2話 ~怪訝 前編~
長くなりそうなので、前後編分けることにしました
前回よりは、明るいと思います^^
あぁ~あ、コーチの説教長かったぁ!
なんで、アタシたちまで居残りして、説教聞かなきゃいけないわけ?
沼田だけで良いじゃないのよ!!
アタシは、部活終わりの直後、廊下を歩きながら
心の中で毒づいた。
お陰で、体育着のままで帰る羽目にまってしまったのだ。
決して、可愛いとは言えない体育着のため、着て、帰るのは少々抵抗がある
逆に可愛い体育着とは、どんな物なのかと言う話になるのだが・・・。
「あ、瞳ー!今終わったの?良かったら、立ち話でもしない?
帰る方向逆だからさ」
友達の由宇だ。
彼女はとても、話の合う相手だから、少し立ち話でもしてみようかと思った
「うん、由宇も?奇遇だね~、あ、そういえば、土曜のあれ、見た?」
「あぁ!その日出かけててさ、見れてないんだよね~」
アタシが持ちかけたアイドルの山梨光君が出ているドラマの話に
由宇は、残念そうに答えた。
「じゃぁ、教えてあげよっか?あの、美並ちゃんが_____」
「ぎゃーーーー!!!!いいっていいって!!!録画してるから!!」
アタシが話している、のに、声が全く聞こえない
全く、本人が聞こえない位でかい声を出していたというのか?
アタシは、由宇のふざけの嵐が収まったところで
また、話し出す。また騒がれるのはわかっていたが、それが、少し楽しく思えた
「でさでさ、そこで、東條君・・・が!」
「きゃー!!ちょ!ネタバレ止めてよ!録画してるんだからぁ」
そう、この五月蝿さが、楽しいんだ。
静かな、黙り込んだ、思い雰囲気よりも。
「はいはい、じゃぁ、昨日の『ザ☆世界の不思議』って見た?」
アタシは、別のテレビの話題を出す。
2時間物の、オカルト番組だ。どこにでもあるような、ありきたりな内容だが
そこそこ、楽しめた番組だ
「あぁ!見た見た!!めっちゃ怖かったしぃ」
どこが、怖いのかは、理解できなかったが、とりあえず話に乗ってみることにした。
と、思ったら、アタシ達が話していた下駄箱に、
黒いロングの髪が飛び込んできた。
まるで、映画リングの貞子を連想させる髪。
だが、よく見ると、毛先が整っており、青黒く輝いていて、少し羨ましくなった。
その、アタシが少し憧れを抱いた髪の主は、同じクラスの園摩さんだった。
見た目は、これだが、顔も綺麗系だし性格も暗いわけでは無い人だ
いかにも真面目そうな彼女だが、同い年だ。テレビの一つや二つ見るだろう。
そう思って、声をかけてみた。
「あ、園摩さん!園摩さんも見た?よかったら、こっち来てさ・・・」
アタシは、明るい声で話しかけてみた。
少し、怪訝な目で見られている気がするが、気のせいと思うことにした。
すると、彼女の薄い桃色の唇がゆっくり開き
静かに、声を紡いでいった。
「ごめん、昨日は塾で見てなかった・・・ごめんね、折角誘ってくれたのに・・・」
本当に申し訳なさそうに、言っていた
塾かぁ、この人なら、ありえる話だ。きっといい大学に行くためとかだろう
「そうか・・・残念だけど、仕方無いね、また明日」
正直、うれしい気もした。
こんな大人しそうな子と、話すのは息が詰まりそうだ。
そう思いながら、別れの挨拶をして、彼女は、笑顔で軽く会釈をして
そそくさと帰っていった。
「きっと、塾忙しいんだろうねぇ・・・悪いことしたんじゃない?」
由宇が、アタシにふざけで言ってきた。
内心少しは、思っているが、別にこれ以上のことはきっと無いし、
アタシには関係が無いと思って、軽く、済ませた
「じゃぁ、そろそろ帰るわ」
由宇が、ひとしきり話したところで、帰ると言い出した
アタシも帰ろうとしていたとこなので、そこで、二人は、解散することにした
「じゃぁね~」
手を大きく振って、別れを告げる
アタシは、秋風が吹く中を、歩き始めた。