第六部 西のオフサイド
「ウラララ‼ に身体を洗ってもらってるんじゃああああああああああああああああ。
何か気持ち良いんじゃあああああああああああああああああああああああああああ」
「おう、よしよし。ごしごし」
サクマヒメはウラララ‼ に身体を洗ってもらっていた。
「えへへー、サクマさんの裸体~。お姉様は邪魔だけど」
その様子をココロワ‼ は浴槽から見抜きする。
「ココロワ‼ も洗ってあげるから来なさい」
「やだもんねー」
「てか、身体洗ってから浴槽に浸かりなさい」
「やだもんねー」
ココロワ‼ は尻を突き出し、平手で叩く。絶妙に可愛くない駄々っ子だ。
「ココロワ‼ お姉ちゃんの言うことは聞け‼」
「はい、サクマさん」
「ココロワ‼ 身体洗ってあげるから」
「やだもんねー」
「人格分裂してるのかこの子!」
ウラララ‼ はまあいつものことだと半ば諦め、サクマヒメの身体を引き続き洗う。サクマヒメはウラララ‼ に顔を向け肩を竦めるが、何か絶妙に腹の立つリアクションだ。
「はあ、サクマさん。可愛いなあ」
ココロワ‼ は全く意に介さない様子で見抜きを続行する。ゾッコンをゾッコウする。自身の脳を覚醒させ、ハイスペックなオナニーをケイゾクするのだ。ニノマエの二の舞にならないように、禊を済ませていく。川で球を磨くような地道な禊を。
「いやあ、サクマさん。良い、良いよお」
高揚する。意識が飛びそうなくらいに茹で上がる。この気持ちの良さは何だろうか。こんなに気持ちの良いものが、この世界にあってもいいのだろうか。いや、そういうものもあるからこそこの世界なのだろう。そういう世界だからこそ楽しいのだろう。生きているから。明日があるから。地球が回っているから。
「ん? ココロワ‼ ?」
「ココロワ‼ ⁉」
意識が混濁して、ウラララ‼ に呼ばれたようなサクマヒメに呼ばれたような、あるいは両方に呼ばれたような曖昧な意識は、湯舟の下に沈んでいく。
こういうことは昔あった。そう、昔プールで溺れたのだ。幼少期、スイミングスクールに通っていて泳ぎを多少覚えていたから、調子に乗って手を壁から離してしまった。下手したらそのまま溺死していただろう。助けてくれたのが誰だったのか。いつもそこだけぼやける。
「ココロワ‼ ‼」
「お姉、様?」
ウラララ‼ は目覚めたココロワ‼ を抱き締める。そう、先程のぼせて湯に溺れてしまったのだ。もう大きくなったというのに、幼少期のような過ちを。
「血の、轍という奴ですね」
「それは使い方違うと思うけど良かったよ!」
目覚めたばかりのココロワ‼ にウラララ‼ は強めのツッコミを入れ、意識を再覚醒させる。人が人を叩くのは、意識を再覚醒させる意味もあるのだ。人というものは人に叩かれ上がっていくのだから。
「よおべいちき」
「( ゜д゜)ウム」
「俺は中二小説家の神島零ってもんだけどよお」
「( ゜д゜)ウム」
「お前は生きてる価値がねえから死ね!」
「( ゜д゜)ウム」
「お前の小説つまんねえんだよハゲ!」
「( ゜д゜)ウム」
「生きてる価値がねえんだよデブ!」
「( ゜д゜)ウム」
神島零はべいちきが全く意に介さないものだから、少し疲れてきた。しかし、彼の悪口レパートリーはこんなものでは終わらない。
「俺のニセガミでお前のつまんねえ小説粉砕してやるぜ!」
「( ゜д゜)ウム」
「出来ねえとでも思ってんのか?」
「( ゜д゜)ウム」
「粉砕してやるよ」
「( ゜д゜)ウム」
そこそこの脅迫だったと思うが、べいちきには全く効いていない。神島零は少しおしっこをチビってしまったが、まだまだ彼の攻撃は終わらない。
