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追憶20 そして一人に…

 早くも追憶編

 俺は何をしている・・・、何を呆然としているんだ。頭の中を整理しよう。

 まず、俺は相澤に飯を食わせて帰らせた。そして、一息つく間もなく満月が帰ってきた。


 バンッ!!!


 ドアを突き破るような音。いや、実際突き破ろうとしたんじゃねえの・・・


「青年くんっ!私、私は・・・どうすればいいの!?」


「うお、ドア壊す気かっ!・・・ってあれ、どうしたんだよ・・・」


 尋常じゃなかった。かなり動揺しているようで、満月の顔に涙が流れていた。

 とりあえず、そこにあったティッシュで涙を拭いてやる。


「井、井手口が、見つからなくて・・・引き返したのに、誰もいなくて・・・」


「お前ら、任務中だったんだろ・・・一緒じゃなかったのか?」


 満月は黙り込んでしまう。わけがわからん。


「どうすれば、どうすれば、どうすれば、どうすれば・・・・・・・」


 うつむいて独り言のように小声で話す満月は本人じゃないかのように感じた。


「よく分からねえけど、井手口が迷子ってことか・・・」


「迷子?・・・そんな軽い言葉で済まないんだよっ!!!!!死ん・・・・・くっ・・・」


 いきなり満月の言動らしからぬ言葉がつき刺さる。こええ・・・

 しかし、察するものはあった。彼らにも何かいつもとは違うことが起きたのだろう。井手口さんが今、いない現状となると事態は深刻なようだと・・・。


「・・・大体は分かったつもりだ。この頃、似たようなことが起きてるからな。それにしても酷似すぎるけどな。」


 俺は片手に剣を持ち、と思ったのだが重いため、両手で持ち上げ肩に担ぐ。

 この年代で肩こりとか・・・いやだなあ・・・


「・・・変態くん、どこ行くの。」


「井手口さん探してくる・・・あと呼び方どっちかにしろ・・・」


「変態くんが見つけられるわけないじゃない・・・行くだけ無駄だよ・・・」


「じゃあ一緒に探すぞ、ここにいたってしょうがねえ。」


「それこそ出て行ったところでしょうがないと思うけど。」


「んじゃあどうすんだよ!」


「だから、言ってるんじゃない!!どうすればって!!」


「知るか!そんなの!」


「・・・なによそれ・・・もういい・・・頼った私が馬鹿だった!!!」


 勢いよく飛び出していった満月。また涙が溜まっていた気がする。いつの間にか口論になってしまっていた。何も思いつかず、頭が真っ白になり、天井を見る。


 どうすればよかったってんだよ・・・・・・ 


 外からかすかに聞こえてくる音。それは何かが落ちてくるようで、地面に当たる静かな音は繰り返される。昼近くにもかかわらず、外はうす暗くなる。


「雨か・・・傘持って行ってやらねえと・・・・・」


 しかし、満月がどこへ行ったか見当がつかない。家の外を見たが、誰かがいる様子はなかった。

 家に戻り、部屋の片隅に座った。

 それから数分、数時間?は経っただろうか、とにかくそこから俺は何もしなかった。ただひたすら、外から聞こえてくる音に耳を傾けるだけだった。













 冷たい雨が降り始める。この際、関係ないよね・・・


「井手口、どこへ行ったの・・・。」


 井手口と別れた林道に私は戻ってきていた。 

 いつもの私じゃない気がする。なんで変態くんとあんなふうになっちゃうの・・・井手口の件だって、ただ私に力が足りないから、弱いからこんなことに、すべて、


 私のせいなのに・・・


 

「・・・・・・・・あれって!?」


 地面から光沢のようなものが反射しているのを見つける。並び立つ林と延々とした道の先に落ちていた物、それは武器であって、亀裂や欠けた部分があり、ひどく破壊されていた。


「間違いない、これって・・・井手口の・・・」

 

「やっと来たか。」


「!?」


 突然聞こえた後ろからの声。黒いコートに黒ズボン、白いワイシャツで少し乱れており、髪もさっぱりした男。その男から放たれる威圧に圧倒され、足が震え始める。確かラウスって言う男で、井手口と戦っていたはずなのに・・・


「あんた!井手口はどうしたの・・・」


「てめぇらは深追いし過ぎた。当然の報いだ。オ前タチ人間ガ悪イ」


 その男から放たれる威圧から別のものを感じる。まるで二人がしゃべっているかのような・・・


「オ前タチガ存在ヲ作ッタ、ただそれだけに過ぎねぇ・・・さっさとくたばれよ。」


 相手の手が動く。とっさに自分の武器を持ち、銃口を向けようとした瞬間、



 ザクッ!!!


