侵攻、ありきたりな力を君に 前編
今日もまた同じ日を繰り返す。
朝起きて、長い坂を登って高校へ。
小難しい授業を一通りやり過ごして、友達とちょっと話す。
放課後は部活。まだ1年だから、板挟みの心配はない。去年は大変だった…
部活は剣道部。小学生からやっちゃいるけど、結果は生憎。まあ楽しいからいいや。
帰ったらアニメ見て寝よ…
今日もまた同じ日を繰り返す。
朝起きて、長い坂を登って高校へ。
小難しい授業を一通りやり過ごして、友達とちょっと話す。
放課後は部活。今日は基礎トレーニングか…
帰ったらアニメ見て寝よ…
今日もまた同じ日を繰り返す…はずだった。
教室の窓から見える景色は、ここら一帯を見渡せる。
青空と町のコントラストが、俺は好きだ。
ここで一つ自己紹介をしよう。俺は浅儀颯真。アニメの見すぎで、心の中でナレーションを入れて遊ぶようになったイタい中二病高校生だ…ちゃんと友達はいるぞ?
アニメはだいたいロボットアニメとか戦争ものをよく観る。昔のアニメばっかりだから分かるやつはすくないけど。
っとまあこんな感じで外を見て物思いに耽っていたときだった。
ドン、という大きな音と一緒に、地面が揺れた。外には黒煙と炎。戸惑っていると、声。
「オイあれ、なんか浮いてるぞ!?」
ふと見ると…なんだあれ、飛行機…?形はステルス機みたいだが、デカすぎる。グラウンドよりもデカいぞ?
そのステルス機?はあろうことか地上に向けて光線?っぽいものを乱射している。着弾地点からは爆発。
教室はパニックに包まれた。先生がなんか言ってるけど分からん。
「オイオイ勘弁してくれよ…」
何故か俺は冷静だった。
俺達はなんとかグラウンドに避難した。もみくちゃになって死ぬかと思ったよ…
「颯真!」
女の声。
振り返れば、中学校が一緒だった俺の数少ない女友達、鈴野琴葉が立っていた。
「何が起こってる?」「分かると思う?」「だよな」
琴葉は友達と合流できず、知った顔の俺を見つけて話しかけて来たとのこと。
「とりあえず、スマホで情報を…」
ナイスだ琴葉、俺はスマホの通信速度制限を食ったんで使えなかったんだ…
「未確認飛行物体が全世界の都市を襲撃しています。ヒト型の機械兵器も確認されており、被害は甚大です」
オイオイマジか、映画じゃないんだぞ?
バシュゥ…ズドン。
今までの発射音、着弾音とは違う、重たい、ひときわ大きな音。近い。見れば、コンテナのような、金属の黒い箱が、地面にピンクのシミを作っていた。
悲鳴、失神、慟哭、嗚咽。
「おぐっっ…おえぇっっ」
「琴葉!!」
無理もない。グロすぎる。やばい。にげろ。
とっさに琴葉の手をとって反対方向へ。そのとき、俺は視界の端に赤い光を捉えた。
ロボット。フレームとかシリンダーとか丸出し、細い肢体に赤く光る目。黒光りする全身は冷たさと硬さを感じさせる。背中には…よく分からん。箱…?まさか重火器の類い?どこから?あのコンテナか?だとすれば、あれが世界各地で被害を出している機械兵器?いや、そうとしか考えられない。逃げなきゃ。
「琴葉!立て!」
ドン。
危ない。今しがた走ろうとしてた場所がステルス機の光線で消し飛んだ。煙い。
後ろは機械兵器。前は大穴。飛び込むか…?いや、機械兵器くんが人を攻撃しない可能性も…あ、一人殺した。あの腕どうなってんの?抜き手で生徒の土手っ腹ぶち抜いたぞ?やばい。飛び込め。
ハァ、ハァ、ハァ。
助かった…のか?自衛隊はどうした?なんでこうなってる?
色んな疑問が頭をよぎる。クソ、ありがちな展開だ。なんかこう…秘密アイテムとか、ヒーローとかないものか…うん?
なんだこれ、金の指輪?嘘だろこんなんありか?いやいやこんなご都合展開あるわけ…そうだきっと誰かの落とし物だ…一応嵌めてみるか…
その時。
目の前に、あのロボット。その腕は返り血でベットリと汚れている。このままじゃ二人とも…せめて琴葉だけでも…
待て。さっきからどうして俺はこんなに冷静に頭が回る?普通なら琴葉みたいに震えてびびるだろう。俺なんてホラー映画とかからっきしなんだぞ?それにさっきからのご都合展開。何がどうなってる?まさか…
「主人公は…俺…?」
そんな馬鹿な。でも、このままじゃどうせ死ぬ。それなら…
「賭ける…この指輪に!