「お前は馬鹿だから生きてる価値ねえんだよハゲ!」
「( ゜д゜)ウム」
「あ、お前今『別に俺ハゲてないのに……』とか思ったか?」
「( ゜д゜)ウム」
「精神的にハゲてんだよお前は!」
神島零は毛根が弱いのか、人をハゲ呼ばわりするのが好きだ。べいちきもなかなかのクズだが、神島零も勿論ゲスだ。クズとゲスで削り合っている。精神を。生命を。
「ふざけんなよ、べいちき! 死ねよ!」
「( ゜д゜)ウム」
「お前は生きてる価値ないんだよハゲ!」
神島零は悪口のレパートリーが極端に少ないため、同じ文言を繰り返すことが多い。要するに彼は頭が悪いのだ。このべいちきと良い勝負できるほどに。恐らくどちらも社会で通用しない。
「ぶっ殺してやるぜ‼」
「( ゜д゜)ウム」
しかし、神島零に人を殺す度胸などない。ただ脅迫罪を積み重ねているだけだ。そして彼は名誉棄損であり誹謗中傷も日常茶飯事だ。何故ならネットでのレスバトルくらいしか、彼が人に勝る分野はないのだから。
【西のオフサイド コピーペースト 完全版】
『牛尾中学校 生徒分布』
3-A シノブ 千両 バカボンド 金子 B 羽葉堂 七瀬 神島
2-A 平 聖頑宮 幻野 イガラシ べいちき モジャ子 B サツマヒメ 枷 葉子
1-A サクマヒメ ウラララ‼ 佐々木 B 駄目太 ニセコ 又吉
『牛尾中学校 サッカー部 フォーメーションA』
LFW サカ神シノブ
RFW 平京崩
CLMF サクマヒメ
CRMF 青野葉子
LWMF 千両勘吉
RWMF 幻野大地
CLDF 佐々木貴志
CRDF 駄目駄目太
LWDF 羽葉堂綾乃
RWDF 七瀬虹子
GK1 春麗ウラララ‼
GK2 枷格子牢
GK3 べいちき
GK4 金子正
控え サツマヒメ バカボンド ニセコ モジャ子 神島零 又吉直美
『牛尾中学校 サッカー部 フォーメーションB』
CFW サツマヒメ
LFW サカ神シノブ
RFW 平京崩
CLMF サクマヒメ
CRMF 青野葉子
LWMF 千両勘吉
RWMF 幻野大地
CDF 佐々木貴志
LDF 羽葉堂綾乃
RDF 七瀬虹子
GK1 春麗ウラララ‼
GK2 枷格子牢
GK3 べいちき
GK4 金子正
控え 駄目駄目太 バカボンド ニセコ モジャ子 神島零 又吉直美
『牛尾中学校 サッカー部 フォーメーションC』
LFW サツマヒメ
RFW ニセコ
CLMF サクマヒメ
CRMF 青野葉子
LWMF 千両勘吉
RWMF 幻野大地
CLDF 佐々木貴志
CRDF 駄目駄目太
LWDF 羽葉堂綾乃
RWDF 七瀬虹子
GK1 春麗ウラララ‼
GK2 枷格子牢
GK3 べいちき
GK4 金子正
控え サカ神シノブ 平京崩 バカボンド モジャ子 神島零 又吉直美
『職業』
勇者 シノブ ドリブル
魔王 平 シュート
賢者 サクマヒメ パス
『肩書』
裂風神 サカガミ 風
殺魔姫 サツマヒメ 火
裂魔姫 サクマヒメ 水
裂砂鬼 ササキ 土
『勉強能力』
三大聖女のシノブ、聖頑宮さん、ウラララ‼ の三人は学年トップクラス。
葉子、ニセコは比較的優秀。
平、千両、佐々木、カセロスはやればそこそこできる。
サツマヒメ、サクマヒメ、格子牢、駄目太は全然駄目。
『身長 体重 タイプ』
サカ神シノブ 144 44 覇王・具現化系 自由・自分型
平京崩 166 66 覇王・放出系 自由・自分型
サクマヒメ 133 33 見聞・操作系 自由・自分型
七瀬虹子 155 55 武装・強化系 不自由・世界型
羽葉堂綾乃 148 48 武装・変化系 不自由・世界型