「あぐっ!?」


 肩から感じる激痛。力が抜け、武器を落とす。片手から流れ落ちる血。そして、ナイフ状のものが肩に刺さっていた。


「・・・・・・・・・・。」


 私の肩を刺したと思われる人物は無表情で無言で何事もなかったかのように落ち着いている。そして見覚えある顔。それは以前、屋敷での特訓の最中に現れた黒服帽子こと黒井の守護人、リンだった。


「不意打ちって・・・ありなの、こいつがいるってことは黒井も!?」


「・・・・・・黒井様はもうすぐこちらに来るそうです。」


 どちらにしても、逃げて・・・変態くんに伝えないと・・・

 二人から離れようと足を動かすが、いきなり目の前に現れたラウスは、銃を向け、不敵な笑みを浮かべながら、道を阻む。


「っっあぅ!!!」


 リンが私を地面に押し付ける。


「ぶっはっはっは、てめぇもあっちで仲間に会えるといいな!!!」


 頭に銃を突きつけられる。

 私、死ぬのかなぁ・・・やだなぁ・・・死にたくないなぁ・・・変態くんと喧嘩したままなんだよねー・・・ごめんね、青年くん。




 あんたのこと・・・嫌いじゃなかったよ








 パァンッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!















 降り続ける雨の音は止まず、依然、俺は壁に体重を預けて、座っていた。

 家のドアが開く音。誰かが来たようだが行く気力がない。


「ぼくや、いるか?」


「・・・おじさんか。」


 辻 清吉。血のつながりはないが、俺のおじさんみたいな存在だ。


「部屋の片隅で何やっとるんだ。」


「静かにしてくれ・・・それどころじゃない・・・」


「静かにしてくれじゃない、よく聞け、今朝、指定時間付のメールが届いた。井手口からだ。」


「本当か!?」


 おじさんは俺に普通の携帯・・・ではなく、少し形状が異なっていて、市販されているとは思えない物を渡された。でも、小型の情報機器であることは変わらないようで書いてあった文面を見てみる。


 題名:なし

 送信者:Ideguchi masami

 日時:指定時刻設定

 本文:緊急事態のため、手短に伝えます。念のため、

   今回の任務の詳細をこのメールの5分後に送りま

   すが、もし、送られて来ない場合、私や仲間は

   もういないでしょう。私情の判断で、満月さんを

   離脱させました。しかし、彼女も私達と同じ扱い

   にしてください。自由に生きることを説得してく

   ださい。最後まで身勝手で申し訳ありません。





「おじさん・・・詳細は送られたのか?」


「今回の任務の場所は本部からの情報でもう知っている。急ぐぞ。」


「これって・・・満月を普通の暮らしに戻してやってくれってことだよな・・・」


「・・・本部もそろそろ動くだろう・・・その任務を行っていた全員の消息が途絶えたんだからな・・・もし、満月がそこにいたとして本部の仲間に見つかれば、井手口の願いは叶えられない。」


 どうやら、おじさんも満月の今後については決まっているようだ。満月も今回の任務によって犠牲になったということにし、実際に生きていることを本部には内密にしておくということ。井手口さんに賛同したらしい。俺もそのほうがいいと思うが、あいつは断りそうだな・・・

 とりあえず、満月を見つけることが目的だ・・・。

  おじさんの軽自動車は颯爽と雨の中を走る。



 林道・・・ここで井手口さんが・・・

 あのメールは戦闘中であるにもかかわらず、打っていたんだろうか・・・もし、メールの本文が本当だとして・・・信じれるかということ。悪い夢なら覚めてほしい・・・

 

「ぼくや!そっちを頼んだぞ!」


「本当に満月はここにいるんだろうな!?」


「もしいたら、車に入れてやってくれ。この雨だ。風邪をこじらせてはいかん。」


 雨の勢いはそれほど強いわけではないのだが止む様子はない。





「くっ!お~~い!!満月~~~~!!!!いるんなら返事でもしてみろ~!!!」


 しかし、返答があるわけでもなく、雨は降り続ける。


「このままじゃ俺が風邪ひいちまう・・・ふぇ、ふぇ、ふぇっくっし!!!」


 再び走り出す。どこを見ても木が並び立っているだけで、人物らしきものは見えない。

 そして、雨によってぬかるんだ土に足を踏み外したのか、


「ぅおあ!?」


 見事に転ぶという・・・


「情けねえ、ん、痛ぇ・・・」


 足のつま先に痛みがあった。起き上がると土を踏み外したのではなく、鉄のようなものに足を踏み外したようだった。でも鉄にしては見たことない形状・・・

 大きい、銃か?これ・・・


 目線はさらに先に向き、何かが倒れていた。


 近づき、人であることがわかって、静かに眠っていて、笑っているような、泣いているような顔で・・・









「み・・・つき・・・・・・」


 まわりは赤く広がっていて、雨と混ざり合っていく。


 嘘だろ・・・こんなことって・・・

 




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