追悼31 一時休戦と第2ラウンド
2ヶ月放置で申し訳ないですm(__)m
つづきをどうぞ
背中に感じる痛み。
かすかな意識から、次第に確かな意識を取り戻す。
「にい君!? 良かったぁ、良かったよぉ~!」
「ま、真由香?」
うつ伏せ状態ではあったが、真由香に抱きかかえられていた。涙を浮かべながら・・・。
「・・・!! あいつは!?」
立ち上がれなかったものの、周りを見渡し、状況を確かめる。
「どこだ・・・ここ?」
赤く燃え上がった火、地獄絵図のような町、そしてあの男の姿は――――――なかった。
そこは見覚えのない建物の屋上。空は暗く、時間もさほど経ってはいないようだった。
「覚えてないのか?」
後ろの方から長刀の声がした。
「青年、はやく起きたまえ。君に話があるのだよ」
男の声を聴き、俺は背筋が一瞬凍る。
聞き覚えのある声、口調に思わず、無理やり体を起こす。
「黒井!? なんでお前がここに!」
黒服帽子の黒井。インディペンデントの一人。なぜあいつは平然とここにいるんだ。あの時、あの赤黒い炎を受けてただでは済まなかったはず――――――
「まず、その敵意を向けるのをやめてくれないかね。争いに来たのではない」
「じゃあ何しに・・・」
「君とは一時休戦したくてね。それと今、ラウス君に君を殺してもらっては困る」
「ラ・・・ウス?」
「貴様とさっき戦っていたやつの名だ」
片足を負傷した長刀が教えてくれる。
「お前、足・・・」
「き、貴様に心配されるような傷じゃない」
長刀はそう言うと、顔の表情も見せずに俺から離れて行ってしまった。
「悪い・・・」
長刀は本来、成すべき仕事を遂行しただけ。今まで受けてきた傷は俺では計り知れないだろう。
「もういいかな? 本題に移りたいのだがね」
黒井が俺に背を向けた。
「あの場から君をここに連れてきたのは、この私だが・・・、助力したわけではない。そこを勘違いしてもらっては困る」
「・・・借りができたのかと思っちまったよ」
俺は鼻で笑う。
「一つ尋ねたいことがあったからなのだよ。君は組織の人間ではない一般人だ。その一般人が、なぜ危険を冒してまで戦う?」
「それをお前に話して何の意味がある?」
「私が考えるに、一つは仲間を殺された恨み。しかし、それ以前に君が武器を所持していた事実が引っ掛かる。最初に出会った時のことを覚えているかな? あの時ではまだ、組織の存在どころか我々のことをまだよく理解していなかったように思えるのだよ」
俺は黙り込む。俺自身、こうなることは望んでなかった・・・と思う。当初の目的は俺の記憶にあった少女がきっかけであるわけで、悪魂間だのインディペンデントだの俺には関係なかった。
「あとは君自身が調子に乗り始めたか、殺すということの楽しみを覚えたか・・・」
「てめえ・・・もう一回、燃やさねえとわからないようだな」
「再度言うが、君と争いに来たわけではない。時に、君は妙法院桃香という少女をご存知かな?」
黒井は帽子で見えない表情ながらも興味深げな声で訊いてくる。
少女に引っかかるが・・・。
「知らねえよ」
俺がそう答えると、黒井は何も言わず、考え込むような仕草を取る。
「俺もお前に質問がある」
「ん? 誰も君からの質問を受けつける許可をした覚えはないがね」
「ガンズってやつは今どこにいるか分かるか?」
「ほう、ガンズ君の居場所を教えるとして、君はどうするのかな」
今、黒井にガンズの居場所を聞いたとしても、まともに答えが返ってくるとは思わないが、情報の少ない俺としては、チャンスだった。それが無駄だったとしても。
「・・・そいつに捕らわれているはずの少女を助けたいんだよ。だから、知ってるなら教えてくれ」
すると黒井は当然、気味悪く笑い始める。
「なるほど、話が何となく見えてきたよ、ガンズ君」
「おい!聞いてんのか」
「特別に教えてあげよう。彼はこの――――――日本にいるよ」
「外国にいるんじゃねえのか・・・!? 日本のどこだ!」
「それ以上は答えられないのだよ。それに私の疑問視してた懸案が解決しつつある。君はもう用済みだ」
黒井のまわりは魔法陣のようなものに囲まれていた。
「待っ――――――」
言いかけたとき、黒井の姿はなかった。
黒井の言っていたことが本当だとすると、俺の探してる少女もこの近くに・・・。
でもなぜ、日本にいるんだ? 俺のことが感づかれたのか? それとも黒井が俺のことを知らせたとかか? 分からない。分からないけど、近い日にすべてが明らかになるのかもしれないのは確かだ。
ガンズが日本にいる間に、決着をつける。
勝てるかとかの問題ではない。事実を知りたいだけだ。
「にい君・・・?」
今まで静かにしてた真由香の小声で俺は我に返る。
「あ、すまん。今、起き上がるから。よっ――――――痛っつ!?」
背中に激痛が走り、俺は真由香の胸に顔をダイブする。
「ひゃっ!?」
柔らかい感触。
「さっさと起き上がれってんだよ! この獣!!」
「――――――ぐぇ!?」
長刀に服ごと掴まれ、投げ飛ばされる。
「くっ・・・長刀、これでも重傷なんだぞ! なんてことしやがる!」
俺は背中の痛みに耐えながら、立ち上がり、体を叩いてゴミやら埃やらを落とす。
「貴様なんぞ、あの時素直に野垂れ死んでたほうが賢明だったんだ。なんでまた、黒井さ・・・じゃなくて敵に助けられるんだか」
「こ、こいつ・・・今ここで泣かしてやろうか」
俺は拳に力を込める。
「にい君、落ち着いて」
「俺は落ち着いてるよ、落ち着いてないのは、こいつの頭であって――――――」
そう長刀を侮蔑しようとした瞬間――――――
遠くの方から大きな爆発音が聞こえた。
幸い屋上だったため、どこで爆発が起きたのかすぐ分かった。
「ラウスだ、俺たちを探してる」
「にい君」
「ああ」
「リベンジしに行くぞ!」
次話投稿を待たれよ