春麗ウラララ‼ 152 52 見聞・強化系 自由・自分型
千両勘吉 177 77 武装・変化系 自由・自分型
佐々木貴志 222 22 見聞・操作系 不自由・世界型
セバスチャン哀空 188 88 武装・具現化系 不自由・自分型
ヴァイオレット 162 62 覇王・強化系 自由・自分型
サツマヒメ 138 38 覇王・放出系 自由・世界型
聖頑宮槍子 158 58 覇王・放出系 自由・世界型
空久貴央 142 42 覇王・放出系 自由・自分型
幻野大地 168 68 覇王・強化系 不自由・世界型
春麗麗悟 185 85 覇王・放出系 自由・自分型
春麗アラララ‼ 146 46 見聞・強化系 不自由・世界型
バカボンド 145 45 覇王・強化系 自由・自分型
ジヌシィ 148 48 武装・放出系 自由・自分型
御供尊 175 75 覇王・強化系 自由・自分型
ベビータ 164 64 覇王・放出系 不自由・世界型
楔宇一 175 75 覇王・操作系 自由・世界型
ナイチン 155 55 覇王・放出系 自由・自分型
案山子乙子 144 44 武装・変化系 不自由・世界型
べいちき 162 94 見聞・操作系 不自由・自分型
神島零 154 32 見聞・具現化系 不自由・自分型
モジャ子 148 48 見聞・変化系 自由・自分型
原京平 168 78 覇王・放出系 自由・世界型
青野龍聖 182 92 武装・放出系 不自由・自分型
羽生進 152 36 見聞・操作系 不自由・世界型
針生十兵衛 190 90 見聞・操作系 自由・自分型
又吉直美 148 48 見聞・変化系 不自由・自分型
駄目駄目太 165 65 武装・操作系 不自由・自分型
青野葉子 152 52 覇王・強化系 自由・世界型
枷格子牢 158 58 武装・強化系 不自由・自分型
カセロス 172 72 武装・放出系 自由・世界型
阿部寛貴 188 88 覇王・操作系 不自由・世界型
ニセコ 142 42 見聞・変化系 不自由・世界型
金子正 152 152 覇王・放出系 自由・世界型
ズリネ田 154 54 見聞・操作系 自由・自分型
フールバスト 168 82 見聞・強化系 不自由・世界型
サーロイン 168 68 覇王・操作系 不自由・世界型
上条踏破 168 68 覇王・特質系 不自由・世界型
ワンサイド 168 44 武装・変化系 不自由・世界型
武藤遊具 152 52 覇王・特質系 不自由・世界型
タフガイ細貝 165 74 武装・強化系 不自由・自分型
江口同人 163 42 武装・操作系 不自由・世界型
真坂真琴 161 61 覇王・放出系 自由・自分型
テリー 165 65 武装・具現化系 不自由・自分型
ハッサン 192 112 武装・強化系 自由・自分型
春麗ココロワ‼ 132 32 見聞・具現化系 不自由・世界型
シノヴ 144 44 覇王・放出系 自由・自分型
ユーハバッハ 170 70 見聞・具現化系 不自由・世界型
『バストサイズ』
フールバストは爆乳。
聖頑宮さん、ヴァイオレット・エヴァーロッテンマイヤーさん、ナイチンは巨乳。
シノブ、ウラララ‼ 、羽葉堂、七瀬、貴央先生、案山子、モジャ子、又吉、ニセコは貧乳。
サクマヒメは無乳。
『本名』
サクマヒメ→佐久間翔子
サツマヒメ→佐久間翔
バカボンド→坪凡人
ニセコ→蛇喰偽子
べいちき→米吉有無麻呂
モジャ子→百獣王猛者子
『三傑』
原京平 平京崩 牛尾
青野龍聖 無道清流 鯨田
羽生進 針生十兵衛 井守
『三大聖女』
サカ神シノブ 三年 青
聖頑宮槍子 二年 赤
