追跡11 殺気の力
どこだここは・・・。俺の目には青い空が広がっていた。なんでこんなところに・・・
「やっと起きたの・・・青年くん、じゃなくて変態くん・・・」
ああ、そうか、俺は満月の物騒な銃に・・・
起き上がれば、そこは林と屋敷が見えていた。相当の威力だったな・・・屋敷の壁に大きな穴が見える。飛ばされたのか。
「あれ・・・すごい威力だったはずなのに・・・痛みがない?」
「相当重傷ってことだねー変態くんっ」
「あの・・・満月さん怒ってますよね・・・え~と・・・ごめんなさい」
「さ、さっさとシャワー浴びれば?」
「ああ、すまん。」
理由を知ってか知らずか、それとも時間の経過だろうか、あっさりと行かせてくれた。
シャワーを浴び、いつもどおりの日常たるプロセスをこなしていく。朝食は井手口さんが作っていた。どこのご家庭でもあるようなご飯とみそ汁にサラダだった。やっぱり白いご飯が一番である。つか、この屋敷なんでもあるなあ・・・いっそここに住んでしまうか。
そんな雑念をしていると満月が箸をおいた。
「変態くん、今日は私とだから。ねえ井手口、武器使っていいでしょ?」
「・・・ほどほどにですよ。」
「いや、あんた、何了承しちゃってるの、あんな武器と俺の武器じゃ明らかに俺、不利じゃん。っていうか武器だったのか、使うなって言っといて使うとか馬鹿なの?小さいの?あと俺、変態くんじゃないから、完全に不慮の事故だから。」
「・・・よくしゃべるね、ってちょっとまってよ、小さいって何!?」
「そこツッコむのか・・・」
「や、ややや、やっぱ見たんだね、見たんでしょっ!!!」
「い、いや、まて、俺はそれはそれでいいと思うぞ?うん・・・」
「こここここのおおやっぱりこいつぅ殺すぅぅぅぅ」
満月は涙と顔中真っ赤だったが、ここにきて、井手口さんや満月の人柄がだんだんつかめてきた気がする。そんなに時間は経っていないのだが・・・
まあそんなことは置いておいて、外に出て剣を持つ。両手で・・・。満月の武器か、俺今度こそ死ぬんじゃないの・・・
「私の体を見たことと馬鹿にした罪でぶっ放してあげる・・・」
「おい・・・目がマジだぞ・・・いつものかわいいお前はどこいったんだ?」
「ほえ?かわいい・・・・・・・」
満月が下にうつむいたので、足を一気に踏み込んだ。
どうせ、俺の武器は使えないからな、この距離じゃ一発撃たれておしまいだ・・・、距離を縮めて射程から外れないと・・・あっちの武器もそう簡単には動かせないだろ――――――――
「っとでも思ってるんでしょっ残念でした~~」
「なんで心の声がわかるんだっっ!!」
そして、十字型の銃口が向けられ、撃たれた先から赤い光を放つ銃に、俺はその赤い光に飲まれる。でもやはり痛くない。
「なぁ・・・威力こそ強いけど、その抜けていくような感じはなんだ、それ大丈夫なんだろうな・・・」
「満月さんの武器<十字口 G>は私の武器より威力は強いです。殺傷力もあり、今までも赤い光に飲まれたものは、ただでは済みません。ただ、殺気がないのかもしれませんね・・・」
「殺気?殺されたらたまんねえけど・・・」
「殺気によって武器の力が大きく変わることがあります。つまり、満月さんはあなたを敵対視していないということです。あの武器はそういうものですから・・・」
「なっ・・・それ言わないでよ・・・こいつは変態だもん。私の敵・・・」
「あなたの剣の場合、殺気を持てば、何らかの力を発揮するんじゃないかと私は考えていますが。」
「俺の武器もそうなのかな・・・」
使えそうにないと思って落とした剣を再度、両手で持った。
殺気を持つようにって・・・どうすればいいの?相変わらず重いんだけど・・・。
「イメージしてください、もし、私たちが・・・そうですね・・・ガンズに殺されて、あなたが一人だという状況下にある。」
「やだなぁそれ・・・イメージすんのか。」
頭の中をイメージさせる・・・自分でやってて馬鹿らしいがしょうがない。殺気だ殺気・・・
「く・・・くく・・」
両手に持った剣は重いままだった・・・何かの型が思いつくわけでもなく、ひたすら、頑張っていた。
イメージするんだ俺、ガンズ・・・よくも二人を、許さねえ・・・俺がお前を殺す!
「・・・・・・・・だめだ、変わらん。」
「あなたの格闘センスは基本がなっていそうですから、本来、このような事をする必要がないのです。しかし、武器で差が出てきます。まずは武器に慣れてもらわないと・・・。」
先の見えない現実に絶望しかけた・・・。
「ほらほらっ続きいくよーいくら変態くんに殺気がないとはいえ、こんな楽しみ方なかなか、ないもんねー」
俺が必死に殺気を作っていたのに、いきなり赤い光が俺を包み、邪魔された。
「・・・・・・・・・何すんだコラアアアアアアアア!!!!!」
その日は何回も叫び疲れた一日だった。殺気どころではなく、満月の悪ふざけにつき合わされた。でも、満月は楽しそうに笑い、井手口さんも見守ってくれていた。
俺が満月の放つ赤い光から何とか逃げていると、ふと林の中から気配を感じた。しかも、前にもこんなことがあった気がする。
気づけば二人もさっきまでの柔らかな表情とは違い、隙がなく、警戒していた。
そして、林の中から気配が近づいてくる。全身が黒い服に包まれており、帽子をしている。
「三人とも流石だ。私の気配に気づくとは、ただものではないらしい。」
違う、少なくとも俺は前にもこんなことがあったから、気配に気づいたんだ。他の二人は経験とかそういうところで、気配に気づいたのだろう。いや、ある意味、俺も経験からか・・・。
「おや、これはまた面白い。そこの青年には見覚えがある。二度と会わないと思ったのだが・・・こんな偶然もあるものだ。」
「・・・・・何を言っているのかわかりませんが、私たちに何か用ですか・・・」
井手口さんが静かに口を開く。
でも俺は知っていないわけがない。黒服帽子の男。なぜここに・・・
「用?ああ、君たちの警戒心からして隠すつもりはない。武器の反応があったから、ここに来たのだよ」
「・・・・なるほど、それでどうすると?」
「君とそこの青年はともかく、そこの女の子の武器に興味があってね。」
「私?へぇ・・・いいけど」
おい、なんだこの状況・・・。普通に見せてやればいいものを満月はなぜ構えてるんだよ。黒服帽子の男は相変わらず顔が見えないし。こいつら、戦う気か?だったら、俺が言ってやんないと・・・
「満月、あの黒服帽子の男、すげえ速い。」
満月に近づき、小声で話す。
「・・・・変態くんとあの男と、なんかあるようだけど、後で話して」
まずいな・・・・。軽く殺し合いが始まりそうな雰囲気だ。
俺は、なぜか剣をしっかりと握りしめて、黒服帽子の男のほうを見ていた・・・。




