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らいじん  作者: タカバノ
2章 災いがやってきた
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番外 カイルのつぶやき

 バーバラを助けにいかないと言えば、きっとシオリに責められるだろうとは思っていた。だが、予想外にシオリの言葉が胸に突き刺さり、カイルの中でリフレインした。


 ヒドイ サイテイ オクビョウモノ レイケツニンゲン  


──まるで、悪口の見本市のようだ。

「大嫌い」と言われないだけマシなのだろうか。

 そして、この場に縫いとめられたように突っ立っている自分の不甲斐なさに情けなくなる。泣いて出て行ったシオリを追えないほど、足が動かなかった。

 予想以上にシオリに嫌われたくないと思っていたのだと、自分で自分に驚いた。

 この身に巣くう化け物を見たら、シオリはきっと二度と近づくことはないだろう。それが、ほんの少し早まるだけのことだというのに。それでも、嫌われるのが怖かった。


 もし、ここにフランシスカが居たら、彼女は何と言うだろうか。ルイスだったら、何と言うだろうか。バーバラだったら……。考えても仕方のないことだ、今ここには三人ともいない。皆、神殿に囚われてしまった。きっと、フランシスカなら、バーバラを助けに行くようにカイルの背をそっと押すだろう。ルイスは発破をかけるだろうし、バーバラは自分のことはともかく、シオリを助けるように言うだろう。


 結局、シオリの言うとおりなのだ。

 自分はとても臆病者で、もうこれ以上いろんなものを神殿に奪われるのは嫌だというのに、正面を切って喧嘩を売る覚悟もない。

 どちらかが神殿に囚われた場合でも、助けにはいかない。そうバーバラと決めたのも、一人でも生き残っていればフランシスカをいつか助け出せると考えてのことだった。


 だが、本当にそうするのが一番良いのだろうか。

 二人のうちどちらかが欠けても、フランシスカはきっと悔やむ。今、バーバラを見捨てれば、フランシスカをいつか助け出した時に彼女のお日様みたいな笑顔はきっと見られない。少なくとも今のカイルには、バーバラがいないのにフランシスカが喜ぶとは思えなかった。そして、それは汐里も同じはず。

 さあ、どうする?


 心はもう決まっていた。

「アイザック!」

 天幕を飛び出したカイルは、声を張り上げて、近くでまだ作業をしているはずのかつての従者の名前を呼んだ。


これは、15話目の後のカイルです。

一応、彼もいろいろ悩んでるんです(笑)

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