7-12 未知の国からの招待12
「さあ、それをこちらに渡してちょうだい。それに、そのビンは、簡単には開けられない。そのフタは、特殊構造になっていて、私しか開け方を知らないのよ。もうあきらめなさい。」
「近寄らないで。近づいたら、これを床にたたきつけて、こなごなにしてしまうわよ。」
「それは、私たちのものよ。それに、たたきつけても簡単には壊れないわよ、信じられないなら、たたきつけてごらんなさい。そうしたら、私たちが拾うから。それに、ここのことを知っているとは、あなた、この国の人間ね。第一、この場所を知ってるなんて、さては、ハッキングでもして調べたんでしょう。あなたは、自分の国を裏切ったのよ、裏切り行為は、反逆罪で、静顔の刑よ、わかってるわね。」
「そ、そんな。それだけは、、、。」
すると、エミリアが、
「静顔の刑って、なんなの?」
「静顔の刑は、この国で1番罪が重い罪に対する最高刑で、顔の神経を、特殊なガスによって、すべて麻痺されて顔を無表情にされて、その顔のまま一生を送るのよ。顔の綺麗さを、最高の美徳としている私たちにとって、2度と笑顔を作ることはできないなんて、消えることよりもつらいことよ。」
「えっ、1番悪いのは、殺人じゃないの。」
「そんな、まさか。人を殺すとか、死ぬという概念は、この国にはないわ。そもそも、他国のように死ぬとか、人の命をとるという概念が、この国にはなくて、寿命が尽きる時は、身体が消滅して跡形もなくなるのよ。その時、痛みも苦しみもない。それに、長く生きることには、何の喜びも意味もなくて、消えるとか寿命が短いとかは、悲しいことでもなんでもないの。私たちにとって、この世で1番大切なことは、どれだけ綺麗で生きていられるかということ。身体にある生きるエネルギーや栄養は、すべて美しい容姿にために使われてしまうの。だから、女性は皆、短命で、そのかわり、皆、若くて美人ばかり。歓迎会で多くの女性を見たでしょう。綺麗なことには容姿も大切だけど、綺麗な表情も不可欠よ。だから、その表情を、特に笑顔を無くされるなんて、この世から消えることよりもつらいことなの。だから、最高刑なのよね。」
「美貌が1番大事ってことも、そうだけど、何から何までコトールルミナス国とそっくりだわ。なんだか不思議だわ。」
「話しは、そのくらいにして、今すぐに、そのビンを渡しなさい。大人しく渡さなければ、力ずくでも取り返すわよ。」
もはや、ここまでかという表情な2人。
「大人しく渡せば、静顔の刑は、今回は見逃してあげてもいいわよ。だけど、力ずくで取り返したら、静顔の刑は執行するわよ。さあ、どうするの。」
すると、すぐに手渡してしまうリリアナ。
「そうよ。最初からそうすればいいのよ。」
そう言いながら、ビンの蓋を開け始めた。1、2、3、4、と蓋を複雑に操作するエメリス。すると、5回目の操作をした途端、カシャ、という音と共に、蓋が開いた。少しだけ飲むエメリス。
「おっと、あまり飲み過ぎると、エキスの再生にも、私の変身にも時間がかかりすぎてしまうから、気をつけないと、このあとの美の対決に間に合わないといけないからね。」
そう言うと、ビンを、元のガラスの箱に、ピッタリと納めると、ピキーン、という音とともに、ビンが納まった。
「ちょっと時間を無駄にしてしまったわ。変身が終わるまで、あと1時間はかかるから、戻って待っていてちょうだい。」
そして、再び、扉を閉めて、去っていってしまった。2人は、急いで舞台へと戻っていった。 戻った2人に駆け寄るオービス。
「どうだった?エキスは?」
うつむきながら、首を横にふる2人。
「そう。仕方ないわね。それじゃ、このまま待つしかないわね。」




