したんだよ!」


 長刀が倒れそうになるのを、腕で支える。


「はぁ、はぁ、触る・・・な、変っ・・・態・・・」


 長刀の目がかすんでいるように見えた。


「おい!大丈夫か!?情けねえ声出してんじゃねえよ!」


「ラウス、に深い、傷を負わせて、やった、もう・・・あの動きは、早々に、できない」


 長刀は咳き込む。


「もういい、わかったから」


「俺、の武器まで、ダメに、なったが」


 長刀の武器は、ひどく焼け崩れていた。

 ラウスは背中を抑えて、こちらを睨んでいる。長刀が力を振り絞って致命傷を負わせたんだろう。この傷を負ったのもラウスを油断させるため、隙を作るためのもの・・・


「に、・・・にい君」


「!?」


 長刀が言ったのか!? 

 聞けるはずのない言葉だった。名前のない俺を呼ぶために真由香は「にい君」と勝手に決めつけた。それを、こいつから聞けるとは思いもしなかった。

 それほど重傷ってことなのか・・・!


「ラウ、スは、俺に注意が、向いてる・・・そのうち、に、離れろ」


「阿呆なこと言ってんじゃねえぞ、俺はお前も連れて帰る。絶対だ、何よりお前には説教しなきゃいけないからな」


「今の、愚鈍な貴様では、ラウスに、勝てない、もっと、鍛えろ・・・だか、ら逃げろ」


「そんなもん必要ねえよ、あいつごときで」


「だい、たい、貴様に、説教されることなど、何一つ・・・!?」


 弱弱しい長刀を見て、何を思い、行動に出たのか自分でもわからない。



 無意識だったのか、脳が指令を出したのか――――――――





 ――――――――俺は長刀の額に口をつけていた。


「ば、ばば、ばバカかあ、き、きさ、きさ、貴様あ、いきなり、なにちて!!!」


 ひどい血のせいか、全体的に長刀が赤く見えた。


「お前の力、わけてもらうぞ・・・長刀」


 俺は長刀を安全な場所に移動させる。 




「もう終わりにしようぜ・・・ラウス」


「ああ? てめえらは遺言を交し合ってただけなんだろうが、終わるのはてめえらのほうだろ」


 俺は走り出す。剣を強く握りしめる。


「容赦はしねえ、一瞬で跡形もなく痛みもねえようにしてやる」


 ラウスは俺の方へ二つの銃口を向け、連射し始める。


「ああ、何もかも!!お前にそのまま返す!!返ってくる!!!」


 俺は下からすくい上げるように手を振り上げる。


 なぜなら――――――――――――――――


 剣を飛ばすため――――――――――――――――


「おい、何のマネだ? 狂ったか」


 天に飛ばされた剣に注意を向けるため――――――――


「ぐ・・・あ」


 ラウスが急に顔をしかめるのも当然だ――――――――――――――――


「言ったよなあ、返ってくるって」


「あ・・・あ?」


 ラウスは俺に向き直る。


「お前が長刀に与えた傷、今は長刀がお前に与えた背中の傷が効いている」


「・・・この程度っっっ!!傷と呼べるか!!!!」


「これは、満月の恨みだ・・・」





 ザグシュゥッッ―――――――――――――――――――――!!!!!






「ふっぐ――――――――ぐあああああああアアぁああアアアアぁァァァァ!!!?」


 俺の飛ばした剣は真っ逆さまにラウスの腕を肉ごと切り裂いた。

 正直、賭けだったが。

 すかさず、剣を握り、振り向きざまに、横目で銃を構えているのが見えた。


「クソガキィガアアァァ、消シ飛バスッッッッッ!!!!!!」




 スパ―――――――――――――――――――――!!!


 ラウスの持っていた銃は割れ、バラバラに散ってゆく。


「井手口さんの恨み」


 ラウスの表情は銃を壊されたせいか、ひどく歪み、軽く放心状態だった。


「町の皆の恨み」


 剣を捨て、右拳を顔面から喰らわす。左拳、右拳、


「組織の人たちの恨み、殺された人たちの恨み」


 自分の顔から流れ出す涙。泣いてもいないのに。




 何回も、何回も、何回も繰り返す。




「最後に・・・長刀の・・・恨みだ!!!」






 右手を思い切り振った。



 そして、めまいのようなものに襲われ、視界が黒くなった。頭は真っ白になり意識が飛ぶ。





 ただほんの少しだけ思ったこと・・・



 


 


 もう散々だ、こんなこと・・・



効果音多いなー、あとあの兄妹どこ行ったし(他人事

我ながらあれでいいんだろうか・・・と思いつつ

次話投稿を待たれよ

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