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CHIP―チップ―  作者: 篠崎 海斗
3/5

―The die is cast.―

意識が戻ると、そこは漆黒の闇の世界だった。ケータイを見た。やはり圏外であった。


「チッ、本日二回目の気絶ですか」俺は、気絶することが当たり前なことに思えた。幸い、軽い怪我ですんでいたので、能天気だったのである。

俺は、電車が、脱線か何かしたのだろうと思っていた。暗くて周りの状態が、あまりわからなかった。そして、他に生存者がいるかどうかを確認しようとした。すると、何よりも先に優先しないといけない人物の名前が脳を横切った。


「可憐!!」事故にあったとき、一番近くにいた知り合いの名前である。おそらく、まだ近くにいるはず。そう信じて、俺は暗闇の中を手探りで探した。


2、3分たった頃、突然背後から、蚊の鳴くような声が聞こえた。この声の主は……


「可憐!?そこか!?」よかった、無事に生きていた。あとはここから抜け出して、ケータイの電波が届くところに行き、助けを呼べば、残りの生存者も助かるし、無事に帰れる。そう考えた俺は、あさはかだった。

なぜなら、もしもそれが事故ならばという前提があっての、救済法であったからである。それが事故ではなく、人為的なものならば、生存者など出ない。いや出すはずが無い。


その事故が、事件だと気づくのに時間はかからなかった。違う車両から、断末魔の叫びが聴こえたからである。あきらかに銃声と思わしき音と同時に………


俺の能天気は、その音が聞こえてからあせりに変わっていった。電車奪取(トレインジャック)かと考えた。そして生存者を一人も残さない、凶悪なテロリストが関わっているとも考えた。奇跡的に可憐も同じことを考えていたみたいだ。俺は、ご自慢の矢が刺さった頭で、必死に打開策を考えた。まず、敵の人数がどれくらいいるかということを知らなければならない。そして同時にそれらの配置、行動パターン、目的を性格に把握しなければならない。これらをたたき出し、正確な脱出ルートを導き出せば、無事生還できる。しかし、これらの要素の中にひとつでも不確定要素が含まれていれば、生還できる確立は、一気に下がる。そのことをふまえて、慎重に計算していった。


「可憐!まずは、敵の人数を確認する。いうとおりにしてくれ」そう言って俺は、可憐に、"力を合わせて脱出大作戦"を伝えた。

今思えば、その作戦の内容はどれも単純だった。相当俺はあせっていたんだろうなぁ。


暗闇に目が慣れてきて、視界がずいぶん開けてきた。


「――よし、オペレーション スタート!!」可憐に小声でそう告げた。始まりの合図だ。作戦開始と言うのではなく、オペレーション スタートと言うところが、この作戦の味噌だ。俺は、冷静さを取り戻すために、必死にユーモラスなことを自分に言い聞かせた。そうでもしなければ、やっていけなかった。


俺と可憐は、二手に分かれて、敵の人数を数えていた。可憐は、銃声が聴こえた車両と反対側の車両、俺は、銃声が聴こえた側の車両を調査した。


一通り見終わったが、不信なものは影すらなかった。

あの銃声は、空耳だったのか、と考えた。しかし、可憐も聴いており、やはり実際に起こったことだと考え直した。


そして可憐と再開し、情報交換し合った。やはり、可憐も犯人らしき物影は何も目撃していなかった。

空耳だなぁと思った瞬間、俺は奇妙なことに気がついた。


「この電車に、俺ら以外の生存者が乗っていない!!」それはとても奇妙なことであった。

俺らが気絶していた間に、全員逃げ出したということも考えられなくもないが、その場合、事故が起こってから時間がかなり経つはずなので、助けやマスコミがとっくに到着しているはずである。


「だったらどこに消えたんだ?」俺は、独り言を言ったつもりであった。しかし、この出来事に恐怖を感じた可憐は、気が気で無かったようだ。


「神隠し……とか?」可憐が、泣きそうな(いや、正確には泣いていた)声で自分の意見を提示した。


「たしかに神隠しなら、乗客が消えたことも説明がつく。しかし、神隠しという現象を、まず解明しなくてはならないから、その意見はボツだ」俺は、怪奇現象なんか起こるわけがないと可憐に諭してやった。これで少しは恐怖感がなくなるだろうと思って言ったのだ。


その瞬間、可憐の様子が急に変になった。何かに脅えているようである。なんてやつだ。せっかく俺が、お前から恐怖を拭い去ってやったのに、まだ脅えているのか。やれやれ。

俺は、緊張感を忘れすぎていた。可憐が、俺の背後を指差していることに気づかなかった。暗くてよく見えなかったのである。


「おとなしく、殺されろ」後ろから、死人のように冷たい声が聞こえた。若い女性の声であった。次の瞬間、銃を頭に突きつけられた。そして、可憐ともども撃たれてしまった。


俺は今でも、その女性が、俺たちの死に際に放った言葉を覚えている。


「The die is cast.」――賽は投げられた。――

物理の勉強をしていたため、投稿がいつもより遅れました。すみません。


それにしても物理って面白い単元だなぁって思います。今までの偉人さんが、汗水たらして編み出した公式を、自分が使って問題を解く。まさに連携プレーのような感覚ですね。


今回の話は、、、なんか大分方向性変わって、シリアスすぎない?大丈夫?みたいな感じになっちゃいましたね(笑)

主人公死んじゃったし(涙)


これからどうなるかは、次話に乞うご期待を……

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