記憶2 異一型剣
「・・・こいつ重いな・・・」
辻家を出て、この剣らしきものを持ちながら歩くのは、やや目立つようだ。持ってる物自体は黒く長い布で包まれていて、実は中をよく見ていない。ただ重いの一言である。
「おにーさんっだいじょうぶ?」
あの家の教会みたいなドアの鍵を壊しておいて放置したまま一人で帰るのは気が引けた。なので姫乃もつれてきた。ゆ、誘拐じゃないよ・・・・そう、お散歩だ。鍵については、まあ後で謝るか、おじさんに何とかしてもらおう。そこは大人の事情とかで理由をつければいいだろう。それにしても、重い。気を抜かないようにしないと肩がはずれそうだ。
しばらく歩いていると、前のほうから黒いものが見える。人のようだが全身黒服で帽子をしていて、髪が少し長い・・・でも、何かほかの人とは違う気がした。男のようだが隙がないというか帽子を深くかぶり、表情がうかがえない。
「姫乃、俺から離れるなよ・・・」
「えっ・・・うん」
黒服帽子の男と俺たちの距離は少しずつ近くなり・・・・・・・そして何事もなくお互いがすぎた。俺が胸をなでおろそうとした瞬間、
「・・・・辻の娘と名前のない哀れな青年か」
「 !?っ 」
男は、こっちに顔を向けることなく、さっきの変わりのない足取りで小さくなっていく。その方向を見ながら俺は姫乃をかばうように身構えたまま動けなかった。姫乃に何度か呼びかけられていたようだが、この感じは前にもあった気がする。ぼんやりとしたあの記憶とは多少違うようだが・・・いつからこうなっちまったんだ。
俺の家に着き、剣らしきものを置き、肩を回す。重かった・・・。姫乃も入ってきた。
「しつれいしまーすっ」
姫乃は俺の部屋をへーと見回していた。ちょっとはずかしいな・・・。特に何もないのだが、おじさんからもらった物ぐらいしかない。骨董品とか骨董品とか・・・骨董品とかしかないじゃないか。
まあそんなことはともかく、黒く長い布で包まれている中身を見てみる。・・・やはり剣だったようだが少し変わっている。先端が短いというか、ないというか・・・例えるならカッターみたいな感じだ。そんなふうに思考回路をめぐらせていると姫乃が黒く長い布から、いかにもって感じの紙を見つけてくれた。
「この剣の取扱説明書?」
いろいろツッコみどころはあるが今は置いておこう。説明書によると、この剣は 異一型剣 という名前があるらしい。読み方わからんぞ・・・。名前は適当らしい。しかし、この剣の特性がその持ち主によってたった一つだけの型があるらしい。・・・使えんのかこれ。