春麗ウラララ‼ 一年 黄
『ミラクル野菜』
双茄子 フタナス ふたなりになる
賢漬け カシヅケ モテモテになる
『変身』
成り 風神成り 雷神成り 世界樹成り
宮 爆破宮
原罪 サクナヒメの原罪
『学校』
牛尾中学校 ホーム
鯨田中学校 ライバル校
井守中学校 ライバル校
『技』
タイラーインパクト
殺魔インパクト タイラーインパクト×殺魔砲
殺魔雷電砲 殺魔インパクト×ライデイン砲
電光石火
疾風迅雷
天衣無縫 電光石火+疾風迅雷
悠々白書
勇者 天衣無縫×悠々白書
【コピーペースト 完了】
「お嬢様、このヴァイオレット・エヴァーロッテンマイヤーが必殺技を伝授します‼」
「必殺技?」
「まず一つ。は今までお嬢様が培い、そして完成させたヴァイオレット・エヴァーロッテンマイヤーブルーロック。所謂GKの奥義のようなものです」
「うん。ブラックロックという環境と、ヴァイオレット・エヴァーロッテンマイヤーさんの指導でゴールキーパーの心得は大体会得したと思うけど」
「そしてもう一つ。これはこれから学んで頂く、いわばゴールキーパーと対極の技です」
「いや、私はあくまでゴールキーパーなんだけど。で、どういう技なの?」
「ヴァイオレット・エヴァーロッテンマイヤーゴールデンカムイ。というシュートです」
「シュートかあ」
「ただのシュートではございません。何と全方位、どこからでもゴールを狙えます」
「え? 私のゴール付近からでも?」
「ええ。ピッチ上のどこからでもシュートが撃てます」
「すご」
ウラララ‼ は素直に感心してしまうが、そんな凄いシュート技術ならば私ではなく平くんやサツマヒメさんに学ばせるべきでは? という疑問を抱くが
「いえ、お嬢様だからこそ学んでほしいのです。ゴールキーパーだからこそ。何故なら、キーパーという守備の要が攻撃の起点になることこそが、この技の最大の可能性なのですから」
「成る程」
大体分かった。本来ゴールキーパーというものはゴールを守らなければならない。ゆえに守備一辺倒になり、攻撃は他所に任せなければならない。からこそ、ゴールキーパーに攻撃力を持たせれば可能性は広がる。とヴァイオレット・エヴァーロッテンマイヤーさんは力説
しているのだ。
「分かったよ、ヴァイオレット・エヴァーロッテンマイヤーさん。さっそく教えて」
「ええ、教えましょう。そしてこれで」
私の役目は終わりです。
そんな言葉が風に遮られた。
「サクマヒメ、お前の感情のパレードのレパートリーは?」
「ええと」
激情のバレット。
友情のブレット。
愛情のガトリング。
劣情のバズーカ。
「それら全てを極めた先にあるのが晴々という精神状態だ。そしてそれさえ極めたらお前は」
「平、お前の殺魔雷電砲は極めたら」
「え?」
「西牛尾時代のビッグ3に」
「牛尾ビッグ3が」
「これがサカ神シノブの新ドリブル形態、勇者……⁉」
「おい、平も、いや、サクマヒメもか……⁉」
「どうなってんだ、牛尾ビッグ3……⁉」
「ウラララ‼ 覚醒⁉」
「ゴールキープだけじゃなく、シュートまでイケんのかよ⁉」
「牛尾で一番恐ろしい逸材‼」
「ジョーカー‼」
「牛尾、優勝かよ‼」
「まあ順当だな」
「シノブウチに欲しいわ」
「平はウチにくれ‼」
「じゃあサクマヒメはウチで‼」
「ウラララ‼ 貰いますね~」
「はあ、はあ、平くん、来て」
「行くぞ、シノブ、うっ」
「大好きだよ、平くん」
「俺もだ、シノブ」
「シノブ、滝高行くんだ」
「うん、スカウトが来た中で、一番家から近かったから」
「適当な理由だなあ。ま、俺も来年受けるよ」
「平くんは落ちそう」
「受かるわ!」