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記憶1 剣

 なぜ、剣を持ってこなければならないのか・・・考えながら歩いていた。そもそも、この現実において剣なんて使いどころがない。あのおじさんは何を考えているのか。そうこうしてるうちに辻家についてしまった。

 そう、辻家には何度も来ている。大体は野菜をもらいにくるのだが、今回のケースはわけがちがいすぎる。いつものように立て付けの悪そうなドアをたたこう・・・としたのだが、素直に言ってもなんと、かえされるのか・・・おじさんはここまで想定してなかった、いや、考えてなかったな・・・。苦い顔をしていていた俺は一度帰ろうかとしていたとき、声がかかった。


「なにしてるの、おにーさんっ」


 そこに辻おじさんの一人娘である 辻 姫乃 が俺に声をかけてきた。ちなみに俺はおじさんと呼んではいるものの、おじさん自身は全然若いので姫乃もまだまだ子供である。しかし、関わりは玄関で挨拶くらいだ。さて、どうしたものか・・・。


「おにーさんっきいてるのっ」


「いや、きいてはいるんだけどね」


「お家に入らないの?」


 さすがに幼児である。さっそく、そこをついてくるところが素直である。いや、そのとおりなんだけどね・・・。


「いま、お家にはだれもいないんだよー、おにーさんざんね~んっ」


 きゃははと笑うしぐさからして本当のようだ。どちらにせよ、無理だったのかもしれないな・・・。安堵な気持ちとともにため息が出る。よし、と自分の足をしっかりと立たせ、帰ろうかとしたのだが、


「おにーさん・・・帰っちゃうの?」


 急に足を止められた。そんな子犬みたいな声で言われても・・・子犬みたいな声ってなんだ。しかし、自問自答してる暇など与えてくれず、姫乃は話しかけてくる。


「姫乃がいるから、はいってもいいんだよ?」


「ああ~・・・どうするかな・・・」


 今のうちに探すのもありなんだろうが・・・よく考えたらどこにあるのかもわからない。ありそうなとこ探ってみるか。泥棒じゃない。姫乃がいるから大丈夫。よし、


「じゃあお言葉に甘えて・・・失礼します」


「あは、どうぞーどうぞー」


 ガラガラッと音を立てたドアを通り抜け、とりあえず、リビングに入り、あたりを見回してみる。剣らしきものはないか・・・。案外テレビの裏とか?それともテーブルの下か、ソファーに埋もれているとかなのか・・・だめだ自分でも何してるのかわからん。ありそうな場所を考えていると姫乃が飲み物を持ってきてくれた。


「はい、お水」


 こぼしたのか服からスカートにかけて水の濡れた後がツツーと残っていた。今にもコップから水があふれそうである。それを受け取り、こくっと飲んだ。うん、水だ・・・。


「おいしい?」


「ああ、うまい。ありがとな」


 姫乃が急に頭を下げて、もじもじしていた。癒される。じゃない、あやうく何しに来たか忘れるとこだった。本題に入らねば・・・。


「なぁ姫乃、この家になんか・・・その・・・面白い部屋とかってないかな?」


「う~ん、よくわかんない」


 まあそうだよな・・・自分で探すしかないか。


「あ、でもあけちゃだめだよっていわれたとこならあるよ」


「どこだっおしえてくれ・・・」


「・・・うん」


 姫乃に案内され、廊下をまあまあ歩いただろうか、するとやたらと他と違うドアがつきあたりに見えてきた。教会にありそうなドアである。しかしながら、鍵がかかっていた。案外カーペットの下とかにあるんじゃないかと手探ってみたがあるわけもなく、鍵がどこにあるのかまた姫乃にきくにしてもそろそろまずいだろうし・・・困った。

 途方に暮れていると鍵穴が少し錆びていることに気づいた。しばらくドアを揺さぶったり、鍵穴をかまってみたりといろいろ繰り返してみた。姫乃は興味半分、不思議な顔をしていた。何回か揺さぶる作業をしているうちにガキガキとなにかがほころぶ音がする。そして・・バキッゴト。


「開いちゃった・・・」


「おにーさんすごい・・・」


 自分でもまさかとれるとは思わなかった。あとで何言われるか知れたもんじゃない。おじさんのせいにしよう。うん、俺は悪くない。とりあえず、開いたので中をのぞいてみる。中は骨董品らしきものでいっぱいだった。なんだこりゃ・・・大事に飾ってあるらしいが一つだけ壁に立てかけてあったものがあり、剣としての長さはあるだろうか・・・たぶんこいつだな。よし、帰るのみ。

 鍵どうしよ・・・。



 

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