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7-8 未知の国からの招待⑧

所長は、叫んだ。

「なんということでしょうか。結論から申し上げるならば、美に勝ち負けなどありません。負けた方は不幸になり、勝った方も、本当に幸福感を味わえるわけなど、決してないのですよ。」


エメリスは、さらに驚きの発言を続ける。

「これから、始める美の対決は、ジャッジ役として、所長さん、私は、あなたにその役を任命致します。世界的に認められた、美の追求者としては、これほどの名誉はないでしょう。これほどの、究極の美人対決のジャッジをできるのですから、この任命には感謝すらしても、拒否などはありえないことです。その立場からしても。」


「何を言うのかと思えば、その役は、私には相応しくありません。それに、冷静になって、よく考えてみるといいでしょう。私は、オービスたちを連れてきた、オービス側の人間です。あなたたちと、こちら側では、私はこちらを勝ちにしてしまうに違いないでしょう。あなたたちに1人、こちらにも1人と、それぞれにジャッジをつけるならまだしも、このままでは、わたしはこちらを勝ちにして終わりとするしか私の選ぶ道はありません。そんな不公平な対決など、結果のわかりきった争いなど、やめにしましょう。」 


それに対して、エメリスは自信ありげに、話しを続けた。

「私は、最初、互いに1人ずつジャッジを取り決めようとも考えました。しかし、残念ながら、フランソワ高木、あなたほどに、美についてのジャッジができる者は、おそらくどこにもいないでしょう。つまり、あなた以外の人間をジャッジとして増やしたなら、その方が間違った判断をされてしまう可能性がある。所長さん、あなたこそ、美についての最高のプロフェッショナルです。そして、自分の判断にウソなど言うわけはない。ご自分で、より美しいと私たちのことを感じても、私たちを失格にするなどという行為は、自分のプロとしての誇りが許さないですからね。この対決を最後に終わらせるのは、所長さん、あなただけなのですよ。」


一同は、無言のまま、呆然とする中、その部屋の中央が左右に、広がっていき、そして、床が少しだけ迫り上がってきて、舞台のように変わっていく。


「それでは、所長さんから、対決の仕方を決めて頂きましょうか。どんな方法であっても、美については、決して不正や自分たちに有利になることなどはしないことはわかっています。」


すると、所長から、

「わかりました。もう、こうなったら、この対決を公平に行なって、終わらせるしかないようですね。私が、世界で最高峰の美の判定をできる人間であるばかりに、このような争いを招いてしまったのかもしれませんね。このことは、私が判定を下すしか、終わりようがないし、私が責任をとるしかないのですね。ただ、その方法については、ここで、すぐではなくて、2時間ほど時間を頂けないでしょうか。たった今、決まったことであるし、ここまでの大事な真剣勝負を行なうには、その方法を決めるためには、じっくりと考えさせて頂きたい。」


「わかりました。そこまで、真剣に引き受けて下さるなら、こちらとしてもありがたいことです。それなら、2時間と言わず、今日1日考えて頂くことを許しましょう。明日の朝、9時から対決を行なうことと致します。全員、再びこの場所に、お集まり下さい。」


その後、すぐに夕食の時間となり、下にも置かないおもてなしが続いて、また、そのおもてなしに関わる多くの女性たちの態度には、皆の気持ちは、とても敵国に対するものではないと、感謝さえすれども、負の気持ちは微塵も感じられず、明日の対決に対する気持ちが、余計につらすぎるとコスメたちは感じていた。食事が終わると、所長の希望で、所長は1人、部屋にこもることになった。


しかし、所長の心は複雑であった。結果的に、自分たちが負けると、プリンセスは、その勝利に喜び、おそらく、我々を解放してくれるに違いないが、逆に我々が勝利すると、どうなるか、それは、正直言って、全くわからない。しかし、それによって、悲しみすらしても、感情的な態度になることも考えられないのである。所長は、結論として、公平で正確な判断を心に決めて、その方法を一晩かけてじっくりと考えた。


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