8-4 憧れのエミリア④
デビューから本人インタビューまでという、信じられない特集ページを組まれて、これは、業界での近年にはない大ニュースとなった。実は、そのインタビューの中で、彼女は、エミリアのことが大好きで、大ファンだという。自分は、モデルになることは、最初、特に考えていなかったのだが、いつかエミリアに会えるかもしれないと思い、決心したのだという。しかし、もう引退をしたことを最近知って、かなりガッカリしたようであった。
「エレノア、読んだわよ、トレンド通信。あなた、エミリアのファンなんですってね。驚いたわ。だけど、ちょっとここだけの話として聞いてほしいんだけど、あなた、エミリアの上にいけるわよ、きっと。いえね、エミリアも綺麗だけど、それでも、あなたって、本当にすごいのよ。オービスも、あの子すごいけど、やっぱり、あの子の場合は、育ちが出てるっていうか、血筋が違うっていうか、そういう部分で、根本的に違うのは、もう仕方ないことなのかなって思うの。でも、あなたは、そういう意味では、別格よね。エミリアの件は、残念だったわね。」
「そうなんですか。私がエミリアよりもランキングが上っていうのは、とても嬉しいんですけど、やっぱり会えないんですね。」
「そうね、もう引退して、普通の主婦だからね。あきらめるしかないのよね。」
「そうですか、、、。」
なんと、エレノアは、エミリアと会えないことを知ると、とてもガッカリしていた。それをみて、コスメは、かなり驚いて、正直そこまで思い入れがあるとは思わなかったのである。
その日から、エレノアは、また人が変わったかのように、モデルとして、一生懸命に働いた。そして、人気もうなぎのぼりとなって、とうとうオービスと並んでしまったのである。オービスは、だいたいランキングなどは、少しも気にしないタイプなので、エレノアのことは、自分のことのように喜んでいた。まして、まだ10代のエレノアのことは、オービスは、妹のようにして、とてもかわいがっていた。
しかし、ある時、そのモデルランキング50の雑誌の中で、とうとうオービスを抑えて、僅差ではあるが、エレノアがトップに輝いた。あまりの驚きに、仕事先にいるエレノアに連絡をするコスメ。
仕事を終えると、事務所に戻ってきたエレノア。
「エレノア、あなた、すごいわ。たったの半年で、オービスを僅差とはいえ、超えてトップに輝いたのよ。おめでとう。」
すぐ横で、エレノアを待っていたオービスも、とても嬉しそうにして、満面の笑みで拍手をしている。
「エレノア、やったわね、おめでとう。」
自分が追い越されて2位になっても、全く気にしないどころか、喜びすぎてはしゃいでいるオービス。それを横でみていたコスメは、オービスは、なんてやさしい子なんだろうと思った。この、競争の激しいモデル業界で、自分さえ上に行かれれば、人が体調が悪いことを喜んだり、自分が頑張って上がるだけではなくて、周りが下がったことで、自分が上がることも喜ぶモデルが多い中で、オービスは、実に、モデルの鏡だと思ったのであった。




