7-7 未知の国からの招待⑦
そして、次の日を迎えて、一同は朝食に招かれた。食事を済ませると、エメリスがやってきた。
そして、昨日までとは打って変わって、真剣な眼差しで、語り始めた。
「これまで、自分たちは、美というものを古来から最も重要なものとして大切にしてきました。」
という発言から、エメリスの話しが始まった。
「これまでの800年1,000年の長い歴史の中で、命よりも尊ばれ、それを大切にするために、様々な、どんなものよりも、時には、どんなものも犠牲にして、女性の最高の美貌を最上の位置付けにして、この国は今日までやってきました。私たちの美が、他に劣るなどということは、私たちにとっては、この世から消え去ることよりも遥かに辛く苦しいことで、そして、どんな他のものよりも美しくあることが、何よりも喜びであって、それが私たち、アルタコーネス国の国民たちすべてを支え、国民たちすべての幸福のために必要なことなのです。
しかし、この世には、他にも、同様に、女性の美貌を何よりも尊び、どんなこと、どんなものよりも重んじる国があって、ある時、その国の1人の女性の美が、我が国の1人の女性の美より勝ると判断され、我が国の美を否定された時から、我々の幸福は阻害されました。そこで、自分たちの美の最上の位置付けを取り戻すために、長い、美の戦争が始まったのです。
そして、それは、何百年もの間、続いていき、その後、ある時、2ケ国の互いに最高峰の美貌対決の際に、互いにその力を出し尽くして、両者とも消滅してしまうという最悪な、最も不幸な事態に落ちいってしまったのです。その時に、決して戦いが決着したわけではないのですが、戦いの中から、互いの最高峰の美が消えて失ってしまったことで、互いに最上の幸福を失ってしまいました。互いに国としての、最大にして最悪のダメージであったのです。そして、そのことから、今後、互いに決して関わらないことが幸福への唯一の道であると認識をして、しかし、それは国同士が和解をしたわけでも、解決したわけでもないのですが、関わらないことで今日まで何事もなく、その後、数百年過ごしてきました。
しかし、この度は、究極の美貌追求研究所という、世界的に美の研究を極めている機関の見解によって、世界的に上位と判定されている女性をこの目で確かめてみたいと、依頼をしたのです。そして、私の娘たちも、その評価の対象として頂き、どう評価されるかも楽しみとしていたのです。この国は、これまで世界的にも、実在するのかと言われている伝説の国。それは、決して知られてはならないことであり、他国のふりをして、皆さんを招待するしかなかったのです。このまま、互いに、その極まれる美人を紹介して、世界的に上位クラスの女性の美というものを改めて確かめられれば、そのまま偽りの国のまま、この国のことは知られずに、お別れするつもりでありました。
最上の女性の美という意味では、我が国とコトールルミナス国は、それ以外の国々と比べて、美のレベルがあまりにも高く、違いすぎるので、2ケ国の美のレベルは、別格であり、他の国々は、2ケ国には足元にも及ばないという観点でいたことに違いない。しかし、そのレベルが違うという中でも、研究所推薦のモデルたちが、どこの国の、どんな女性であるかは楽しみにしておりましたが、さすがに研究所の所長さんの紹介で連れてきたお2人は、その美しさは、疑いもなく素晴らしいものでした。
しかし、壇上で、その発せられる、素晴らしいオーラを感じると、まさかの驚愕の真実を知ってしまった。UBPRIから世界的に最高の美と認められるのが、古来からの敵国であり、我々と同等の美の戦いを長きに渡り行なってきたコトールルミナス人であったとは、我が国を差し置いて、この世界に入り込み、私たちの美を2番目以下の位置と評価されたかのようにも解釈をされてしまいました。
すべては、もはや過去のこととは言いながらも、あえて敵国に対する今回のモデルの人選には、あまりにも屈辱なことであると、それ以外の言葉が見当たらないのです。それでは、この場にて、改めて正しい美の評価を下して、真の美の勝者はどちらなのかを、改めて追求したい、いえ、しなければならない。それに、今回の人選は、我が国に対する宣戦布告であると、こちらも受け取るしかないのです。」
プリンセス エメリスは、国全体を代表する、自分の立場において、母国の美を卑下されたかのような屈辱で涙を流しながら語り続けた。
そして、さらに語り続けた。
「昨日、私の娘たちを紹介しましたが、おそらく、その美貌に圧倒されたことでしょう。しかし、あの娘たちは、まだ10代です。その年まで、ただ年齢を重ねてきただけで、なんのメイクも美容法も、またその生まれ持つ美の磨き高めることなどは、一切行なったことがない。まだ、生まれたまま同然の素の状態であるのです。それでも、現在、この国ではトップレベルの美を誇っている。我が国の、まさに、幸福の証しとも言える、美のレベルが、遥か昔からどれほど進化しているのかを、この2人から知れたかと思います。今後、成人して、美容法も駆使して、さらに磨いていくことによって、今後、彼女たちの美がどれだけ進化していくのか、それは果てしなく続いていくでしょう。
それでは、急遽、やらざるを得なくなった美の対決を、今ここで始めることにいたします。それでは、まずは、今から始める美の対決の、そのジャッジを行なう担当者を決めていきましょう。」
すると、驚き、焦ったコスメは言った。
「いいえ。そんな対決など何の意味もないでしょう。争いはやめて、私たちを国に返して頂きたい。」
続いて、所長からも発言が、
「プリンセス、あなたは、間違っています。あなたの国の女性たちも、今日モデルラボからきてもらっている2人のモデルたちも、どちらもすばらしく美しい。私は、世界的に美人を多く見てきた立場で言うなら、どちらが上とはとても言い難い。そして、世界的な美のレベルから超越していることには間違いない。もはや、通常の人のレベルを超えています。もしも、私があなたの娘たちを知っていたなら、オービスとエミリアだけを選ぶことはできなかったに違いないのです。」
すると、エメリスは、
「いまさら、どちらも上であるなどという答えは、求めてはいません。この対決には、最後には頂点は1人のみが残るのです。それが、この対決の終わりとなり、その1人がどちらの国の女性なのかということなのです。引き分けもなければ、1人が残らなければ終わりもないのです。それが、この対決です。」




