追跡12 本当の脅威
満月と黒服帽子の男。満月は武器を持ち、黒服帽子の男は依然として立ったままで、静かに時間が流れていく。黒服帽子の男は武器のことを知っている。彼にも武器があるのだろうか。そして、なぜここまで武器に興味があるのだろう・・・。最初に会ったとき、脅威があるか否か、みたいなことを言っていた。いったい何者なんだ・・・。
「・・・かかってこないの?私の武器に恐れをなしちゃったとか?」
「ほう・・・自分の実力に自信があるということか、ますます興味深い・・・しかし、過信は己を乱すものだよ。」
「む・・・あんたこそ、武器のこと知ってるなら自分の武器出さないの?死んじゃうよ?」
「私はその武器の威力について知りたいのでね。面倒は避けたい。リン、彼女の相手を。」
「なっあんた自身は戦わないとか、私、馬鹿にされてるのかな・・・」
リン?黒服帽子の男が人の名前らしき言葉を放つと林の中から一人の人影が現れ、帽子をして表情は確認できないのだが、俺ぐらいの若い女の子だろう。
そうか・・・姫乃が取り押さえられていた時にいた二人のうちの一人か。
「・・・・・・」
「何こいつ・・・いいよ、かかってきなさい。」
すると、リンとかいうやつが、攻撃する体制に入る。腰を低くして、満月のほうに駆ける。満月も目標を完全に定め、銃口を向ける。
そして、満月が放った瞬間―――――
「・・・・・・・・・・おそいです。」
満月の放った赤い光は俺ですらやっと回避しているのに、それを彼女は人間とは思えない脚力で飛び、回避した。そして、リンの手から魔法陣のようなものが浮かび上がり、満月に狙いを定める。
とっさに俺の足が動いた。あの魔法陣なのかよくわからないが、何かやばい気がする。
「間に合わない!!!!!!!」
俺は激しい光に包まれた。林を吹き飛ばすような爆発音――――――――――――――
しばらく動けそうになく、剣を前に置き、爆風が静まるのを待つ。やがて、舞い上がった煙は落ち着いた。まわりを見ると、爆発が起きた中心から大きく円を描くように魔法陣らしき跡が残っていた。
「嘘だろ・・・」
「ほう、よく無事だったものだ。吹き飛ばされなかったことには、素晴らしいと思うよ。」
「てめえ・・・」
急に剣が軽くなった気がした。というより、腕に一体化したような感覚だった。
そんなことより、満月は―――――――
「・・・あれ・・・・・井手口?・・・」
「間に合いましたよ、満月さん・・・」
どうやら無事だったようで、満月は井手口さんに抱きかかえられている状態だった。
気づけば二人の前に大きな盾のようなものが浮かんでいた・・・。もしや、あれが井手口さんの武器なのかもしれない。っていうか俺の役じゃねえの?そこ・・・。
「流石だ・・・優秀だよ、私の守護人の攻撃を防ぐなんてね。」
「・・・あなたの趣味に付き合っている時間はないのです。帰ってください。」
「そうだね・・・今度は君の武器に興味がある。」
そして、二人の後ろにリンがいた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・覚悟してください。」
「いつの間に!?くっ・・・」
「井手口!逃げてよ!!!」
井手口さんが満月をかばうように抱き、盾を移動して防御しようとしているらしいが、それよりもリンの魔法陣らしきものが浮かび上がった。間に合わなそうだ。
誰よりも動ける。なんだこの力は・・・。剣の特性とかっていうやつなのか?妙に軽い。軽すぎる。でも、しっかり剣はもっている。重くなければこっちのもんだ。
魔法陣による爆発を阻止し、スパっと肉がかすれる音。
「・・・・・・・・・・・え・・・」
「わるいな、急に剣が軽くなった。足のスピードには自信があってな。もう好き勝手にやらせねえぞ」
剣が軽いだけじゃなかった。脅威なんてものは今はどうでもいい。目の前にいるやつなんとかしないとな。
「・・・青年よ・・・君の参加は認めてないのだがね。」
「おっと、なんとかしなきゃいけないやつは二人だったな。」
「何・・・・ふはは、笑わせてくれる。私に手も出せなかったやつが何を言うか。」
「姫乃の件についてはお礼しなくちゃな・・・もう簡単にはいかねえよ」
「・・・・・・・・・・・・相手をします」
「いや、ここは私にやらせなさい。」
「・・・・・・・・・・・・・・わかりました」
以前とは何か違う感覚だった。剣が軽い。それだけでこの自信だ。
相変わらず黒服帽子の男は何も持っていない。
第二回戦がはじまる・・・




