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追跡10 屋敷での夜

 

「ねぇ青年くん~まだできないの~」


「今、作ってんだよ・・・青年くんってなんだ。」


「すみません、任務を行っているせいで料理のほうはあまり・・・」


「俺だって無理だっつうのっ」


 なぜ、こいつらの分まで俺が作らなきゃならないんだ。何もできないわけじゃないだろうが、任務という名の仕事に支配でもされたのだろうか。今まで気楽に生きてきた俺に作らなきゃいけない権利が・・・いや、状況的に強制されていた。

 俺もまともな料理などしたことはなく、せいぜいできてオムライスかチャーハンである。記憶も名前もない俺でもなぜかこの二つは手がおぼえていた。この場において、作るのならば手慣れているオムライスが無難だろうと考えた。食料や調味料は、問題なくあった。後々、適当な感想を言われたがそんなふうに夕食を済ませた。

 ダンッといきなり、満月がテーブルをたたき、何事かと見ていると


「・・・ご、ごちそうさま・・・・」


「えっ・・・」


「・・・・・・・・・スーツきっつい、着替えてくる。」


「・・・あ・・ああ」


 ごちそうさま・・・そういえば、ご飯を作っても「ごちそうさま」と言われることがなかった。俺だけだったし、そもそも、いただきます ですら忘れていた。でもなんか嬉しかった自分がいた。下手な料理なのにな。


「良かったですね。あれだけ素直な満月さんは見たことありません。」


「・・・そうなのか?・・・いろいろ変わったやつだなあとは思っていたけど。」


「そうですか、そんな印象を・・・」


 井手口さんは少し顔を和らげ笑っていた。そして遠目で井手口さんは言う・・・


「もし、私が今回の任務でいなくなるようなことがあったら、その時は全力で・・・満月さんを・・・」


「はっ心配すんな、お前がいなくならなきゃいい・・・俺に言われても困る。」


 俺は心の底で何かを感じ取っていた。二人には俺が立ち入れない何かがあるのだろう。お互いがお互いを理解しているのだろう。


「そうですね、今のあなたには任せられませんね・・・」


「はっきり言うなっ」


 お互い笑っていた。

 井手口さんも満月も普通に俺たちと変わんないな。今はこの平和を感じることのできるひと時だった。


「すみません、ごちそうさまでした。」


「・・・おまえら、なんでごちそうさまって言うんだ?おかしな質問だけど・・・」


「こういうふうに人のいるところで、人に作ってもらったものを食べることはあまり私たちにはないからですね。」


「任務ってやつ、そんなになのか・・・大変だな。」


「これが私たちの選んだ仕事ですから。それより、あなたもはやく休息を取ったほうがいいですよ」


 そういって後片付けは井手口さんがやることになった。とりあえず、シャワーでも浴びるか。あ、でも着替え・・・

 玄関のほうにまで歩いていると旅行鞄みたいなものが置いてあった。手紙とともに・・・手紙を見るとそれは辻おじさんからで、剣の特性を見つけろ、健闘を祈る。と書いてあった。かばんの中身は着替えや

救急箱に入っているような医療品、あと俺の家にあった日用品などだった。

 俺は嘆息し、シャワー室に向かった。しかし、大抵、先客がいるものである。案の定、ドアを少し開けると、そこにはタオルで体を拭く満月がいて、髪は濡れ、白い肌に細い体のラインがっ って俺はどこまで見ているんだ。俺は静かにドアを閉めた。着替えたついでにシャワー ってところか・・・。

 まあ俺は紳士だしな。見なかったことにしよう・・・まてよ・・・紳士ってイコール、ロリコン・・・いやいやいやそんなの聞いたことありません。

 とりあえず、ここにいてはまずいので、そこから立ち去ろうとした瞬間、――――――――ズルっ


「うぉぁっっっ」


 迂闊にもダーンっと転んだ。


「んくうぅぅぅぅ痛ってぇ・・・」


そして、ドアを乱暴にあける音・・・


「・・・ちょっとあんた・・・まさか・・そういうやつだったの?」


「いやいやあの満月さん、実はこれには訳がありましてですね」


「こっち見んなぁぁぁぁぁぁぁぁアホ――――――――――――――――!!!!!!」


「ひいい、あのっ満月さん見えちゃってますよ、い、いろいろとー!」


「あんたみたいな変態いいいい殺してやるぅぅぅ。」


 激昂しながら言うとどこから取り出したのかわからない銃?にしては、両手で持っても持ちきれないような大きさで、でも、満月は簡単に持っていて、十字型の銃口がこちらにむかって――――――





 

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