表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
CHIP―チップ―  作者: 篠崎 海斗
5/5

―CHIP―

翌朝、一通りの準備を済ませ、余裕ができたので、テレビをつけてニュースを見てみた。きっと昨日の事故のことを載せてくれているのだろう、と信じていたのだ。しかし、ニュースにはなっていなかった。


「まだマスコミが処理できていないのだろう」そう信じたい。


家を出ると、可憐が待っていた。


「おはよう」元気よく声をかけてきた。俺と一緒に登校するのがそんなに嬉しいのか。とりあえず今日は、気絶しないように気をつけよう。


「おはよう。で、単刀直入で悪いが、昨晩の続きだ。まず、目が覚めると家の前にいた件についてだけど……」気になっていた出来事の中で最も疑問に思ったことだ。


「あの、私あれからずっと考えたんだけど……あのことは全部夢じゃないかなぁ?」いきなり何を言い出すんだ!?


「当事者が二人もいるのに、夢なわけがないだろう。頭でも打ったか?いや、もともとこの程度だったか。すまない」俺は、また矢を向けられていた。


「ま、待て!落ち着け!話せば分かる!!」結局、また同じ失敗をくり返すのか………


「せっかく助けたんだ。無益な殺生はやめろ」突然、20代半ばぐらいの男の人が現れた。俺は、すごく驚いた。人の気配が全くしなかったところに、突然この男が現れたからである。男は白衣を着ていて、医者という感じだった。だらしなく生やしたひげからは、気だるさがにじみ出ていた。


その瞬間、可憐は不意にも、矢を放ってしまった。このままではこの男の人に当たってしまう。だが、あまりにも急な出来事で、動作が一瞬遅れた。そのせいか、俺はこの男を助けることをあきらめていた。

しかし、矢はこの男に当たらなかった。


矢が男にあたる寸前に、矢は消えた。


「な、なにが起こったんだ?」俺は手品か何かかと思った。しかし、これこそ種も仕掛けもなかった。


「なにが起こったって?知らねぇのか?CHIPっていうんだぞ」CHIP?なんだそれは?ICチップのことか?いや、そんなことはどうでもいい。問題は、どうやって矢を消したっていうことだ。


「どうやって矢を消したんだ!?」


「だからCHIPを使ったって言ってんだろ」CHIP?ひょっとして、新種の手品の道具か?


「CHIPって何だよ!?」そう発言した瞬間、俺と可憐は、こいつに触れられて、目の前が一瞬真っ白になった。本当に一瞬だった。


俺と可憐、そしてこの男は一瞬で、場所を移動していた。こういうことを瞬間移動と言うんだと思った。

薄暗い。ここは手術室のようだ。


「わかっただろ?これがCHIPだ」


「わかんねぇよ!!なんだよCHIPって!!」


「まだ気づいてねぇのか?あのあと何やってたんだよ!」あのあと?何のあとだ?


「昨日、事故ったろ?あのあとだ」こいつ、事故のことを知っている。


「詳しく話せ!!あの事故は一体なんだったんだよ!!」俺は、こいつから知っていることを全て聞きだすつもりだった。


「まぁそのことは追々話す。その前に俺の質問に答えろ!!CHIPの存在に気づいてないのか?」だからCHIPって何なんだよ!だんだんイライラしてきた。


「だからCHIPってなんなんだよ!そんなもん聞いたことねぇぞ!!」


「はぁ……知らねぇのか………めんどくせぇなぁ。」


「あの事故のあと、お前とそこの女は、ここに運ばれて、手術を受けた。もちろん俺によってな。んで、そんとき俺は、お前らの脳にコレを仕込ませてもらった。」そういって男は、ICチップのようなものを取り出した。


「これは、CHIPって言うんだ。これを脳に取り込むと、超能力が使えるようになる」俺は吹き出してしまった。いきなり何を言う出すかと思ったら、超能力かよ。馬鹿だこいつ。


「信じてないって顔してるな。ならためしに俺の能力を見せよう。」そう言って男は、指を鳴らした。


すると、壁から矢が一本飛んできた。そして、対になっている壁に突き刺さった。

その後、男はその矢を抜き、可憐に手渡した。


「う、嘘………!?」今まで何も言わなかった可憐が、ものすごく驚いている。


「これ、さっき健吾に向かって射った矢だ。」俺に向かって射った矢?あの消えたやつか?


