追憶28 またしても
最近、焼そば(インスタント)にはまっている件(※この時期だけの模様)
頬に痛みがある。何発も殴られれば当たり前か・・・。それよりも――――――――
「お前、女の子だったのか!?」
「っ!しつこいやつだ、どこまで馬鹿にしやがる!」
スーツ姿の女の子は怒号を放つ。
「いや、すまん。てっきりさ・・・」
「ふんっ」
すっかりご機嫌斜めだ。それも当然っちゃ当然だろうな。女の子とは知らずに接してきたわけで・・・
「にい君、早く帰ろ?」
涙を服の袖で拭きながら、俺の服をつまむ真由香。
「そうだな、お前・・・じゃなくて、君も来るだろ?」
「当然だ、愚鈍で愚人で惰弱な貴様の面倒を見てやらないといけないらしいからな。」
「弱くてスンマセン」
「・・・そして、獣」
この言われようである。
デパートの外はすっかり夕暮れだった。街並みも綺麗なオレンジ色に染まっている。自宅に向かう足取りは重い。
「そういや、名前まだ聞いてなかったな」
「・・・長刀嵐」
思いのほか素直に答えてくれた。
「長刀、その、さっきはありがとな。長刀がいなかったら、真由香が連れて行かれるところだった」
「・・・。」
会話が続かない。真由香もだんまりだし・・・。
長刀から感じた力は悪魂間の力であることには間違いないと思う。爪みたいな武器からは赤黒い炎が出ていた。俺よりも若いのに、どれだけの戦いを乗り越えてきたのやら。
沈黙の続く微妙な空気のまま、自宅に着いた。
「さてっと」
何をしようかと考える前に、真由香が話しかけてきた。
「疲れた、ちょっと寝てもいい・・・?」
「ああ、いろいろごめんな」
「んーん、にい君は悪くないと思うから、元気出してね」
やべ、目がうるっときた。言いたいことはまだあったのだが、やめておいた。
「でだ、長刀はどこ行った」
家に入ったはずなのだが、その姿が見当たらない。玄関まで戻ると、その廊下から続く浴室のドアが開いていた。そして、風呂場を見つめる長刀を確認する。
「長刀?」
「ひゃい!?」
間の抜けたような返事。
「なにやってんだ?もしかして、風呂に入りたいとかか?」
「なんでもない!!なんでもないから戻ってくれ!!!」
無理やり体を押され、リビングに戻される。
「それで・・・俺を助けに来たって具体的にはどういうことだ?」
「俺が組織の人間だってことは暗愚な貴様でもわかるだろうが、敵が敵だからな」
組織というと、長刀も<日本部ヴィジランティー>の人間ということになる。そして、こいつらのやっている任務は、悪魂間という人間の邪心や野心、怨恨などから生まれた悪魔を滅ぼそうと総力を挙げている。今現在、この現状を認識しているものは少なく、知らず知らずのうちに一生を過ごしていく人たちもいるだろう。そんな中、犠牲になっていく者がいる。これ以上、悲劇を生まないためにも、このような組織が創設されている。
「確かに強いよな、お前。どこでそんな力を身につけたんだ?」
「実践あるのみっていうだろ、貴様こそ、本当に黒井を退けたのか?」
「俺もよく分かんねえよ、つか、どこでそんな情報を・・・」
「最強最悪インディペンデントの一人だ、情報網を侮るな。それ以前に組織の人間でもない貴様が倒すことは愚か、退くことなんてできるはずがない」
そこまで言われると、俺の目標とするガンズは底なしの強さなんだろうか・・・。
生唾を飲み、改めて、異一型剣という名の武器の恐ろしさを実感する。悪魂間にしてもそうだろう。
「あの、一ついいか?」
唐突に俺はある質問をしてみる。
「なんだよ・・・」
話の途中で、遮ったので不機嫌そうに長刀は言う。
「口調がなんで、その、男っぽいていうか、荒いっていうか、女の子なんだろ?お前」
「なんでも貴様の思い描いてるような現実だと思うな」
「でもさ、口調さえ、そうだな・・・敬語とか使うと従順で可愛いと思うけどな」
「か、か、かか、可愛い!?何言ってやがんだ貴様は!」
異様なほどの慌て方と顔が真っ赤である。例を述べただけなんだが・・・。
「貴様っていうのもちょっと・・・な」
「じゃあ、獣野郎って呼ぶ・・・」
「なぜそうなる・・・」
すると長刀は急にしおらしくなり、
「だって、さっき触ったじゃないか・・・」
「な、何をでしょう・・・?」
「き、貴様が、お、俺をつかんだ時、む、む、む――――――――」
「わかった!!!言わんでよろしい!!!俺が悪かった、ごめんなさい!」
この後も何度も謝罪を重ねる俺だった。
~数分前のある林道~
チッチッチッと一人、男は爪を擦り合わせていた。
「つまらねえ」
それからまた、チッチッチッと爪を擦り合わせる。
「!」
静かに男は冷酷な表情を浮かべ、
「反応があった・・・行クカ」
行き先が決まっているらしく、その場所に男は林道を歩み寄っていった。
次話投稿を待たれよ




