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8-3 憧れのエミリア③

 そして、秘比木麗子ひびきれいこは、正式にモデルラボに所属することになり、それに、いざとなったら、彼女のその意気込みは意外に本気で、大学を中退して、モデル業1本に取り組むことになった。コスメは、彼女の見かけによらない意気込みに、さらに本気になって、絶対にオービスに並ぶモデルにまで育て上げてみせると決意した。


 それは、彼女からの意気込みがあることもそうなのだが、とにかく見た目の美人度のレベルがあまりにも高すぎて、どこまでも期待が高まったのであった。これまでも、コスメは、幾度となく、色々な美人モデルを見てきたが、とりあえず、オービスやエミリアは、その血筋やあの水を飲んでいるという、純粋の日本人を超えている部分があるので、その中に一緒に扱うことはできないのであるが、それ以外の正当な日本人としては、秘比木麗子は、あまりにも特別感が強い、突き抜けた美人なのであった。とにかく、その美しさには、これまでにはなく、品の良さが際立っていて、両親や出身地などを聞いても、特に珍しいことのない育ちであり、そのあふれる上品さや、どこまでも透明感のある清潔感は、たまたま生まれ持ったものであるとしか言いようがなかった。


 ある日、モデル業界で、あるパーティーが催され、モデルラボも招かれた。これは絶好のチャンスとばかりに、コスメは、これを、秘比木麗子のお披露目の機会とした。ここで、コスメは、非常に迷った。秘比木麗子の、この、彼女の持つ、ここまで極上の品の良さ、これをありったけアピールしていくための、お披露目のためのファッションは、いったい何にしたら良いのか、そして、そのためには、その見た目のハイレベルなまでの美人度をアピールし、その上品さをアピールするために、そのファッションに1番必要なものを考えに考え抜いた。そして、まずは、彼女の身につける衣装の色の選択であった。それは、衣装は、あくまでも、彼女の、その魅力を高めていったり、際立たせていくものであり、衣装が彼女よりも目立ってはいけない。そこで、まず、衣装の色は、単色で、あくまでも、単色で、彼女自身が際立つものにすること。そして、それは、意外な衣装となった。


 いよいよ、パーティーの当日、コスメは、割と抑えめなイメージで品のよいスーツで登場した。これは、今から、新人としてお披露目をする秘比木 麗子、この時から、モデル名、エレノア、としてのデビューを図る、彼女の上品さに合わせたものであった。


 2人は、まず、ファッション界の大御所とも言われるモデル業界の大御所、雑誌「トレンド通信」の出版社、美人薄明出版社の社長、美玲響子びれいきょうこに挨拶に行った。


「美玲さん、ご無沙汰してます。モデルラボの小染真希ですが、今度、結婚したので、蓮津真希になりました。」


「あら、本当、久しぶり。おめでとう。でも、呼び方、まだ、コスメ、って呼んでもいいかしら?ご無沙汰してますね。今日は、珍しく新人さんのお披露目?えっ、ちょっと待って。この子!?」


 コスメの斜め後ろに、少し下がった位置に立ち軽く頭を下げている、エレノア、こと、秘比木麗子、であり、まだ、今から、コスメが紹介をして、本人から社長に、ご挨拶の手順であったが、それよりも、その、彼女の印象が強くて、先に気づかれて、さらに驚かれてしまったのであった。


「ああ、呼び方ですね。もう、コスメでぜんぜんいいですよ。あっ、この子ね、そうなんですよ。今度、うちの事務所からデビューする、エレノア、です。まだ、10代の若さですが、うちの所属を決めた途端に、大学もやめてモデル1本で頑張りたいって、見た目の綺麗さだけでなくて、根性のある子なので、これから、どうか宜しくお願い致します。」


すると、エレノアは、その笑顔で挨拶をした。


「はじめまして。この度、モデルラボからデビューさせて頂きます、エレノアと申します。まだまだ、モデルとは名ばかりで、これから、色々と頑張っていきますので、どうか宜しくお願い致します。トレンド通信は、いつも拝読させて頂いております。いつか、私も載せさせて頂けるように頑張って参りますので、その節にはどうか、宜しくお願い致します。」


と、挨拶をする、エレノアは、その衣装が、チャイナドレス風の黒のスーツに身を包み、そのドレスには、パッと見にはすぐにはわからないのだが、目を凝らしてみると、花のような柄の刺繍がされていて、その黒の生地は、つやのあるような、またつや消しでもない、微妙な色合いの黒で表現してあり、チャイナドレス風で深いスリットが入っているのだが、どこまでも品のある彼女だからこそ、セクシーなのに、いやらしさのない、むしろとても清潔感のある色気を漂わせるドレスであった。そして、コスメが初対面でスカウトした際には、すぐに気づくことができなかったのだが、彼女はただ長身というだけではなくて、その、単に細身ということでないスタイルの良さは、また、とても際立っており、コスメは、その点も絶対にアピールしたいと思って、身体の線をはっきりとみせつけるためにも、この衣装を選んだのであった。それらの点を前面に押し出した衣装に、身を包んだエレノアは、挨拶する前に、一瞬早く、美玲響子の心をつかんでしまったという、良い意味での誤算があったのである。


「コスメ、私ね、この業界も長いけど、初対面でこんなに魅力的な子をみたのは初めてよ。お世辞抜きで、本当に美しいわ。しかし、こんな子、あなた、どうやって見つけてくるの。」


「ありがとうございます。実は、私も、初対面は、本当に驚きでした。」


「あなたのところ、あのオービスもすごかったけど、正直言って、あそこまでの子はなかなかいないし、あの子は、初対面の時は、まだ高校生で制服だったから、またイメージがちょっと違っていたけど、この子は、もう初対面がモデルとしての衣装のせいか、余計に印象がすごかったわ。それにしても、あなたの事務所って、時々、すごい子がくるわね。」


「恐れ入ります。」


「ところで、デビューのグラビア、今回、うちでやってみない?」


驚く2人!

「ええっ!いいんですか。」

「2人共、よければ、表紙を含めてのグラビアで、少し特集ページにするわよ。どう?」

「ええっ、すごいわ。ありがとうございます。」

「そうしたら、明日、時間あれば、早速、打ち合わせしましょう。衣装は、今着てるのも頼むわね。そうだわ、この衣装で表紙にしましょうよ。これは、インパクトあるデビューになるわよ。この号は、きっと売れるわよ。じゃ、詳しいことは、明日ね。」


 と、いうわけで、いきなりのデビューにもかかわらず、業界誌では最大手の「トレンド通信」でのグラビアデビューで、おまけに、表紙を飾り、その上、さらにインタビューのおまけつきということになった。


 しかし、業界で有名な評論家のコメントを借りるならば、ここ数十年でも、トップモデル3人の中にランキングされてもおかしくないほどの逸材であり、ぜひとも、生で一度、本人をみてみたいとの高評価であった。


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