傀儡の当惑
週一目標で行きます。遅いとか早いとかは知りません。
今回は落とし所がわかんなくてくそなげぇです。お付き合いください。
うますぎる方の文章読んであまりの力量差で死んでます。助けてください。
次回はちょっと説明回の予感。
…もうちょっとシリアス展開にしたかったんだけどなぁ
「………え゙?」
名前も知らない彼女は、鼻詰まりの声で戸惑った。私が知らないというのは予想外だったらしい。
「まず、その…マーティ?って方も存じ上げておりませんし…」
沈黙が場を支配する。なぜだろうか。悲しいのは彼女の方のはずなのにまるで…
「………………だれ、だ?」
「え?」
「マーティじゃないなら…ちがう、おまえ、は、おまえは、マーティじゃ、ない…だれ、だ?」
「……」
「違う!!お前じゃない!お前じゃ、ない、お前、じゃ………ああああああああぁぁ゙あ゙ぁ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!?」
あ。これはもしかしなくてもかなりやばい。私に「マーティ」という方の幻覚でも見ていたのだろうか?もしくは相当似ていたのか、撹乱状態になっている。いや、そんなこと考えてる場合じゃない…!
「落ち着いてください!!」
「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!」
暴れる彼女の両腕を掴む。そのまま勢いで押し倒し、馬乗りになり行動を制限する。
ピシ パキ ミシッ
まずい。床が壊れかけている。このままだとここの最深部まで突っ込んでしまう…!それだけはどうしても避けなければいけない。ここの底には彼女が…!!
「どうか、落ち着いて……」
「あ゙ぁ゙あ゙ぁ゙………ぇ、マー、ティ?」
「…そうです!私はマーティです!わかりますか?ここが壊れてしまうので、どうか落ち着いてほしいです!」
嘘を付く。ここで否定してしまえば、取り返しがつかなくなると思ったからだ。
「マーティ…すまない。」
その甲斐あってか落ち着いてくれたようだ。
「いえ、大丈夫です。それより、ここを抜けましょう。このままでは壊れてしまいます!」
「私に任せてくれマーティ。«転移»」
「えっ、ちょっとま―――」
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「ついたぞマーティ!」
………ついたよ。うん。たしかについたよ?けどさ、転移する前には巻き込む人に許可取ろうって教わんなかったのかな?私は転移酔いしやすいんだよ。考慮してくれ。出会ったばかりだから無理ゲーだけど。それはともかくとして。
「…落ち着きましたか?」
「…?ああ、落ち着いたよマーティ。どうしたんだい改まって?」
「いえ…もう一度言いますが私はマーティという方とは別人です。」
「…そうか。」
先ほどと随分反応が違う。落ち着いたというのは確からしい。
「じゃあ、ここに来たのは無駄だったわけか…はは…」
「そ、そんな事ないですよ!現に、あのままでは私もいずれ餓死していたでしょうし!」
「…そうか。私は、君を救えたんだな。」
「はい。ありがとうございます、えっと…あの、お名前は?」
「そういえばそうだね。」
「私の名前はラン。一介の冒険者さ。冒険者ランクはA-。」
なんともまあ。A-ならもっと危険なところに行くべきじゃ…いやここも十分危険か。
「運が良かったですね。私があなたを止められて。」
「どういうことだい?」
「あのまま暴れていればあなたは牢獄の床を破壊して、ここの最深部まで突っ込んでいたでしょうから。
そして最深部のモンスターの怒りを買っていたでしょう。」
「最深部がどうしたんだい?」
「最深部は…いえ、ここは最古龍【スレイ】の住処です。」
「は…龍…?」
「ええ、龍です。
おわかりですよね、最古龍【スレイ】。
世界を創ったというあの最古龍です。」
「そんなこと全く言われていないんだが…」
「そうでしょう。最古龍は人間を極端に嫌いますから。
かつて不可侵条約を結んだ際にここにこもると明記されていたはずなのですが…おそらく時代の流れで忘れ去られてしまったのでしょうね。」
「……待て、どうして君は知っているんだ?」
「私は…」
言うべきか言うまいか。ここで言う必要があるだろうか?
「…魔力に敏感なのです。何度か竜の討伐依頼を受けていまして、その際の魔力を感じました。」
「そんなことで………いや、隠したいならいいんだ。」
物わかりが良くて助かる。
「ところで、君の名前は?良ければステータスを見せてほしいんだが。」
「ステータス、ですか……結構ですよ。«身分»」
〘ステータス〙
名前:メイズ・ノーゼ 性別:女 年齢:17 LV.78 冒険者ランク:未登録
「これくらいでいいですか?」
「あぁ。………ん?待ってくれ、ノーゼ?ノーゼ家なのか?」
「えぇ。そうですが」
「3名家じゃないか…」
「世間一般ではそう言われますね。」
「全く…そうならそうと……あ、いやなんでもない。」
なんだろう。ランさんも何かしら隠しているのか?…私の秘密に触れないでくれたのだから私も触れないでおくべきか。
「おっと、私もステータスを見せればよかったね。見るかい?」
「ええ、拝見させていただきます。」
「わかったよ。«身分»」
〘ステータス〙
名前:ラン・ブーシェ 性別:女 年齢:18 LV.81 冒険者ランク:A- 種族:人間
「…そういうランさんも3名家じゃあありませんか。」
「…」
「ランさん?」
「…あぁ、そうだよ。最も、私は出来損ないと言われて好きにしろと言われているから権力も金もないけれどね☆」
「いや、そんな星がつくような感じで言うことじゃあないと思いますが。」
「はっはっは」
「はっはっはじゃないんですよ」
「まぁ、名家でも名家じゃなくても、楽しければいいじゃないか。」
「なんですかそれ」
「…お嬢様が」
「あなたもでしょう」
『…はぁ』
…被った。解せぬ。
「メイズは行く宛はあるのかい?」
「…そうですね…実家に帰ってもいいのですがなんだか嫌な予感がしますし、あなたについていきたいと思います。」
「そうか、では…え?ついてくるのかい?私に?」
「ええ。ご迷惑でなければ。」
「別に構わないが…君は…………………「…なんですか」……………なんでもないよ。」
なんの沈黙だったのだろう?先程からランさんの沈黙する頻度が高い気がする。気の所為?
「じゃあまず冒険者ギルドへ行こうか!私とともに来るなら分前もあったほうがいいだろう?」
「えぇ、わかりました。仰せのままに。」
「なんだいそのバカ丁寧な口調は?もっと軽く行こう!」
「そうですか。ではそのように。」
「…あ」
「どうしたんですか?」
「冒険者ギルドに転移ポイントつけとくの忘れた」
「…はぁ。歩いて戻りましょう。」
どうしよう、これから先不安に満ち溢れてきた。
「そういえばメイズ、転移酔いしてないか?」
「……しました」
「…すまない」
「お気になさらず…うぅ」