「そうだ。お前らが殺生に使った矢だ。これを見てもまだ信じないって言うのなら、次はお前らのどちらかをブラジルまで飛ばそうか?」あんなものを見せられて、そのうえ脅されたら、信じるしかない。


「わかった。信じる。だが何なんだその超能力とやらは?」


「さっき説明しただろ。CHIPだ。これを脳に取り込むと、超能力が使えるようになる」その言葉に偽りはなさそうだ。

しかしそうなら、なぜ…


「なぜ俺たちをここに連れてきた。そしてここはどこだ!!」俺は怒鳴った。


「ここは、俺たちの研究所だ。昨日ここでお前ら二人を手術した」手術?だったらここは、手術室なのか?

真ん中にベッドのようなものがあった。そこを見ると、血が染み付いていた。


「そしてお前らを連れてきた理由は、お前らにもCHIPが取り込まれているからだ。昨日の事故のあと、俺が瞬間移動でお前ら二人を連れてきて、そこで手術した」

なるほど。それなら俺たちが家の前にいたことは説明できる。もしこいつが超能力を使う医者なら、銃で撃たれた俺たちを、手術できる可能性はゼロではない。時間のトリックも可能になる。しかし………


しかしそんな馬鹿らしいことが起こるのか?


「俺は遠音国立大学(とおんこくりつだいがく)で、優秀な学者を集った。それで能力開発チームを作った」遠音国立大学?国立大学のなかでもトップクラスの大学か?


「そのチームで超能力の研究をしたんだ。そして長い年月を経て、このCHIPの研究に成功したんだ。」


「それを俺たちの脳に取り込んだってことか?」でもなぜ俺たちなんだ?他にも候補はいたはず。


「あぁそうだ。だがどういうことか、男の方には、俺が手術する前からCHIPが入っていた。おそらく、電車の中でお前らを襲ったやつの仕業だろ」あいつか……


「あいつは一体誰なんだ?」


「やつらは、ZONEっていって、もともとは俺らと一緒に能力開発をしていたんだが、いきなり裏切って、研究資料を持って行ったんだ。それ以来、連絡が途絶えた」


「研究資料を持っていかれたなら、どうやって完成させたんだ?」


「研究資料なんてもん、なくたって作り出せるところまで研究は進んでたんだ」


「話を変える。俺たちにもCHIPが取り込まれてるって言ったな?それは一体どういう能力が使えるようになるんだ?」


「CHIPは取り込んだ人間に潜んでいる能力、つまり潜在能力を引き出すのを促すものだ。だから、その能力は、固有のものになる。たとえば、俺は触れている物体、もしくは自分を瞬間移動させる能力だ。さっきお前らも見たろ?アレだ」

「俺は、CHIPの作成者の一人だが、誰にどんな能力があるかまではわからねぇ。能力が目覚めるのをひたすら待つだけだ。楽しみだろ?」


「もうひとつ聞かせろ!お前らの目的は何なんだ!!その研究結果を政府に発表すれば、莫大な資金を稼げる。力しだいでは、国家ひとつ滅ぼすことだって可能なはずだ。一体何が望みなんだ!!」


「金を稼ぐ気も、国家を滅ぼすつもりもない。俺はただ、この実験で、死人を生き返らせられる能力がほしかっただけだ。そしてアイツを………」男の目は潤んでいた。


なんだ。それだけのことだったのか。


「だったら手伝ってやる。そのCHIPの使い方とやらを教えろ。」


「わかった。俺の名前は神童和義(しんどうかずよし)だ」


「俺は、雨宮健吾」俺はそう発言したあと、可憐を見た。挨拶をするように促したつもりだったが、可憐はきょとんとしていた。そうか、こいつ、この一連の会話に全くついてこれなかったのか。とことん残念なヤツだ。あとで、くわしく教えてやろう。


「えっ?自己紹介すればいいの?私、白峰可憐。よろしく」


そして俺たちは、CHIPを習得するために、神童の能力で、場所を移した。

今回は非常に長かった。


もうこの小説でギャグを登場させるのやめます。無理です。シュールすぎます。

そのうち別のやつ作って、そっちを完全にギャグ小説にします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