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2-1 その名はオービス

プリンセスとオルガが国に帰って、早や15年が過ぎた。プリンセスと蓮津の間に生まれた娘、オービスは、15才になった。

そして、プリンセスの血を受け継いでいるせいで、母をも超えそうな美貌を備えており、学校でも近隣でも評判の美少女になっていた。


「いってきまーす。」

「おーい、あんまりあわてると、ころぶぞ。」

「大丈夫よ、お父さん。遅刻しちゃう。」

「だから、何回も起こしただろ。気をつけてな。」

「オッケー!」

まさに、マンガじゃあるまいし、パンをもぐもぐしながら走るオービス。

女子中学に通い、自転車通学をしている。男女共学でないのは、それは、もちろん美少女の悩みのタネ、モテすぎて、たくさん男子がよってくるのを避けるためである。 


小学生の頃から、モテモテで、外出すれば、スカウトマンがついてくる。それで、女子中学に入ったが、その勢いは止まらない。学校には、通学途中で、デートの誘いやスカウトマンを避けるためにも、自転車通学に切り替えたというわけなのだ。 


しかし、別に、モテモテなのを、ただ嫌がっているのではない。そんなに、モテモテならばと、高校入学と同時にモデルデビューも考えていた。

いよいよ、高校に進学するオービスは、どうしても入りたい高校があった。それは、聖美少女女学園である。ここは、全国的に有名な進学校であるにもかかわらず、モデルになること限定でアルバイトを許可しているという変わった女子校である。


ここは、とにかく、進学校で偏差値も高くなければ入れないが、入学条件がもう一つ、この学校では、美人しか入学はできない。入学試験のあとの面接の時、特殊な機械と校長の判断で、美人評価値というのを採点する。そして、100点が満点で、その美人評価値が80ポイント以上でなければ、入学を許可されない。


そして、全校生徒のうち、成績と美人評価値がトップ5人に入れば、奨学金がでて、最大で学校に納める金額は、ゼロになるという。しかし、実際には、美人評価値に関しては、その数値は努力してもどうにもならないこともあるので、トップ5でなくても成績がよければいいらしい。モデルのアルバイトをする際には、聖美少女女学園の学生であることをプロフィールに明記することが条件とされている。


さて、聖美少女女学園への入学試験が終わって、面接の日がやってきた。校長先生自らが受験生1人1人と対面する。それは、見た目と機械による美人評価値を測るためと、校長が直接受験生に会いたいからである。


「それでは、次の方、どうぞお入り下さい。」

「失礼いたします。」


オービスと父の蓮津光はすづひかりは、そう言うと、

扉を開けて、一礼をした後、正面の椅子に腰掛け、2人そろって挨拶をする。

「宜しくお願い致します。」

「私は、当校の校長、雨宮です。まず、あなたのお名前は、オービス・ビクトリア・梨奈・フランチェスカ・蓮津ですか。長い名前ですね。」

「梨奈は、父方から日本の名前で、オービスは、母方の国の名前ですが、その国は、とても小さな珍しい国なので、誰も知らないと思いますよ。蓮津も、とても言いにくいので、オービスと呼んで下さい。みんな、オービスと呼んでいます。今、母は国に帰っているので、父と来ました。あと、すみません。実は、校長先生があまりにも若くて驚いてしまいました。」


「そうね。私は、実は、今年初めて、校長になったのです。もともと、当校の卒業生で、去年まで違う仕事をしていて、今年で35才から、校長に就任しました。そういえば、あなたの内申書をみると、どうしても聞いておきたいことがあって。よろしいかしら。」

「大丈夫です。」

「あなたの成績が、あまりにも完璧に近いレベルで、内申書の中学の時の担任の先生によると、そんなに成績が良い反面、授業以外には、全く勉強をしていないとありますね。これって、本当なの?それから、もし本当のことなら、どうしてなのか、どうやっているのかを聞かせて下さい。」


「そうですね。それは、授業中に授業内容がすべて頭に入って、理解もできるからです。だいたい、一度聞いたら、覚えられるからですね。」

「そのようね。中学の担任の先生も、そういうことを書いてるわ。」

「とにかく、母も私も、生まれつき、記憶力がすぐれていて、たぶん、百科事典とかでも、覚えることは難しくないと思います。」

「わかりました。それから、これは特に、重要なことではないけれど、あなたは、外国人のお母さんとのハーフということだけども、全く日本人に見えますね。」

「そうなんです。母も、見た目は、日本人のようですよ。母の祖国の人たちは、日本人にとてもよく似ています。」

「わかりました。それでは、最後に、あなたの美人評価値の採点をします。」

おもむろに、機械を取り出し、オービスの顔の前に設置して、覗き込む校長。しばらくすると、みるみると、その顔は、驚きの表情に変わっていく。

「あなた、信じられないわ、、、、、。その、数値は、98、です。」

それを聞いて、オービスは、

「それって、かなり上位ってことですか?」

「正直言って、上位どころじゃないわ。これまでの歴代で最高値なんです。たしか、20年近く前に、私がここの生徒だった頃、私の持っていた数値の92を破った、脚立理香さんの96を今、ここであなたが上回ったのよ。


さっき、実をいうと、写真を見た時から、驚いていて、今、生のあなたをみて、まさかとは思ったけど、正直上回るとは思わなかったわ。あの時以来、最高値でも91が最高値で、ここ20年経っていたので。とりあえず、美人評価値は、間違いなく合格ね。あとは、今、合否を言うわけにはいかないので、後日連絡します。それでは、今日はお疲れ様でした。」


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